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18.下等
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しおりを挟む「…理央様は、オメガとしてのご自身の容姿を気にしていらっしゃるようで、…ですが俺がどれだけ言葉を尽くして他のどんなオメガよりも美しく、魅力的であることを告げてもあまり、…気休めにすらならないようで、…」
俺の言葉に一瞬目を丸くした後、父は声をあげて笑った。
「そりゃあお前、剱だのは関係ないな。好いた相手から言われて初めて安堵する言葉だろう」
「そう、…ですか。…そうですね、…」
好いた相手。
俺は何を思い上がっていたのだろう。
俺がいくら言葉を尽くしたところで理央が安心出来る筈などなかった。
理央に想われているアルファでなければ、言葉を尽くしても意味はないのだ。
俺はただ、剱として側に居れば良いだけ。
理央に番が出来るまではフリーのアルファとして少しでも役に立てるだろう等と、とんだ勘違いをしていた。
「どうした、大和」
「…いえ、…自分の不甲斐なさに嫌気が差しただけです。二条優貴とはもうお会いになられましたか」
「ああ。二条とはいうがあれは養子だな」
「ええ。…後取りにあてがう予定のオメガだったようです」
「成る程ねェ。二条がやりそうなことだ。しかし二条の血もひいていない二条の人間に好かれるとはな。皮肉なものだ」
「…これで理央様のお心も少しは休まるかと」
「だといいが」
「問題無く解除できそうですか」
チリ、と父の煙管で葉がはぜる。
「容易いな。性交無しの愛咬契約は所詮『仮』だ。愛咬時の口腔からの遺伝子情報と性細胞からの遺伝子情報に相違があれば本来の番契約は成立しないからねぇ」
「番を持った実感が一切湧かないのはそのせいですか」
「契約がなされたらオメガは遺伝子情報を元にそのアルファ専用のフェロモンを発する。その匂いを記憶しなければアルファ側には実感等ないよ。…オメガデータベースで選んだ番と契約する場合はそこまでセットだと覚えておくといい」
「…はい」
下を向いたままの俺に、父が眉を顰めた。
「まだ何かあんのかね」
「いえ、…自分が理央様の剱で、本当にいいのか…」
「理央チャンからは今回の件は自分の責任だし剱から外す気はないから早めに謹慎解除してやってくれと頼まれてるが」
「本当に、…理央様が、…」
「?…ああ。まぁ念のため、二条の解除が終わるまでは謹慎しててもらうけどねェ」
「…そうですか、…お優しい、…」
(こんな、役に立たない剱である俺を)
俺の言葉に父は微かに笑みを浮かべて煙を吐いた。
「…とはいえ、主人の身を危険にさらすなど『剱として』あってはならんよ。…次は無い。いいね?大和」
父の低い声に奥歯を噛み、膝の上の拳を握り締める。
「…はい」
「まぁ、ここにいる間は仁と理央チャンの話でもしながらオメガデータベースでも眺めてのんびり番候補を探しなさい」
「…はい」
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