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25・愚かな俺は、それを疑わなかった
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しおりを挟む嗚呼、全部。
全部、食べてしまいたい。
誰かに食べられてしまうくらいなら、今、ここで一欠片も残さず。
「っやまと、ぁ、」
「美味しそう、理央、」
唇が腫れそうなくらいキスした。
衣服越しに勃起した器官を押し付けても理央は何も言わずに好きにさせてくれた。
(俺のオメガだ)
「ん、ぅ、」
「可愛い、」
(俺のオメガ)
俺の背に腕をまわしてシャツを掴む理央の手のひら。
「…やまと、ん、」
何か言おうとした理央にまた口付ける。
止めろと言われたくなくて言葉を奪った。
同時に聞き慣れない着信音が響く。
俺は無視して理央の舌を追いかけることに夢中になった。
「理央、…っ理央、」
やんわりと髪を掴まれて唇を離す。
鳴り続ける着信音が耳について微かに苛立った。
「っ待て、父からだ。すぐ済むから、」
理央は俺の下から抜け出し、リビングのデスクに向かい、その引き出しを開ける。
「遅くなりました、申し訳ありません。理央です」
理央は思い詰めた表情で何事か話していたが、やがて一つため息を吐くと「分かりました」と呟き、通話を切った。
引き出しに携帯デバイスをしまうとまた一つ息を吐き、俺のもとに戻って来て俺の膝に乗る。
「理央、」
理央は俺の戸惑いなど無視して俺の首筋に歯をたてた。
「…大和、明日の夜は空いてるか」
「はい、」
「…仕事が済んだら、…寝室に来てくれ」
「かしこまりました」
しなやかな理央の身体に腕をまわして抱き締める。
理央のチョーカーにキスした。
(――咬みたい)
理央が俺の前髪を指先で払う。
口付けられて理央の舌を吸った。甘い舌に夢中になる。
(ダメだ、これ以上は)
唇を離し、理央の頬に口付ける。
欲情を誤魔化そうと息を吐いて理央の肩に額を押し付けた。
「好きです、理央…」
「…明日、忘れるなよ…大和」
「はい」
何時ものことだと思っていた。
何時もの呼び出しと同じだと。
愚かな俺は、それを疑わなかったのだ。
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