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26・もはや何もかもが遅い
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しおりを挟む翌夜。
いつも通り念入りにシャワーを浴び、理央の部屋を訪った。
寝室のドアをノックし、返事を待つ。
そこでネックレスを外すのを忘れていたことに気付いた。
「入れ」
置いてくるかと一瞬考えたが、眠るだけならば気付かれることも無いだろうと、理央を待たせないことを優先する。
「失礼します」
理央はシャツだけを羽織り、ベッドに腰掛けて脚を組んでいた。
俺は目を伏せ床のラグの模様を眺めながら、いつものように主人が手を差し出すのを待つ。
「…大和」
「はい」
「俺の本命を知りたがってたよな、お前」
「…はい」
なぜ、今その話題を振るのかがやけに気にかかった。
「……お前だ」
思わず顔をあげ、主人を見る。
理央の声で紡がれた言葉を理解できず、もう一度脳内で反芻した。
自嘲気味に笑んだ理央に、何を言っていいかもわからず立ち竦む。
「どういう、…意味、ですか」
「そのままの意味だ。オメガなら、もしかしたら俺でも抱いてもらえんじゃねーのかとか、少しだけ期待したが、…まぁ、俺みてーなオメガ相手じゃ興がのらねーのも仕方が無い」
諦念が色濃く滲む声音に反して理央は笑った。
「…」
沈黙を続ける俺に、「こっちに来てくれ」と理央が手を差し出す。
無意識のうちに足が前に出た。
片膝をついて理央の手を取り、その甲に唇を落とす。
手首に口付けたら後頭部を引き寄せられて、理央の胸に抱かれた。
俺の眼帯を、理央の細い指が解いて床に落とす。
「綺麗な蒼だ」
「…有り難う、御座います」
「空を見る度にお前を思い出すだろうな」
「俺は夜空を見る度に理央を思い出します」
そう告げたら「そうか」と理央はまた、今度は儚く笑った。
俺の髪に指を通し、理央が俺の後頭部を撫でる。
「…明晩から俺は吉良の家に行く。ヒート前後三日を含め、三週間だ。…令明と番になる」
「…っ理央、」
「色々あったしな。…急遽父が決めた」
思わず理央の腕をほどき、伏せていた顔をあげたら口付けられた。
そのまま抱き締められて、耐えきれずに理央の細い肢体を抱き締める。
「…まだ、男に抱かれたことがない。…頼む、…お前がいい」
震えた声だった。
息を飲む。
無意識に喉が鳴った。
「な、…にを、言って、」
「お前にとって俺がそういう対象じゃねーことはわかってる…すまない。避妊薬は飲んでるし、明かりは消す。…お前は終わるまで俺を女だと思って横になってるだけでいい」
「どういう、――」
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