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27・ただ一つ、仄暗い喜び
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しおりを挟む「…可愛い、」
「っん、…ン、」
躊躇うことなく俺の舌を受け入れる理央の髪を掴むように撫でる。
「っ理央、理央、」
「気持ち、いいか…?…やまと、」
理央の細い腕が俺の頭を抱き寄せ、俺の左の目蓋に薄い唇が触れた。
耳に口付けて「気持ちいいです」と囁けば、理央の中がぎゅう、と俺の器官を締め付ける。
抑制剤は飲ませたはずだ。
なのに理央の甘い香りが俺の理性を灼く。
俺も、遮断剤を服用した。
…なのに。
理央の唇が吐息だけで俺の名を呼ぶ度、興奮で背が震える。
俺の為に生まれたものだと思えた。
俺に、あいされるために。
「…あいしています、理央」
「…」
そう告げると、理央は曖昧に笑って、俺から目を逸らした。
「信じて」
「……」
「理央、」
理央は目を逸らしたまま、答えない。
ゆっくり律動して奥を突けば、理央は吐息して仰け反った。
さらされた白い喉に口付ける。
「…っ、ぁ、」
「忘れたくないんです、理央」
一瞬躊躇って、理央は否定するように首を横に振った。
宥めるように俺の頬を撫でる手のひらを掴み、そっと口付けを落とす。
理央は、俺を好きだと言った。
俺が忘れなければ、言えない言葉だったのだろう。
理央は、俺と番いたいと言った。
俺がいい、とすら言った。
それは諦めるから、一度だけ抱いてくれと言った。
命令ではなかった。
俺が忘れるからこその懇願なのだろう。
なぜ、忘れなければならない。
こんなに。
あいしているのに。
「…っ、は、」
俺の射精に合わせて理央の生殖器口が弛んで、狭いそこを自分の器官で押し拡げれば、理央は背をしならせて絶頂した。
「っぁ、…っあぁ、」
弛緩した理央の穴から溢れる自分の欲の残滓を眺めながら吐息する。
理央の身体を抱き締め、鎖骨に口付けた。
体力など疾うに尽きているだろうに、理央は俺の背を手のひらで撫でる。
何も言わずにキスして薄い舌を吸った。
「…理央、」
唇を離して呼べば理央は俺の頬にその薄い唇を押し付ける。
忘れたくないと告げる前に理央に口付けられ、俺は目を閉じた。
忘れるのか。この瞬間を。
この腕の中の存在を。
忘却した事実すら、忘れると。
「無理です、理央」
「…大丈夫だ、」
「忘れると言うなら、死んだほうがいい」
「俺が主人だったことも、…俺のことも全部、…今の、その気持ちも忘れる」
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