転生鍛冶師は異世界でモノづくりをすることにしました。

3

　かきん。
　かきん。
　かきん。
　という鍛冶屋での仕事も終わり、オレは鍛冶屋の外に出る。
　仕事ではいつも鍛冶屋の中にいるけれど、そうやっていつも鍛冶屋の中にいるわけではない。
　オレはこの世界では冒険者というものをやっている。
「おう。今日もやってるねー」
　オレは冒険者である。
　休日はこうやって外に出て、どこかにクエストというものをやりに行くのである。
　そのクエストの内容は薬草採集というクエストであったり、モンスター討伐というクエストであったりする。
　クエストの難易度は討伐するモンスターの能力によって異なり、強いモンスターを討伐する場合は高難易度のクエスト、簡単に倒すことができるモンスターは、簡単なクエストのことが多い。
　オレはこの異世界にはやってきたばかりだから、簡単なクエストばかりをやっていた。
　薬草採集やモンスター討伐というのは簡単なクエストなのだ。
　それでも少しくらいのお小遣い稼ぎにはなるので、簡単なクエストだからといって、馬鹿にできるわけではないのである。
　簡単なクエストだって意外と馬鹿にできないのである。
　だって塵も積もれば山となるという言葉通り、お金は少しずつでもためていけば、やがてはそこそこのお金にはなるのだから。
　鍛冶屋で仕事をしていたら生活するお金には困らないが、こうやって冒険者をやっているのは、休日にやることがないからである。
　すごい冒険者になりたいだとか、女の子にもてたいからこうやってクエストということをやっているわけではない。
　それは単なる趣味であり、暇つぶしでもある。
「こんにちはー」
「今日もクエストをやってきたんだね。いつもいつも頑張っているねー」
「はい。クエストをやるのは楽しいです」
「モンスターにやられないように、気を付けてね」
「はいっ、それはいつも気を付けています」
　このような会話をよくする。
　会話というものはいいものだ。
　毎日毎日代り映えしない毎日に、色を付けてくれる、それが会話。
「じゃあ、行ってきます」
「いってらっしゃい。あんまり難しいクエストをやるんじゃないぞ。簡単なクエストをやったほうがいいぞ」
「はいっ」
　といって、オレはクエストをしに村から出ていく。
　村から森の中に進むまでは結構な距離を歩かなくてはならない。
　まあいい運動である。
　というわけで、オレは休日は結構な時間を薬草採集やモンスター討伐にあてていた。
　この時間はオレにとっていい時間つぶしになっていた。
　こういうのも悪くはないよな。