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逸脱したものたち
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次から次へと身体を這い上がってくる者達は一本一本に意志があるように蠢いていた。
砂の底は計り知れず。その全体像もわからない。
足元のその下にどれほどに埋まっているのだろうか。藻掻くほどにそれらは這い出てきた。
見た目が蔓や草のように見えたとてあくまで魔物の一種である。その感触は植物のそれとは違う。
「くそっ!離れろ!!」
弾力がありひんやりつるりとした見た目のものもいる。今は擬態する必要性を感じていないからなのだろうか。引っ張ればゴムのように伸び簡単に抜け出すことは困難であった。
だがこちらとて易々と殺されるつもりはない、攻撃魔法が放てないならばと蓮人は首のあたりに巻き付いてきた数本を噛みちぎり吐き出した。
遠目で、セペドの方をちらりと見ても彼も巨大なアペプに苦戦しており自分自身でこの魔物をなんとかするしかないようだ。
アペプの瘴気に汚染され魔物と化してしまったジャッカルの群れのように、せめて見た目が獣のような形であれば弱点もわかりやすかったが相手は蠢く蔓の群れだ。目も鼻も口も無いのか、あるのか。あったとてどこにあるのやらという状態だ。人間を喰らうというからには口も腹もきっとあるのだろう。だが手足を封じられ薄暗い闇の中では形ぐらいしか認識が出来ない。せめてもの抵抗で口の近くにきた触手だけは噛みちぎって吐き出してはいるが。
「・・・・っぐ、ぅ」
痛覚すらないのではないかと思われたアディードファウダーが獲物の抵抗を感じたのであろう。それらは蓮人の口元に一気に近づき抵抗をやめろと言わんばかりにその咥内へ数本ねじり込んでくる。
簡単に噛み千切ることが出来ない太めのものが無理やりその喉奥へ侵入し、顎が外れそうだ。
藻掻こうにも手足は拘束されビクともせず、ただその喉の奥をかき回され嘔気を催した。
「ふぅ・・・・ふ、・・・」
呼吸すらままならず、閉じることのできない口の端からは涎が垂れ落ちる。
こう、固定されてしまっては蜘蛛の巣に捕らえられた蝶のごとくその抵抗は無意味と言わざるを得ない。だが、餌とて殺されたくはない。必死に最後まで抵抗するのだ。例え手足が捥げようとも。
そのうち、いつまでたっても想像しうる恐ろしい情景にならないことに気が付いた。
相変わらず捕縛は続いていたが、殺される気配を感じられないのだ。頭を動かして周辺を見ても変わらず身体を這いまわり、足元の砂からは変わらずうぞうぞと増殖し続けていることに変わりない。
(なぜ、殺さない?絞め殺してから喰らうかと思ったが・・・違うのか?)
数本が喉の奥へ入り続けたままの状態ではあるが、喉を突き破る気配もない。
違和感を抱く間もそれらは蓮人の服の中に侵入してくる。上着の下にある胸元をペタペタと指で触るかのように触れていたり、下履きの中の柔らかい尻の肉を揉みしだくようにして這っている。
(何かを・・・探している・・・?)
明らかに目的を持ったぬめりを帯びたそれらは、入り口を掠め、何度も何度も狭間を辿る。その感触に悪寒が背筋を走りぬけ身体は震えた。
「・・・・まさかっ・・・やめっ!ぅあ・・・!」
そのうちの一本がずるりと潜り込んできた。
明らかな異物感と本来入り込む場所ではないそこへ深く[[rb:穿 > うが]]ってくる感覚に耐え頭を振った。
「っが・・・・ぐ、ふぅ・・・!!うぁっ」
口の中と同様に、一定のリズムを持って動くそれら。時には浅く、時には深く奥へと。一度侵入を許してしまえば他の者も入りやすく、最初に侵入を果たしたやつより細いそれらも我さきへとその尻へと身体を伸ばしていく。
「・・・・っ・・・ぅ、」
細さがまばらであっても数が入れば酷くなっていくその圧迫感に、戸惑い、焦り、自然と涙がこぼれた。
上からも下からもそれらが身体の奥へ向かい、肉筒の体温と体液を味わっているのだ。これ以上奥が侵されてしまえば本当に腹も破られてしまうかもしれないと頭の奥で恐怖が生まれると共に、セペドがこの魔物の名を呼んで思い出したことがある。
(そうか。こいつら・・・・)
俺の中にはビイント・ジャウハリー公爵達の実験により、無理やり融合された魔物の魔石が大量に入れられている。意識は朧気で全ての数やその名称も覚えてはいないが、もしかしたらこいつらの魔石も交じっていたのかもしれないと思う。
だからこそすぐに絞め殺さずに何かを確かめているのだ。獲物から感じる仲間の気配を。
されどその仲間の魔石は既に心臓と融合し、切り離すことはできない。いくら肉体の中を探し続けようとも見つけ出すことは出来ないのだ。そんなことも知らない彼らはもっと奥にいるのではないかと仲間を探し求めていく。
(無理だ。これ以上・・・腹が破れてしまう・・・)
「んぁぁ・・・っ、あぁ・・・・、うぐっ・・・」
太いそれらが出入りするたびに身体を走るもどかしさと痺れ、殺すつもりのない優し気な動きが筒の内側を何度も擦り、痛みが与えられないゆえに別の欲を孕んだ喘ぎが零れ落ちてしまう。引き絞ろうとも逆にその太さを感じ、噛み千切ろうと歯に力を入れれば喉の奥で暴れてしまう。その動きを抑えるためにまた緩めれば中へ中へ入り込んでしまう。
息苦しさとその動きに腰が熱くなり気が遠くなるほど、解された筒は次第に生理的な快楽を拾ってしまう。圧迫感の痛みとは別の肉壁を擦るそれが甘い快楽へと認識するように頭が作り替えられていく。心では気持ち悪さと吐き気と嫌悪感しかないのにも関わらずそれを打ち消すかのように脳が快楽だけを拾っていく。
「うぅ・・・ああぁ・・・・っ」
まるで番にするかのような動きに恐怖と自分の甘い声にぞくりとした。
こんなのは自分の身体ではないと認めたくなくとも下腹が疼いてしまい更なる強い快楽を求めてしまう。
時間をかけて解されてしまった蕾はいっぱいに開き、自分の体液なのか、魔物のそれなのかわからない液体がぐちゅぐちゅと卑猥な音を立て耳を犯す。
(俺は・・・、雌なんかじゃ、深・・・・)
奴らは無性生殖生物だ。こういった行為は必要としない。さきほど蓮人が噛み千切り吐き出した触手ですら、すでにもう新しい命として動き出しているのだ。分裂すればするほどこいつらは勝手に増えていく。
だからこそ、この異様な行為は獲物であるのに仲間の気配をさせた己への異常行動であるとわかる。
「んん・・・・、ふぅ・・・っ」
奥へ奥へと進んでは、また出ていき違う細さの触手が侵入してくる。それが絶え間なく壁を擦るのだ。辛い、苦しさと脳がそれを緩和するように快楽へ変換していく。喉も指先も震え、汗が玉を結ぶ。
このままでは頭まで快楽で馬鹿になってしまうと蓮人はすでに目の前がぼんやりとしながらも思考した。
奴らは火に弱い、けれど今の状態で己と魔物を覆うほどの強い炎を発現すれば自分の身さえ焦がしてしまう。もともとオアシス周辺で擬態をする生物だ。水や氷では全く効果がなさそうだ。ならばどうすれば抜け出せる・・・。
下穿きの奥の秘所を抉られているせいで自然に立ち上がる己のそれ。いつのまにかそれにも巻き付いていて強すぎる刺激に背をしならせてしまう。上も下の筒も隙間なく埋められ広がり、涙が溢れた。蓮人のそれは既に擦られて雫を零して限界が近い。こんなやつらにこれ以上醜態を晒してならぬものかと蓮人が思ったと同時であった。己とアディードファウダー全てを覆う範囲に落雷が落ちる。
全身が焦げ落ちる感覚で目の前が真っ白になる。がくがくと壊れ狂った機械のように痺れ、その一瞬に魔物たちも強ばり、そして解けた。
「っがは・・・!・・・っ・・・はぁ、はっ・・・」
喉に埋まっていたそれらはずるりと抜け落ちびくびくとのたうちながら砂の中に逃げていく。
てっぺんから爪の先まで痺れによる痙攣。咳き込みながらもなんとか耐えながらずるずるとその場を脱する。落雷で、ぼんやりしていた思考もはっきりした気がした。
(これで暫くは、出てこないはずだ・・・それまでに逃げなければ)
髪も肌も少し焼けてしまったので、髪の焼ける独特の匂いが漂っている。
歯がカチカチと鳴り、痺れはしばらく続く。アディードファウダーに侵入されたまま雷の魔法を使うのは一か八かであった。効かないかもしれないし、一歩間違えば魔力の範囲を間違えてセペドの方にも危険が及ぶ可能性があった。
だが、事前に氷の壁で一定の距離を保って戦ってくれていたおかげで彼に被害は及ぶこともなかった。
雷の刺激を覚悟して落としたものの、炎ほどではないにせよその痛みは全身火傷を負ったのと変わりない。腹は強い刺激に果て、白く汚れドロドロになっている。
「くそっ・・・・!」
拳を強く握りしめようとも痺れで力が入らない。
何とか壁際にたどり着いて立ち上がり、乱れた服装を直す。己のことで精一杯でセペドの戦いの状況を全く把握できていなかった。彼は今大丈夫だろうか?
始まりの時のような地鳴り響くアペプの動きや、セペドの剣の振るう高い音がしない。
壁に寄りかかりながら氷の檻のその向こうへそっと歩いていく。
「セペド・・・?」
檻の向こうはやはり静寂であった。静寂ゆえに自分の砂を踏む音さえはっきり聴こえる。巨大なアペプの肉体はそこにありさきほど不気味にもたげていた頭は床に転がっている。
「死んだ、のか・・・?」
眠っているとは考えにくいが、近づいて確かめるにはあまりに不気味すぎた。
戦っていたはずの男の姿を探すも見つけられない。ゆっくりとアペプの身体が動かぬように神経をとがらせながらその人を探す。倒した後に他にも複数体いてそれを追い、奥に向かったのかもしれないと薄暗いその手元を照らした。壁や床に飛び散る赤い血。それがアペプのものなのか、分からぬ不安が広がる。
そうしてとぐろを巻いた腹の中心が大きく膨らんでいることに気付いた。
いつしかの似た情景を思い出し表情が強ばる。以前セペドが姿を消した後捜索場所で見つけたアペプの死体は既に炎天下の中数日経過していた。だからこそ腐敗が進み死体内部にガスが蓄積し膨張し爆発したのだ。思い出しても吐き気がこみ上げる現象である。
だが目の前のそれは、つい先ほどまで活力みなぎる姿で動いていたのだ。つまり死んですぐに腐敗し膨張することはあるはずもない。ましてここは虚の中。炎天下と違いひんやりとした場所ならばなおのこと。腐敗の進行は遅いはずなのだ。つまり目の前のこの腹の膨らみは明らかに何かを飲み込んだあとと言える。
呼吸が荒くなり、背筋も凍る。
心臓が暴れるくらいに煩く騒ぐのはきっと雷を喰らったことによる後遺症ばかりではないはずだ。
「っ・・・・セ、」
名を最後まで呼ぶことはなかった。
目の前のアペプの腹が二つに割れ、大量に噴き出す臓物と血飛沫と共にセペドが出てきたからだ。
巻き込まれ俺も頭から血生臭いそれを浴び、思わず嘔吐いてしまう。
目の前の男は怪我もなく、ただ疲労と足りない酸素を取り込むように肩を上下していた。
「セペド!!」
「無事、か・・・・はぁ・・・」
その台詞は状況的にこちらの方だと言いたい。
息絶え絶えの目の前の男はどうやら簡単に倒すためにわざと飲み込まれていたらしい。お互い体液やら血やらでベトベトになってしまい、これだけ瘴気も漂っていてはこれ以上奥への調査は危険であろう。一度先ほどの村へと戻り体勢を立て直すのが賢明な判断だ。
そう思い、蓮人は彼に声をかけた。
「セペド。この奥にまだ魔物がいたとしても一度出直そう。瘴気も濃いし、他にも血の匂いを感じて他の魔物も寄ってくるかもしれない。さっきの蔓の魔物も一時的に砂に隠れただけだ。倒したわけじゃない。・・・セペド?」
「・・・・・」
肩で呼吸をしながら自分の提案を聴いているのか、彼はどこか呆けた顔をしていた。
視線もこちらを見下ろしてはいたが虚ろだ。流石の魔剣士と言えど相手が手強く疲れたのだろう。無意識に蓮人にもたれかかるようにして首筋に顔を埋めてくる。呼吸が荒い、早く休ませなければ。
「大丈夫か?早く地上へ・・・・っ!」
その時、熱い吐息と共に彼が噛みついてきたのは同時であった。
温かく柔らかいものが首筋を舐め、硬い歯に当たる肉を噛み千切ろうとする。思わず痛みに驚き咄嗟に離れようにもがっちり背中に回された両手は密着し固定されている。目の前の肉体に離れろと両の手で力を込めても普段さえ力の差を感じるうえ、今は全身が痺れたままで思うように力を込めることが出来ない。
まるでぶちりと音がしたかのように食い込む歯に流れ出る温かいもの。それを吸い、味わうように舐める水音が暗い虚に響いた。
「いってぇ・・・!!!やめろセペド!!!!何っ、痛いって・・・・!」
されるがままに味わられた首筋は、はっきり歯型がついたと思う。ようやく顔を上げたセペドの口元は血で汚れそれを舐めとる仕草、赤く光るその冷たい瞳に悪寒が走る。明らかに正気の目をしていなかった。
そうしてふっと糸が切れた人形のように魔剣士は意識を失い倒れてしまったのだ。
意識を失ったセペドが目の前に倒れ込み、俺はそのあと何とかその重い肉体を抱えながら地上へと戻った。背は彼の方が高いし、筋肉隆々の成人の男を運ぶにはなかなかに骨が折れた。筋肉って結構重いんだよね。
流石に古井戸を背負いながら登るなんて芸当は不可能であるので、地の魔法で丈夫な根の植物を成長させ、その植物につかまり脱出をしたのだ。
そのあとはただ、汗だくになりながら何とか引きずり村の安宿を借りて、寝室に魔剣士を寝かせる。
俺もその場で倒れて寝てしまいたかったが、見た目の血や体液や砂の汚れなど流石にあとで掃除する宿の主人にも申し訳なく思い、今更だが濡れた布で自分とセペドの身体を拭った。汚れてしまったシーツはあとで謝って交換してもらおう。
着替えはセペドが目覚めてからでいいと、彼の眠るベットの目の前の床で俺も崩れ落ちるようにして座り込みながら少し眠った。だからすぐに気付かなったのだ、彼の身に起きていた異変を。
「おはようセペド。もう大丈夫か?」
「ああ・・・」
「倒れた時のこと覚えてるか?えっとその・・・」
「?いや・・・」
「そう・・・」
努めていつもどおりに接した。
彼は倒れる瞬間の行動はどうやら覚えていないらしい。首元についた大きな歯型の痕をそののち問い詰められて自分の行いに頭を抱える姿を見ることにはなるのだろうが、それよりも今蓮人が聞きたいのは別のことであった。
「討伐の話とか、報告とかまとめないといけないけど、さ。セペド。それ・・・どうしたの?」
「・・・・・」
「自分でも気づいてる?」
「・・・ああ」
本人が気づかないわけがない。本来それは本人だけが知りうるべきもの。
だが意識して視ることにより、俺は視えてしまうのだ。他人の寿命の長さを。
目の前で上半身を起こしてこちらを無言で見つめる男に浮かぶ数字の異常な桁の多さに動揺を隠せない。
以前はこんな数値ではなかったはずだ。もっとごく普通の長さのそれで、少なくとも決して6桁も10桁も並ぶものではなかった。流石に口の端が引きつってしまう。なんだこの数字は・・・。今迄に誰の数値を見てもこんな数字はいなかった。自分の目がおかしくなってしまったのかと街歩く住人や宿の従業員をこっそり視ても今までと変わりなく43とか68とかそんなものだ。もしセペドのそれも寿命だとすればこれは一体?
「いつから?」
「知らん。気づいたらこうなってた」
「俺もさっき気付いたけど、前はそんなんじゃなかったから最近変化したんだね・・・一度城に戻って報告しよう。俺達だけで判断できるものじゃないよ・・・あんまり言いたくはないけども」
「そうだな」
多くを語らず返答する姿が逆に不安を煽る。彼自身の身体だからそんなに焦りを感じていないのか。それとも命が減っているわけではないだから別に気にしていないだけなのか。この数字は異常だ。体調に問題は無くとも早急に知識のある魔法師に相談するしかないと蓮人は思う。
瘴気を浄化できたり、怪我や病気を治すことが出来ない自分自身の不甲斐なさを改めて痛感する。
せめて自分が医者であったなら、光属性の魔法に長けている聖女であったならと思わない日々はない。
自分に出来ることと言えば、身を削って緑を息吹くことぐらいが関の山だ。
そうしてお互い体調が戻り次第城へ戻った。
依頼されていた緑化の成果報告とセペドの生命数値がおかしいことを宰相に伝える。
次回の日程やその他の話は改めて伝えると言われだけで、そのまま宰相宮を出されてしまった。
仕方がないので二人がその足で向かったのはニルミーンのいる小さな部屋だ。本日彼女の仕事予定は特になかったようで部屋の主である小柄な老婆が茶を飲んでいた。
「ニル。その、相談したいことがあるんだけれどいいだろうか?」
「いいですとも。お二人ともどうぞ狭い部屋ですがお好きな場所にお座りなされ。蓮人様とアイヤーシュ様飲み物はミルクでいいですかな?」
「あ、そんなに気を使わないでいいのです。本当に貴方にご相談したいだけなので」
「ほっほっほ。されど会話の合間に喉も乾きましょう。すぐできますから」
ニルミーンは部屋にある簡易的な調理器具でホットミルクを作ってくれた。
出されたふわふわのホットミルクの上にはナッツとドライフルーツが細かく刻まれたものが乗っており飲むと女性が好みそうな甘さであったが紅茶の甘さとは違って甘すぎず、心が落ち着きほっと一息をつけた。
隣で同じように飲む男はというと、ただ無言でそれを飲んでいる。そういえばセペドもすごく甘い紅茶とかよく飲むのだろうか?基本的に護衛騎士として傍にいる間は飲食をせず、せいぜい毒見程度なもので共に食事を取ったとしても表情が変わらず黙々と食べるので彼の好みはよく知らない。
「さて、如何された?」
「飲み物ありがとう。うん、実は今回相談したいことは俺ではなくセペドのことなんだ。ただこれから話すことはまだよく分からないし、俺も困惑してるから他の魔法師達には内密で頼むよ」
「して、どんな内容か」
「俺が他人や自分の寿命を視れるという話はニルも知っていると思う。本来生命力の値は本人しか知ることが出来ないものだけど。今回討伐した時にセペドが倒れてしまって、何か異常は無いか意識して彼の数値を視たんだ。そしたら、彼の・・・・その、セペドの数値が異常に増えていて。生命力の値が尋常じゃない」
ちらりと横目で彼を見るが、特に気にした様子はない。好きに続けろと言った雰囲気だ。正直お前のことなんだけれどと問いたい。
「本人は見てのとおり体調に問題ないというし、俺もそうだと思う。ただこの狂った数値がどうして起こってしまったのか、本当に体調に悪影響は無いのかニルならわかるかと思って。」
「それは・・・」
「ニル・・・?」
ニルをみると彼女は普段の穏やかな表情とは一転して顔は曇り、厳しい顔つきに変わっていた。
彼女がここまで表情を変化させるのも珍しい。普段は俺と会話するときや宰相と難しい会議をする時ですらその穏やかな微笑みを滅多に崩さない彼女がだ。流石によっぽどの事態なのかと緊張が走る。
「それは、アイヤーシュ様が魔に近づいたということでしょう。以前より魔剣士殿は国の依頼で魔を狩っておられた。だが蓮人様の身体のためにと、ここ数か月にわたるアペプ討伐の多さはそれとは比べ物にならないほどです。それだけ短期間に魔の瘴気と血を浴び続ければ、肉体が魔に近づくのは言うまでもないでしょう。アペプは長命の魔獣。その血と瘴気を浴び続けたために今、アイヤーシュ様はアペプに程近い存在になったと言える…」
「そんな・・・でも俺は?俺も体内に大量の魔石を融合されられてるが、ここまで異常な数値にはなっていない!なぜ俺は魔物にならない?アペプの血も飲んだ。どうして彼だけが・・・」
「予想でしかありませぬが、やはりそこは蓮人様が異世界より参られし招き人だからでしょう。蓮人様ももしこの国の民であったならば、異常な数の魔石の融合やアペプの血を一度に飲まされて普通でいられるはずがないのです。招き人だからこそ大きな変化を起こさずにいられる。けれどアイヤーシュ様は国一番の魔剣士とはいえこの国の民。このまま魔の瘴気を浴び続ければ彼は己自身のことすら忘れ、ただ血を求め蔓延るそれらと変わりないものとなることでしょう」
セペドが魔物になる。その事実に声を失った。
すでに彼の命は、人間から逸脱したものとなり人の皮を被った魔物と同じなのだ。
魔石を融合することで永遠に生命力を伸ばせる自分とはまた似ていて非なるもの。
不死ではないが、不老とほぼ同じ。それこそ以前のビイント・ジャウハリー公のような人間の耳に入れば人体実験されかねない。セペドであれば簡単に捕まらないことはわかっていても権力の力を使って捕らえられないとも限らない。本人のこと、これからまわりにどう振舞えばいいのか不安しか浮かばない。
きっと倒れる直前に俺に噛みついた行動は、その前兆だ。
理性が失いかけるほどに疲労困憊となり倒れる直前に、魔の意識のほうが表に出てきて人を襲いたくなったのだ。壁を拳で破壊できるほど人間離れした力が出るようになったのもきっとそのせいだ。
そんな存在になったなら人間達は彼を恐れ、いづれ討伐対象とすることだろう。何事もなければ悠久の時を生きられるそんな存在を。人から逸脱したものを人は恐れるのだ。
「魔法とかで瘴気を浄化すれば・・・治らないの?」
「確かに一度魔物と化してしまったものを浄化し元に戻す魔法はございます。けれどそれは一気に瘴気を充てられ変化した例なのです。魔剣士殿の状態は血も介して徐々に肉体に浸透していったもの。蓮人様の融合とは少し違いますが似たものです。あてられた表面の瘴気は祓えてもすでに体内にここまで融合してしまっては、もはや全てを祓い清めることのできる魔法師は、私の知る限りおりませぬ。」
「では、彼は自死するか、戦で死ぬことのない限り無窮の時を生きねばならないと?俺のせいでこんな・・・あまりにも・・・・」
「蓮人。お前が悔やむことは無い。ニルミーンこの話はまたあとでしよう。協力感謝する。蓮人、一度部屋に戻るべきだ。顔が真っ青だぞ」
今まで静かに話に耳を傾けていたセペドが立ち上がり、蓮人の腕を取る。俯く彼の顔があまりにも真っ青だったからだ。ニルミーンも話を続けるのは今日でなくてもいいと、蓮人を帰そうとする。
「そうですな。蓮人様、今日すべてで解決することではありませぬ。一度日を改めなされ。魔法師達には知られぬようこの老婆口を堅くしますゆえ。それとどうか・・・・どうか・・・・この話は他の者にはしませんよう・・・あまりにも危険な話です」
「あ、ああ・・・・」
自分でも予想以上に、衝撃的だったのか頭が回っていない。
ふらつく足に力を入れ、何とかニルの部屋をあとにしたのだった。
自室へセペドと二人部屋に戻れば、部屋は薄暗く、隅にある油皿に手際よくセペドは火を灯していた。
話し込んでいる際には気付かなかったが、いつのまにか夕刻の時間となっていたようだ。
窓の外からは月明かりが差し込み、星空がよく見える。ここへ来た当初は視界を覆う高層ビルや建物もほとんどない、城から見えるどこまでも続く赤い砂漠と青い空、夜は月明かりに照らされた砂漠の山々と美しい星空のコントラストに胸を躍らせたものだ。あの時はここまでこの国の事情に関わることがどれほど大変なことかなんて深く考えてなかった。自分が手伝えるならと軽い気持ちがどこかにあった。
「水飲むか?」
「・・・いや、いい」
考えがまとまらなくてこめかみを抑える俺に気を使ってくれたのか、護衛騎士の不器用な優しさを感じる。
蓮人は窓際でその何億光年昔の光を静かに眺めながら考えを巡らせていた。そうしていつのまにか俺を腕の中にしまいこむような形でセペドの両の腕が窓のふちに手を付いた。
「・・・何考えてる?」
「別に・・・うまく言葉に出来ない」
「また、自分のせいだとか言うんじゃないだろうな。これは俺自身の行動だ。お前が考えることじゃない。」
「わかってる。わかってるが、それでも腑に落とすまでは少し時間が必要なんだ。すまない・・・」
そう、全ての行動は彼自身のもの。俺自身が気に病むことではないとしても発端の原因は己であるとどうしても考えてしまう。そのため事実を飲み込むには時間を要するのだ。
「俺を見ろ」
そういうとセペドは俺の肩を掴み、向かい合わせる。
「お前のその抱え込む性分は仕方が無い。けれどどうせずっと悩むのであれば何も考えられないほど俺が忘れさせてやるから・・・」
「セペド・・・」
「だからお前のすべてを、俺にくれないか?」
目を見開いた。
明確なその言葉を、耳が拾う。けれど蓮人は口を開いた。
「俺は・・・・男だ」
「知ってる。お前が女とか男がじゃない。お前だからほしいんだ」
セペドが俺の手を取り、甲に口をつける。
されるがままにその恥ずかしい行為を眺め、どう答えようかと目が泳いでしまう。頬が熱い。きっと顔が真っ赤になっているのに違いない。
「俺は・・・・その言葉に対する返しを、知らない。・・・どう答えたらいいかわからない」
「それでいいさ今は。これからも俺はお前を守りぬく。この命渡せるというのならば全て渡したって惜しくはない。お前の力なら・・・できるだろう?」
「それは・・・」
ふっと部屋に落とされる翳り。
月が雲の中に隠れたようだ。明るさが部屋の隅の炎だけになり、彼の眼差しのように赤く小さく揺れている。
命を渡す。彼はそう言った。
今まで蓮人自身が行っていたのは自分自身の生命を削りそれを肉体から魔法と共に切り離すというもの。
自分自身の身体であれば自由に出来るだろうからと。けれど他人の命を弄るということは人間の寿命を遥かに延ばすことも逆もできるということだ。考えないようにしていた。否、正しくはその壁を超えることを本能的に恐れている。
(それを超えたら・・・俺は普通の人間に戻れないような気がしていたんだ)
きっと出来てしまう。己の今の力を利用すれば。
他人の寿命を自在に操ってしまうことを。
粘土をこねるかのようにそれを簡単にやってのけてしまうことが怖かった。
目の前の赤い瞳はこちらを見つめている。己の考えなど見透かされているのだろう。そのうえで言っているのだ。自分を使えと。
「全く、セペドには本当に叶わないよ・・・・」
蓮人は静かに笑う。指先はもうとっくに冷たくなっていた。
「それで?答えは?」
「・・・必要に応じて、だね。セペドの体調に何かあればすぐにやめる。そしてしばらくはアペプ狩りも禁止。いいね?」
「別に構わんのだがな。」
肩を落としながらそれでもふっと柔らかく浮かべた彼の笑顔は今までにないほど美しかった。
砂の底は計り知れず。その全体像もわからない。
足元のその下にどれほどに埋まっているのだろうか。藻掻くほどにそれらは這い出てきた。
見た目が蔓や草のように見えたとてあくまで魔物の一種である。その感触は植物のそれとは違う。
「くそっ!離れろ!!」
弾力がありひんやりつるりとした見た目のものもいる。今は擬態する必要性を感じていないからなのだろうか。引っ張ればゴムのように伸び簡単に抜け出すことは困難であった。
だがこちらとて易々と殺されるつもりはない、攻撃魔法が放てないならばと蓮人は首のあたりに巻き付いてきた数本を噛みちぎり吐き出した。
遠目で、セペドの方をちらりと見ても彼も巨大なアペプに苦戦しており自分自身でこの魔物をなんとかするしかないようだ。
アペプの瘴気に汚染され魔物と化してしまったジャッカルの群れのように、せめて見た目が獣のような形であれば弱点もわかりやすかったが相手は蠢く蔓の群れだ。目も鼻も口も無いのか、あるのか。あったとてどこにあるのやらという状態だ。人間を喰らうというからには口も腹もきっとあるのだろう。だが手足を封じられ薄暗い闇の中では形ぐらいしか認識が出来ない。せめてもの抵抗で口の近くにきた触手だけは噛みちぎって吐き出してはいるが。
「・・・・っぐ、ぅ」
痛覚すらないのではないかと思われたアディードファウダーが獲物の抵抗を感じたのであろう。それらは蓮人の口元に一気に近づき抵抗をやめろと言わんばかりにその咥内へ数本ねじり込んでくる。
簡単に噛み千切ることが出来ない太めのものが無理やりその喉奥へ侵入し、顎が外れそうだ。
藻掻こうにも手足は拘束されビクともせず、ただその喉の奥をかき回され嘔気を催した。
「ふぅ・・・・ふ、・・・」
呼吸すらままならず、閉じることのできない口の端からは涎が垂れ落ちる。
こう、固定されてしまっては蜘蛛の巣に捕らえられた蝶のごとくその抵抗は無意味と言わざるを得ない。だが、餌とて殺されたくはない。必死に最後まで抵抗するのだ。例え手足が捥げようとも。
そのうち、いつまでたっても想像しうる恐ろしい情景にならないことに気が付いた。
相変わらず捕縛は続いていたが、殺される気配を感じられないのだ。頭を動かして周辺を見ても変わらず身体を這いまわり、足元の砂からは変わらずうぞうぞと増殖し続けていることに変わりない。
(なぜ、殺さない?絞め殺してから喰らうかと思ったが・・・違うのか?)
数本が喉の奥へ入り続けたままの状態ではあるが、喉を突き破る気配もない。
違和感を抱く間もそれらは蓮人の服の中に侵入してくる。上着の下にある胸元をペタペタと指で触るかのように触れていたり、下履きの中の柔らかい尻の肉を揉みしだくようにして這っている。
(何かを・・・探している・・・?)
明らかに目的を持ったぬめりを帯びたそれらは、入り口を掠め、何度も何度も狭間を辿る。その感触に悪寒が背筋を走りぬけ身体は震えた。
「・・・・まさかっ・・・やめっ!ぅあ・・・!」
そのうちの一本がずるりと潜り込んできた。
明らかな異物感と本来入り込む場所ではないそこへ深く[[rb:穿 > うが]]ってくる感覚に耐え頭を振った。
「っが・・・・ぐ、ふぅ・・・!!うぁっ」
口の中と同様に、一定のリズムを持って動くそれら。時には浅く、時には深く奥へと。一度侵入を許してしまえば他の者も入りやすく、最初に侵入を果たしたやつより細いそれらも我さきへとその尻へと身体を伸ばしていく。
「・・・・っ・・・ぅ、」
細さがまばらであっても数が入れば酷くなっていくその圧迫感に、戸惑い、焦り、自然と涙がこぼれた。
上からも下からもそれらが身体の奥へ向かい、肉筒の体温と体液を味わっているのだ。これ以上奥が侵されてしまえば本当に腹も破られてしまうかもしれないと頭の奥で恐怖が生まれると共に、セペドがこの魔物の名を呼んで思い出したことがある。
(そうか。こいつら・・・・)
俺の中にはビイント・ジャウハリー公爵達の実験により、無理やり融合された魔物の魔石が大量に入れられている。意識は朧気で全ての数やその名称も覚えてはいないが、もしかしたらこいつらの魔石も交じっていたのかもしれないと思う。
だからこそすぐに絞め殺さずに何かを確かめているのだ。獲物から感じる仲間の気配を。
されどその仲間の魔石は既に心臓と融合し、切り離すことはできない。いくら肉体の中を探し続けようとも見つけ出すことは出来ないのだ。そんなことも知らない彼らはもっと奥にいるのではないかと仲間を探し求めていく。
(無理だ。これ以上・・・腹が破れてしまう・・・)
「んぁぁ・・・っ、あぁ・・・・、うぐっ・・・」
太いそれらが出入りするたびに身体を走るもどかしさと痺れ、殺すつもりのない優し気な動きが筒の内側を何度も擦り、痛みが与えられないゆえに別の欲を孕んだ喘ぎが零れ落ちてしまう。引き絞ろうとも逆にその太さを感じ、噛み千切ろうと歯に力を入れれば喉の奥で暴れてしまう。その動きを抑えるためにまた緩めれば中へ中へ入り込んでしまう。
息苦しさとその動きに腰が熱くなり気が遠くなるほど、解された筒は次第に生理的な快楽を拾ってしまう。圧迫感の痛みとは別の肉壁を擦るそれが甘い快楽へと認識するように頭が作り替えられていく。心では気持ち悪さと吐き気と嫌悪感しかないのにも関わらずそれを打ち消すかのように脳が快楽だけを拾っていく。
「うぅ・・・ああぁ・・・・っ」
まるで番にするかのような動きに恐怖と自分の甘い声にぞくりとした。
こんなのは自分の身体ではないと認めたくなくとも下腹が疼いてしまい更なる強い快楽を求めてしまう。
時間をかけて解されてしまった蕾はいっぱいに開き、自分の体液なのか、魔物のそれなのかわからない液体がぐちゅぐちゅと卑猥な音を立て耳を犯す。
(俺は・・・、雌なんかじゃ、深・・・・)
奴らは無性生殖生物だ。こういった行為は必要としない。さきほど蓮人が噛み千切り吐き出した触手ですら、すでにもう新しい命として動き出しているのだ。分裂すればするほどこいつらは勝手に増えていく。
だからこそ、この異様な行為は獲物であるのに仲間の気配をさせた己への異常行動であるとわかる。
「んん・・・・、ふぅ・・・っ」
奥へ奥へと進んでは、また出ていき違う細さの触手が侵入してくる。それが絶え間なく壁を擦るのだ。辛い、苦しさと脳がそれを緩和するように快楽へ変換していく。喉も指先も震え、汗が玉を結ぶ。
このままでは頭まで快楽で馬鹿になってしまうと蓮人はすでに目の前がぼんやりとしながらも思考した。
奴らは火に弱い、けれど今の状態で己と魔物を覆うほどの強い炎を発現すれば自分の身さえ焦がしてしまう。もともとオアシス周辺で擬態をする生物だ。水や氷では全く効果がなさそうだ。ならばどうすれば抜け出せる・・・。
下穿きの奥の秘所を抉られているせいで自然に立ち上がる己のそれ。いつのまにかそれにも巻き付いていて強すぎる刺激に背をしならせてしまう。上も下の筒も隙間なく埋められ広がり、涙が溢れた。蓮人のそれは既に擦られて雫を零して限界が近い。こんなやつらにこれ以上醜態を晒してならぬものかと蓮人が思ったと同時であった。己とアディードファウダー全てを覆う範囲に落雷が落ちる。
全身が焦げ落ちる感覚で目の前が真っ白になる。がくがくと壊れ狂った機械のように痺れ、その一瞬に魔物たちも強ばり、そして解けた。
「っがは・・・!・・・っ・・・はぁ、はっ・・・」
喉に埋まっていたそれらはずるりと抜け落ちびくびくとのたうちながら砂の中に逃げていく。
てっぺんから爪の先まで痺れによる痙攣。咳き込みながらもなんとか耐えながらずるずるとその場を脱する。落雷で、ぼんやりしていた思考もはっきりした気がした。
(これで暫くは、出てこないはずだ・・・それまでに逃げなければ)
髪も肌も少し焼けてしまったので、髪の焼ける独特の匂いが漂っている。
歯がカチカチと鳴り、痺れはしばらく続く。アディードファウダーに侵入されたまま雷の魔法を使うのは一か八かであった。効かないかもしれないし、一歩間違えば魔力の範囲を間違えてセペドの方にも危険が及ぶ可能性があった。
だが、事前に氷の壁で一定の距離を保って戦ってくれていたおかげで彼に被害は及ぶこともなかった。
雷の刺激を覚悟して落としたものの、炎ほどではないにせよその痛みは全身火傷を負ったのと変わりない。腹は強い刺激に果て、白く汚れドロドロになっている。
「くそっ・・・・!」
拳を強く握りしめようとも痺れで力が入らない。
何とか壁際にたどり着いて立ち上がり、乱れた服装を直す。己のことで精一杯でセペドの戦いの状況を全く把握できていなかった。彼は今大丈夫だろうか?
始まりの時のような地鳴り響くアペプの動きや、セペドの剣の振るう高い音がしない。
壁に寄りかかりながら氷の檻のその向こうへそっと歩いていく。
「セペド・・・?」
檻の向こうはやはり静寂であった。静寂ゆえに自分の砂を踏む音さえはっきり聴こえる。巨大なアペプの肉体はそこにありさきほど不気味にもたげていた頭は床に転がっている。
「死んだ、のか・・・?」
眠っているとは考えにくいが、近づいて確かめるにはあまりに不気味すぎた。
戦っていたはずの男の姿を探すも見つけられない。ゆっくりとアペプの身体が動かぬように神経をとがらせながらその人を探す。倒した後に他にも複数体いてそれを追い、奥に向かったのかもしれないと薄暗いその手元を照らした。壁や床に飛び散る赤い血。それがアペプのものなのか、分からぬ不安が広がる。
そうしてとぐろを巻いた腹の中心が大きく膨らんでいることに気付いた。
いつしかの似た情景を思い出し表情が強ばる。以前セペドが姿を消した後捜索場所で見つけたアペプの死体は既に炎天下の中数日経過していた。だからこそ腐敗が進み死体内部にガスが蓄積し膨張し爆発したのだ。思い出しても吐き気がこみ上げる現象である。
だが目の前のそれは、つい先ほどまで活力みなぎる姿で動いていたのだ。つまり死んですぐに腐敗し膨張することはあるはずもない。ましてここは虚の中。炎天下と違いひんやりとした場所ならばなおのこと。腐敗の進行は遅いはずなのだ。つまり目の前のこの腹の膨らみは明らかに何かを飲み込んだあとと言える。
呼吸が荒くなり、背筋も凍る。
心臓が暴れるくらいに煩く騒ぐのはきっと雷を喰らったことによる後遺症ばかりではないはずだ。
「っ・・・・セ、」
名を最後まで呼ぶことはなかった。
目の前のアペプの腹が二つに割れ、大量に噴き出す臓物と血飛沫と共にセペドが出てきたからだ。
巻き込まれ俺も頭から血生臭いそれを浴び、思わず嘔吐いてしまう。
目の前の男は怪我もなく、ただ疲労と足りない酸素を取り込むように肩を上下していた。
「セペド!!」
「無事、か・・・・はぁ・・・」
その台詞は状況的にこちらの方だと言いたい。
息絶え絶えの目の前の男はどうやら簡単に倒すためにわざと飲み込まれていたらしい。お互い体液やら血やらでベトベトになってしまい、これだけ瘴気も漂っていてはこれ以上奥への調査は危険であろう。一度先ほどの村へと戻り体勢を立て直すのが賢明な判断だ。
そう思い、蓮人は彼に声をかけた。
「セペド。この奥にまだ魔物がいたとしても一度出直そう。瘴気も濃いし、他にも血の匂いを感じて他の魔物も寄ってくるかもしれない。さっきの蔓の魔物も一時的に砂に隠れただけだ。倒したわけじゃない。・・・セペド?」
「・・・・・」
肩で呼吸をしながら自分の提案を聴いているのか、彼はどこか呆けた顔をしていた。
視線もこちらを見下ろしてはいたが虚ろだ。流石の魔剣士と言えど相手が手強く疲れたのだろう。無意識に蓮人にもたれかかるようにして首筋に顔を埋めてくる。呼吸が荒い、早く休ませなければ。
「大丈夫か?早く地上へ・・・・っ!」
その時、熱い吐息と共に彼が噛みついてきたのは同時であった。
温かく柔らかいものが首筋を舐め、硬い歯に当たる肉を噛み千切ろうとする。思わず痛みに驚き咄嗟に離れようにもがっちり背中に回された両手は密着し固定されている。目の前の肉体に離れろと両の手で力を込めても普段さえ力の差を感じるうえ、今は全身が痺れたままで思うように力を込めることが出来ない。
まるでぶちりと音がしたかのように食い込む歯に流れ出る温かいもの。それを吸い、味わうように舐める水音が暗い虚に響いた。
「いってぇ・・・!!!やめろセペド!!!!何っ、痛いって・・・・!」
されるがままに味わられた首筋は、はっきり歯型がついたと思う。ようやく顔を上げたセペドの口元は血で汚れそれを舐めとる仕草、赤く光るその冷たい瞳に悪寒が走る。明らかに正気の目をしていなかった。
そうしてふっと糸が切れた人形のように魔剣士は意識を失い倒れてしまったのだ。
意識を失ったセペドが目の前に倒れ込み、俺はそのあと何とかその重い肉体を抱えながら地上へと戻った。背は彼の方が高いし、筋肉隆々の成人の男を運ぶにはなかなかに骨が折れた。筋肉って結構重いんだよね。
流石に古井戸を背負いながら登るなんて芸当は不可能であるので、地の魔法で丈夫な根の植物を成長させ、その植物につかまり脱出をしたのだ。
そのあとはただ、汗だくになりながら何とか引きずり村の安宿を借りて、寝室に魔剣士を寝かせる。
俺もその場で倒れて寝てしまいたかったが、見た目の血や体液や砂の汚れなど流石にあとで掃除する宿の主人にも申し訳なく思い、今更だが濡れた布で自分とセペドの身体を拭った。汚れてしまったシーツはあとで謝って交換してもらおう。
着替えはセペドが目覚めてからでいいと、彼の眠るベットの目の前の床で俺も崩れ落ちるようにして座り込みながら少し眠った。だからすぐに気付かなったのだ、彼の身に起きていた異変を。
「おはようセペド。もう大丈夫か?」
「ああ・・・」
「倒れた時のこと覚えてるか?えっとその・・・」
「?いや・・・」
「そう・・・」
努めていつもどおりに接した。
彼は倒れる瞬間の行動はどうやら覚えていないらしい。首元についた大きな歯型の痕をそののち問い詰められて自分の行いに頭を抱える姿を見ることにはなるのだろうが、それよりも今蓮人が聞きたいのは別のことであった。
「討伐の話とか、報告とかまとめないといけないけど、さ。セペド。それ・・・どうしたの?」
「・・・・・」
「自分でも気づいてる?」
「・・・ああ」
本人が気づかないわけがない。本来それは本人だけが知りうるべきもの。
だが意識して視ることにより、俺は視えてしまうのだ。他人の寿命の長さを。
目の前で上半身を起こしてこちらを無言で見つめる男に浮かぶ数字の異常な桁の多さに動揺を隠せない。
以前はこんな数値ではなかったはずだ。もっとごく普通の長さのそれで、少なくとも決して6桁も10桁も並ぶものではなかった。流石に口の端が引きつってしまう。なんだこの数字は・・・。今迄に誰の数値を見てもこんな数字はいなかった。自分の目がおかしくなってしまったのかと街歩く住人や宿の従業員をこっそり視ても今までと変わりなく43とか68とかそんなものだ。もしセペドのそれも寿命だとすればこれは一体?
「いつから?」
「知らん。気づいたらこうなってた」
「俺もさっき気付いたけど、前はそんなんじゃなかったから最近変化したんだね・・・一度城に戻って報告しよう。俺達だけで判断できるものじゃないよ・・・あんまり言いたくはないけども」
「そうだな」
多くを語らず返答する姿が逆に不安を煽る。彼自身の身体だからそんなに焦りを感じていないのか。それとも命が減っているわけではないだから別に気にしていないだけなのか。この数字は異常だ。体調に問題は無くとも早急に知識のある魔法師に相談するしかないと蓮人は思う。
瘴気を浄化できたり、怪我や病気を治すことが出来ない自分自身の不甲斐なさを改めて痛感する。
せめて自分が医者であったなら、光属性の魔法に長けている聖女であったならと思わない日々はない。
自分に出来ることと言えば、身を削って緑を息吹くことぐらいが関の山だ。
そうしてお互い体調が戻り次第城へ戻った。
依頼されていた緑化の成果報告とセペドの生命数値がおかしいことを宰相に伝える。
次回の日程やその他の話は改めて伝えると言われだけで、そのまま宰相宮を出されてしまった。
仕方がないので二人がその足で向かったのはニルミーンのいる小さな部屋だ。本日彼女の仕事予定は特になかったようで部屋の主である小柄な老婆が茶を飲んでいた。
「ニル。その、相談したいことがあるんだけれどいいだろうか?」
「いいですとも。お二人ともどうぞ狭い部屋ですがお好きな場所にお座りなされ。蓮人様とアイヤーシュ様飲み物はミルクでいいですかな?」
「あ、そんなに気を使わないでいいのです。本当に貴方にご相談したいだけなので」
「ほっほっほ。されど会話の合間に喉も乾きましょう。すぐできますから」
ニルミーンは部屋にある簡易的な調理器具でホットミルクを作ってくれた。
出されたふわふわのホットミルクの上にはナッツとドライフルーツが細かく刻まれたものが乗っており飲むと女性が好みそうな甘さであったが紅茶の甘さとは違って甘すぎず、心が落ち着きほっと一息をつけた。
隣で同じように飲む男はというと、ただ無言でそれを飲んでいる。そういえばセペドもすごく甘い紅茶とかよく飲むのだろうか?基本的に護衛騎士として傍にいる間は飲食をせず、せいぜい毒見程度なもので共に食事を取ったとしても表情が変わらず黙々と食べるので彼の好みはよく知らない。
「さて、如何された?」
「飲み物ありがとう。うん、実は今回相談したいことは俺ではなくセペドのことなんだ。ただこれから話すことはまだよく分からないし、俺も困惑してるから他の魔法師達には内密で頼むよ」
「して、どんな内容か」
「俺が他人や自分の寿命を視れるという話はニルも知っていると思う。本来生命力の値は本人しか知ることが出来ないものだけど。今回討伐した時にセペドが倒れてしまって、何か異常は無いか意識して彼の数値を視たんだ。そしたら、彼の・・・・その、セペドの数値が異常に増えていて。生命力の値が尋常じゃない」
ちらりと横目で彼を見るが、特に気にした様子はない。好きに続けろと言った雰囲気だ。正直お前のことなんだけれどと問いたい。
「本人は見てのとおり体調に問題ないというし、俺もそうだと思う。ただこの狂った数値がどうして起こってしまったのか、本当に体調に悪影響は無いのかニルならわかるかと思って。」
「それは・・・」
「ニル・・・?」
ニルをみると彼女は普段の穏やかな表情とは一転して顔は曇り、厳しい顔つきに変わっていた。
彼女がここまで表情を変化させるのも珍しい。普段は俺と会話するときや宰相と難しい会議をする時ですらその穏やかな微笑みを滅多に崩さない彼女がだ。流石によっぽどの事態なのかと緊張が走る。
「それは、アイヤーシュ様が魔に近づいたということでしょう。以前より魔剣士殿は国の依頼で魔を狩っておられた。だが蓮人様の身体のためにと、ここ数か月にわたるアペプ討伐の多さはそれとは比べ物にならないほどです。それだけ短期間に魔の瘴気と血を浴び続ければ、肉体が魔に近づくのは言うまでもないでしょう。アペプは長命の魔獣。その血と瘴気を浴び続けたために今、アイヤーシュ様はアペプに程近い存在になったと言える…」
「そんな・・・でも俺は?俺も体内に大量の魔石を融合されられてるが、ここまで異常な数値にはなっていない!なぜ俺は魔物にならない?アペプの血も飲んだ。どうして彼だけが・・・」
「予想でしかありませぬが、やはりそこは蓮人様が異世界より参られし招き人だからでしょう。蓮人様ももしこの国の民であったならば、異常な数の魔石の融合やアペプの血を一度に飲まされて普通でいられるはずがないのです。招き人だからこそ大きな変化を起こさずにいられる。けれどアイヤーシュ様は国一番の魔剣士とはいえこの国の民。このまま魔の瘴気を浴び続ければ彼は己自身のことすら忘れ、ただ血を求め蔓延るそれらと変わりないものとなることでしょう」
セペドが魔物になる。その事実に声を失った。
すでに彼の命は、人間から逸脱したものとなり人の皮を被った魔物と同じなのだ。
魔石を融合することで永遠に生命力を伸ばせる自分とはまた似ていて非なるもの。
不死ではないが、不老とほぼ同じ。それこそ以前のビイント・ジャウハリー公のような人間の耳に入れば人体実験されかねない。セペドであれば簡単に捕まらないことはわかっていても権力の力を使って捕らえられないとも限らない。本人のこと、これからまわりにどう振舞えばいいのか不安しか浮かばない。
きっと倒れる直前に俺に噛みついた行動は、その前兆だ。
理性が失いかけるほどに疲労困憊となり倒れる直前に、魔の意識のほうが表に出てきて人を襲いたくなったのだ。壁を拳で破壊できるほど人間離れした力が出るようになったのもきっとそのせいだ。
そんな存在になったなら人間達は彼を恐れ、いづれ討伐対象とすることだろう。何事もなければ悠久の時を生きられるそんな存在を。人から逸脱したものを人は恐れるのだ。
「魔法とかで瘴気を浄化すれば・・・治らないの?」
「確かに一度魔物と化してしまったものを浄化し元に戻す魔法はございます。けれどそれは一気に瘴気を充てられ変化した例なのです。魔剣士殿の状態は血も介して徐々に肉体に浸透していったもの。蓮人様の融合とは少し違いますが似たものです。あてられた表面の瘴気は祓えてもすでに体内にここまで融合してしまっては、もはや全てを祓い清めることのできる魔法師は、私の知る限りおりませぬ。」
「では、彼は自死するか、戦で死ぬことのない限り無窮の時を生きねばならないと?俺のせいでこんな・・・あまりにも・・・・」
「蓮人。お前が悔やむことは無い。ニルミーンこの話はまたあとでしよう。協力感謝する。蓮人、一度部屋に戻るべきだ。顔が真っ青だぞ」
今まで静かに話に耳を傾けていたセペドが立ち上がり、蓮人の腕を取る。俯く彼の顔があまりにも真っ青だったからだ。ニルミーンも話を続けるのは今日でなくてもいいと、蓮人を帰そうとする。
「そうですな。蓮人様、今日すべてで解決することではありませぬ。一度日を改めなされ。魔法師達には知られぬようこの老婆口を堅くしますゆえ。それとどうか・・・・どうか・・・・この話は他の者にはしませんよう・・・あまりにも危険な話です」
「あ、ああ・・・・」
自分でも予想以上に、衝撃的だったのか頭が回っていない。
ふらつく足に力を入れ、何とかニルの部屋をあとにしたのだった。
自室へセペドと二人部屋に戻れば、部屋は薄暗く、隅にある油皿に手際よくセペドは火を灯していた。
話し込んでいる際には気付かなかったが、いつのまにか夕刻の時間となっていたようだ。
窓の外からは月明かりが差し込み、星空がよく見える。ここへ来た当初は視界を覆う高層ビルや建物もほとんどない、城から見えるどこまでも続く赤い砂漠と青い空、夜は月明かりに照らされた砂漠の山々と美しい星空のコントラストに胸を躍らせたものだ。あの時はここまでこの国の事情に関わることがどれほど大変なことかなんて深く考えてなかった。自分が手伝えるならと軽い気持ちがどこかにあった。
「水飲むか?」
「・・・いや、いい」
考えがまとまらなくてこめかみを抑える俺に気を使ってくれたのか、護衛騎士の不器用な優しさを感じる。
蓮人は窓際でその何億光年昔の光を静かに眺めながら考えを巡らせていた。そうしていつのまにか俺を腕の中にしまいこむような形でセペドの両の腕が窓のふちに手を付いた。
「・・・何考えてる?」
「別に・・・うまく言葉に出来ない」
「また、自分のせいだとか言うんじゃないだろうな。これは俺自身の行動だ。お前が考えることじゃない。」
「わかってる。わかってるが、それでも腑に落とすまでは少し時間が必要なんだ。すまない・・・」
そう、全ての行動は彼自身のもの。俺自身が気に病むことではないとしても発端の原因は己であるとどうしても考えてしまう。そのため事実を飲み込むには時間を要するのだ。
「俺を見ろ」
そういうとセペドは俺の肩を掴み、向かい合わせる。
「お前のその抱え込む性分は仕方が無い。けれどどうせずっと悩むのであれば何も考えられないほど俺が忘れさせてやるから・・・」
「セペド・・・」
「だからお前のすべてを、俺にくれないか?」
目を見開いた。
明確なその言葉を、耳が拾う。けれど蓮人は口を開いた。
「俺は・・・・男だ」
「知ってる。お前が女とか男がじゃない。お前だからほしいんだ」
セペドが俺の手を取り、甲に口をつける。
されるがままにその恥ずかしい行為を眺め、どう答えようかと目が泳いでしまう。頬が熱い。きっと顔が真っ赤になっているのに違いない。
「俺は・・・・その言葉に対する返しを、知らない。・・・どう答えたらいいかわからない」
「それでいいさ今は。これからも俺はお前を守りぬく。この命渡せるというのならば全て渡したって惜しくはない。お前の力なら・・・できるだろう?」
「それは・・・」
ふっと部屋に落とされる翳り。
月が雲の中に隠れたようだ。明るさが部屋の隅の炎だけになり、彼の眼差しのように赤く小さく揺れている。
命を渡す。彼はそう言った。
今まで蓮人自身が行っていたのは自分自身の生命を削りそれを肉体から魔法と共に切り離すというもの。
自分自身の身体であれば自由に出来るだろうからと。けれど他人の命を弄るということは人間の寿命を遥かに延ばすことも逆もできるということだ。考えないようにしていた。否、正しくはその壁を超えることを本能的に恐れている。
(それを超えたら・・・俺は普通の人間に戻れないような気がしていたんだ)
きっと出来てしまう。己の今の力を利用すれば。
他人の寿命を自在に操ってしまうことを。
粘土をこねるかのようにそれを簡単にやってのけてしまうことが怖かった。
目の前の赤い瞳はこちらを見つめている。己の考えなど見透かされているのだろう。そのうえで言っているのだ。自分を使えと。
「全く、セペドには本当に叶わないよ・・・・」
蓮人は静かに笑う。指先はもうとっくに冷たくなっていた。
「それで?答えは?」
「・・・必要に応じて、だね。セペドの体調に何かあればすぐにやめる。そしてしばらくはアペプ狩りも禁止。いいね?」
「別に構わんのだがな。」
肩を落としながらそれでもふっと柔らかく浮かべた彼の笑顔は今までにないほど美しかった。
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