76%が読まれない時代に、それでも物語を書くということ

握夢(グーム)

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第1章 読まれない時代に、なぜ書くのか

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(1)はじめに

書けば読まれる時代は、もう終わりました。

それでも、なぜ私たちは物語を書くのか?

この問いに、私はいま、本気で向き合ってみようと思います。

Web小説投稿サイトでは、毎月、何千もの新しい物語が生まれています。
「小説家になろう」では、月間2,500~3,800作品(2025年現在)。
「カクヨム」でも、月に2,000作以上の新作が投稿されています。

しかしその大半――実に**76.5%**の作品が、
ほとんど誰にも読まれずに、静かに沈んでいくのです。

ブックマーク、評価ポイント、感想はゼロ。
作品によっては、ページビューすら「0」のまま。
まるで誰の目にも触れなかったかのように、物語はひっそりと消えていく。

私自身、両方のサイトに作品を投稿してきましたが――
体感としては、「カクヨム」の方が、無名作品に読者がつきにくい印象です。
とくにランキングに載らなければ、新作を上げてもPVゼロはざら。

一方、「小説家になろう」では、どんな作品でも最低限の閲覧はあるという感触があります。

(たとえば、この記事を見ても、投稿から1日足らずの私の作品は――
カクヨムではPV8、なろうではPV154です)

おそらくこれは、読者の母数そのものが違うのかもしれません。


……あなたの作品も、もしかしたら、そうだったかもしれません。

どれだけ練ったプロットも、どれだけ磨いた文体も、
**「読まれなければ存在しない」**と言われることすらあります。
――厳しい。でも、これが今の現実です。

けれど、だからといって、筆を折る必要はありません。

読まれない時代に、それでも物語を書き続けることには、
「続ける者」にしか得られない意味と価値があります。

このエッセイは、「書けば読まれる」という甘い幻想が崩れた今、
それでもなお、あなたの物語を**“読者へ届ける”ための視点と行動**を、
静かに、でも確かに掘り下げていきます。

ここに書かれているのは、魔法の法則でも、バズる秘訣でもありません。
読者の目に届かないまま終わることの多い、無名作家たちが、
それでも一歩ずつ読者に近づくための、地に足のついた方法と、信念です。

あなたが今、何を想って筆を取っているのか。
どんな物語を、どんな想いで綴ろうとしているのか。

それを、少しでも多くの読者へ、確かに届けるために――
まずは、この現実から始めましょう。

◇―― ◇―― ◇―― ◇―― ◇―― ◇―― 


(2)あなたの物語が「読まれない」現実と向き合う

もしあなたが、何十時間もかけて書き上げた物語を、
**「誰にも読まれなかった」**という経験があるなら――

それは、あなた一人の失敗でも、才能の欠如でもありません。

むしろ、それは**今のWeb小説界の“普通”**です。

供給過多の2025年、Web小説の厳しい現実をデータで見てみましょう。
「小説家になろう」の異世界ファンタジー新規掲載数は、月を追うごとに増加傾向にあります。(※下記数値は変動しますので、あくまでもご参考程度に♪)

 期間    新規掲載作品数  1日あたり平均作品数
2024年1月   1,846作品      約60件
2024年2月   1,704作品      約59件
  ~
2025年4月   3,417作品      約113件
2025年5月   3,883作品      約125件

この数字は、わずか1年4ヶ月で、1日あたりの新規投稿数が倍以上に増加していることを示しています。
もちろん、過去のデータにはすでに削除された作品も含まれるため、直近の数値がより多く見える傾向はあります。しかし、それを差し引いても、新規投稿の増加ペースが著しいのは間違いありません。

2025年1月~5月末までの「異世界ファンタジー(短編含む)」ジャンルだけでも、
小説家になろうで15,201作品、カクヨムで10,375作品が、新規掲載として投稿されています。

つまり、毎日100作品以上が新たに生まれては、ランキングの波に呑まれ、消えていくのです。


《「読まれない」という静かな絶望の正体》
具体的な数字は、さらに衝撃的です。
2025年5月に「小説家になろう」に新規投稿された3,883作品のうち――
**総合評価ポイント100未満の作品は、2,970作品(約76.5%)**でした。

これは、約4人に3人が、ほとんど評価も感想ももらえていない現実を示しています。

カクヨムでも同様の傾向が見られます(2025年1月~5月に投稿された異世界ファンタジー作品・20,000~150,000字対象):

評価ポイント帯     作品数   割合
1000PT以上      52作品   1.2%
100~999PT      328作品   8.0%
50~99PT       226作品  5.5%

10~49PT       990作品  24.0%
1~9PT        1,436作品  34.9%
0PT         1,078作品  26.2%

評価が**50ポイント未満の作品は3,504作品で、全体の85.2%**にも上ります。
また、評価が1つもつかない作品は、4作品に1つ以上です。

「質」以前に、まず「見つけてもらえない」
これらの数字が意味するのは――
あなたの作品が面白いか、読みやすいか、完成度が高いかどうか以前に、
そもそも読者の目に触れないまま終わっているという現実です。

どれほど魂を削って生み出した物語でも、
「見られなければ存在しない」ことになってしまう世界。

投稿ボタンを押した瞬間から、作品は「ランキング」という激流に投げ込まれます。
その流れに乗れなければ、初速がゼロのまま、沈黙の底へ沈んでいく。
たった一話しか公開していなくても、十万字書き上げていても――同じです。

この現実に、あなたはどう向き合いますか?

この章の問いはひとつ。
あなたの作品が「読まれない」理由を、“あなただけの問題”だと思っていませんか?

――それは違います。

このデータが示すのは、人気作家さん以外にとって、作品が読まれるかどうかは、もはや「運」の要素が非常に大きいという現実です。しかし、その「運」も、むやみに天に任せるだけではありません。

もしもほとんど読まれないで終わったとしても、それは4人に3人の作家が経験する「あたりまえ」の現実です。 

だからこそ――もし奇跡的に、
「小説家になろう」で100ポイント、
あるいは「カクヨム」で50ポイントを獲得できたとしたら。

その時点で、あなたはすでに上位25%。
多くの作品が一度も届かない、届かれない場所に、確かに足を踏み入れているのです。

まずは、そこを目指してみませんか?

「たった50ポイント?」――そう思うかもしれません。
でもそれは、決して小さな成果なんかじゃない。
この数字を“軽い”と笑えるのは、挑戦したことのない者だけです。

物語を書くという行為が、どれほど孤独で、報われにくい営みなのか。
まずはこの現実から、私たちは目を背けずに始めなければなりません。

では、“読まれない時代”において、読者へ届く可能性を高めるには、何ができるのか?――その答えを、次章から探っていきます。
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