76%が読まれない時代に、それでも物語を書くということ

握夢(グーム)

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第5章 信頼される作家へ。届け続けるために

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(1)完結作品は、最大の信頼材料

「この作者、ちゃんと最後まで書いてくれるのか?」

これは、多くの読者が作品を開く前に抱く**“静かな不安”**です。

すでに述べたように、Web小説の世界には、完結していない連載作品が山ほどあります。

更新が止まったまま、数ヶ月。
完結予定だったはずなのに、音沙汰がない。
……そして気づいたときには、作品そのものが消えていた。

そうした“途中で終わる物語”に触れてきた読者たちは、
ある意味で――疑い深くなっています。

では、なぜ「完結している作品」は読まれるのか?

理由は、とてもシンプルです。

「安心して読めるから」。

・途中で終わらない。
・ちゃんと結末がある。
・読み始めた以上、最後まで走りきれる。
・そして何より、「読了するかどうかを、読者自身が選べる」――これはとても大事なことです。

読者は、“娯楽の時間”という限られた資源を、作品に投資しているのです。
その時間が、途中で投げ出されて無駄になるのではないか。
作家が本当に最後まで書き切っているのか――

読者は、無意識のうちに「信頼できる作家かどうか」を見ています。


だからこそ。

あなたに完結作があるなら、それは“最大の武器”です。

たとえば、無名作品の目に触れる機会を増やしたいなら、
理想は――完結長編を10作以上持つこと。

でも、最初からそんなに多くなくていい。
1作でも、2作でもかまいません。

完結させた物語があるなら、それはあなたの――
**「信用通帳」**なのです。

たとえ短編であっても、
「この人は、ちゃんと物語を終わらせられる」
――その事実だけで、十分な実績になります。


そして、それ以外にできることもあります。

✅ プロフィールに記載しましょう
✅ 作品紹介欄に明記しましょう
✅ 作者コメントで触れておきましょう

たとえば、こんな一文を添えるだけでも構いません。

「本作は全35話、完結済みです。じっくりお楽しみください」
「前作『〇〇〇』は無事完結しました。今回も全話プロット済です」

こうした**“言葉による保証”**は、
読者の不安を和らげ、クリックと読了へと繋がっていくのです。

◇―― ◇―― ◇―― ◇―― ◇―― ◇―― 


(2)完結前でも「信頼される」ために、今日からできること

完結作は、たしかに大きな“信用材料”です。
しかし――まだ完結していない連載中の作品でも、
読者の不安を和らげ、信頼を得ることは十分に可能です。

ここでは、**「あなたが今からできる実践策」**を、
読者の視点から見たメリットつきで紹介していきます。

《今日からできる 3つの実践策》
まずは、この3つから始めてみましょう。

① プロフィールに「完結の意志」を一言添える
 例:「全40話で完結予定です」「完結まで執筆継続中」など。

→ 読者にとっては、「この作者は途中で投げ出さないだろう」という、小さな安心材料になります。

② 作者コメントで「プロット済」「完結予定」を明記する
 例:「最終章までプロット済み」「30話中20話まで執筆済です」など。

→ 物語の“先”があると分かるだけで、読み続けるハードルは大きく下がります。

③ 最初に5~10話まで投稿する、または予約投稿で整える
 特にプロローグ+1話だけでは、世界観もキャラも伝わりきりません。

→ 複数話を同時公開しておくことで、読者が“判断”するための材料が増えます。
さらに、週1回などの定期更新リズムを作れば、「続きが待てる読者」も増えていきます。

《さらに信頼を積み重ねる 追加の工夫》
3つの基本に慣れてきたら、以下の工夫も取り入れてみましょう。

④ 作者の人柄や情熱が伝わるコメントを書く
 例:「物語を通じて誰かの心に残るような作品を目指しています」
   「初投稿ですが、最後まで書き切りたいと思っています」

→ 短い言葉でも、読者は“書き手の熱意”を見ています。

⑤ 感想には丁寧に返信を
 「ありがとうございます!」だけでも構いません。

→ 交流のある作者には、「応援したい」「続きを読みたい」と感じてくれる読者が生まれます。

⑥ 進捗報告や方向性を活動報告で共有する
 例:「現在30話まで執筆済。残り1章で完結予定です」
   「今月は週2回更新を目指します」

→ こうした“可視化された安心感”は、読者の信頼につながります。
「この物語はちゃんと進んでいる」と伝わるだけで、継続率は大きく変わります。

⑦ 短編や完結済みの読み切りがあれば、冒頭にリンクを添える
 → **「この人はちゃんと物語を締められる」**と示せる、大きな信頼材料になります。

⑧ 他人の作品を読んで、自分の課題を見つける
 どこで興味を失い、どこで引き込まれたか――。

→ **読者目線を磨くことで、**自作の改善点も自然と見えてきます。

完結していなくても、読者に「信頼できそうだ」と思ってもらうことはできる。
そのための**“小さな配慮”と“誠実な姿勢”**が、信頼という名のブックマークに繋がっていくのです。

◇―― ◇―― ◇―― ◇―― ◇―― ◇―― 


(3)小さな積み重ねが、未来の“実績”になる

・あなたが今日、書いた一行。
・あなたが今、答えた感想への一言。
・あなたが伝えた、「完結まで書くつもりです」という意思表明。

それらは、今すぐ評価されないかもしれません。
でも、確実に――**あなたという作家の“信用”と“資産”**になります。


《評価は「今」ではなく、「あとから」やってくる》
今はまだ、読まれていない。
けれど――半年後、あなたの新作が注目されたとき、
読者はきっと、過去の作品を遡っていきます。

そのとき、たった一つでも完結済みの短編があれば、
読者の安心感は段違いです。

「この人は、ちゃんと書き切る作家なんだ」

──それだけで、あなたの次の物語は、
“読み始めてもらえる”可能性がぐっと高まるのです。


一度も感想をもらっていない作品が、突然バズることもあります。
それは、思わず鳥肌が立つ瞬間です。

「偶然読んだ人が感動して、SNSに載せてくれた」
「ランキングに一瞬だけ載った」
「人気作の作者がいいねしてくれた」──

その偶然を呼び込む力が、あなたの**「書き続けてきた時間」**なんです。



《「評価されない」ことは、作品の価値を否定しない》
……今、評価されていない。
でもそれは、あなたの作品に価値がないのではありません。
それはまだ、“出会っていない”だけです。

あなたの物語に出会って、心を動かされる誰かが、
この世界のどこかに必ずいる。

その「たった一人」に届くまで、書き続けること。
それが、何よりも大切なのです。

あなたの物語には、“あなただけの声”があります。
テンプレートでも、オリジナルでも。
王道でも、実験作でも。

「あなたにしか書けない物語」が、必ずそこにあります。

それは、
・誰かの節目で読まれる、忘れられない一冊になるかもしれない。
・誰かの夜を救う一節になるかもしれない。
・誰かが創作を始めるきっかけになるかもしれない。

あなたが書いたものには、それだけの力がある。
だから、今日も、明日も――筆を取りましょう。



【最後に】
あなたの物語は、静かに、世界の片隅で“読まれる日”を待っています。

その日を1日でも早く迎えるために。
あなたが“今日できること”は、なんでしょう?

・プロフィールに「完結意志」を添える
・作者コメントで、構成や執筆状況を明かす
・第1話を、今日投稿してみる
・昨日より一行でも多く書いてみる
・感想への「ありがとう」を、心から返してみる

その一つ一つが、
**「導線」になり、「信頼」になり、あなたという作家の“存在感”**になります。

あなたが書いた物語は、誰にも書けない物語です。

そしてそれは、たとえ評価されなくても、
**“確かに誰かに届く力”**を持っています。

ここに書いたことが、有効な解決策ではないかもしれません。
これが確かな正解だとも言いません。
けれど、あなただけが、「読まれない」と落ち込んでいるわけではないこと。
同じように努力し、少し落ち込みながらも抗っている半数以上の作家たちが、この広いWebの海にいることを、どうか知っていてください。

このエッセイが、あなたの創作の火をほんの僅かでも大きなものにして、明日へ進むための小さな一歩になることを心から願っています。

信じましょう。
あなたの声を、物語を。
たとえたった一人でもいい。
奇跡的に巡り合った誰かが、読んでくれるその日まで、届け続けましょう。

──それが、この時代に物語を書く、ということなのかもしれません。

【了】
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感想 1

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みんなの感想(1件)

今田ナイ
2025.06.30 今田ナイ

初めまして、今田と申します。

とても興味深く読ませて頂きました。
特に、流行りのジャンルを書けとかタイトルをあらすじみたいに長くとかじゃなくて、

作品が完結していることを読み手に強くアピールせよ、
(あるいは完結させるつもりがあることをアピール)

という部分に、新たな知見を得たという感じです。

当方は古い書き手なので(いまは書いて無いですが)、作品は完結してから投稿するのがデフォなんですけど、よく考えたらWeb小説って毎日書いて投稿するライブ感覚(?)みたいなものですもんね。

読む方としても、確かに完結している作品の方が好きです。
ながく放置されると、内容忘れちゃいますし。


では、甚だ簡単ではありますが、
取り急ぎ失礼いたします。(-人-)

解除

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