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姫君は少し変わっている
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「エレン・クリスティア嬢!私が貴女を救済して差し上げましょう!」
移動教室の途中、大切な話があるからと校舎裏に呼び出されたエレンの目の前に膝をついているのは確かベルリッツ侯爵の次男だったかしらと首を傾げた。
何故か頬を赤らめて高らかに宣言すると騎士のように膝をついてこちらに手を伸ばしている。
「大切なお話とはなにかしら?」
「え?だから、私があの身の程知らずのジェイク王子から貴女をお救いすると申しているのです!」
エレンはますます目の前の男が言っている意味がわからない。
なにやら焦っている様子だが全く心当たりがなく首を傾げていると勝手に語り始めた。
「クリスティア嬢、貴女のような美しく才能に溢れた素晴らしい女性があんななんの取り柄もない馬鹿王子との婚約…なんという悲劇!彼奴に弱味を握られているんですよね!?もしくはクリスティア侯爵が王族に取り入るために貴女に婚約を強いたのでしょう?身分を盾にして貴女の力で国の重役を手に入れるつもりに違いない!しかし、もう安心ですエレン嬢!この私が貴女を侯爵家に匿いあの馬鹿王子の代わりに貴女との婚約を結べば万事解決です!貴女の辛い日々は今日で終わるのです!私が悪しき者達に正義の鉄槌を下してみせましょう!!」
長々と語られたが全くわからない。彼はなにが目的なのだろうか?
エレンは頭を捻り…これだという答えをようやく見つけた。
「お芝居の練習ですね?でしたら最初に言ってくださいな」
「…へ?」
よかった、どうやら当たりのようだ。
王子との望まぬ婚約を取り付けられ、親からも見放された姫…その裏には国を乗っ取るための陰謀…それに立ち向かう騎士。なかなか面白いお芝居だ。
「コンセプトは良いと思うのですが、少し台詞が長いと思います。観客も飽きますし、ヒロイン役も長台詞の間にはアクションを起こせませんから疲れてしまいますわ。それに一度に説明してしまうと先の展開も読めてしまいますから…もう一度台本を書き直すことを進めます」
「え?え?え?」
うーん、やはり台本を書き直せとは酷だったかしら?お顔を真っ青にされてしまいました。
しかし、実在の人間の名前を使うのもよくないと思うのです。
お芝居とはいえ王夫妻や王太子達に心証を悪くしてはいけないと思うので。
「あと、私はお芝居をみるのは好きですが専門家ではないので改めてきちんと意見を聞いてみるべきだと思います。演技力は素晴らしいですわ、とても迫力があって…よろしければまた見せてくださいね?」
「いや…違います!これは芝居などではなく私の本心です!!」
立ち上がったベルリッツ様が私に詰め寄りました。
お芝居ではない…どういうことでしょうか?
「誤魔化さなくても構いませんエレン嬢!貴女がジェイク王子との婚約に不満を抱いているのはわかっています!そうに違いない!」
「いえ、全く不満などありません。何故そのような勘違いを?」
ベルリッツ様は顔を赤くしたり青くしたりされています。器用な方ですね。
「ジェイク王子はなんの取り柄もないただの王族のお飾りですよ!」
「それがなにか?」
あ、赤くなりました。お猿さんみたいで可愛いですね。
「貴女にはもっと相応しい婚約者がいる筈だ!」
「ジェイク様は素敵な殿方ですよ?私はあの方と生涯を共に出来ることを楽しみにしております」
「そのような嘘をつかなくてもいいのですよ、エレン嬢」
何故信じて頂けないのでしょうか?困りました、私が口下手なばかりに誤解をさせてしまったようです。
このままでは大変です。彼の首が飛びます、物理的に。
「ベルリッツ様は私がジェイク様と婚約しているのが気に入らないのですか?」
「当然です!」
「何故ですか?」
「ジェイク王子は頭も悪く品もなく才もない!第一王子や第二王子のような優れたものが一つもないのに貴女という美しく才能に溢れたご令嬢と婚約を結んだ…どう考えてもおかしい!なにかの陰謀に違いありません!」
先程からそうに違いないとかその筈だとしか言ってませんがご自分で推測だけで話しているのに気づいていないようですね。
困りました、ベルリッツ様はこのままでは首が飛ぶだけでは済まなくなってしまいます。さすがに目覚めが悪いので嫌です。
ここは頑張って納得させなければ!
「確かにジェイク様は目立った才能や特技はありませんね」
「でしょう!?ならば…」
「しかし、悪いことも何一つしていませんよ」
今度はお顔が真っ白になりました。
「た、確かにその通りですが…恐らく裏で策略を巡らせ国をも揺るがす反乱を企んでいる筈…!」
「その証拠はあるのですか?そもそも先程ご自分でジェイク王子は頭が悪いと申していましたよね?それならば何故裏で策略を巡らすなど出来るのですか?」
どんどん白くなりますね。少し畳み掛けましょうか。
「貴方が申しているのはすべて想像ですよね?それとも証拠はあるのですか?ジェイク王子がなにか企んでいると」
「証拠など!あの馬鹿王子の愚鈍さが十分な証拠です!」
「では、裁判を起こさなければなりませんね」
さらに白くなりました。ちょっと面白いです。
裁判と言っても両親とジェイク様だけで済ますつもりですが第一王子と第二王子の耳に入る前になんとしてでも阻止しなくては!
「第一王子と第二王子は素晴らしい方々ですよね?」
「ええ、ご高名はかねがね!お二人がいれば我が国は安泰でしょう!」
「そのお二人が弟王子の反乱を止められない訳がありませんよね?」
あら、私も仮定で話してしまいました。
しかし、固まっているので効果はあったようです。
「そもそもお二人が近辺の国と和平を結び、敵国を排除しているからこの国は平和で豊かなのです。ジェイク様がその安寧の世を乱すメリットはどこにもありませんし、そもそも協力者も集まらないと思いますよ。折角の平和で豊かな生活を捨ててまで貴方の仰る愚かな王子の反乱に協力して成功する訳がありませんし、仮に成功しても近辺の国に潰されてしまうのは子供でもわかります。戦いたいのなら兵団に入ればいいのですし」
どんどん白くなりますね。少し心配です。
「ですので、裁判を起こした場合貴方が得られるものは一つもありません。むしろ不敬罪に処されてしまいますよ。なので、今のお話はお芝居の台本ということにするのが懸命かと」
真っ白になったまま固まってしまいました。
とりあえず、今のところは大丈夫でしょうか?
なんだか疲れましたので失礼ですがそのまま立ち去る事にします。
結局、次の授業には間に合わず欠席扱いになってしまいました。
好きな授業なのでとても残念です。
しかし、過ぎた事を悩んでいても仕方ないので次の授業を頑張りましょう。
移動教室の途中、大切な話があるからと校舎裏に呼び出されたエレンの目の前に膝をついているのは確かベルリッツ侯爵の次男だったかしらと首を傾げた。
何故か頬を赤らめて高らかに宣言すると騎士のように膝をついてこちらに手を伸ばしている。
「大切なお話とはなにかしら?」
「え?だから、私があの身の程知らずのジェイク王子から貴女をお救いすると申しているのです!」
エレンはますます目の前の男が言っている意味がわからない。
なにやら焦っている様子だが全く心当たりがなく首を傾げていると勝手に語り始めた。
「クリスティア嬢、貴女のような美しく才能に溢れた素晴らしい女性があんななんの取り柄もない馬鹿王子との婚約…なんという悲劇!彼奴に弱味を握られているんですよね!?もしくはクリスティア侯爵が王族に取り入るために貴女に婚約を強いたのでしょう?身分を盾にして貴女の力で国の重役を手に入れるつもりに違いない!しかし、もう安心ですエレン嬢!この私が貴女を侯爵家に匿いあの馬鹿王子の代わりに貴女との婚約を結べば万事解決です!貴女の辛い日々は今日で終わるのです!私が悪しき者達に正義の鉄槌を下してみせましょう!!」
長々と語られたが全くわからない。彼はなにが目的なのだろうか?
エレンは頭を捻り…これだという答えをようやく見つけた。
「お芝居の練習ですね?でしたら最初に言ってくださいな」
「…へ?」
よかった、どうやら当たりのようだ。
王子との望まぬ婚約を取り付けられ、親からも見放された姫…その裏には国を乗っ取るための陰謀…それに立ち向かう騎士。なかなか面白いお芝居だ。
「コンセプトは良いと思うのですが、少し台詞が長いと思います。観客も飽きますし、ヒロイン役も長台詞の間にはアクションを起こせませんから疲れてしまいますわ。それに一度に説明してしまうと先の展開も読めてしまいますから…もう一度台本を書き直すことを進めます」
「え?え?え?」
うーん、やはり台本を書き直せとは酷だったかしら?お顔を真っ青にされてしまいました。
しかし、実在の人間の名前を使うのもよくないと思うのです。
お芝居とはいえ王夫妻や王太子達に心証を悪くしてはいけないと思うので。
「あと、私はお芝居をみるのは好きですが専門家ではないので改めてきちんと意見を聞いてみるべきだと思います。演技力は素晴らしいですわ、とても迫力があって…よろしければまた見せてくださいね?」
「いや…違います!これは芝居などではなく私の本心です!!」
立ち上がったベルリッツ様が私に詰め寄りました。
お芝居ではない…どういうことでしょうか?
「誤魔化さなくても構いませんエレン嬢!貴女がジェイク王子との婚約に不満を抱いているのはわかっています!そうに違いない!」
「いえ、全く不満などありません。何故そのような勘違いを?」
ベルリッツ様は顔を赤くしたり青くしたりされています。器用な方ですね。
「ジェイク王子はなんの取り柄もないただの王族のお飾りですよ!」
「それがなにか?」
あ、赤くなりました。お猿さんみたいで可愛いですね。
「貴女にはもっと相応しい婚約者がいる筈だ!」
「ジェイク様は素敵な殿方ですよ?私はあの方と生涯を共に出来ることを楽しみにしております」
「そのような嘘をつかなくてもいいのですよ、エレン嬢」
何故信じて頂けないのでしょうか?困りました、私が口下手なばかりに誤解をさせてしまったようです。
このままでは大変です。彼の首が飛びます、物理的に。
「ベルリッツ様は私がジェイク様と婚約しているのが気に入らないのですか?」
「当然です!」
「何故ですか?」
「ジェイク王子は頭も悪く品もなく才もない!第一王子や第二王子のような優れたものが一つもないのに貴女という美しく才能に溢れたご令嬢と婚約を結んだ…どう考えてもおかしい!なにかの陰謀に違いありません!」
先程からそうに違いないとかその筈だとしか言ってませんがご自分で推測だけで話しているのに気づいていないようですね。
困りました、ベルリッツ様はこのままでは首が飛ぶだけでは済まなくなってしまいます。さすがに目覚めが悪いので嫌です。
ここは頑張って納得させなければ!
「確かにジェイク様は目立った才能や特技はありませんね」
「でしょう!?ならば…」
「しかし、悪いことも何一つしていませんよ」
今度はお顔が真っ白になりました。
「た、確かにその通りですが…恐らく裏で策略を巡らせ国をも揺るがす反乱を企んでいる筈…!」
「その証拠はあるのですか?そもそも先程ご自分でジェイク王子は頭が悪いと申していましたよね?それならば何故裏で策略を巡らすなど出来るのですか?」
どんどん白くなりますね。少し畳み掛けましょうか。
「貴方が申しているのはすべて想像ですよね?それとも証拠はあるのですか?ジェイク王子がなにか企んでいると」
「証拠など!あの馬鹿王子の愚鈍さが十分な証拠です!」
「では、裁判を起こさなければなりませんね」
さらに白くなりました。ちょっと面白いです。
裁判と言っても両親とジェイク様だけで済ますつもりですが第一王子と第二王子の耳に入る前になんとしてでも阻止しなくては!
「第一王子と第二王子は素晴らしい方々ですよね?」
「ええ、ご高名はかねがね!お二人がいれば我が国は安泰でしょう!」
「そのお二人が弟王子の反乱を止められない訳がありませんよね?」
あら、私も仮定で話してしまいました。
しかし、固まっているので効果はあったようです。
「そもそもお二人が近辺の国と和平を結び、敵国を排除しているからこの国は平和で豊かなのです。ジェイク様がその安寧の世を乱すメリットはどこにもありませんし、そもそも協力者も集まらないと思いますよ。折角の平和で豊かな生活を捨ててまで貴方の仰る愚かな王子の反乱に協力して成功する訳がありませんし、仮に成功しても近辺の国に潰されてしまうのは子供でもわかります。戦いたいのなら兵団に入ればいいのですし」
どんどん白くなりますね。少し心配です。
「ですので、裁判を起こした場合貴方が得られるものは一つもありません。むしろ不敬罪に処されてしまいますよ。なので、今のお話はお芝居の台本ということにするのが懸命かと」
真っ白になったまま固まってしまいました。
とりあえず、今のところは大丈夫でしょうか?
なんだか疲れましたので失礼ですがそのまま立ち去る事にします。
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しかし、過ぎた事を悩んでいても仕方ないので次の授業を頑張りましょう。
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