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「店長……これ……」
そう言って戸惑ったように新田の手にした返却袋に入っていたソレ。
紛うことなき存在感を持つディルドは、店内のライトに照らされてほのかに淡く光っている。
「……」
俺はその瞬間、言葉を失った。注意していた、筈だった。
絶対にやらかしてはならなかった。
細心の注意をはらい、扱いには気をつけていたはずなのに。
何故今目の前に、ソレがあるのか。
「店長?」
新田が覗き込むようにこちらを伺ってくる。その表情には困惑が宿っていた。
それは当然だ。店長の俺が返却した袋の中にそんなものが入っていれば、誰だってこういう顔をするに決まっている。
「いや、これは……」
動揺が全身に広がり、身体が硬直する。
言い逃れをしようにも、うまく言葉を紡げず口が空回りするばかり。
何か言わなければ。そう思うのに焦りばかりが先回りして、結局なにも口にすることができない。
そうして俺がなにも告げることができないでいると、新田が先に口を開いた。
「とりあえず、これはお返ししておきますね。安心してください。このことは俺の中に留めておきますので。人にだって色々ありますから」
そういつもと同じ爽やかな笑顔で告げる新田に、俺は思わず感激してしまった。
新田、お前はなんて良い奴なんだ……!
「あ、ああすまない……」
知られてしまった。己の秘めたる性癖を。
それだけでも死にたいほど羞恥心に駆られているというのに、困っている俺を気遣い、なにも追求しないでくれている。
その新田の優しさに、俺は涙が零れそうなほどの感動を覚えた。
こんな、終始人手不足のしがないレンタルビデオ店で土日にフル勤務してくれる上に気遣いもできる新田は神のような存在に思えた。
こんな些細なことで涙脆くなってしまうのは歳をとった証拠だろうか。やっぱり歳は取りたくないものだ。
「とりあえず今日の業務を終わらせましょう。もう少しですし」
「そうだな」
気を取り直そう。今日の営業はもう終了し、あとは事後処理を済ましてお店を閉めるだけだ。さっさと済まして、改めて新田にお礼を言おう。
そう思った俺は残りの業務を片付けるために、山のように積まれた書類へと手を伸ばした。
♢♢
「――今日もお疲れ様」
「はい、お疲れ様でした」
お店のシャッターを閉じ、挨拶を交わす。
いつもと何も変わらない光景。
けれど、俺には一つしなければならないことがあった。
そう。あのディルドの件について、改めて新田にどう説明するか、だ。
新田は追求しないでくれているが、そのまま有耶無耶にする訳にもいかない。
店長としての威厳に関わる。
もう既にディルドを見られた時点で失墜しているような気がしなくもないないが、それはそれ、これはこれだ。
「あー、ところで新田はこの後何か用事はあるか?」
「いいえ? 特には」
不思議そうに目を丸くする新田。
サラリと黒髪が流れて、頬にかかる。
本当に改めて見ると、新田は顔が綺麗で整っている。
外国人の血が混じった自分とは違う、日本人然とした綺麗さというか。
細やかな性格に、気遣いもうまい。
さぞ大学ではモテるに違いないだろう。
「良ければ今から俺の家にくるか? 今日のお礼に料理と酒ぐらいは出すぞ」
そんなことを思っていたからだろうか。気づけばそんな言葉がするりと口から出ていた。
何故そんなことを思ってしまったのだろう。バイト店員を自分の家に招待するなど。
どこかで食べるのもありかもしれないが、この深夜の時間帯に営業しているお店はほぼない。
家に招くのが最善とはいえ、新田が気後れしてしまうのではないか。
一瞬そんな焦りが過ぎったが、心配とは裏腹に新田は俺の提案に輝かんばかりの笑顔を浮かべていた。
「料理、店長の手作りですか!?」
「ああ、有り合わせのものになるが、それでもいいなら……」
「是非、お邪魔したいです!!」
思った以上に新田が食いついてきた。三十路過ぎた男の手料理など、そんなにいいものだろうか。
もしかしたらものすごくお腹が空いているのかもしれない。新田は成人しているとはいえ大学生。
未だ食べ盛りの青年でもある。
「よし、腹いっぱい食わせてやる」
「やった、ありがとうございます!」
車の鍵を開け、助手席に新田を乗せる。
そうして彼を乗せて、俺は自宅の帰路へと着いた。
そう、食事を共にするだけ。
それだけだと、思っていたのに。
♢♢
「――ここ、好きなんですか?」
「ひ、あ、……アッ!」
「ふふ、めちゃくちゃ締まってる。ここ刺激されるの好きなんですね、店長――茜さん」
骨の造りの大きな指が不躾に、アナルの中を蹂躙する。
まさぐられた指によって前立腺を刺激され、快楽に慣れきった身体がビクンと震える。
「ふあっ……!新田、や、やめっ」
「でもここは気持ちよさそうにしてますよ? ――ふふ、可愛いな茜さん」
酒と食事もおおいに進み、ほろ酔い気分で食後の談笑に耽っていた、筈だった。
どうしてこうなったのだろう。どう考えても思い出せない。
気づけばベッドに組み敷かれていて、新田がおもむろに上半身のシャツを脱ぎ捨てたかと思うと、そのシャツで両手を縛られた。
そうして、己の秘密の場所を暴かれ、執拗に攻め立てられている。
最初はゆっくりとしたものだったアナルの中への刺激は指が擦れる毎に激しさを増し、潤滑油としてのローションも相まってまるで女性の秘部のように濡れそぼってヒクヒクと震えている。
己の哀れな逸物は生理的な刺激に興奮して反り立っているし、服の下からでも分かるほど乳首がピンと張り詰めているのも分かる。
はぁはぁと荒い息をつき、散々アナルの弱い場所を攻められ、虐められ続けた俺は日頃の鬱憤も相まって我慢の限界に達していた。
熱と欲望に浮かされた先で見据えるは、新田の腰、ズボンの下腹部。
ジーパンの上からでもわかるほど大きく反り立ったものが今にも破裂しそうなほどの存在感を主張している。
新田が俺の何に興奮しているのか、自分には分からない。けれど目の前に現れ、求め続けた剛直が手の届く先にある。
――ダメだ。相手は歳下だ。こんなのは良くない。
それはよく分かっている。残り少ない理性が頭の隅で警鐘を鳴らし、これから起こそうとする行動を抑止しようとする。
――この大きなモノで中を貫かれたら、どんなに気持ち良いのだろう。
ただそれと同じくらい相反するその思考に支配され、葛藤の末、ついに屈服してしまった俺は新田の張り詰めた剛直を宿すジーパンのチャックへと手を伸ばす。
その時、己がどんな表情をしていたのか分からない。ただ求める本能のままに彼のソレへと手を伸ばした時。
新田がこれ以上ないほどの愉悦と優越感にまみれた表情をしていたことに、俺は気づく余裕はなかった。
そう言って戸惑ったように新田の手にした返却袋に入っていたソレ。
紛うことなき存在感を持つディルドは、店内のライトに照らされてほのかに淡く光っている。
「……」
俺はその瞬間、言葉を失った。注意していた、筈だった。
絶対にやらかしてはならなかった。
細心の注意をはらい、扱いには気をつけていたはずなのに。
何故今目の前に、ソレがあるのか。
「店長?」
新田が覗き込むようにこちらを伺ってくる。その表情には困惑が宿っていた。
それは当然だ。店長の俺が返却した袋の中にそんなものが入っていれば、誰だってこういう顔をするに決まっている。
「いや、これは……」
動揺が全身に広がり、身体が硬直する。
言い逃れをしようにも、うまく言葉を紡げず口が空回りするばかり。
何か言わなければ。そう思うのに焦りばかりが先回りして、結局なにも口にすることができない。
そうして俺がなにも告げることができないでいると、新田が先に口を開いた。
「とりあえず、これはお返ししておきますね。安心してください。このことは俺の中に留めておきますので。人にだって色々ありますから」
そういつもと同じ爽やかな笑顔で告げる新田に、俺は思わず感激してしまった。
新田、お前はなんて良い奴なんだ……!
「あ、ああすまない……」
知られてしまった。己の秘めたる性癖を。
それだけでも死にたいほど羞恥心に駆られているというのに、困っている俺を気遣い、なにも追求しないでくれている。
その新田の優しさに、俺は涙が零れそうなほどの感動を覚えた。
こんな、終始人手不足のしがないレンタルビデオ店で土日にフル勤務してくれる上に気遣いもできる新田は神のような存在に思えた。
こんな些細なことで涙脆くなってしまうのは歳をとった証拠だろうか。やっぱり歳は取りたくないものだ。
「とりあえず今日の業務を終わらせましょう。もう少しですし」
「そうだな」
気を取り直そう。今日の営業はもう終了し、あとは事後処理を済ましてお店を閉めるだけだ。さっさと済まして、改めて新田にお礼を言おう。
そう思った俺は残りの業務を片付けるために、山のように積まれた書類へと手を伸ばした。
♢♢
「――今日もお疲れ様」
「はい、お疲れ様でした」
お店のシャッターを閉じ、挨拶を交わす。
いつもと何も変わらない光景。
けれど、俺には一つしなければならないことがあった。
そう。あのディルドの件について、改めて新田にどう説明するか、だ。
新田は追求しないでくれているが、そのまま有耶無耶にする訳にもいかない。
店長としての威厳に関わる。
もう既にディルドを見られた時点で失墜しているような気がしなくもないないが、それはそれ、これはこれだ。
「あー、ところで新田はこの後何か用事はあるか?」
「いいえ? 特には」
不思議そうに目を丸くする新田。
サラリと黒髪が流れて、頬にかかる。
本当に改めて見ると、新田は顔が綺麗で整っている。
外国人の血が混じった自分とは違う、日本人然とした綺麗さというか。
細やかな性格に、気遣いもうまい。
さぞ大学ではモテるに違いないだろう。
「良ければ今から俺の家にくるか? 今日のお礼に料理と酒ぐらいは出すぞ」
そんなことを思っていたからだろうか。気づけばそんな言葉がするりと口から出ていた。
何故そんなことを思ってしまったのだろう。バイト店員を自分の家に招待するなど。
どこかで食べるのもありかもしれないが、この深夜の時間帯に営業しているお店はほぼない。
家に招くのが最善とはいえ、新田が気後れしてしまうのではないか。
一瞬そんな焦りが過ぎったが、心配とは裏腹に新田は俺の提案に輝かんばかりの笑顔を浮かべていた。
「料理、店長の手作りですか!?」
「ああ、有り合わせのものになるが、それでもいいなら……」
「是非、お邪魔したいです!!」
思った以上に新田が食いついてきた。三十路過ぎた男の手料理など、そんなにいいものだろうか。
もしかしたらものすごくお腹が空いているのかもしれない。新田は成人しているとはいえ大学生。
未だ食べ盛りの青年でもある。
「よし、腹いっぱい食わせてやる」
「やった、ありがとうございます!」
車の鍵を開け、助手席に新田を乗せる。
そうして彼を乗せて、俺は自宅の帰路へと着いた。
そう、食事を共にするだけ。
それだけだと、思っていたのに。
♢♢
「――ここ、好きなんですか?」
「ひ、あ、……アッ!」
「ふふ、めちゃくちゃ締まってる。ここ刺激されるの好きなんですね、店長――茜さん」
骨の造りの大きな指が不躾に、アナルの中を蹂躙する。
まさぐられた指によって前立腺を刺激され、快楽に慣れきった身体がビクンと震える。
「ふあっ……!新田、や、やめっ」
「でもここは気持ちよさそうにしてますよ? ――ふふ、可愛いな茜さん」
酒と食事もおおいに進み、ほろ酔い気分で食後の談笑に耽っていた、筈だった。
どうしてこうなったのだろう。どう考えても思い出せない。
気づけばベッドに組み敷かれていて、新田がおもむろに上半身のシャツを脱ぎ捨てたかと思うと、そのシャツで両手を縛られた。
そうして、己の秘密の場所を暴かれ、執拗に攻め立てられている。
最初はゆっくりとしたものだったアナルの中への刺激は指が擦れる毎に激しさを増し、潤滑油としてのローションも相まってまるで女性の秘部のように濡れそぼってヒクヒクと震えている。
己の哀れな逸物は生理的な刺激に興奮して反り立っているし、服の下からでも分かるほど乳首がピンと張り詰めているのも分かる。
はぁはぁと荒い息をつき、散々アナルの弱い場所を攻められ、虐められ続けた俺は日頃の鬱憤も相まって我慢の限界に達していた。
熱と欲望に浮かされた先で見据えるは、新田の腰、ズボンの下腹部。
ジーパンの上からでもわかるほど大きく反り立ったものが今にも破裂しそうなほどの存在感を主張している。
新田が俺の何に興奮しているのか、自分には分からない。けれど目の前に現れ、求め続けた剛直が手の届く先にある。
――ダメだ。相手は歳下だ。こんなのは良くない。
それはよく分かっている。残り少ない理性が頭の隅で警鐘を鳴らし、これから起こそうとする行動を抑止しようとする。
――この大きなモノで中を貫かれたら、どんなに気持ち良いのだろう。
ただそれと同じくらい相反するその思考に支配され、葛藤の末、ついに屈服してしまった俺は新田の張り詰めた剛直を宿すジーパンのチャックへと手を伸ばす。
その時、己がどんな表情をしていたのか分からない。ただ求める本能のままに彼のソレへと手を伸ばした時。
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