ハマりました。助けてください。

橘 咲帆

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オサキョウ

オナニーって疲れる

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 ──疲れた。オナニーって疲れるのな。
 3回を過ぎたころから徐々に疲労を感じ、5回を過ぎたころにはフォロワーさんも飽きたのか一人、また一人と去っていき、今9回目。もう限界。俺若いけど、もう出るものも出ない。オナホの液晶には90の文字。あと90回か。でも俺がんばったよな。一日で10回ってすごくね?順調にいくとあと9日でこの地獄が終わる計算……。でも辛い。フォロワーさんは一人を残すのみとなっている。このフォロワーさんだってわからない。配信を表示したままうんこにでも行っているんじゃなかろうか。
 俺はそっと配信を終了し、ベッドに横たわる。

「うっうっ……」

 俺は堪らず泣き出した。この90の文字が嘘だったらどうしよう。一生このままオナホと一緒の生活だなんて。俺のちんこはすっかり項垂れてちっちゃくなっているのに、どういった仕様になっているのか、オナホは外れない。本当に呪いのアイテムなんだな。誰だよ、こんな手の込んだ悪戯。……いや、これは嫌がらせだな。
 オナホは勃起したちんこが入るくらいのものだから、結構嵩張っている。普通のスーツのズボンなんて入らない。俺、大学卒業したらスーツを着る仕事出来ないのかよ。俺にも夢があって、それなりに稼げるホワイトカラーの仕事に就いて、やさしい奥さんと結婚して、子どもが産まれるくらいのタイミングで郊外にファミリー向けマンションかなんか買っちゃって、休日は〇〇記念公園で子どもと楽しくフリスビーするん……。あ、ムリ。俺、この夢叶わないんじゃね?──俺は絶望のまま泣きながら眠りについた。


◇◇◇

 ん?なんだ?きもちいい?ぴちょぴちょという音と共に、俺の乳首がきもちいい?目を覚ますと、暗い。いや、電気消したけど、真っ暗だと俺は寝られないタイプだから、足元に間接照明のランプを置いているんだけれど、暗い。なんで?そして息苦しい?

「ぷはっ」

 俺が顔にかぶさっていたスエットを払いのけると、そこにはイケメンが……。ってオサム?おさむが俺にのしかかっている。

「あ、起きちゃった?」
「え?え?何?オサム、何やって?」

 オサムは大学のサークルで知り合った同級生だ。オサムの家は隣県にあって、研究やバイトで遅くなると俺のアパートに転がり込んでくる。頭がいいのでよく課題の相談なんかにも乗ってくれるし、顔がいいので女の子にモテモテ。客寄せパンダ要員として合コンにも付き合ってもらっている。そんな経緯からこのアパートの合鍵を渡してはいたのだが、この状況は予想外。なんで俺の乳首しゃぶってんの?

「なんかさ、大変みたいだな。ここ」

 オサムの手が俺の膨れた下半身をなぞる。なぞられてもオナホとスエット越しだとわからないけれど、たぶんなぞっているんだと思う。

「だからさ、手伝ってやるよ」
「へ?いいよ。てか、俺の配信見たの?」
「大学の友達、案外見てるぜ?さすがに野郎ばかりだけど」

 まじか。ちょ、恥っず。リアルの友達に見られてるとか恥っず。俺、身バレしてんの?

「待て、俺身バレ……うっ」

 ぎゅっとオサムの指が俺の乳首をつまむ。俺は思わず「うっ」と声を漏らしてしまう。

「オサム、いいって。そんなことしなくって。お前は女の子のことが好きだろ?」
「困っている人を放っておけない性質なんだよ」
「いやいやいやいやいやいや。ちょっと、待って?」
「なんだよ、嫌なのか?」
「嫌っていうか、申し訳ないというか……」
「嫌じゃないんだったら甘えとけよ」
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