8 / 115
第八話 難民の群れ ②
しおりを挟む冒険者ギルドの紹介で、不動産屋さんに来てもらった。
不動産屋さんは、ころころと丸い体形で、儲かっていそうなちょび髭のおじさんである。
不動産屋は普通の人間で、冒険者ギルドから商業ギルドへ話が回り、商業ギルドの紹介で来てくれた。
まったく、たらいまわしかよ。
「う~ん、こりゃあ思ったよりひどいなあ。」
不動産屋さんも、びっくりの状態らしい。
オイゲンの工房は、ひさしが折れたり、戸板が外れたりと、かなりひどい状態…はっきり言ってあばら家だった。
「人が住めるようなもんじゃないなあ。」
俺のつぶやきに、不動産屋は振り向いた。
「しかしお客さん、職人街の一等地ですぜ、少しは考えてくださいよ。」
そりゃまあ、土地を考えたらな。
だが、土地ってものは、王国のものだ。
ここで言うなら、マゼランの殿さまのものだよ。
売買できるのは、上もんだけなんだから。
「そうは言ってもなあ。これで金貨一枚は高いぜ~。」
「う!それは…」
「こんだけ修理するとなると、いくらかかるんだ?金貨一枚くらいじゃ、すぐ飛ぶんじゃないのか?」
この前の獲物が一気に来たので、俺の懐には金貨三枚近くあるんだけどな。
「そうですねえ。」
不動産屋も思案顔だ。
「おまえさんのところで治してくれるのか?」
とりあえず、俺は聞いてみた。
どうせそんなことはせんだろう。
「これをですか?う~ん。」
「治してくれるなら、金貨一枚出してもいいけどさ。」
「これをなおして、金貨一枚ではアシが出ますよ。金貨二枚はほしいですね。」
不動産屋も引きさがらない。
「おいおい、それじゃちっともマケてないじゃん。金貨一枚と銀板二枚でどうだ?」
「せめて、金貨一枚と銀板八枚はほしいですよ。」
なかなか言うね。
「じゃあいい。いらない。」
「ちょ!ちょっと待ってくださいよ!」
「もういらん。」
「そう言わないで、もう少しお話を…」
「だって、話にならんもん。」
「ええ~?」
俺は、いいことを思いついたのだ。
「じゃあ、この家銀板八枚でどうだ?修理は自分でする。」
「は・はちまい…わかりました、それでいいです。」
「よし、じゃあ、書類にしてくれ。金は即金で払う。」
「ちょっと待ってくださいね、これが仮の登記書です。ここにサインしてください。はい、これで売り渡しは完了です。」
「あとで、正式な書類がくるんだな。」
「ええ、お持ちします。」
「ありがとう、これが代金だ。」
「いま、領収書を書きます。」
こうして、俺はボロ家を銀板八枚で手に入れた。
「兄ちゃん、あの家どうするんだ?」
俺は、ラルを連れて西門に向かっていた。
「なおすさ、それじゃなきゃ暮らせないだろ。」
「だから、それをどうやって?」
「ここで待ってろ。」
ラルはまだ何も証明書がない、門を出ると入るのに手間がかかる。
俺は、ラルを置いて門の外に出た。
外には難民の群れが、所在なげに座り込んでいる。
俺は、難民を見渡して、声をかけた。
「この中に大工はいるか?いるなら前に出てくれ。」
数人が手をあげて前に出た。
「俺は、家をなおしたい。手伝ってくれるなら賃金か、飯を出すがどうだ?」
「材料はあるのか?道具は?」
中の一人が聞く。
「まあ、そこそこあるさ、材料はなければ商業ギルドで買う。それは心配いらない。」
「ならばやらせてくれ。三日間何も食ってない。」
「そうか、おまえ家族は?」
「女房と子供が一人。」
「わかった、連れてこい、掃除をする人もいるんだ。」
「ありがたい。」
そいつはさっそく戻って行った。
「お、おれも仕事をくれ!」
「俺も!」
「じゃあ、大工は三人でいい。お前とおまえだ、家族はいるか?」
「いない。」
「俺も、はぐれてしまった。」
「じゃあいい、ついてこい。」
俺は、五人を伴って東門に入る。
「こいつらの入場税だ。」
俺は、銅貨を五枚払って門を通った。
もちろん、門番には小銭を握らせたさ。
「そいつら、どうするんだ?」
「俺の家をなおすんだ。人手がいるからな。」
「うまいこと考えたな、安くなおせるか?」
「それはやってみないとな。」
五人とラルを連れて、市場で古着と履物を買う。
なにしろ、魔物にひっかかれて、背中なんかほとんど布がないんだ。
大工はゼノと言った。
屋台の串焼きを全員に食わせて、落ち着くのを待つ。
「ゼノ、あんたが頭になって、家の修復を頼む。とにかくあばら家で寝るに寝られないんだ。」
「わかった、すまんが商業ギルドに登録する銀貨を貸してくれ。」
「そう言えばそうだな、俺も行こう。ラルも商業ギルドに登録する。」
「俺も?」
「なんか証明書ないと、門の出入りもできんだろ。」
「う・うん。」
「なに、お前にも働いてもらうさ。銀貨一枚ぶんはな。」
「う~。」
ラルはなぜか、頭を抱え込んだ。
「ちなみに予算は?」
「金貨一枚。」
「へ?」
「金貨一枚だ。だから心配するな、ゼノの人夫賃も入ってる。そこの二人も。」
「アルだ。」
「テオ。」
「女房のサリーと娘のニコだ。」
「娘はいくつだ?」
「八歳。」
「そうか、掃除の手伝いぐらいできるよな。」
「できるよ!」
ニコは、笑顔で答えた。
串焼きのタレで、顔が汚れている。
「よくここまで逃げられたな、こんな小さい子連れて。」
「必死だったさ、みんなやられた。ユフラテ、あんたが助けに来てくれたことを、俺は見て知ってるぞ。」
「そうか。」
「強いなあんたは、あの虎の冒険者も強かったが。」
「ああ、アランな、Cクラスだからな。」
「あんたも?」
「いや、俺はFクラスさ、入ったばっかだからな。」
「Fクラスって、うそだろ!あの強さで!」
アルが、悲鳴のように言う。
「ま、それはいい。金が足りなきゃまた稼いで来るさ。だから、俺の家をなおしてくれ。」
三人は真顔でうなずいた。
「サリーは、みんなの飯を作ることと、家の掃除をする。まあ、おいおい考えようぜ。」
「は、はい。」
屋台で買った粥の器も返し、古着をもってチグリスの家の裏に着いた。
「じゃあ、ここで風呂にはいれよ、サリーとニコが先だな。」
「風呂?」
「ああ、中で湯が沸いてるから、体を洗え。三日も走って砂だらけだろう。」
五人は改めて自分の格好を見て、残念な顔になった。
サリーは三〇がらみで美人ってほどでもないが、まあ愛嬌のある顔をしている。
ニコは親父に似たのか?眉が若干太いがまあ、かわいい。
二人を中に入れて、俺は焚口でまきをくべた。
「こいつを俺の家にも作ろうと思うんだ。」
「ふうん、まあこの骨組みなら簡単だな。」
「たのむよ、中の湯舟は俺が作る。土魔法が使えるから。」
「そうか、それはありがたい。仕事が早いからな。」
オイゲンのあばら家をなおす計画は、風呂場の前で相談した。
「とにかく、人の家にすることが重要だ。なにしろ、そこらじゅうが壊れていて、立っているだけみたいなもんだからな。」
「一から立て直すってのは?」
「まあ、材料は悪くないみたいだし、隙間風が入ったり、雨漏りしなきゃいい。そのうち、金ためていい家にするさ。」
「金貨一枚(三〇〇万円)ってのは多くもあり、少なくもあるからな。まずは屋根を見て、壁や建具はその後で行こう。」
ゼノの言葉に、アルとテオもうなずく。
なんだかんだ言っても、こいつらの名前って結構長い。
アルはアルベルト、テオはテオドールと言うんだってさ。
なかなか洒落てるじゃないか。
オイゲンの家は、やっぱり鍛冶工房と一体で、二階建ての馬小屋つき三〇〇坪くらいの土地。
内容を聞くと良さげだが、つまるところはガタが来ている。
だから安かったんだが、柱なんかは結構太くて、家具もかなり残っている。
オイゲンは、酒が過ぎて体を壊し、(ドワーフには珍しいことだったようだが)親戚を頼って別の町に行ったそうだ。
二階の部屋は五つもあって、六畳間くらいの部屋が四つと階段の吹き抜けのかまちがある。
一階は、工房が突き出ていて、その奥に台所、リビング、寝室がある。
俺一人なら、一階だけで暮らしていけそうだ。
サリーとニコが風呂から出てきた。
「どうだ、さっぱりしたか?」
「ええ、こんな貴族みたいな贅沢してもいいんですか?」
「贅沢か?大きな鍋でお湯沸かしただけさ。」
「おにいちゃん、ありがとう!」
二人は、古着だがさっぱりした格好になっている。
「よし、じゃああんたらも入るんだ。ちゃんと石鹸で体を洗ってから湯船に入るんだぞ。」
俺は、風呂に湯を足してやる。
このあたりは風呂に入る習慣は、あんまないらしいので、マゼランはけっこう汗臭い。
風呂に入ってこざっぱりした服を着れば、みんなまともに見えるもんだ。
俺は全員を連れて、商業ギルドに向かった。
「大工さんですか?まあ、うちでもいいですが、職人ギルドのほうが良くないですか?」
「いや、今後のこともあるから、こっちでいい。全員のカードを作ってくれないか、ニコの分も。」
「六枚ですか?」
「いや、俺も欲しいんだけど。」
「ああ、ユフラテさんは、冒険者カードに上乗せです。」
「料金は?」
「こちらは、銅版五枚ですね、全部で銀貨三枚です。」
「あらら、安い。」
「冒険者は、すぐにカードをなくしてくるので、高めなんですよ。」
受付嬢の言葉に、変に納得している。
「よっしゃ、そしたら家を見て、必要なものを商業ギルドで注文しよう。」
「たのむよ。」
ゼノの言葉に、俺は全面的に賛同した。
「ユフラテ、釘がいるだろう。これもってけ。」
横合いからチグリスが声をかけてきた。
「おう、あんがとチグリス。ゼノとテオとアルだ、こっちはサリーとニコ。」
「おう、災難だったな。」
「なんとか生きてますよ。」
「おいらラルだ、よろしくな。」
「おう、ユフラテはあんまこっちのことがわからん、よくしてやってくれ。」
「あとで、なんか持ってくよ。」
チコが、チグリスの横から顔を出した。
「ああ、ありがとう、たのむよ。」
俺たちは、そろってオイゲンのあばら家にやってきた。
「こりゃあ…」
全員が息をのむあばら家。
「ま、まあ、柱は五寸か、しっかりしてるな、カネ(直角のこと。)は狂ってないようだ、これなら十分使える。テオ柱に筋違い入れるぞ。」
「ああ、わかった。」
「アル、壁はどうだ?」
「隙間に目地込みする必要があるな、屋根はどうかな…」
「待て待て、筋違入れてからのほうが安全だ、どうも信用できんしな。」
「おっと、そうしよう。」
「こっちに、少しだが木材があるんだ。」
俺は、ゼノを連れて奥に向かった。
「そうか、ドアとか穴の開いたやつはむしって替えるぞ。」
「ああ、それでいい。」
西門の周りには、難民の群れがいてめんどくさいので、俺は反対の門に向かった。
もちろん、食い物の確保だ。
森に行けば、ウサギやウルフがごろごろしている。
「チコ、森に行くけど注文あるか?」
「いいよー、獲れたもんでなんとかするから。」
「わかった、見繕ってくるよ。」
どうせ、皮袋に入れてくれば大したことではない。
こうなると、ルイラの恩恵は計り知れないな。
門を出ると、やはりまわりには畑が広がっていて、点々と家もあったりする。
そのむこうは草原で、五〇〇メートル向こうに森がある。
広葉樹の森は、延々と広がっていて、一部針葉樹が固まっているところもある。
俺は、いい天気だし口笛吹きながら、メイスを担いで歩いている。
こういう時は乗り物が欲しいな、移動時間が短縮できる。
生憎、この辺では馬が一番速いんだけど。
王都の兵隊の中には、ワイバーンに乗る騎竜隊と言うのがあるそうだ。
速いんだろうかね?
草原に入って、風魔法であたりの気配を探る。
いるいる…前方三〇〇メートルにウサギが二匹。
おあつらえ向きにこっちには気が付いていないようだ。
そっと草を分けて近寄る。
どうせウサギだ、気がつけば襲ってくるんだから逃げたりはしないだろうけどな。
「それでも、先手が取れるならその方がいいってことさ。」
無詠唱のマジックアローを二本放つ。
こいつは無音だし、早いから便利だ。
もちろん、照準補正が入っているので、狙いは外れずウサギの眉間を貫く。
おそらく、あいつらは自分が死んだことも知らないだろう。
そそくさとウサギを皮袋に入れると、森のすぐ横にでっかい気配。
「なんだ?」
少し顔をあげて、遠くを伺うと、ウシ?
「つか、でかくない?」
とにかく、体重一トンは超えてそうな、バイソンが立っている。
それも複数。
これは怖い。
追いかけられたら、逃げ切れないんじゃないか?
そばには小さな子牛も見える。
親の横で呑気に草を食んでいる。
「あれ、家で飼ったら、ミルク取れないかな?」
そうのんきな話でもなさそうだ、親がこっちに気が付いたようだよ。
「うわ!子供獲りに来たんとちゃうって!」
そんな声は聞こえてもわからんわな。
牛は巨大な角をこちらに向けて突進してくる。
「はや!」
二〇〇メートルなんて、なかったかのごとく目の前に迫るバイソン!
逃げられないとわかったので、かえって落ち着いた。
タイミングを計って、ウシの眉間にメイスを叩き込む。
こっちゃこれが全力だ!
がきん!と音がして、ウシはメイスを食らったが、そのまままっすぐに突き抜ける。
俺は、左によけて角は食らわなかったが、少し袖が破けた。
「くっそう、固てェな!」
俺はメイスを構えなおす。
牛は、すこしだけよろけたが、方向を戻して襲いかかる。
「もういっちょう!」
ごきい!
ものすごい音がして、メイスの先が牛の頭にめり込んだ。
反動で目玉が飛び出しちゃったよ、怖いなあ。
そのおかげで、親牛は横向きにどおっと倒れた。
「回収回収、こりゃ食いでがあるなあ。」
なんて、のんきに構えていたら出てくる出てくる、森の中からバイソンの群れ。
三〇頭くらいいるんじゃないか?
草食動物のくせに、気が荒いんだよ、こいつらは!
しかも、群れで攻撃してきやがる。
「あ~あ、見逃してくれる気はないみたいだな…」
ひときわ大きな個体が、前足で土を蹴りながらダッシュの瞬間を待っている。
来るぞ来るぞ…
「マジックアロー!」
無詠唱の矢を立て続けに放つ。
がいんがいんと音がするが、なかなか刺さらないじゃないか!
俺の魔術がつたないのか、あいつのアタマが固いのか!
おそらく両方!
「アイスランス!」
五秒詠唱のふっとい氷の槍。
こいつでどうだ!
ざくりと音がして、やっと牛の眉間に突き刺さってくれた。
なんで俺がアタマばっかし狙うかと言うと、ほかの所に傷をつけると、買い取りが安くなるんだよ。
皮を使うところが減るんだってさ。
よし、こいつで行くぞ。
「アイスラーンス!」
三〇頭全部倒せるかわからんが、この際皮がどうの言ってられない。
数が多すぎるので、乱れ打ち気味にランスを打ち込む。
どうせ、照準なんかいいかげんでけっこうだ。
固まっているんだから、うちゃ当たる。
乱れ打ちすぎた、全部死んでるがグスグスじゃん。
「まあいい、回収してと、子牛は逃げてないなー。」
全部で四二頭。大猟だ~。
腰が抜けたか、ぶるぶる震えている。
俺は、皮袋からロープを出して、子牛の首に巻いた。
「ほら、来いよ。」
なんとか尻を持ち上げて、小さな子牛を引っ張って戻ることにした。
子牛も、二~三回ケツ蹴飛ばしてやったら動き出したからな。
大きな角も、けっこう需要があるんだってさ。
武器屋で、ナイフを一〇本ほど買い込んで、西の門に向かう。
今日の大猟は、神様のおめぐみだろうさ。
門の前には、やはり中に入れない難民の群れが、所在無げに座り込んでいる。
「おい、だれか代表者はいるのか?」
そのへんのおっさんに声をかけた。
「なんだあんたは、さっきのにいちゃんじゃないか。」
「ああ、あんたは代表者か?」
「いや、ヘルムさん、こいつが話があるってさ。」
「ああ、なんじゃ?」
五〇がらみの白髪の勝ったおっさんが前に出た。
「わりい、なにもないがこれでも食ってくれ。」
俺は、ウシを三〇頭出して、ヘルム爺さんの前に積んだ。」
「牛か!」
「ほら、解体用のナイフもある、今日の所はこれでも食わしてやってくれ。」
「あ!ありがたい、みんな!くいもんもらったぞ!解体するから集まってくれ。」
わっと殺到する難民。
「皮はよけといてくれ、あとで使う。」
「ああ、すまんな礼を言うよ。」
「なに、獲れ過ぎた獲物さ、心配するな。」
俺が東門に戻りかけると、向こうから馬に乗った、赤い服の男がやってきた。
従者を一〇人ぐらい従えて、ころころ太った小ずるそうな男だ。
一目でお友達になりたくないな。
「おいおまえ。」
「おれ?」
「そうだ、おまえでおじゃる。余計なことをするな、難民などここにとどまられても困るであろう。」
「そうはおっしゃいますがね、三日もなにも食わないで走って来たんですよ、どこかに行くにしても空腹じゃ動けませんよ。」
「それは、ワシのあずかり知らぬことでおじゃる。ワシの町の前で、うろうろすることは許さんでおじゃる。」
なんだこいつ、義理も人情もないやつだな。
「おじさんだれよ。」
「こら!領主様だ!マゼラン伯爵様だ!」
おつきの兵隊が、勝手に答える。
うっとおしい。
「ウチの殿様かい?魔物が二〇〇匹も攻めてきたのに、兵隊の一人も出さなかった…」
「出さなかったのではないのじゃ!準備していたのでおじゃる。」
「出さなかったことにかわりはないさ!それで俺やアランに任せて、ほったらかしたと。」
「おまえがでおじゃるか?」
「ほかに誰がいる?あんたがもたもたしてるうちに、オーク鬼が城門を破ったら、おもしろいことになっていたな。」
俺は、獰猛な笑いを乗せて、伯爵を見上げてやった。
「なんでおじゃる?」
「オーク鬼は二〇匹以上いた、その上オークキングみたいなやつが一匹混じっていて、苦労したぜ。」
「オークキング…」
「あんなのが襲ってきたら、この町もおしまいだったな。」
「…」
殿様の顔がじゃっかん蒼くなった。
「ま、兵隊さんが優秀だから、そんなのへでもねぇよなー。」
俺は、さっき吠えてた兵隊に目をくれた。
兵隊は兜に隠れてはいるが、顔色がすっと白くなった。
「言いよるのう、お前もそれなりの覚悟があるんでおじゃるな。」
殿様、こんどは顔が赤くなってる、おまえさんは歩行者信号かっちゅうの。
「はあ?殿様ぁ俺にケンカ売る気かよ。この町の兵隊を全滅させる気か?俺は強いぞ。」
「おい、若造!きさま伯爵様に向かって!」
腰巾着が、馬の前に出た。
「やるかい?」
俺は、メイスを持ち上げて、兵士に詰め寄った。
「まあよい、お前たち、それを食べたら、そうそうにここを立ち去るでおじゃる。ここには、お前たちを食べさせるほどの食料はないのじゃ。」
「ないのか?」
「あまり備蓄はないでおじゃる。そろそろ麦の収穫だしのう。」
殿様は、困ったように眉毛を下げた。マジか?
「そうかい?殿様は丸いがな。」
「ふん、貴族とはこういうものでおじゃる。王都に救援を求めるがよいでおじゃる。」
「ああ、それなら商隊が王都に向かったので、報告は頼んだぜ。」
「ふん、余計なことを。まあよいでおじゃろう、ならばそのうち王都から兵士も来ようでの。おまえが倒したので、魔物もいないのでおじゃろう?」
「まあ、街道筋はわからんが。」
「ならば、町に戻っても心配はあるまいのう。自分たちの町に帰るがよい。」
殿様は、馬を返すと、言いたいことを言って立ち去った。
「殿様、せめて麦粥くらいだしてやったら?」
「おまえが食わしているではないか。」
「一食だけさ。」
「まあよい、町に帰るなら麦粥など出してやろうほどに。」
「さすが殿様、かっこいい!」
「ふん。」
殿様は、少し顔を赤らめると、髭をこすって帰って行った。
「おまえ、いい気になるなよ。」
兵隊の隊長さんは、俺を睨みつけて殿様の後を追った。
おまえなんか一〇〇人来たって、平気だよ!
おどしにもならないでおじゃる。
「う~ん、ちょっとな~。」
「若い人、いいのかい?」
ヘルム爺さんが、心配そうに声をかけたが、どうせおれもあんたらと一緒で、帰る家もない。
「いいかどうかはわからんが、言っちまったもんはしょうあんめえ。さあ、みんな食えよ。」
俺は、ちょっと心配ごとがあるので、早々に職人街に戻った。
「うし~?」
チコとニコは、俺の連れている子牛にびっくりしている。
「牛獲ってきたが、喰うか?」
「食うよ!どこ?まさか、この子?」
チコが、子牛を指さして聞く。
「いや、親牛はここにある。」
袋から出すと、みんなびっくりしている。
「ひ~ふ~一二頭!こんなに食べ切れないじゃない。ギルドに卸したら?食べる分だけもらってきて。足一本くらい。」
「そうか、じゃあギルドに行ってくるよ。ああ、ウサギが二匹いる。」
「そいつは、こっちで捌くわ。置いて行って。」
「ん。」
ギルドに行くと、受付嬢に呼ばれた。
「ユフラテさん、ギルドマスターの部屋に行ってください。」
「はあ?めんどくさいなあ。じゃあ、コステロ、これ測ってよ。」
俺は、床に牛を下した。
一〇頭。
「またこんなでっかいのもってくる~!」
ギルドマスターの部屋に行くと、痩せて目つきの鋭いおっさんがいた。
「ユフラテか、おまえ、伯爵ともめたって?」
「もめてねぇよ、ちょっと牛が獲れ過ぎたから、難民にくれてやっただけじゃん。そしたら殿様が来て、難民にどっかいけって言うのさ。」
「そりゃ、あの伯爵なら言うだろうな。」
「だから、メシぐらい出せよって言ってやっただけじゃん。」
「だけじゃんって、お前もたいがい口が悪いな。」
マスターは、肩をすくめてみせた。やっぱ、こいつも冒険者アガリだな。
「自分だけいいもん食って、ころころ太ってるやつは許せないんだよ。」
「それはわかるが、トラブルはギルドにも影響する、自重しろ。」
「わかったよ、どうせこの町は出るつもりだ。」
「どこへ行く?」
「ああ、ちょっと気になるから、レジオの町に行ってくる。魔物が全部こっちに来たかわからんからさ。」
「そんなこたあ王国の仕事だろう。」
「王国の軍隊が出たって噂は聞こえてこないぞ。ギルマス!」
俺はギルドマスターをねめつけた。
「そりゃあ、昨日の今日だからな。」
「それじゃ遅いんじゃないかな?いやな予感がする。」
「嫌な予感?」
「ああ、ここのセコイ殿様は、気に入らんが、災いを自ら招き入れることもないさ。」
「そういうことか。」
「本音を言えば、チコとチグリスが無事なら、俺に文句はねえ。」
「なるほど、まあ、トラブルを回避するにはいいかもしれんな。」
「ああ、だから俺はレジオの町まで旅してくるよ。」
「まあ、アランが向かった方向だから、心配はいらんだろうが、途中から街道が分かれるから、気を付けろ。」
「わかった、善は急げだな。チグリスに相談する。」
「ああ、そうしろ。俺は、トラブルの種が減ってありがたい。」
「ちぇっ、弱腰だな、ギルマス。」
「そう言うな、事務方にまわると、保守的になるんだよ。」
「へっ、またくるでおじゃる。」
俺はギルドを出て、職人街に向かった。
「レジオ?ユフラテ行っちゃうの?」
「ああ明日、レジオに行ってくる。」
「帰ってくるのか?」
「ああ、そのうちな。歩いているうちに、忘れ病ももどるかもしれんし。」
「そうか、引き留めはせんが、お守り代わりにそのメイスはくれてやる。」
「ありがとう、大事にするよ。」
「せっかく買った家はどうするの?」
「ああ、そいつはゼノたちがなおして住むさ。ギルドカード持ってるんだから、この町で商売できるし。」
「それでいいの?」
「いいさ。そのうち自分で仕事を見つけるだろ?俺だっていずれはここに帰るよ。それまでには、家もきれいになおっているだろうさ。」
それを聞いて、チコは安心したようだ。
「チグリス、ちょっといいか?」
「ああ。」
俺はチグリスを連れて外に出た。
「さっき、ちょっと殿様ともめてんだ、しばらくほとぼりを冷ますつもりで、旅に出るんだ。あとの始末は頼む。」
「へん、伯爵も職人街にゃ手を出せんさ。万が一の時は、おれが何とかする。」
「すまない、それからこれは牛を売った金だ、預かってくれ。」
皮袋(魔法がかかってない。)に入った金貨を、チグリスに渡す。
「どうするんだ?」
「ゼノたちが、困るといけないので、残していくのさ。ラルの暮らしもあるし。」
「わかった、あいつらの世話も心配するな。」
「すまん、せっかく恩返しできると思ったのにな。」
「なに、そいつは十分にもらったさ。お前のおかげでずいぶん楽しかった。」
「…」
俺たちは、家に戻った。
「チコ!その辺から皮袋出してくれ。」
「これでいい?」
職人の家である、商売用の皮袋はいくつもある。(金銭のやり取りには、皮袋を使うんですよ。)
「これでいい?五枚くらいあるよ。」
「よしよし、これでいい。」
俺は、テーブルに乗せられた皮袋の上に手をかざした。
横合いからチコが覗き込んでいる。
俺の手から、魔力の流れが、皮袋に向かって放たれる。
でも、そんなもんけっこうな魔術師でないかぎり、見えるもんじゃねえけど。
やがて、皮袋は『魔法の皮袋』に変わった。
「容量は家1軒分のが五枚か、これなら使い勝手がよかろう、チコ、これはしまっておいてくれ。何かの時に使えるだろう。」
それが、夜逃げの荷物を入れるときでもな~。
「すっごい、簡単に作るね!」
「まあな、ルイラの教え方がうまかったんじゃないのか?これぐらいすぐできるよ。」
「ユフラテは、それで商売ができるよ。」
「まあ、こいつは何かあったとき、商人にでも売ればいいさ、なにがしかの金になる。」
「ありがとうユフラテ。」
「ラルのこと、頼む。あいつは天涯孤独だ、ほかに頼る人もいないから。」
「大丈夫よ、ごはんくらい食べさせてあげるわよ。」
「すまない、こいつを預けておくよ。」
俺は、銀貨の入った袋をチコに持たせた。
チグリスに渡したものとは別だ。
「どうするの?」
「ああ、あいつが腹空かせていたら、なんか食わせてやってくれ。」
「心配性ね、まかせて。」
俺は、家に向かった。
「ゼノ!どこだ。」
「ああ、ここだよ。」
二階からゼノが下りてきた。
「すまん、急にレジオに行くことになった、家のことは任せてもいいか?」
「レジオ?あそこは魔物であふれているぞ。」
「それが本当か、確認に行ってくる。少し留守にするが、その間はみんなでここに住んでいてくれるか?」
「それはかまわないが…危ないぞ。」
「だいじょうぶだ、危険になったら逃げるさ。それから、これはバイソンの肉だ、みんなで食べてくれ。」
「うお!ウシか、ありがたい。ああ、馬小屋に小さい馬車があったからなおしておいたぞ。」
「へえ、どれどれ?」
馬小屋には、横幅が五尺で行きが一間くらいの小さな馬車があった。
上にかんたんに幌が立っている。
「これは使い勝手がよさそうだから、なにかの商売につかえそうだろ?」
「本当だ、ロバでも買ってくるかな。」
「ユフラテー、いるか?」
母屋からチグリスの声がする。
「裏だ、こっちだよ。」
「おお、ここか。」
チグリスも厩にやってきた。
「ほう、これはいい馬車だな、おまえが?」
「ああ、ちょっと壊れていたから、なおしてみた。」
「いいできじゃないか、車軸もしっかりしている。幌があるから、雨が降っても安心だな。」
「これでレジオまで行けるかな?」
「そうだな、のんびり行っても三日で着く。そうだ、この前買った若いロバを使え。」
「ええ?」
「うちに三匹もいらんし、この馬車ならロバ一匹でも十分だろう。」
「そうかな?」
「お前のロバだ、遠慮なく使えよ。」
変に遠慮しても悪いしな、使うことにした。
その夜は、みんな集まってウシでイッパイやることになった、こっちでも牛はごちそうらしいな。
「兄ちゃん!、レジオに行くなら俺も連れて行ってくれよ。」
ラルがすがるような目で俺を見る。
「だめだ、危ない。」
「兄ちゃんがいれば、危ないことなんかないよ、それに馬車のめんどう見る奴がいるだろ。」
「それもそうだな、おれは馬車が使えない。」
「しょうがねえ兄ちゃんだな、馬車のことはまかせとけよ。」
なし崩し的に、ラルが着いてくることになった、まあなんとかなるか。
「ラル、このナイフを持って行け、俺が鍛えたやつだから、よく切れるぞ。」
「うわー!いいのかおっちゃん!」
「いいさ、こいつでロバを守れ。」
「うん!」
初めての自分のナイフに、一〇歳のラルは舞い上がった。
「ユフラテ、六尺とメイスのほかに、こいつを持って行け。」
チグリスが出したのは、反りの入った片刃の剣。どう見てもそれは、カタナだった。
「これは…」
「いい出来だ、ちょっとやそっとじゃ刃こぼれしないぞ。」
「すまん、俺が欲しかったのはこれだよ!大事に使う。」
ちょっとうるっと来た!
「ユフラテさん、家のことはまかしてくれ、帰るまでにしっかりなおしておく。」
「ああ、心配してないよ。ゼノは、俺が戻るまでこの家を管理してくれ。ここを根城に商売初めてもいいしな。アルとテオも、ここに住んでいいぞ。」
「いいのか?」
テオが俺の顔を見る。
「レジオに帰ることができなきゃ、どっかで暮らさなきゃならんだろ?しばらくは、ここにいればいいさ。」
「すまない、ユフラテ。」
「ありがとうユフラテ。」
「サリー、こいつらが家を汚さないように、よく見張ってくれよ。」
「まかせて。」
「まかせて。」
ニコも、両手を握って答えた。
翌日、鹿島立ちである。
教会の前で俺は、一枚の金貨をゼノに握らせて、家の修理を任せることにした。
「こんなに信用していいのか?」
「それ持って逃げたなら、それはそれでいい。俺の見る目がなかったってことさ。」
「ちぇっ、堂々とそういうことを言うな。逃げられなくなる。」
「はは、そうだな。それから、これは道具袋だ、厩一軒分くらい入る。テオとアルにもあるぞ。」
「おい!これ一個で金貨五枚はするぞ。」
「いいじゃん、あるものは使え。これがあれば、重い道具を持って歩かなくてもすむぞ。」
「そりゃあ、これだけデカければ、材料だって簡単に運べるしな。」
「この町で大工するなら、それもありだろ。道具だって増える。」
「ありがてえ、この恩はかならず返す。」
「気にするな、俺の気まぐれだ。」
「ばかやろう、恩義には恩義で返すのが漢ってもんだ。」
ゼノは目にいっぱいの泪をたたえて言う。
「俺も、がんばるよ。」
テオは、情けなく眉毛を下げた。
「…」
アルは、なにも言えない。
「サリー、この袋にはまだ牛が二頭入っている、みんなに食わしてやってくれ。」
「ユフラテさん。」
俺は、そのまま馬車の御者台上がった。
「ユフラテ、気を付けてね。」
チコも見送る。
「帰ってこい。」
チグリスは、手を差し出した。
「帰ってくるさ、オヤジ。」
「よせやい。」
教会の前の広場で、東門を目指して走り出した。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる