おっさんは 勇者なんかにゃならねえよ‼

とめきち

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第十七話 レジオの復興 ②

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 数日して、王都から司祭がやってきた。
 黒塗りの立派な馬車には、オシリス女神の紋章がデカデカと描かれている。
 馬は四頭だてで、こちらも黒馬が並んでいる。
 御者は、きっちりしたお仕着せで、前に二人。
 後ろの護衛に二人くっついている。
 神殿騎士団だろうか、白金の鎧の騎士が三〇人、こちらは騎馬で随行している。
 いかにも高そうな白いローブをまとった中年の男性が、侍従だろうか黒い衣装の男に手を取られて馬車から出てきた。。
 意外と痩せているのは、精進しているからかな?
 物腰も柔らかく、まじめそうな印象だが、生彩がない。
 こんな状態のレジオに派遣されてくるってところに、そこはかとなく左遷の文字も見える。

 どこに本質があるのかね?
 教会勢力もまずまず生臭いところのようだ。

 まあいい、これで慰霊祭を行うことができる。

 俺は、さっそく面会の申し入れをした。

「はあ?一介の冒険者が司祭さまに何の用だ?」
 門前で、下っ端の禰宜が文句を言う。
 俺よりは年上そうだが、まだまだ下っ端の使いッパシリだ。
 信者に向かってえらそうにしてるんじゃないよ。
「一介の冒険者が、ありがたい司祭さまに会いたくて来てるんだよ、いいじゃねえか。」
「ああ、司祭さまは忙しいんだ、ダメダメ!」
「そう言うなよ、ちょっとだけでいいんだからさ。」
 そう言って、銀貨を二~三枚握らせたら黙った。
「うまく頼むよ。」
「…しょうがないですね、じゃあ、少しだけですよ。」
 そう言い残して、禰宜は教会に消えて行った。
「また~、教会を堕落させるつもりですか?カズマ。」
「そうじゃねえよ、なにごとも潤滑剤ってやつが必要なんだよ。お前には必要ないけど。」
「な!」

 ティリスは真っ赤になって、俺を下から睨みつけた。
 へへ~ん、こわくないよ~。
 かわいいだけだよ~。

「あなたがカズマ殿ですか?お噂はうかがっていますよ。」
 教会で会うことができた司祭は、おっとりした中年だった。
 最初の印象のように、ひとのいい話ぶりで、なんかなつかしい感じがする。
 うちの隣のじいちゃんみたいだ。
 ただ、その部屋の前後には、神殿騎士団が固めていて、厳しい。
 粗末な教会に、場違いな煌びやかさだ。
 このおっさん、けっこうな重要人物なのか?
 それとも、騎士団はこの神官のヘマでも見つけて密告す<チク>る役目なのか?
 ますます油断がならねえな。
「いえ、たいしたことはしておりませんが。」
「おやそうですか?おお、あなたがシスターティリスですね、現代の聖女と言うお話ですよ。」
「や、やめてください、私など一介のシスターにすぎませんわ。」
「おっしゃる。まあ、それはそれで結構ですけど、王都では大層な評判ですよ。」
「そうなんですか?」
「ええ、レジオのけが人を無償で治療して回ったとか…」


 ティリスも言葉に詰まって言いよどんだ。
「それは…」
 だから、途中で言葉を汲んで、つないだ。
「それは、レジオの住民が何も持っていなかったからですよ。」
「はい?どう言うことですか?」
「そのままの意味です、彼らは着の身着のままレジオから逃げ出して、身に何も持って出られなかったのですよ。」
「なんと。」
「そのうえ、魔物たちに後ろから襲われて、一人ずつ脱落していったのです。」
「なんと言うことでしょう。」
「ですから、ティリスは魔力がなくなるまで治癒魔法をかけ続けるしかなかったんです。」
 俺は、懐から一枚の革袋を出した。
「ここに、できる限りの遺骨を集めてきました。数は数えていません。」
 司祭は、いとおしそうに革袋に手を添えた。

 ああ、このおっさんは、心から彼らの死をいたんでいる。
 いいひとなんだな。
「魔物に追われ、必死に逃げたが、力尽きた哀れな命です。」
 司祭は、真正面からうなづいた。
「左様ですね。」
「どうか、この無念の者たちを、司祭さまのお力で慰めていただきたいのです。」
「わかりました。私の力の及ぶ限り、慰霊させていただきましょう。」

 俺は、立ちあがって深く頭を下げた。
「どうかよろしくお願いします。」
 ティリスも、ゆっくりと膝を折った。
「司祭さま、東地区、南地区にも多数の犠牲者が出ております。全体の慰霊祭を行いたいのです。」
「それは良いことです。ぜひ実施しましょう。」
 司祭は、俺の手を上から握って、真剣なまなざしで見つめた。
「は。これは、些少ですが、慰霊祭の足しになさってください。」
 俺は、教会の机から出てきた金貨を丸ごと出した。
 金貨一〇枚と銀貨が数十枚入っている。
 逃げた司祭のことなんか知るかよ。
 ケタクソ悪い金は、こういうことに使ったほうがいいんだよ。
 ティリスをふりかえると、彼女もうなずいて笑った。

「このことが終わったら、俺はレジオを出て行こうと思います。」
 司祭は意外なことを聞いたと言うように目を開いた。
「なぜですか?あなたは、このレジオを解放したのに。」
「こんなやつが、この街にいちゃあ、みんなが暮らしにくいでしょう?」
 俺はレジオの町で、でかいツラして歩く気はないんだ。
 司祭は、複雑な顔をしている。
「私たちは、マゼランで暮らそうと思っているんです。」
「たち?」
「結婚するんです、私たち。」
「おお、それはおめでとうございます。」
「ですから、この街は、この街の人たちで立て直してもらいたいと思います。」
「見事な御覚悟です。」
 そう言って、司祭は立ちあがり、もう一度俺の手を握った。
 司祭の顔は、赤く高潮していた。


 俺には、パリカールの馬車で、ウサギを獲ってるほうがお似合いなんだよ。
 こんなところで、地域の復興なんて荷が勝ちすぎる。
 そりゃまあ、関わった都合上、いろいろ手は出してるけど。
 基本的に、孤児の世話程度で終わらせたい。
 今は、寡婦や老人がいっしょになって、孤児たちの世話をしているけど。
 そのうち、孤児院も作らないといけないし、もちろん寡婦たちが暮らしてゆける環境づくりも必要だ。
 ああ、こんなことばっかし考えているから、抜き差しならなくなるんだ。

 とにかく、今は慰霊祭を無事に終わらせることだな。
 それで、俺とティリスの役目は終わりだ。
 大手を振って、チグリスのところへ帰ろう。
「そうだ、それがいい。」
「なにが?」
「うわ、ティリス!」
 気がつけば、俺は商人の家でティリスとソファに座っていた。
「うふふ、やっと二人きりね。」
「はっ、いつの間に、商人の家に戻ってるんだ?」
「話の都合上よ。」



 世の中って言うのは、理不尽なことしか起こらない。
 長い人生の中で、手に入れた心理だ。
 谷和馬五八才。

 理不尽と言えば、農協と農家の間には深くて暗い川がある。
 農協を通してしかコメを売れない時代が、本当に長く続いた。
 そのせいで、農家はどんどん衰退し、コメの質は低下し、日本人のコメ離れが深刻になった。
 なんていうのは、新聞を読んでいれば当たり前に手に入る知識だ。
 JAの中にいると、もっとアホらしい。
 第一、有機農法なんてものを根っから否定するバカがいる。
 JAが売る、化学肥料だけが唯一のものだと信望するバカだ。

「農協信仰」というやつだ。
 内部にいて、こういう信仰にかぶれると、悲惨だ。
 それが毒でも気にならなくなるんだ。
 俺は、そんな馬鹿が、深みにハマって抜けられなくなるのをずっと見てきた。
 俺は、どっちかと言うと、内部にあってJA否定派だったからな、むっちゃいじめもあった。
 表だって口にしなくても、バレるもんなんだな。

 家には、有機栽培や発酵肥料の資料なんかもあったし、バレるのは当たり前か。
 ま、深く学んだわけでもないがな。
 自由・平等なんてものには、かならず嘘がまじっているものさ。
 農協神話も、表しか見ない奴には、わかりゃしないのさ。



 俺たちは、郊外の畑に来ていた。
 農業は国の根幹だ。
 やはり、食い物があってこその人だよ。


「しかし、痩せた土だよな、これで農耕なんてどこのばかがやるんだよ。」
 俺は、土を握りしめて、がっかりした。
 硬く固まって、べたべたして、栄養のかけらも見えない。
「そんなにだめですかね?じゃあ、森を焼いて新しい畑に切り替えますか。」
 ティリスが聞くが、焼き畑農業かよ~。
 ダメになった畑は使わなくなる。人口が少ないからできることだな。
 でもそれじゃあ、地域の砂漠化が進んでしまう。
「だから、この畑に肥料を入れて、栄養価を上げればいいじゃないかって言ってるんだ。」
「それは、どういうことですか?」
「たとえば、草や木の葉を集めて、発酵させて肥料にするとか。」
「肥料?」
 ティリスは、首をかしげる。
「そういう概念がないのね…わかった、じゃあそこから改良しよう。」
 たぶん、連作障害とか、そんなこともわかっていないんだろうな。
 これは、難事業の予感がするわ。
「はい?」
 ティリスは、わからなかったようで、ぼきゅっと首を折った。


 マゼランもレジオも、農耕はあまり進んでいない。
 なぜかと言えば、やはり栄養と言う概念がわかっていないからだ。
 栄養と衛生は重要だよ。
 人が生きるためにものを食べるように、作物だって水と太陽だけでは育たない。
 そこんところを理解させて、肥料を使うことを覚えさせないと、農業は発展しないだろう。
「そう言えば、家畜は馬やロバしかいないよな。」
「そうですね。」
「おれの居たところには、ウシやヤギやヒツジなんかもいたんだ。」
「牛って、バイソンとかバッファローとか言う、あのおっきいやつですか?」
 ティリスは、両手を広げて話す。
「ああ、力が強くて、畑を耕すのに使ってた。」
 犂<からすき>とか見本がいるな。
 チグリスと、作ろう。
「そりゃあ、力は強いですけど、あんまり大人しくないですよ。」
 確かに、人を見ると敵だと認識して襲ってくる。


「そこで、ティリスの特殊能力、異種族言語理解が役に立つんだ。」
「ああなるほど…って、ウシの言うことまでわかるんでしょうか?」
「やってみないとわからん。」
 どっかのミカちゃんみたいに全部わかるってこともあるかもしれん。
 青竜メルミリアスの言葉はわかったんだから。
「さすがにそれはうるさすぎるでしょう。」
 『聞き耳頭巾』でもそんなこと言ってたな。
「ああ、全部聞こえたら、そりゃかなわんな。」
「意識して遮断できればいいですけど。」
「それ、いいじゃん。」
 訓練しだいで、それも可能だろう。
 聞きたい声だけを聞くとかね。

 レジオの避難民が来た時に、つかまえたバッファローの子牛がまだいればいいんだが。
 ひょっとしてチコのやつ、喰っちまってるんじゃないだろうな。
「くしゅん!」
「どうしたチコ。」
「風邪かなあ?よしよし、あんた良く食べるわね。すぐ大きくなりそう。」
「しかし、ユフラテのやつ、こんなもんどうするつもりなんだ?」
「さあ?太らせてからたべるのかなあ?」
「まあ、なんか考えがあるんだろうさ。」
 子牛は、のんびり草を食んでいた。



 草原に出て、バッファローの群れを探した。
「ぶも~う!」(集まれ~)
 ティリスは、ウシの群れに向かって大声を出した。
「ぶもぶも。」
 なんか野次馬みたいなやつが一頭近寄ってくる。
「ぶも?」(なんだ?)
「あんた一匹だけじゃだめなの、みんな呼んできて。」
「ぶも~。」(ガッテンだ。)
 野次馬が集めてきたバッファローは二〇頭。
 これだけいれば、堆肥作りはかんたんだ。
「こっちだよ~。」
 ティリスに引率されて、畑の中に作った柵に入る牛たち。

「牧羊犬がいらなくなるな。」
「牧羊犬?」
「俺の国では、ウシやヒツジを守ったり、集めたりするのに犬を使うのさ。」
「犬?ってなに?」
「ああ、ウルフの小さい奴。狩りをした獲物をくわえてきたり、獲物を追い立てたりするんだ。」
「へえ~、それは便利ね。」
「だろ?俺は、ここにきて犬がいないことにびっくりした。」
「まあ、人が食べるだけで精一杯だけどね。」

「まあいい、ウシたちはここで俺たちが集めた草を喰ってもらう。」
「ぶも~ぶみぶみ。」
「まあ、ゆっくりしていってくれ。」
「ぶもも~。」
 ティリスは、いちいち通訳していた。
 しかし異種族言語理解って、レベルが上がるとどうなるんだ?
 その点を調べようと、ステータス画面を見てたら、別ウインドゥが開いた。
 異種族言語理解レベルが上がると強制力が発動する。
 命令に忠実に従う。ただし、人間には使用不可。
 …なるほどね、使役することが容易になるのか。



 魔物の大暴走で、オーク鬼やゴブリンがいなくなったのは安全でいい。
 だけど、シャドウ=ウルフなども出てこなくなって、いささか手持ちがさみしい。
 まあ、ウシが襲われなくていいんだけど。
 牛ふん堆肥は、通常三~六か月の間、何度も切り替えしを行って空気を入れることで発酵が進み、黒いサラサラした牛ふん堆肥になる。
 発酵中は 八〇℃の熱を持つので、病原菌は減少し、雑草の種子も死滅する。
 黒く完熟した牛ふん堆肥は、イヤな臭いもしない。
 まずは、草を刈ってそれを二~三〇センチの長さに切る作業が必要だ。

 俺は、教会に行って孤児や寡婦を集めてきた。
「草原の草を刈って集めてほしい。それを、子供たちはこのくらいの長さに切るんだ。」
 みんなを集めて、こまごまと説明をする。
 日当は、ティリスに聞いたら、子供で銅版一枚、寡婦なら二枚ってとこだってさ。
 安いね。

 半日働くと、それこそ草が山盛り出来上がった。
「うわ~、できたなあ。この山が全部で一〇くらいほしいな。」
「じゃあ、一〇日働けますね。」
「そうだな、まあこいつは牛たちに食べさせよう。」
「はい。」
 子供たちは、率先して牛の柵に運んでくれた。
 牛たちは、だまって草を食べている。
「このままここにいてくれるとありがたいがな。」
「牛は、ここでなにをするんですか?」
 ティリスの疑問はもっともだ。
「ここでは、いっぱい草を食べて、いっぱいふんをすることが大事なんだ。」
「フン?」

「ああ、それを草と混ぜて、発酵させると肥料になる。麦や野菜がいまよりずっと育つんだ。」
「へ~、そんなことあるんですか。」
「だからやってる、まあ騙されたと思って見てろ。」
 ティリスは半信半疑で、首をぽきゅっと折った。
 二十歳とはいえ、この国ではもう行き遅れなんだけど、なんかかわいいな。
 昼は、手持ちのウサギをみんなで捌いて提供した。
 なんといっても、寡婦が一〇人もいれば、手際よく作業が進む。
 草刈りより、こっちの方が得意だろう。

「草刈りなんて、初めてやりました。」
 なんて言ってるし。
 普段は、洗濯だの掃除だの、手間なことが多いんだそうだ。
 ローカルな主婦って、やることが多いんだぜ。
 みんな手作業だから。
 まずは、牧畜って言うことから学ぶべきだろうな。

 牛の中には、当然メスも含まれていて、子供がおなかの中にいるのもいた。
 俺は、桶とイスを持って近寄り、ちょっと牛乳を分けてもらった。
 もちろん、ティリスの通訳入りで。
「そんなものどうするんですか?」
「うん、バターやチーズを作りたいんだ。」
 バター二〇〇グラムを作るのに四~五リットルの牛乳を振り続けないとできない。
 ただ、手作りのバターは上品な味わいで、まろやかなんだ。
 むかし、研修で作ったことがある。 
 チーズつくりには、乳酸菌とレンネット(子牛の胃の中にあるタンパク質を固める酵素)が必要だ。
 ま、そのうち手に入れるとしよう。

 なんだかんだ言っても、探せば口の狭い壺なんてものも出てくるもので、
 それに牛乳を入れて、ぶんぶん振り回す。
 とにかく振る。
 振る 振る 振る 振る 振る 振る 振る 振る 振る 振る 振る 振る 
 アカン、ページ稼ぎとちゃうんやから。
 振り回すうちに、バターとホエーに分離する。
「はあはあ、やっとできた。」
「苦労しますねえ。」
 それでもできあがったバターの塊は、ティリスにも好評だった。
 ホエーは、堆肥の山にぶっかけた。
 まだ栄養があるから、きっと堆肥の発酵が進むだろう。

「牛って、いろいろな使い方があるんですねえ。」
「そりゃそうだ、ウシに鋤をつけて畑をひっくり返すことだってできるぞ。」
「すき?」
「ああ、スキだ。そうだなチグリスに作ってもらうかな。」
「チグリス?」
「ああ、マゼランの鍛冶屋だ。すごく腕がいい。」
「へえ、そうなんですか。」

「いっぺん戻るかなあ。」
「マゼランにですか?」
「そうだ、いろいろ片づけることもあるし。」
「レジオの復興は?」
「イチんち二日でどうにかなるめえ、その間は男爵に見てもらうさ。」
「あ、なるほど。」
「慰霊祭の日取りだけ決めてもらって、後はおまかせで。」
 俺が頼むと、ゴルテス準男爵は、うなずいてくれた。
「わかりました、行ってらっしゃい。」

 確かに、ジェシカにレジオの復興について言われたけど、ここに居続けろとは言われてない。
 そのことはまあどうでもいいんだ。
 ただ、世話になったチグリスに、仁義にもとる行動はとれない。
 やはり、人間信頼関係だと思うんだよ。
 そう言ったら、ティリスにうなずかれた。

 ラルのあやつる荷馬車に乗って、来た道を戻る。
 寡婦と孤児たちには、一〇日分の賃金を渡して、残りの仕事を頼んだ。
 ゴルテス準男爵は、寡婦たちの作業のために、護衛の兵隊を三人つけてくれたが、まあ魔物は出ないだろう。
 なんだかティリスもくっついてくる。
 それはまあしゃあないんだけど、教会はいいのか?
「まあ王都の司祭様がやってくれますよ。私なんか、いなくたって困りゃしません。」
「そう言うもんかな?」
「慰霊祭は、月末なんだからまだ余裕があるじゃないですか。」
「そうか、お前がそれでいいなら別に俺がなんか言う立場にはないわ。」
「ジェシカに、あなたが司祭になってって、言われたくせに。」
「そう言えばそうか。忘れてたあはは。」

 かぽかぽと軽快な音がする街道は、良く晴れていた。
 俺は、荷台に置きっぱなしにしていたなめし皮をケツの下に敷いて、後ろをぼおっと見ていた。
 ティリスなんか、寝てやがる。
 踏んだろか、こいつ。
 
 まあ、こうなったのならしょうがない。

「兄ちゃん、あっこの雲、ヤバくね?」
「どれ?」
「あれ、急に大きくなってる、すぐに雨になりそうだ。」
「ヤバいじゃん、屋根がねえし。」
 俺は、馬車から飛び降りて、道のわきに避難小屋を作る。
 急ぎなので、三方向だけ壁があればいい。
 一〇メートル四方の切妻屋根にしてみた。
 厚さも一〇センチくらいしかないが、しばらくは持つだろう。
 屋根も適当だが、硬化をかけたので水に溶けることはないだろう。
 ほどなく、周りが急に暗くなって、いきなりでっかい雷が鳴る。

 どか~んと、とんでもない音がして、平原の向こうに落ちる。
 さすがにロバもビクっとするくらいの、ものすごい雷だ。
 それに合わせて、滝のような雨が落ちてきた。
 なにしろ、目の前に上から下までつながって、うどんみたいな太さの雨だ。
 外にいたら、まず五秒でシャワー状態になる。
 どこもかしこも、濡れてないところがないくらいだろう。
 明り取りに窓を作ったが、これは吹き込んできてだめだ。
 急遽閉じてしまった。
 おかげで薄暗い。
 雨のせいで、夕暮れぐらい暗くなってしまった。


 俺たち三人は、ぼ~っと外を見ているしかすることがなかった。
 激しい雨音は、周りの音すらも遮断して、中で何を言っても聞こえないくらいだ。
 そんな中、ばしゃばしゃと言う足音とともに、黒い影が走ってきた。
「すみません!こちらに入れていただいてもよろしいですか!」
 なんか聞いた声だと思ったら、黒いローブに白いベール。
 マゼランのシスター、アリスティアだ。
「シスター!こんなところでどうしたんです?」
「あ!ユフラテさん!おじゃましてもよろしいですか?急な雨で。」
「ええどうぞ、うわ~、びしょ濡れだ。ティリス、なんか着替えあるか?」
「え~?なんですか~?」
 馬車の荷台から顔を出したが、ほほによだれのあとがある。
 こいつ寝てやがったな。


「シスター=ティリス、どうしてここに?」
「あら、シスター=アリスティア、あなたこそ。」
「二人とも知り合いか?」
「ええ、同じ神殿のシスターですし、マゼランとレジオは近いですから。」
 ティリスは、なにやら事務的に話す。
「シスター、タオルです。これで顔を拭いて。」
 俺は、皮袋からタオルを出す。
「ああ、ありがとうございます。」
 シスターは、頭巾になったベールを外すと、顔をふきはじめた。
 なるほど、濃い色の金髪を一本の三つ編みにして、背中あたりまで伸ばしている。
 小さめの顔に、澄んだ蒼い目、けっこうな美人さんじゃないか。


「あ~、だからいやだったんですよ、私とアリスティアさんはキャラがかぶってるから。」
「はい?」
「まあそう言うなよ、確かに背の高さも金髪もかぶってるけど、なんかお前とはちがうぞ。」
「そりゃあ、アリスティアさんは、貴族の出身ですから。」
「へえ~、貴族?」
 貴族かどうかは別にして、胸の大きさはエベレストと伊吹山くらいちがうぞ。
「いえ、貴族と言っても没落した騎士爵ですから、たいしたものではありません。」
「へえ~、ああ、着替えがいるな、こんなもんしかありませんが、使ってください。」
 俺は、自分のシャツと上着を出した、下がない。
「お前の着替えはどうした?」
「あたし?持ってないですよ。」


「汚れたらどうするんだ!」
「だって、急な出発だったし…」
「はあ、とにかく着替えてください。」
「なんかあたしの扱いがぞんざいな気がする。」
「うるせぇ。」
「うふふ、仲がおよろしいのですね。」
「あたし、このひとと一緒になることにしたの。」
「まあ、おめでとうございます。いつ、そんなことに?」
「それはいいから、先に着替えろよ、俺たちは外にいるから、シスターは幌の中で。」
「ええ、ありがとうございます。」
 分厚いシスターのローブが、雨でくっついてなにやらよからぬふくらみが、はっきりと浮かんでいる。
「ジェシカに匹敵するな…」


 かなりすげえ。


 俺は、ラルと馬車の外で、外を向いて立っていた。
 相変わらず、雨は止まない、つか余計に強くなってねえか?
 このままじゃ吹き込んだ雨でぬれちまうし、寒い。
 俺は、両側の壁を増やして、二倍くらいの大きさにした。
 これでかなりいい感じに仕上がってきた。
 屋根も硬化をかけて、水に強くしたし、壁も硬化をかけている。
 これなら一〇年はもつぞ。
 ついでにベンチも作った。
「兄ちゃん、無駄にスゲーなあ。」
「無駄いうな。」
 ふたりでベンチに座って、袋から出したマキに火をつける。
 真ん中に、囲炉裏みたいに作ってみたんだ。
「腹減ってねえか?」
「そう言えばハラ減ったな、そろそろ昼か。」

「おい、ティリス、腹減ってねぇか?」
 中に声をかけると、ティリスはなにやら困ったような声を出している。
「ああぅ、ちょっと待って、シスター大きすぎでしょこれは!」
「そうですか?邪魔なんですよねえ、肩コルし。」
「む~、女性の敵ですね!」
 なにやら不穏な発言が…ティリスは、そこそこだからな。
「おふたりさん、お茶飲むかい?もうじき沸くけど。」
「は~い、いただきます。」
 アリスティアは、陽気に答えた。
「ちょ!そんなかっこうで外に出ないで!」

 シスター=アリスティアは、素肌に俺のダンガリーシャツを着ただけの格好で出てきた。
 腰にはスカートのように、大きな布を巻いている。
「そりゃあ、刺激的だよ。」
「だって、ほかに着られるものがないんですから。」
「だから、そのかっこうで外に出ないでって、言ってるじゃありませんかー!」
 ティリスは、あわてて後を追ってきた。
「ほら、これでもかけていてください、その下すっぽんぽんなんですから。」
 ティリスは、俺の上着を持ってきた。
「ぶ!」
「ほら、カズマも反応しない!」

 二人はわいわい言いながら、幌から出てきた。
「で?シスターは、こんなところで何してたの?」
「ええ、死んだ方の供養です。ほら、その辺にぼろきれとか落ちているじゃないですか。」
「供養って、夜になったらどうするんだよ、この辺魔物はかなりやっつけたけど、安全じゃないぞ。」
 俺が言うと、アリスティアはのんきな顔してうなずいた。
「そのへんの木の下で寝てました。」
「はあ…」
 あきれるティリス、まあ、俺もあきれたが。
「あ~、いくらオシリスの加護があっても、魔物にゃ効果ないよ。」
「でも、もう二日目ですけど、魔物の陰もありませんわ。」
「それは、俺たちがやっつけたから!でも、凶暴なウサギとかは、まだ生き残ってますよ。」
「はあ…」
「それに、野盗とか出てきたら、いくらシスターだって無事じゃすまない。」
「はい…」
「もうこんなことは、ひとりでしないでくださいね!」

 二人で小一時間こんこんと説教する。

 シスター=アリスティア涙目。

 なにしろ、このシスターは、オシリスの加護があるからって、一人で草原を供養して回っていたそうだ。
 かんべんしてよ!
「身に着けていたもので、形の残っているようなものは、拾ってきました。」
 そりゃまあ、そのくらいしか残っていないんだよね。
 なにしろ、魔物の群れに追いかけられていたんだから。
 途中で、食われちゃったんだよ。
「へえ~、俺たちもかなり拾ってきたけどね。ラルと二人で、火葬にして骨を拾って壷に入れてきたんだ。」
「まあ!そうなんですか?」
「ああ、先日レジオに来た、王都の司祭さまに預けてきたよ。」
「まあ、それは良いことをなさいましたね。」
 シスターアリスティアは、聖印を切る。


 シスターは、小さな皮袋を持っていた。
 どうも、規模は小さいが魔法の革袋のようだ。
 バケツ五杯分くらいか?
「ぼろの周りには、少しですがお金も落ちていました。」
「まあ、そりゃあ供養に対する寄進だよ、もらっておきなさいよ。」
「そうでしょうか?」
「教会も、資金潤沢って訳じゃない、孤児たちもいる。悪いことじゃあないよ。」
「そう言っていただけるなら、教会に持っていきます。」
「それでいいですよ。この人、ジェシカ様から神託受け取っているんです。特に間違ってはいないと思いますよ。」

 ティリスが言うと、急にアリスティアはその場にひれ伏した。
「そんな方とはつゆ知らず、失礼をいたしました!」
 ああ、そんなかっこうで土下座なんかすると!
 ぷるん
 …と音がしたかどうかは別にして、凶悪な武器が顔を出した。
「うわ!デカ!」
 ラルくん、正直な感想ありがとう。
 子供だから、あんま反応しないね。
「コラ!カズマ!見るな!見たかったら、後であたしがみせてあげるから。」
 ティリスくん、それは大声で言ってはいけないです。
 だいたい君のとでは、破壊力がふたケタ違います。
 口にはしないけど。
 小一時間と言うもの、強烈な雨は降り続き、俺たちはその間に小屋の中で昼ごはんにした。
「ユフラテさんの皮袋は大きいんですね、どのくらい入るんですか?私のは、バケツ六杯くらいの大きさしかないんです。」
「ええまあ、これは教会ぐらいの大きさがあります。」
「ふえ?」


 そりゃあ・びっくりするよな。
「ちょっとそれ貸してください。」
「ええ、はい。」
 アリスティアはすぐに差し出してきた。
「ふうん、汎用品で…魔力の流れは、これくらいでどうかな?」
 みょみょみょみょみょ
 俺の手から魔力が流れる。
「あの…」
 アリスティアが、不安そうな声をかけてきた。
「はいできた、これでこの皮袋の中は、教会くらい大きくなりましたよ。」
「ええ!どうして?」

「この人の空間魔法は、けっこうじょうずなのよ。あたしも作ってもらったけど、べらぼうな魔力よ。」
「まあ、そうなんですの?オシリスさまのお導きですね!」
 まあ、そのとおりだよな、オシリスからもらった力だし。
 どうにも、納得はいかないけどさ。
 俺は、苦い顔をしていたろう。
「まあ、そうとも言う。」
 なんちゅうか、転生者ってどうも魔力の増加がマストらしくて、どこを向いてもすっげえ魔力が強いんだよな。
 そりゃあ、主人公なんだからちったあヨロクがあってもいいよな。


「そう言えば、腰のものが変わってるよね。」
 ティリスが、いまさらなことを言う。
「ああこれ?教会の前にぶっ刺さってたよ。ほら、石の台座があってさ。」
 俺は、剣を抜いて見せた。
「それって!聖王剣ランドルじゃないですか!」
 ティリスは呆れている。
「だって、ジェシカが抜けって言うんだもん。」


「…言うんだもんって、それ五二〇年前に創生王が刺したっていう伝説の剣ですよ。」
「そ、創生王さま!」
 またもや、ずざざざっとひれ伏すアリスティア。
 ほらほら、また飛び出すって、ぷりんと…
「そんなたいそうなもんじゃないよー、俺はただの風来坊だし、ランクFだし。」
「でも、その剣を抜いたものが、次の創生王だと、もっぱらの噂で。」
「うわさだろう?誰かが決めたものでも、法律になっている訳でもないだろ?」
 どうせ、たいした噂じゃないんだよ、子供のおとぎ話みたいにさ。

「それはそうですが…」
 アリスティアは、イマイチ納得のいかない顔をしている。

「ああ、でも教会はそう言っていません?アリスティア。」
「そうです!教会では、それが通説になってますよ。」
 そうなんだ、おとぎ話じゃなくて…
「それにしてもだ、そんなことジェシカは言ってなか…わからんな、ポチっと。」
『なんですか?カズマ。』
「創生剣ってさ、どっかに記述があるの?これ抜くと、王様って。」
『ちょっと待ちなさい、そちらに行きます。』
 ほどなく、土づくりの小屋に、ジェシカが降りてきた。

『お待たせしました。』
 壁から上半身を出して、ジェシカがやってきた。
「ああ、どうも。でさ、この剣って、どうなの?」
『創生剣ランドルですか、そうですね、王都の教会には伝記が残っているはずですよ。』
「そんなもん俺に抜けって言ったの?」
『だって、手近に武器なんてなかったんですもの。』
「間に合わせかよ!」
『それ、抜いたからって、どうしても王様にならなきゃいけないってものでもないですよ。』
「そうなの?」

『創生王は、この剣は国を守る者が持てばよいと言っていたわ。』
「それってなによ。」
『ゆうしゃ?』
「勇者なんかなりたくねーよ!わかった、これは台座に戻す、ちょっと手間だけど戻るだろ?」
『え~?勇者、いいじゃないですか、女の子にモテモテですよ。』
「いらん、めんどくさい。」
『め、めんどくさいって…』

「金も地位もたいして魅力にはならんしな、自由がなくなる。」
 それは実感だよ。
 特に金はないけど、責任はあったからな。
『そこまで言われると、なにも言うことがありません。』
「ちっさい村でも、むちゃくちゃ面倒な奴が多いのに、なにそれ国?ゴメンだわ!」
『そこまでおっしゃられると、私としてもどうしていいやら…』
「だって、オシリスだって言ったじゃん、自由にすればいいって。おれは、俺の周りの人と幸せであれば十分なんだよ。」
「欲がないですね。」
 それまで黙っていたティリスが、急に口を挟んだ。
「欲は、人生をみじめにする。」
「へえ、そういうものですかね?」


「そうだよ、おい、ジェシカ、急に出てくるから二人が固まってるぞ。」
『あら?』
 ラルは、口を半開きにして、呆けたと言う表現がぴったりだし、アリスティアはプリンを出したまま、地面に膝をついている。
『じゃあ、ランドルについてはカズマさんに一任します。刺しかえすならそれでもいいようにシステムを準備します。』
「ああ、それでいいよ。だいたいレジオの復興だけでも大仕事なんだぜ、まあ、あれは司祭さまや男爵さまがやるからいいけど。」
『王都じゃ、大騒ぎになってますよ、一万匹の魔物を一人で退治した英雄が出たって。』
「なんだよそれ!」

『だって、ゴルテス準男爵の報告書は、包み隠さず出しちゃったようですよ。』
「包み隠さずって…そりゃまあ、嘘じゃねぇけどさ。」
『しょうがないですね、聖痕(スティグマ)もちですし、ランドル抜けちゃったし。」
「ぜんぶあんたのせいに聞こえるのは、俺の勘違い?」
『いえあの…』
「か・ん・ち・が・い?」
『すみません、そのうち補佐を送りますので、いましばらく堪えてください。』

「はあ~」
 俺は、深いため息とともに、ジェシカの顔を眺めた。
「くっそ、こんど変なルートに行ったら、そのチチもみまくるぞ!」
『ひ!』
 ジェシカはあわてて自分の胸を両手で隠したのち、消えて行った。



 すみません、今回の投稿には筆者納得できていません。
 後日、改訂版で載せかえたいと思っています。
 大筋では、動きませんが、笑って御寛恕願いたいと思います。
 勝手ですみません。
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