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第2編皇帝陛下と軍制改革
第5章夜会(前編)
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それからしばらくして楊ちゃんの虫歯が治った。
楊ちゃんはいつもにまして元気だった。
そして私の寝台を跳び回っていった。
「流石は陛下。良い寝台を使っているわ。飛び跳ねると、すごく高く跳べるもの」
悠々も楽しそうに飛び跳ねていた。
「ミー。ミー。」
私は言った。
「仕事の邪魔だよ。というか、飛び跳ねないでよ。結構高いんだよ、その寝台」
楊ちゃんは言った。
「全く。つれないわねー。皇后がこうして寝室を訪ねてきたのよ。やることは一つに決まっているでしょう。」
私は考えた。
皇后が皇帝を訪ねるという事は本来ありえない話しだが、皇帝と皇后が寝室でする事といえば普通は夜伽だろう。
しかし、当然のことながら私と楊ちゃんの間に肉体関係は無い。
そのため、夜伽ではない。
そうなると、全く想像がつかなかった。
私は言った。
「何?」
すると楊ちゃんは機嫌を損ねたのか、頬を膨らませていった。
「お泊り会に決まってるじゃない。夜通し遊ぶのよ。」
絶対、分かるわけない。
皇后とお泊り会をする皇帝なんて私は聞いたことが無かった。
私は言った。
「それは分かんないよ。でもお泊り会は良いかも。最近、ずっと府兵制の件で働きづめだったからね。じゃあ楊ちゃんのお部屋でやろうか。」
それを聞いて楊ちゃんが言った。
「良いわね。双六をしましょう。夜通し遊ぶわよ。大量のお菓子と果物を持ってきなさい。」
恐らく楊ちゃんは、ここ数日甘いものが食べられなかった分を取り返そうとしているのだろう。
その結果、また虫歯になりそうな気もするが、そういう事を言って、自省する狐でない事は良く分かっているため、私はなにも言わなかった。
ちなみに双六とはさいころを使って駒を進めて遊ぶ、遊びで最近女の子の間で大流行している遊びである。
双六の升目を書いた絵の周りに果物やお菓子を置いて、それを食べながら、遊び、おしゃべりを楽しむのだ。
楊ちゃんと私はこの遊びが気に入っており、時折、二人で双六を行なっていた。
すると楊ちゃんは言った。
「あと、二人じゃ面白くないからもう一人連れてきなさい。女の子が良いわね。好きな殿方の話で盛り上がったりしましょうよ。」
好きな殿方の話?
私はお義兄ちゃんだし、楊ちゃんには閻王という夫が居る。
盛り上がるのだろうか。
まあそれ以前に問題がある。
女の子の当てが無い。
私が皇帝になってから後宮はやめてしまったし、側室も居ない。
それはそうだ。
私はお義兄ちゃん一筋だし、女の子を愛でる趣味はないからだ。
それだけに、女の子の知り合いは皆無に等しかった。
もっとも殿方を寝室に入れることは淑女を自負する私としては抵抗がある。
そこで私はすぐに李林甫を呼びつけた。
そして私は李林甫に言った。
「お前。最近、汚職してるだろう。全部分かっているぞ」
それを聞いて李林甫は焦った表情を見せた。
本当は証拠など持って居ないが、絶対やっているだろうと思ったら案の上だって様だ。
そして李林甫は言った。
「全く身に覚えがございません。」
私は言った。
「言い訳は良い。時間の無駄だ。それよりも、お前に命令がある。それを聞けたら許してやろう。」
李林甫は言った。
「なんでしょうか?勿論、私は汚職などしておりませんが、陛下のご命令とあらば、どんな事でもする覚悟でございます。」
私は言った。
「そういえば、お前は随分ともてるらしいな。」
それを聞くと李林甫は冷静な表情で言った。
「はい。私は顔が良いですし、女性の求めている言葉を言い、求められている事をしますので」
あいかわらず、鼻に付く男である。
私はそれを聞いて言った。
「よし。じゃあ、お前の知り合いの女の子の中で、一番可愛い女の子を連れて来い」
私は李林甫に女の子を紹介してもらうことにした。
ちなみに、可愛い子を要求したのは私の趣味である。
美人なのに李林甫なんかに惚れている女性に純粋に興味が有った。
すると私の命令を聞いていた李林甫は困惑した表情を見せた。
しかし、何か思いついた様で、得意げに言った。
「ついに女性に目覚められたのですね。私は前から陛下にはそちらの面の才覚があると思っておりました。ちなみに年下と年上はどちらがご所望ですか」
私は思った。
李林甫という男は顔が良くなかったらきっと、ろくなものにならなかっただろう。
もっとも今がろくなものであるかといわれると微妙だが。
私は言った。
「外れだ。その得意げな顔はやめろ。単純に女の子同士でお泊り会をするが、もう一人位、女の子が欲しいだけだ。」
すると李林甫が言った。
「そのお泊り会というのはどの様なことをなされるのですか?」
私は李林甫の質問を無視し、命令に従う様、強く言うことも考えた。
李林甫にあまり普段の生活を知られることが嫌だったからだ。
しかし、女の子の方も呼ばれる際に、理由が分からなかったら不安であるかもしれない。
それこそ、李林甫の様に側室にされると疑うものが出てきてもおかしくない。
そこで李林甫に内容を教える事にした。
私は言った。
「双六だよ。双六。双六をやりながら、お菓子と果実を食べて夜な夜なおしゃべりをするのだ」
すると、李林甫は考えるように呟いた。
「夜な夜なおしゃべりですか。」
そして私を真っ直ぐ見て言った。
「是非、私をそのお泊り会に参加させていただけないでしょうか。」
私は思った。
李林甫は馬鹿なんじゃないだろうか。
なぜ私が、この男と、楽しく双六などしないとならないのだ。
私は言った。
「良いか。私は可愛い女の子を連れて来いと言ったのだ。お前は可愛いのか?」
すると李林甫は言った。
「母は私の事が可愛いといっています。」
私はやっぱり科挙って大事だなと思った。
学力があればここまで、頭の飛んだ発言をすることも無いであろう。
まあ、そういう官僚に女の子を紹介しろとはいえないだろうが。
私は呆れて言った。
「それは、親だからだ。私はお前が全く可愛くない。良いか。もう一度言うぞ。女の子を連れて来いよ。」
李林甫はそれを聞くと残念そうな表情を浮かべた。
どうやら相当、お泊り会に参加したかったらしい。
そしてしばらく考えた後に言った。
「私とその女性の二人で参加するというのはいかがでしょうか。」
こういう時下手な希望を与えてはいけない。
こういう男は希望があれば際限なくつけあがる。
だから私はきっぱりと言った。
「お前はいらない。」
李林甫は再び考え込んだ顔をした。
しかし、決断をしたのか、搾り出すような声で言った。
「かしこまりました。手配いたします。」
そしてその日の夜になった。
私と楊ちゃんは既に部屋に入り、準備を進めて女の子の到着を待った。
私は楊ちゃんに言った。
「ねえ。いくらなんでもライチの量が多すぎない?また虫歯になるよ。」
すると楊ちゃんが言った。
「大丈夫よ。私の歯は丈夫だから。分からないけど、もう2度と虫歯にはならないはずよ。それに双六をするのに、ライチが無かったら楽しい双六が台無しだわ。」
そういうと楊ちゃんは歯を私に見せてくれた。
美しい歯並びだが、良く見ると端の方に牙が生えており、獣と美女を両立させている楊ちゃんらしい歯だなと思った。
あともう2度と虫歯にならないことは絶対にない。
かわいそうだけど、あとで私と一緒に歯磨きをさせようと思った。
「すみません」
私達がそんな話をしていると中から女の子が入ってきた。
美しい黒髪と高い身長、そして綺麗な声。
しかし、私が目を奪われたのはそこではない。
その女の子がどう見ても女装した李林甫であったためである。
楊ちゃんはいつもにまして元気だった。
そして私の寝台を跳び回っていった。
「流石は陛下。良い寝台を使っているわ。飛び跳ねると、すごく高く跳べるもの」
悠々も楽しそうに飛び跳ねていた。
「ミー。ミー。」
私は言った。
「仕事の邪魔だよ。というか、飛び跳ねないでよ。結構高いんだよ、その寝台」
楊ちゃんは言った。
「全く。つれないわねー。皇后がこうして寝室を訪ねてきたのよ。やることは一つに決まっているでしょう。」
私は考えた。
皇后が皇帝を訪ねるという事は本来ありえない話しだが、皇帝と皇后が寝室でする事といえば普通は夜伽だろう。
しかし、当然のことながら私と楊ちゃんの間に肉体関係は無い。
そのため、夜伽ではない。
そうなると、全く想像がつかなかった。
私は言った。
「何?」
すると楊ちゃんは機嫌を損ねたのか、頬を膨らませていった。
「お泊り会に決まってるじゃない。夜通し遊ぶのよ。」
絶対、分かるわけない。
皇后とお泊り会をする皇帝なんて私は聞いたことが無かった。
私は言った。
「それは分かんないよ。でもお泊り会は良いかも。最近、ずっと府兵制の件で働きづめだったからね。じゃあ楊ちゃんのお部屋でやろうか。」
それを聞いて楊ちゃんが言った。
「良いわね。双六をしましょう。夜通し遊ぶわよ。大量のお菓子と果物を持ってきなさい。」
恐らく楊ちゃんは、ここ数日甘いものが食べられなかった分を取り返そうとしているのだろう。
その結果、また虫歯になりそうな気もするが、そういう事を言って、自省する狐でない事は良く分かっているため、私はなにも言わなかった。
ちなみに双六とはさいころを使って駒を進めて遊ぶ、遊びで最近女の子の間で大流行している遊びである。
双六の升目を書いた絵の周りに果物やお菓子を置いて、それを食べながら、遊び、おしゃべりを楽しむのだ。
楊ちゃんと私はこの遊びが気に入っており、時折、二人で双六を行なっていた。
すると楊ちゃんは言った。
「あと、二人じゃ面白くないからもう一人連れてきなさい。女の子が良いわね。好きな殿方の話で盛り上がったりしましょうよ。」
好きな殿方の話?
私はお義兄ちゃんだし、楊ちゃんには閻王という夫が居る。
盛り上がるのだろうか。
まあそれ以前に問題がある。
女の子の当てが無い。
私が皇帝になってから後宮はやめてしまったし、側室も居ない。
それはそうだ。
私はお義兄ちゃん一筋だし、女の子を愛でる趣味はないからだ。
それだけに、女の子の知り合いは皆無に等しかった。
もっとも殿方を寝室に入れることは淑女を自負する私としては抵抗がある。
そこで私はすぐに李林甫を呼びつけた。
そして私は李林甫に言った。
「お前。最近、汚職してるだろう。全部分かっているぞ」
それを聞いて李林甫は焦った表情を見せた。
本当は証拠など持って居ないが、絶対やっているだろうと思ったら案の上だって様だ。
そして李林甫は言った。
「全く身に覚えがございません。」
私は言った。
「言い訳は良い。時間の無駄だ。それよりも、お前に命令がある。それを聞けたら許してやろう。」
李林甫は言った。
「なんでしょうか?勿論、私は汚職などしておりませんが、陛下のご命令とあらば、どんな事でもする覚悟でございます。」
私は言った。
「そういえば、お前は随分ともてるらしいな。」
それを聞くと李林甫は冷静な表情で言った。
「はい。私は顔が良いですし、女性の求めている言葉を言い、求められている事をしますので」
あいかわらず、鼻に付く男である。
私はそれを聞いて言った。
「よし。じゃあ、お前の知り合いの女の子の中で、一番可愛い女の子を連れて来い」
私は李林甫に女の子を紹介してもらうことにした。
ちなみに、可愛い子を要求したのは私の趣味である。
美人なのに李林甫なんかに惚れている女性に純粋に興味が有った。
すると私の命令を聞いていた李林甫は困惑した表情を見せた。
しかし、何か思いついた様で、得意げに言った。
「ついに女性に目覚められたのですね。私は前から陛下にはそちらの面の才覚があると思っておりました。ちなみに年下と年上はどちらがご所望ですか」
私は思った。
李林甫という男は顔が良くなかったらきっと、ろくなものにならなかっただろう。
もっとも今がろくなものであるかといわれると微妙だが。
私は言った。
「外れだ。その得意げな顔はやめろ。単純に女の子同士でお泊り会をするが、もう一人位、女の子が欲しいだけだ。」
すると李林甫が言った。
「そのお泊り会というのはどの様なことをなされるのですか?」
私は李林甫の質問を無視し、命令に従う様、強く言うことも考えた。
李林甫にあまり普段の生活を知られることが嫌だったからだ。
しかし、女の子の方も呼ばれる際に、理由が分からなかったら不安であるかもしれない。
それこそ、李林甫の様に側室にされると疑うものが出てきてもおかしくない。
そこで李林甫に内容を教える事にした。
私は言った。
「双六だよ。双六。双六をやりながら、お菓子と果実を食べて夜な夜なおしゃべりをするのだ」
すると、李林甫は考えるように呟いた。
「夜な夜なおしゃべりですか。」
そして私を真っ直ぐ見て言った。
「是非、私をそのお泊り会に参加させていただけないでしょうか。」
私は思った。
李林甫は馬鹿なんじゃないだろうか。
なぜ私が、この男と、楽しく双六などしないとならないのだ。
私は言った。
「良いか。私は可愛い女の子を連れて来いと言ったのだ。お前は可愛いのか?」
すると李林甫は言った。
「母は私の事が可愛いといっています。」
私はやっぱり科挙って大事だなと思った。
学力があればここまで、頭の飛んだ発言をすることも無いであろう。
まあ、そういう官僚に女の子を紹介しろとはいえないだろうが。
私は呆れて言った。
「それは、親だからだ。私はお前が全く可愛くない。良いか。もう一度言うぞ。女の子を連れて来いよ。」
李林甫はそれを聞くと残念そうな表情を浮かべた。
どうやら相当、お泊り会に参加したかったらしい。
そしてしばらく考えた後に言った。
「私とその女性の二人で参加するというのはいかがでしょうか。」
こういう時下手な希望を与えてはいけない。
こういう男は希望があれば際限なくつけあがる。
だから私はきっぱりと言った。
「お前はいらない。」
李林甫は再び考え込んだ顔をした。
しかし、決断をしたのか、搾り出すような声で言った。
「かしこまりました。手配いたします。」
そしてその日の夜になった。
私と楊ちゃんは既に部屋に入り、準備を進めて女の子の到着を待った。
私は楊ちゃんに言った。
「ねえ。いくらなんでもライチの量が多すぎない?また虫歯になるよ。」
すると楊ちゃんが言った。
「大丈夫よ。私の歯は丈夫だから。分からないけど、もう2度と虫歯にはならないはずよ。それに双六をするのに、ライチが無かったら楽しい双六が台無しだわ。」
そういうと楊ちゃんは歯を私に見せてくれた。
美しい歯並びだが、良く見ると端の方に牙が生えており、獣と美女を両立させている楊ちゃんらしい歯だなと思った。
あともう2度と虫歯にならないことは絶対にない。
かわいそうだけど、あとで私と一緒に歯磨きをさせようと思った。
「すみません」
私達がそんな話をしていると中から女の子が入ってきた。
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