転生して最強になった青年の異世界冒険

文字の大きさ
16 / 19
第二章 後悔はしたくない

後悔せずに

しおりを挟む
 僕らが思い付いたのは、船で脱出するまでの作戦だった。元々、ある程度モンスターを減らせればと思って放った『カーテナ』の技だった。
 のだが、思いの外、僕の空想が強かったようであっという間にモンスターを飲み込み、消滅させた。

「ご、ごめん…ここまでいくとは思わなくて」

 僕は今、その良い意味で予想外の事が起きた一件で皆に頭を下げている。
 あらかじめここまでの威力が出ると分かっていたのなら伝えていたが、正直初めて使用する技だったので伝えずにおこなってしまった。
 結果、皆、心底驚いて危うく巻き込まれる所だったのだ。もちろん、技は僕の妄想、空想次第なので敵味方は判断できるはずなのだが。

「あんなすげぇ技出せるなら言えよっ、俺のすぐ横を電流走って行ったんだぞ⁉」
「…良く考えなさいよ、レオンにとっても予想外の事だったってだけでしょ」
「そうですよ、カーテナを今まで使うのを避けていたなら技にも慣れてなかった可能性も充分ありますから」
「…うん、アリーシャの言うとおり」

 とりあえず皆には弁明をしておき、後で食事でも奢ることにして状況をまとめておく。

「…モンスターは消えたけど、街はボロボロだし住民がすぐ戻ってくることもないよね…」
「それよりも、ノヴィグレンの長に話をすべきかと」
「…あー、管理長?それなら西部の機械の町コットスにいるって言ってた」
「どうしてそんなとこに居るんだよ」
「…機械が守るおかげでモンスターが来ないからだって。管理長、昔から自分の身を最優先するから」

 それだけ聞くと、自己中であまり長として相応しくないように思えるが、とりあえず仕事はする人だということだ。

「じゃあそのコットスに向かって、管理長さんに話をすれば任務終了かな」
「特に報酬もねぇのに此処までする俺らってほんと…お人好しだよなぁ」
「僕が帰るための方法探しがメインで、冒険者はついでだけど救えるならいいじゃないか」
「レオンさんは正義感が強くていいですね、アトラスとは違います」
「……私的にはレオンの方が好みよ」
「っな!俺はそんなに駄目!?」

 またもガックリと頭を下げ、落ち込んだアルの背中を擦ってやりながら、アリーシャの船へと向かう。
 訪れた時と同様、水の膜で船を包み、守りながら港まで戻る。
 コットスは陸続きのため、また馬で駆けることにして僕らは久しぶりの休みを楽しむ。

 船が港につき、僕らは船から降りるとアリーシャは船の船長のため抜けることになった。その前に食事を奢ってから別れる。

「ありがとう、アリーシャ」
「いえ、私も皆さんと一緒に行きたいのですが…船がありますので、何か海を渡るときは来て下さい」

 微笑みながら頭を下げるアリーシャに手を振り、僕らは馬に飛び乗った。もちろん、ラミリアも一緒なのだが。

「…えっと、どうして僕の馬に?」

 既にラミリアは僕の後ろへと乗って腰に手を回している。

「だってレオンとアトラスだったら断然レオンの方が紳士でしょ」
「どっちも変わんないよ…」

 仕方なく馬を走らせる。ずっと後ろからアルの冷たい目線がものすごく気になってはいたが、何となく触れてはいけない気がして必死に無視し、コットスへと向かった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生特典〈無限スキルポイント〉で無制限にスキルを取得して異世界無双!?

スピカ・メロディアス
ファンタジー
目が覚めたら展開にいた主人公・凸守優斗。 女神様に死後の案内をしてもらえるということで思春期男子高生夢のチートを貰って異世界転生!と思ったものの強すぎるチートはもらえない!? ならば程々のチートをうまく使って夢にまで見た異世界ライフを楽しもうではないか! これは、只人の少年が繰り広げる異世界物語である。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

処理中です...