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第二夜 思い出の場所
しおりを挟む夕兄に、子供の頃よく遊んだ場所――森の奥の大きな木に呼び出されて。
目的地に着かなきゃいいのにと思いながらとぼとぼと歩く、私の心は重かった 。
あんな……写真撮ってるなんて。
エッチな事をした時は、夢中で。
感覚だけが支配していた時は気が付かなかった、写真という無機質なモノに移されると冷静になる。
一気に、あんな事をしたことが怖くなった。
生々しい気持ち悪い、姿。
あんなイヤらしい写真を撮るなんて。もしかしたら夕兄は、昔の夕兄じゃなくなってしまったのかもしれない。あの昔のままの優しい夕兄だと思って、もしかしたら……夕兄も私の事をちょっぴり苛めただけで好きだったなーんてなのかもと、ちょっと心の中に甘い期待があった、のに。
でも現実は、あんな酷い写真を勝手に撮ってる。
残酷に、もっともっとひどい事をされるのかもと、考えはどんどん暗くなる。
まるで男子が夢中で読んでる、エッチな青年漫画のように、女性をまるでモノのように後先考えずに好き勝手オモチャにするように、私もされるんだろうか。
昨日、逃げて隠れた時に言われた、追いかけてきた男みたいな人達数人を、今度は本当に相手しろとか言われるのかも、とか。
怖い。
あの写真をネタに、どんな要求をされるのか……。
どんどんどんどん、最悪の予想ばかりしてしまったので、夕兄が一人で約束の場所に待っていてくれたことにさえほっとしてしまう。
「やっと来たね」
そう、笑顔で夕兄は私を迎えた。
その顔は、昔と同じで優しいのに。
「もう、あんな事、しないよ。……お願い、止めて、写真も消して……」
「あんなに腰をくねらせて、おねだりしてたのに?」
「ち、ちがっ……!!」
違わない、でも否定したくてたまらない。
あんなの、あんなの……。
「可愛いから、撮ったんだ」
「か、可愛いって。あ、あんな写真っ!」
「オレのお気に入りの一枚なんだけどな。それ、消してもらいたいんだったら、 それ相応のことして欲しいんだけど」
「写メだけはっ……人に見せないで!!」
「そうだね、最近のスマフォは便利だよね、ボタン一つでそういう掲示板に投稿できる」
「!!」
優しい表情を浮かべているのに、言葉は無慈悲だ。そして、手はスマホをよどみなく操作し始める。
あの画像が、色んな人に見られるなんて。怖くてたまらない。
じわりと涙があふれてくる、膝ががくがくして止まらない。
でも頑張って夕兄をじっと見る、お願い止めてって気持ちを込めて。
「やめて……っ、お願い、ゆうにぃ……」
「うーん。どうしようかな」
「お願い、なんでもするから」
小さい頃の記憶がフラッシュバックする。
いつも、夕兄にわがまま言ってべったりとくっついて、あの頃のようにお願いしたら、昔みたいに助けてもらえると、許してもらえると、そう期待して。
でも。
「じゃ、ここで一人でやってる事見せて?」
「え?」
「何でもするんでしょ? さ、みせて」
「一人でやってるって……?」
「そう、一人エッチだよ、ひーちゃん」
あくまでもその笑顔は優しかった。
昔の思い出そのままに。
私は、いやいやながらも夕兄に言われるままに、Tシャツをおへそまでめくり上げ、両手で胸を触っていった。
フロントホックのブラをかちりと外し、外に見えないように直に揉む。
自分を慰める行為。
もちろん、自分で胸を揉むぐらいで感じるはずなんてない、ないはずなのに。
森の中といっても、大きな木の周りは少し開けていて、外でこんな姿を誰かに 見られたらと思っただけで、いや、目の前の夕兄の視線を感じただけで変な感覚が増す。 乳首がそそり立って、自分で胸を触っているのに、だんだん下半身がうずいてくる。
そして夕兄はそれだけでは満足できないと、下を触ることを「お願い」してき た。
森の中に入るために、ジーンズで来た私は、まだスカートだったら、見えなかったのに。そう思っても、もう遅い。ジーンズのフロントボタンを恐る恐るはず し、ファスナーを下げるその隙間から、ブラとおそろいのショーツが見えた。
ちらりと、おそろいにしてきてよかったとか思ってしまう。
今の私の格好、お間抜けで、でもとてもイヤらしい姿。
そこに触るのをためらっている私に「何でもできるんだろう?」と悪魔が囁く。
エッチな気分になった時も、自分で触るのは怖かった「そこ」に指を入れる事を強要されて。
こわごわと、下着に手を差し入れて、指で触る。
「っ!!」
少し触れただけでびくりと、鋭い感覚が体に走って、すぐに手を引っ込めた。
するとやってくる刺すような視線に、また下着に手を入れる……そこはねっとりと、濡れていた。
――入れてしまったら、後戻りはできない。
理性が働くのはそこまでだった。
予想通り指を入れてしまえば、すんなりとそこは指を受け入れる。その心地よさに狂ったように強い刺激を求めて、ここがどこで、誰の前で、こんなエッチな事をしているのか、忘れてしまったように指を動かす。
もう立っていられなかった。ペタンと地面にへたり込むと、右手は刺激を求めてもっと奥へと……左手は自然と胸の頂を責める。
「あ、あ、あんっ……っ!」と、理性を失った獣のように、私は声にならない 。
ゆびだけじゃ足りない。
もっと、もっと――奥に欲しい。
「ゆぅ兄ぃ……」
私は、とろんとした目で、夕兄を見つめた。
昨日のように――。
「欲しい、よ……」
「じゃあ、俺をその気にさせて? ひーちゃんだけ楽しんじゃダメだよ」
そういって私の前に、立ってズボンのジッパーを下げる。
そこにあるのはパンパンになった、ボクサーショーツ。
その中にあるもの。
「舐めて?」
まるで、催眠術にかかったみたいに、心が麻痺していた。
何の葛藤も無しに、私は手を伸ばす。
初めて近くで見る、男の人のモノ。
ミミズ? それとも大きいウィンナー? とかよく言われる不思議な形をした奇妙なモノ。これが――昨日私の中であんなに気持ちよく動いていたんだ、そう思うと 夢中になった。正気なら気持ち悪い、汚いと思ってしまってできない行為。
「優しく扱って」と言われて舐める、両手で包み込むように握って。舐める。舐めていない場所がないように念入りに。その口に広がる苦さも気にならない。舐めている途中に、下半身がじんじんして 、舐める事に集中できなくなる。
「ほら、もっとおねだりしてくれなきゃ、俺も萎えちゃうよ」
私はジーンズを脱ぎ捨てると、もう意味をなさないぐらいぐちゃぐちゃに濡れた下着もためらいなく脱いだ。大きな木に片手をつくと、お尻を夕兄に突き出すポーズを とる。片手をお尻に伸ばし、さらに誘うようにお尻の肉をかき分けて陰部を晒す ――ここに、入れてほしいって。
冷たい外の空気にさらされるのも、見せちゃいけないものを見せてるんだと、強く気付かされてきゅんと感じてしまう。
小さい頃、無邪気に木登りをして遊んだ木で……何てことしてるんだろう。
でも、もう我慢ができなかった。
「おねだりが上手いな、すっごいエロい」
そんな私のおねだりが効いたのか、夕兄はすんなりと私のお尻をつかんだ。
そしてゆっくりと挿入する。
「……っふあんっ!」
待ち焦がれた感覚、下半身が一気に痙攣する。
でも――入れてくれても、動かない、動かなくてじれる。私は顔だけ動かして夕兄を伺うように見ると、そこにあるのは余裕な顔。
「でも、もっとエロい姿見せて?」
私は我慢できなくて、木に両手をついて、自分から刺激を求めて腰を振る。初めは恐る恐る……次第にもっと欲しくて大胆に。
「あ、あっ! 夕にぃ! も、気持ちよくなって、る?」
「!」
夕兄にはもどかしかったんだろう。急に、夕兄が片足を持ち上げて、もっと深い角度で、深くつながるようにグイグイと中を蹂躙する。
あ、お腹。お腹にまで――響く。
あんまりにも感じすぎて、乳首がはじけ飛びそうなぐらいそそり立ってる。
「あーぁ、きもち、いい、よっ! いいっ! いいぉ。ゆ、にぃ」
「このまま――出すよ」
出す?
気持ちよさに支配された頭は鈍い。
私はその言葉を理解するのに時間がかかる。
出された先の事。
出すって、ナカに?
「へ、え……あ、ダメっ……やぁ」
「じゃあ、抜こうか?」
夕兄が遠ざかる感覚に、反射的に夢中で引き止める。
「や、抜かないで、いやっ! だめぇ」
「……ん、どうする?」
動かしてくれるのに、今抜かれたら、やだやだやだっ――――。
私の思考はもう下半身で考える、ケダモノだった。
後のことなんて考えられない、考えられるのは、今のこの快楽だけ。
「あ、いれてああ―――――つ! 出してっ、ナカで出していいのっ! いいのっ!」
「っ!」
――イッて、頭が真っ白になる。
気が付くと、裸のまま、木の幹に寄りかかっていた。
でも、夕兄の上着を羽織っている。
(もしかして、夕兄がかけてくれたの、かな?)
優しくしてくれたり、意地悪だったり。一体、夕兄はどういうつもりなのか。 聞いてみようか。私の事、本当はどう思ってるの、どう思って、こんなことするの?
「今日も、十分エロかったよ」
「夕兄にっ、だけだよ……こんなになるのっ!」
「本当? 他の男にも腰振ってるドエロ女じゃないの」
ひどい。
だって一昨日まで男の人を知らなかったのに、処女だったのに。
何で、そんなひどいこと言うの? 知ってるくせに。
急に、夕兄の本心が恐くて、聞けなくなる。
遊びだと、おもちゃのように思っていると言われたら――。
そう思うだけで、私はぐずぐずと、泣いてしまう。
そんな私を無視して、夕兄は木の幹に置いていた、スマホを拾って操作し始める。
「これで、画像消すね」
気持ち良くなることばかり考えて、すっかり忘れていたぼーっとした頭で、ああ、本当に消してくれるんだ、と嬉しくなった。
でも。
『あ、いれてああ―――――つ! 出してっ、ナカで出していいのっ! いいのっ!』
「動いてる方が、魅力的だからね」
スマホから流れる、私の声。
まさか、動画を撮られていたなんて。
脚の間から流れ出る夕兄の痕跡が、途端に現実を突きつける。
(私、私っ……、また)
もう――何も考えたくなかった。
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