夜を這うモノ達

狭雲月

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第二夜 その後――夕夜視点。

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 やりすぎた――。

 こんなはずじゃなかった。
 でも理性で止まらなかった、ひーちゃんとヤりたくてたまらなくて、そして同じぐらい……いやそれ以上に泣かせたくてたまらない衝動に、抑えが利かなかった。

 好きだから――苛めた。

 そうネタバラシをするはずだったのに。
 今までの行動はプレイの一種にするつもりだったのに。

 何をされるかわからない恐怖。
 そんな顔でびくびくする彼女に、ふらりと、悪戯心が止まらなくなった。

 写メや動画を撮った理由だってそう。
 脅すために言った事は、全部嘘。
 ひーちゃんのあんなかわいくてエロイ姿、誰にも見せるはずがない、見せたくない。
 視た奴がいたら目を潰してしまうだろう、いや、息の根を止めたくなる程の独占欲。
 こっちがそう思ってる事なんて知らないから、必死で止めるひーちゃんの姿が愛おしくなる。

 もっと、許してって懇願する瞳。
 それが見たくて、告白ネタバラシよりも――最低な方法を取る。

 脅して言いなりにする。
 ひーちゃんの方からオレを求めさせるように、お願いという強要。
 昨日まで処女だった癖に、段々と快楽の虜になって、正気を失っていく乱れっぷり。
 俺のをくわえるためらいのなさに、嬉しくなって、出そうになるのをこらえたのに。
 あのおねだりは――木に手をついての立ちバックは反則だった。
 一番好きな体位で自然と俺を誘い込む、雌の姿。
 俺が欲しいと求めている、瞳。
 こんなに追い詰めて、無理矢理始めた行為のはずが、あっさり淫らになっていくひーちゃんに。
 快楽がそうさせてるだけで、相手は別に俺じゃなくてもいいんじゃないかという苛立ちが募る。
 もしかして、他の男が脅しても、こうやって応えるのかと。

 ――身勝手にも、憤った。

 処女だってまぎれもなく、俺が奪ったのに。
 股から流れる紛れもない破瓜の血に、興奮したと言うのに。
 他の男の痕跡なんて全くないのに。
 もっともっと俺は脅さないと、ひーちゃんが離れて行ってしまうんではという危機感に陥る。

「破綻してるな」

 動画はこっそり楽しもうかと思っていたのに、写メを消したと知ってほっとするひーちゃんの顔を見ると、つい存在を明かしてしまう。
 その安堵の表情を消したいが為に。
 案の上、動画の存在を知るとひーちゃんは涙目だった。
 顔を真っ青にしてこちらを、うかがう瞳は、混乱している。その中に微かに宿る、こちらを信じたいと言う輝きが消え去りそうな危うさ。

 帰り道、ひーちゃんを家まで送ったけれど、反応は鈍くて。
 差し出した手を取ってもらえない程、自分を怖がっていた。
 どうしていいかわからない、途方に暮れた顔。
 行くことも戻る事も出来ない。

 そのびくつきに――もっと弄びたいという鎌首がもたげる。 

 きっとそれは、ひーちゃんの許容量を超えてしまうだろうという、誘惑。
 かすかに残る輝きは消えるのか、残るのか。彼女を壊してしまう、それでもいい、そんな姿が見たいと思う心と、戦う。

(これ以上は、さすがにダメだな)

 明日は、きっと我慢できない。
 明日は、彼女を壊してしまうだろう。
 精神も肉体も粉々に。

 理性が働かなくなってきた。

 明日は、第三夜――祭りの最終日の満月は、もっとも人を狂わせる。
 そう考えて。


「はは、そうか、俺って馬鹿だな」


 苛立ちの原因の一つに、答えが出る。
 でもそれは――解決にはなっていないけれど。

 これ以上「祭」の熱気に充てられないうちに。
 オレはスマホを手に取ると予約送信するためにメールを打ち始めた。

 
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