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賞金稼ぎ部(ハンティング・クラブ)編
炙り出し作戦 修正編
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思わず溜息を吐く。どうして、あの執事は大きな声を上げて入り口から逃れようとしたのだろうか。あの筋肉質の体型を活かして、そのままねじ伏せてもらいたいのだが、あの様子を見る限りはそれも難しいかもしれない。
と、言っても彼を見殺しにはできない。私は大きく肩の力を落としてから、拳銃を地面の中に放り落とす。
「これで文句は無いでしょう?もう私には抵抗する意思はないわ。ピーターを離しなさい」
その言葉を聞いて、相変わらずニヤニヤとした笑顔を男達は浮かべている。
それどころか、覆面の男は背中に背負っていた長銃を肩から下げ終えると、その銃口を私達に向けて、
「どうだろうな?毒婦メアリーを降参する振りしてぶっ殺したっつー噂を聞くからな。アンタの武装解除はイマイチ信用ならん」
顎の下を覆い隠している弟に男は同調して、口元の右端を吊り上げてから、あの大きくて厚い舌で唇の周りを舐め回しながら、
「そうだ。脱げよ。スッポンポンだったら、武器を隠しようもないしな」
私はその言葉を聞いて、両頬が赤く染まっていく事に気が付く。
まごう事のない羞恥の色。同時に私の両手の拳がワナワナと震えていく。
彼らには然るべき報いを受けさせなければならない。だが、目の前で捕らえられているピーターも救わなければならない。
その両方を私は実行しなくてはならないのだ。それが、王女というものの責務だろう。
だが、この場では従うしか無いだろう。私は強く唇を噛み、制服であるロングドレスのジッパーを下げようとした時だ。
「死ね、クズども」
二回ほど、乾いた銃声が店内に響いた後に、両手に持っていたと思われる拳銃を手で回しながら、一人の端正な顔の男が現れた。
眼鏡をかけた鋭い両目の青年は私と先生を一瞥してから、フンと鼻を鳴らして、
「ウェンディ・スペンサー。Gクラスの劣等生でありながら、賞金稼ぎ部のメンバーに選抜され、ウィリアム・ウィルソン事件と私設警察隊事件を追う女ガンマンか……下らんね」
眼鏡の男はそれから、地面であまりの恐ろしさに怯えているピーターの体を力強く蹴って、地面で蹲る彼にもう一度強い蹴りを喰らわせようとした時だ。
「待ちたまえ!」
と、射撃の先生が入り口の前にまで詰め寄り、彼の胸ぐらを掴む。
「言え、何をしようとしていた?」
「……先生、感情移入をしながら、ゴキブリどもの世話をするうちに頭から爪先までゴキブリに染まってしまったんですか?コイツは魔法の使えない一般人のくせに、我々〈マジシャンガンマン〉の足を引っ張った。これだけで、私が蹴る理由になるでしょう?」
「やっていい事と悪い事があるだろうッ!第一、キミは何の権限があって……」
先生がそこから先の言葉を述べる前に、彼は先生を乱暴に突き飛ばし、着ていた制服をパンパンと叩いてから、懐から一枚の紙を取り出す。
それを見た瞬間に、先生も、いや私でさえもその場で固まってしまう。
入り口に現れた眼鏡をかけた顔の良い男はその掛けている眼鏡を人差し指で上げ直して、
「生徒会執行役員のゴードン・レッドウッズと申します。以後、お見知り置きを」
ゴードンはそう言うと、丁寧に頭を下げて二人の男の死体を見回してから、私と教師の方へと向き直り、
「この二人の死んだ訳と死体の引き取りの処置はあなた方に任せましたよ。私はウィリアム・ウィルソン事件についての処理がありますから」
ゴードンはそう言うと、履いていた黒色のブーツの爪先を反り返して、入り口を出て外へと向かう。
私と先生、そして、他の生徒達はゴードンが出ていく様をぼんやりと眺めていた。
私と先生とで地面に倒れているピーターを助け起こしている時だ。酒場の前が馬の蹄の音やら地元の保安委員の局員の人間の話声と思われる声で騒がしくなったかと思うと、保安委員の彼らは酒場に入り、三体の悪人の死体を担ぎ上げて、それらの死体を馬へと乗せていく。
それから、保安委員の人間が事件の説明をするために、近くの警察署へと来るように指示を出す。
保安委員の方々に銃を突きつけられながらの道中は快適とは言えなかったのだが、署の方で向こうが先に銃を抜いた事や、ピーターを人質に取っていた事が私や他の酒場の生徒の証言により証明され、私や先生、ピーター、そして他の生徒達は釈放される事になった。
そして、時計の針が深夜の時間帯を指していた事からか、はたまた事件の調書を取るために時間をかけ過ぎたための詫びのためか、私達は警察署の馬車を使用して、自宅へ送られる事になった。
その馬車に揺られている途中で、同席していた私とピーターに先生は不意に語り出す。
「私はね、幼い頃からヒーローが好きだった。それは今でも変わらないけれど、でも、幼い頃の私はより一層その強い存在に憧れていたのさ、でも、当然、弱い人を守るためには強くならなくちゃあいけない。だから、がむしゃらに頑張った。射撃に魔法に、馬術。どれも、自分をヒーローにしたい一心で頑張った。だから、ぼくは西部一の賞金稼ぎになったのだと思う……」
私はあの時の会長から語れた言葉が再度、頭の中に響いていく。
帝国内で野人を虐めていた役人の射殺事件。それ以後は彼は王国に匿われ、この学校で射撃教師の仕事に就いている事。
それらの事実が全て頭の中で復唱されていく。
だが、私の復唱はピーターの手によって遮られてしまう。
「カッコいいですッ!先生は本当にヒーローみたいです!ほら、あの巷で噂の私設警察隊見たいな!」
私はピーターの口から何気なく発された言葉を聞いた時の射撃の教師の顔を忘れはしないだろう。彼の顔は哀しげなものであった。
だが、直ぐに顔に微笑を貼り直して、
「ありがとう。でもね、私としてはあのやり方に賛同はできないな。彼らのやり方は考え方は正しいかもしれないのに、無謀なテロを起こして支持者を減らす反政府主義者達と何も変わらない。確かに、外道は容赦なく殺されるかもしれないが、やり方というものがある。わざわざ、死体を置き去りにするなんて……」
私は確信した。先生は白だと。彼は過激な考えを持ちながらも、学校教師に就任してからはやはり、一線を引いていたのだ。
と、なると……。私は頭の中で新たに浮上した容疑者の名前を口に出そうとした時だ。
乗っていた馬車がノックされる音が聞こえた。
ノックに気が付いたと思われる保安委員の人間はゆっくりと馬車を停止させたらしい。
街の真ん中で馬車を停めるというのはあり得ないので、ここは警察署のある場所と学院前の街との間の道なのだろう。
私が馬車から降りると、そこには賞金稼ぎ部の部長、エマ・ダーリングが真剣な顔を浮かべて立っていた。
「どうしたんですか?部長」
「やられたわ……」
部長の言葉に秘められた意味を察し、私の顔は思わず引きつってしまう。
「どういう事ですか?部長」
「ウィリアム・ウィルソンだッ!二回目の殺人が街の雑貨店で起きたんだよッ!」
その言葉を聞いて、私と馬車に居た全員が顔を見合わせる。
だが、それ以上に驚いたのは馬車を運転していた保安委員の人だったらしい。
彼は両目を開きながら、
「どういう事だ?それは……?」
「聞いた通りですよ。あなた方が居なくなった後に第二の犠牲者が学院前の街で起きたんですよッ!」
私はそれを聞いて、雷で打たれたような衝撃を受けてしまう。まさか、捜査の前の日にウィリアム・ウィルソンが事件を起こすとは。
そう感じた瞬間に、私の口からは無意識のうちに呪詛の言葉が出ていた。
「下衆め、いつまでもお前の好きに出来ると思うなッ!必ず、ウィリアム・ウィルソンの正体を白日の元に引き摺り出してやるわ!」
私の言葉をその場に居た全員が聞いていた。
「計画は順調かね?」
学園前の街の下宿の一室。周りは貴族が使うものかと思うほどの煌びやかな調度品や家具、客をもてなすために設置されたと思われる小物に囲まれており、また建物自体も三階建てとこの世界における最高の技術を用いての建築物である。
一見、ホテルかと思うような高価な部屋であるのだが、これさえも生徒のために用意された下宿であるというのだから驚きであろう。
ここを利用するのは学院の方で優秀な成績を修め、魔法学の最先端をゆく生徒か、或いは金持ちであるのに、落ちこぼれと断定された生徒であるかの二択である。
前者は学院からの金であるのに対し、後者は親に頼ってのものであり、同時に基礎魔法の使えないという溜飲を下げるために使用していた。
だが、先程、窓の外を眺める中年の男に質問を問い掛けられた生徒に至っては金持ちであるという点も優秀な生徒であるという点も当てはまっており、彼に不足はないと言っても良かっただろう。
だからこそ、彼は口元を緩めて、
「ええ、計画は順調です。あの死体は全員がウィリアム・ウィルソンの死体だと思うでしょうね」
「ふふ、そうか、やはり、お前を魔法学院に派遣して成功だったな」
男は窓の前から高価なデスクと椅子の右横に置かれた棚からワインとワイングラスを取り出し、机の上に置くと、ワインを注ぎ、優秀な駒へと褒美を渡す。
「飲みたまえ、私からの信頼の証だ」
「ありがとうございます。父上……」
端正な顔立ちの眼鏡の男、いや、ゴードン・レッドウッドは父から受け取ったワインを受け取り、美味そうに飲む。
彼は勝利の美酒を味わう。なんと旨い味だろう。心の底から湧き上がる快感が彼を奮い立たせていく。
「ふふ、礼はいらん……それよりも、当日の手筈は万全だろうな?」
「問題はありません。生徒会や賞金稼ぎ部は全て、伯爵家に捜査に訪れるでしょうし、その間に私が校長や教師連中を人質に取り、父上がこの街に隠していた私設警察隊を学院に導入すれば後は全て上手くいきますよ」
「流石は我が息子だ。後は王国にあの殺人者を帝国に引き渡すように請求するだけか、ふふふ」
彼はワイングラスを口へと傾けさせながら言った。
「ええ、生徒会執行役員の肩書は伊達ではありませんからね。まぁ、見ていてご覧なさい。直ぐに奴らを始末してご覧に入れますから……」
ゴードンは父から受け取ったワインを飲み干す。
レッドウッド親子の前に敗北の未来は見えていない。彼らは正義を執行できるという感覚に酔いしれていた。
哀れな程に……。
と、言っても彼を見殺しにはできない。私は大きく肩の力を落としてから、拳銃を地面の中に放り落とす。
「これで文句は無いでしょう?もう私には抵抗する意思はないわ。ピーターを離しなさい」
その言葉を聞いて、相変わらずニヤニヤとした笑顔を男達は浮かべている。
それどころか、覆面の男は背中に背負っていた長銃を肩から下げ終えると、その銃口を私達に向けて、
「どうだろうな?毒婦メアリーを降参する振りしてぶっ殺したっつー噂を聞くからな。アンタの武装解除はイマイチ信用ならん」
顎の下を覆い隠している弟に男は同調して、口元の右端を吊り上げてから、あの大きくて厚い舌で唇の周りを舐め回しながら、
「そうだ。脱げよ。スッポンポンだったら、武器を隠しようもないしな」
私はその言葉を聞いて、両頬が赤く染まっていく事に気が付く。
まごう事のない羞恥の色。同時に私の両手の拳がワナワナと震えていく。
彼らには然るべき報いを受けさせなければならない。だが、目の前で捕らえられているピーターも救わなければならない。
その両方を私は実行しなくてはならないのだ。それが、王女というものの責務だろう。
だが、この場では従うしか無いだろう。私は強く唇を噛み、制服であるロングドレスのジッパーを下げようとした時だ。
「死ね、クズども」
二回ほど、乾いた銃声が店内に響いた後に、両手に持っていたと思われる拳銃を手で回しながら、一人の端正な顔の男が現れた。
眼鏡をかけた鋭い両目の青年は私と先生を一瞥してから、フンと鼻を鳴らして、
「ウェンディ・スペンサー。Gクラスの劣等生でありながら、賞金稼ぎ部のメンバーに選抜され、ウィリアム・ウィルソン事件と私設警察隊事件を追う女ガンマンか……下らんね」
眼鏡の男はそれから、地面であまりの恐ろしさに怯えているピーターの体を力強く蹴って、地面で蹲る彼にもう一度強い蹴りを喰らわせようとした時だ。
「待ちたまえ!」
と、射撃の先生が入り口の前にまで詰め寄り、彼の胸ぐらを掴む。
「言え、何をしようとしていた?」
「……先生、感情移入をしながら、ゴキブリどもの世話をするうちに頭から爪先までゴキブリに染まってしまったんですか?コイツは魔法の使えない一般人のくせに、我々〈マジシャンガンマン〉の足を引っ張った。これだけで、私が蹴る理由になるでしょう?」
「やっていい事と悪い事があるだろうッ!第一、キミは何の権限があって……」
先生がそこから先の言葉を述べる前に、彼は先生を乱暴に突き飛ばし、着ていた制服をパンパンと叩いてから、懐から一枚の紙を取り出す。
それを見た瞬間に、先生も、いや私でさえもその場で固まってしまう。
入り口に現れた眼鏡をかけた顔の良い男はその掛けている眼鏡を人差し指で上げ直して、
「生徒会執行役員のゴードン・レッドウッズと申します。以後、お見知り置きを」
ゴードンはそう言うと、丁寧に頭を下げて二人の男の死体を見回してから、私と教師の方へと向き直り、
「この二人の死んだ訳と死体の引き取りの処置はあなた方に任せましたよ。私はウィリアム・ウィルソン事件についての処理がありますから」
ゴードンはそう言うと、履いていた黒色のブーツの爪先を反り返して、入り口を出て外へと向かう。
私と先生、そして、他の生徒達はゴードンが出ていく様をぼんやりと眺めていた。
私と先生とで地面に倒れているピーターを助け起こしている時だ。酒場の前が馬の蹄の音やら地元の保安委員の局員の人間の話声と思われる声で騒がしくなったかと思うと、保安委員の彼らは酒場に入り、三体の悪人の死体を担ぎ上げて、それらの死体を馬へと乗せていく。
それから、保安委員の人間が事件の説明をするために、近くの警察署へと来るように指示を出す。
保安委員の方々に銃を突きつけられながらの道中は快適とは言えなかったのだが、署の方で向こうが先に銃を抜いた事や、ピーターを人質に取っていた事が私や他の酒場の生徒の証言により証明され、私や先生、ピーター、そして他の生徒達は釈放される事になった。
そして、時計の針が深夜の時間帯を指していた事からか、はたまた事件の調書を取るために時間をかけ過ぎたための詫びのためか、私達は警察署の馬車を使用して、自宅へ送られる事になった。
その馬車に揺られている途中で、同席していた私とピーターに先生は不意に語り出す。
「私はね、幼い頃からヒーローが好きだった。それは今でも変わらないけれど、でも、幼い頃の私はより一層その強い存在に憧れていたのさ、でも、当然、弱い人を守るためには強くならなくちゃあいけない。だから、がむしゃらに頑張った。射撃に魔法に、馬術。どれも、自分をヒーローにしたい一心で頑張った。だから、ぼくは西部一の賞金稼ぎになったのだと思う……」
私はあの時の会長から語れた言葉が再度、頭の中に響いていく。
帝国内で野人を虐めていた役人の射殺事件。それ以後は彼は王国に匿われ、この学校で射撃教師の仕事に就いている事。
それらの事実が全て頭の中で復唱されていく。
だが、私の復唱はピーターの手によって遮られてしまう。
「カッコいいですッ!先生は本当にヒーローみたいです!ほら、あの巷で噂の私設警察隊見たいな!」
私はピーターの口から何気なく発された言葉を聞いた時の射撃の教師の顔を忘れはしないだろう。彼の顔は哀しげなものであった。
だが、直ぐに顔に微笑を貼り直して、
「ありがとう。でもね、私としてはあのやり方に賛同はできないな。彼らのやり方は考え方は正しいかもしれないのに、無謀なテロを起こして支持者を減らす反政府主義者達と何も変わらない。確かに、外道は容赦なく殺されるかもしれないが、やり方というものがある。わざわざ、死体を置き去りにするなんて……」
私は確信した。先生は白だと。彼は過激な考えを持ちながらも、学校教師に就任してからはやはり、一線を引いていたのだ。
と、なると……。私は頭の中で新たに浮上した容疑者の名前を口に出そうとした時だ。
乗っていた馬車がノックされる音が聞こえた。
ノックに気が付いたと思われる保安委員の人間はゆっくりと馬車を停止させたらしい。
街の真ん中で馬車を停めるというのはあり得ないので、ここは警察署のある場所と学院前の街との間の道なのだろう。
私が馬車から降りると、そこには賞金稼ぎ部の部長、エマ・ダーリングが真剣な顔を浮かべて立っていた。
「どうしたんですか?部長」
「やられたわ……」
部長の言葉に秘められた意味を察し、私の顔は思わず引きつってしまう。
「どういう事ですか?部長」
「ウィリアム・ウィルソンだッ!二回目の殺人が街の雑貨店で起きたんだよッ!」
その言葉を聞いて、私と馬車に居た全員が顔を見合わせる。
だが、それ以上に驚いたのは馬車を運転していた保安委員の人だったらしい。
彼は両目を開きながら、
「どういう事だ?それは……?」
「聞いた通りですよ。あなた方が居なくなった後に第二の犠牲者が学院前の街で起きたんですよッ!」
私はそれを聞いて、雷で打たれたような衝撃を受けてしまう。まさか、捜査の前の日にウィリアム・ウィルソンが事件を起こすとは。
そう感じた瞬間に、私の口からは無意識のうちに呪詛の言葉が出ていた。
「下衆め、いつまでもお前の好きに出来ると思うなッ!必ず、ウィリアム・ウィルソンの正体を白日の元に引き摺り出してやるわ!」
私の言葉をその場に居た全員が聞いていた。
「計画は順調かね?」
学園前の街の下宿の一室。周りは貴族が使うものかと思うほどの煌びやかな調度品や家具、客をもてなすために設置されたと思われる小物に囲まれており、また建物自体も三階建てとこの世界における最高の技術を用いての建築物である。
一見、ホテルかと思うような高価な部屋であるのだが、これさえも生徒のために用意された下宿であるというのだから驚きであろう。
ここを利用するのは学院の方で優秀な成績を修め、魔法学の最先端をゆく生徒か、或いは金持ちであるのに、落ちこぼれと断定された生徒であるかの二択である。
前者は学院からの金であるのに対し、後者は親に頼ってのものであり、同時に基礎魔法の使えないという溜飲を下げるために使用していた。
だが、先程、窓の外を眺める中年の男に質問を問い掛けられた生徒に至っては金持ちであるという点も優秀な生徒であるという点も当てはまっており、彼に不足はないと言っても良かっただろう。
だからこそ、彼は口元を緩めて、
「ええ、計画は順調です。あの死体は全員がウィリアム・ウィルソンの死体だと思うでしょうね」
「ふふ、そうか、やはり、お前を魔法学院に派遣して成功だったな」
男は窓の前から高価なデスクと椅子の右横に置かれた棚からワインとワイングラスを取り出し、机の上に置くと、ワインを注ぎ、優秀な駒へと褒美を渡す。
「飲みたまえ、私からの信頼の証だ」
「ありがとうございます。父上……」
端正な顔立ちの眼鏡の男、いや、ゴードン・レッドウッドは父から受け取ったワインを受け取り、美味そうに飲む。
彼は勝利の美酒を味わう。なんと旨い味だろう。心の底から湧き上がる快感が彼を奮い立たせていく。
「ふふ、礼はいらん……それよりも、当日の手筈は万全だろうな?」
「問題はありません。生徒会や賞金稼ぎ部は全て、伯爵家に捜査に訪れるでしょうし、その間に私が校長や教師連中を人質に取り、父上がこの街に隠していた私設警察隊を学院に導入すれば後は全て上手くいきますよ」
「流石は我が息子だ。後は王国にあの殺人者を帝国に引き渡すように請求するだけか、ふふふ」
彼はワイングラスを口へと傾けさせながら言った。
「ええ、生徒会執行役員の肩書は伊達ではありませんからね。まぁ、見ていてご覧なさい。直ぐに奴らを始末してご覧に入れますから……」
ゴードンは父から受け取ったワインを飲み干す。
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哀れな程に……。
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