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フォー・カントリー・クロスレース編
その血の贖罪
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グレースは私の左脇で銃弾を喰らった衝撃のためか、思いっきり吹き飛んでしまったのだが、ポピーはそれに動揺はしたものの、仲間が死んで悲しいという類の動揺ではない。ただ、この場で私を始末できなかった事に対する動揺だ。彼女にとって仲間というのはその程度の扱いである事は間違い無い。
私は冷ややかな視線でポピーを見つめた後に、横に倒れているグレースについて尋ねたのだが、彼女は忌々しそうに吐き捨てて、
「構うものかよ……あいつはあんたを殺すなんて息巻いてたくせに、保安委員の事を忘れてわざわざ、あんたの左脇に現れた。バカもいいところだよッ!チクショウ!」
「バカ」や「畜生」という単語も先に死んだ仲間を叱るような愛のある罵声ではない。単純に役に立たなくなった道具を罵倒しているだけに過ぎない。
だが、あの令嬢を罵倒している隙に生じた隙間だけでは利用させてもらおう。
私は彼女と同等の力で彼女を押しやり、ポピーを地面へと転倒させる。
そして、転倒しダメージを負った隙を狙って、私は彼女の頭に銃口を突き付けて、
「どう?あなたも少しは懲りたでしょ?これで、来世ではまともな人間に生まれ変わるのね」
「来世?ふざけるなよ?今世だろ?」
その言葉を聞いて、私の口からは笑いが漏れてしまう。先程、彼女が私に向けたような嘲笑が。
「あなた、もしかして、自分は捕まった後も無事でいられるとでも思っているの?自分は絞首台に送られないとでも?」
私の口から発せられた「絞首台」という単語を聞いて、彼女は絶望に直面してしまったらしい。
必死に目を見開いて、私に向かって懇願する。
「お、お願い!助けてよ!あたしはまだ死にたくないよ?だってさ、考えてもみてよ!私はまだーー」
「若いから?そんなものは免罪符にも何もならないわ。あなた、同じような年の人間を弟と組んだり、もしくは一人で何人殺したりしたの?」
その言葉を聞いてポピーは私に向けていた視線を逸らし、必死に周辺を右往左往させている。彼女の心臓は恐らくだが、ドクドクと早く小刻みに動いているに違いない。
暫くの間は俯いていたのだが、直ぐに私の顔を見上げて、
「なら、あんたを殺してでも生き延びてやるよッ!死にやがれッ!」
咄嗟に左腕を異形の腕へと変え、あろう事か掌の中に青い炎を宿す。
そして、その炎を私に喰らわる。
私は青い炎に包まれて焼き殺そうになってしまう。自分の体が炎に包まれるこれだけでも人はパニックに陥って何もできなくなってしまうのだが、私はその心を押し殺し、代わりに地面に横たわって勝利の笑みを浮かべている男に向かって銃を突き付ける。
そして、私は自分の恐怖を誤魔化すためにも、怒りをぶつけるためにも大きな声で叫ぶ。
「ド外道がァァァァァ~!!!」
私の叫び声と共に放たれた弾丸は今度は逸れる事なく、ポピーの額を突き刺す。
ポピーは信じられないと言わんばかりに額から一匹の赤い蛇を出しつつも、両目を開いて絶命していた。
私は勝ち誇りたい気分であったのだが、炎は私の体に取り憑いたかのように私の呼吸が止まるかもしれない程の速さで包んでいく。
だが、神は私をお救いになられたらしい。たまたま背後に水を扱える保安委員の人間が居たらしく、青い業火に包まれる私の体を消化していく。
消化の間、私は保安委員の男の呼び掛けを聞く事により、この世に留まり続けられる事が出来たとも言えるだろう。
炎で焼かれたのにも関わらず、ある程度服が焼けただけに済んだのは本当に運が良かった。
私の炎を召喚した保安委員の男はそう言っていた。
私は炎を消化した男の肩を借りながら、山の下へと降りていく。
そして、水の魔法を使える男の馬の背中に乗せられて、王都へと向かって行く。
王都に着くや否や私は強制的に町の病院連れて行かれ、パジャマ姿の医師に見せられたのだが、医師曰く異常はどこにもなく、またどの部位も負傷していなかったらしい。
これにはやはり、早々に水を掛けたのが功を奏したらしい。医師は後一歩遅ければ、私の頬は焼け垂れてしまい最悪の場合には死んでいたと告げた。
私は医師にお礼を言うと、元のホテルへと戻り、部屋に辿り着くと、保安委員の男にお礼を言って、ホテルへと辿り着くと、大の字になってベッドの上に寝転ぶ。
翌日の早朝、私をあの屈辱的なパーティーに招待した執事の男が揉み手をしながら、私の元に現れて、大金の入った皮の袋を口止め料として渡そうとしたのだが、私はそれを拒否して、代わりに三つの条件を老執事に提示した。
第一に今回の騒動に懲りて、王子を城の外から出さない事。
第二に今回の事件における私の名を伏せておき、私の名前が大衆に漏れないように厳戒令を敷く事。
第三の条件としてブラック姉弟に賭けられていた懸賞金を部活の方に送る事を約束させた。
そして、安心した様子の老執事を追い返すと、私はボロボロの服を捨てて、予備の服に着替えて、鞄から仮面を取り出し、それを付けて部屋を出て、王都へと降りていく。
私は昨晩、あの男が停めてくれた馬の手綱を持つと、街へと繰り出し、財布にあった金で服屋で予備の服を購入し、後は雑貨屋で食料と消耗品を購入してから、馬に乗って次の町を目指す。
早朝の町で馬にのんびりと揺られていると、不意に町の外れの家の柱にもたれかけている会長の姿を見つめた。
「おめでとう。ウェンディ。流石はエマ部長の見込んだ部員ね。あのブラック姉弟を撃ち殺すなんてね。見事としか言いようがないわ」
「会長?知ってたの?ブラック姉弟が立て篭もった先に王子と王子を誘拐した誘拐犯がいるの?」
その言葉を聞いて、オレンジ色の髪の会長はクスクスと笑って、
「まさか!私はあそこにブラック姉弟が籠る事しか予測できなかったんだけどぉ~あそこに王子の誘拐犯が逃げた込んだ事なんて、予想もしなかったよ!」
私はそれを聞いて、会長に背中を向けて街から出ようとしたのだが、去り際に会長は不穏な一言を呟く。
「最も、この王都に比べてあの山の上の山小屋に立て篭るというアイディアは誘拐犯ならば皆んな思い付きそうだけどねぇ~声もとか聞こえにくいし、何より、死体を直ぐに埋められるのが最高じゃん!」
やはり、この会長は何を考えているのか分からない。単純で愚鈍な妹と違って、この人は本当に訳が分からない。
本当は監禁場所を最初から予測していたのではないのかと私が懸念している中でも、会長は背後で笑い続けていた。
私はその声を無視して、馬を前へと走らせていく。
馬を走らせ、風と一体化したような気持ちの私の頭の中にあったのは国と国とのややこしい話ではなく、一刻も早くこのレースを、ひいては四つの国を制したいという思いであった。
私は冷ややかな視線でポピーを見つめた後に、横に倒れているグレースについて尋ねたのだが、彼女は忌々しそうに吐き捨てて、
「構うものかよ……あいつはあんたを殺すなんて息巻いてたくせに、保安委員の事を忘れてわざわざ、あんたの左脇に現れた。バカもいいところだよッ!チクショウ!」
「バカ」や「畜生」という単語も先に死んだ仲間を叱るような愛のある罵声ではない。単純に役に立たなくなった道具を罵倒しているだけに過ぎない。
だが、あの令嬢を罵倒している隙に生じた隙間だけでは利用させてもらおう。
私は彼女と同等の力で彼女を押しやり、ポピーを地面へと転倒させる。
そして、転倒しダメージを負った隙を狙って、私は彼女の頭に銃口を突き付けて、
「どう?あなたも少しは懲りたでしょ?これで、来世ではまともな人間に生まれ変わるのね」
「来世?ふざけるなよ?今世だろ?」
その言葉を聞いて、私の口からは笑いが漏れてしまう。先程、彼女が私に向けたような嘲笑が。
「あなた、もしかして、自分は捕まった後も無事でいられるとでも思っているの?自分は絞首台に送られないとでも?」
私の口から発せられた「絞首台」という単語を聞いて、彼女は絶望に直面してしまったらしい。
必死に目を見開いて、私に向かって懇願する。
「お、お願い!助けてよ!あたしはまだ死にたくないよ?だってさ、考えてもみてよ!私はまだーー」
「若いから?そんなものは免罪符にも何もならないわ。あなた、同じような年の人間を弟と組んだり、もしくは一人で何人殺したりしたの?」
その言葉を聞いてポピーは私に向けていた視線を逸らし、必死に周辺を右往左往させている。彼女の心臓は恐らくだが、ドクドクと早く小刻みに動いているに違いない。
暫くの間は俯いていたのだが、直ぐに私の顔を見上げて、
「なら、あんたを殺してでも生き延びてやるよッ!死にやがれッ!」
咄嗟に左腕を異形の腕へと変え、あろう事か掌の中に青い炎を宿す。
そして、その炎を私に喰らわる。
私は青い炎に包まれて焼き殺そうになってしまう。自分の体が炎に包まれるこれだけでも人はパニックに陥って何もできなくなってしまうのだが、私はその心を押し殺し、代わりに地面に横たわって勝利の笑みを浮かべている男に向かって銃を突き付ける。
そして、私は自分の恐怖を誤魔化すためにも、怒りをぶつけるためにも大きな声で叫ぶ。
「ド外道がァァァァァ~!!!」
私の叫び声と共に放たれた弾丸は今度は逸れる事なく、ポピーの額を突き刺す。
ポピーは信じられないと言わんばかりに額から一匹の赤い蛇を出しつつも、両目を開いて絶命していた。
私は勝ち誇りたい気分であったのだが、炎は私の体に取り憑いたかのように私の呼吸が止まるかもしれない程の速さで包んでいく。
だが、神は私をお救いになられたらしい。たまたま背後に水を扱える保安委員の人間が居たらしく、青い業火に包まれる私の体を消化していく。
消化の間、私は保安委員の男の呼び掛けを聞く事により、この世に留まり続けられる事が出来たとも言えるだろう。
炎で焼かれたのにも関わらず、ある程度服が焼けただけに済んだのは本当に運が良かった。
私の炎を召喚した保安委員の男はそう言っていた。
私は炎を消化した男の肩を借りながら、山の下へと降りていく。
そして、水の魔法を使える男の馬の背中に乗せられて、王都へと向かって行く。
王都に着くや否や私は強制的に町の病院連れて行かれ、パジャマ姿の医師に見せられたのだが、医師曰く異常はどこにもなく、またどの部位も負傷していなかったらしい。
これにはやはり、早々に水を掛けたのが功を奏したらしい。医師は後一歩遅ければ、私の頬は焼け垂れてしまい最悪の場合には死んでいたと告げた。
私は医師にお礼を言うと、元のホテルへと戻り、部屋に辿り着くと、保安委員の男にお礼を言って、ホテルへと辿り着くと、大の字になってベッドの上に寝転ぶ。
翌日の早朝、私をあの屈辱的なパーティーに招待した執事の男が揉み手をしながら、私の元に現れて、大金の入った皮の袋を口止め料として渡そうとしたのだが、私はそれを拒否して、代わりに三つの条件を老執事に提示した。
第一に今回の騒動に懲りて、王子を城の外から出さない事。
第二に今回の事件における私の名を伏せておき、私の名前が大衆に漏れないように厳戒令を敷く事。
第三の条件としてブラック姉弟に賭けられていた懸賞金を部活の方に送る事を約束させた。
そして、安心した様子の老執事を追い返すと、私はボロボロの服を捨てて、予備の服に着替えて、鞄から仮面を取り出し、それを付けて部屋を出て、王都へと降りていく。
私は昨晩、あの男が停めてくれた馬の手綱を持つと、街へと繰り出し、財布にあった金で服屋で予備の服を購入し、後は雑貨屋で食料と消耗品を購入してから、馬に乗って次の町を目指す。
早朝の町で馬にのんびりと揺られていると、不意に町の外れの家の柱にもたれかけている会長の姿を見つめた。
「おめでとう。ウェンディ。流石はエマ部長の見込んだ部員ね。あのブラック姉弟を撃ち殺すなんてね。見事としか言いようがないわ」
「会長?知ってたの?ブラック姉弟が立て篭もった先に王子と王子を誘拐した誘拐犯がいるの?」
その言葉を聞いて、オレンジ色の髪の会長はクスクスと笑って、
「まさか!私はあそこにブラック姉弟が籠る事しか予測できなかったんだけどぉ~あそこに王子の誘拐犯が逃げた込んだ事なんて、予想もしなかったよ!」
私はそれを聞いて、会長に背中を向けて街から出ようとしたのだが、去り際に会長は不穏な一言を呟く。
「最も、この王都に比べてあの山の上の山小屋に立て篭るというアイディアは誘拐犯ならば皆んな思い付きそうだけどねぇ~声もとか聞こえにくいし、何より、死体を直ぐに埋められるのが最高じゃん!」
やはり、この会長は何を考えているのか分からない。単純で愚鈍な妹と違って、この人は本当に訳が分からない。
本当は監禁場所を最初から予測していたのではないのかと私が懸念している中でも、会長は背後で笑い続けていた。
私はその声を無視して、馬を前へと走らせていく。
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