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フォー・カントリー・クロスレース編
ニューローデム・パニック!表彰台の前の出来事
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男の目は本気だ。まるで、この世の全ての悪い事が私の仕業であるかのような目を向けて、回転式拳銃の銃口を突き付ける。
「恨むんだったら、テメェを売った妹を恨むんだな」
彼が引き金を引こうとした時だ。私はありったけの力をブーツの爪先に込めて、男性にとっての急所を蹴り飛ばす。
その隙に私は先ほど捨てたはずの拳銃を拾い上げて、扉の前へと駆けていく。
そして、扉を強引に蹴飛ばし、集まっていた警察隊に向かって叫ぶ。
「いいッ!この部屋に革命派の貴公子が立て籠っているわ!早く、確保して!」
私の言葉を聞いて、紋章を肩に刺繍された各国の警察隊は一斉に部屋の中へと雪崩れ込む。
私がその様子を眺めていると、不意に背後から声が聞こえた。
「お姉様!お待ちしておりましたわ!」
「シンディ、大丈夫だった?」
私の問い掛けにシンディは涙を流しながら、
「ええ、お姉様こそご無事で何よりでしたッ!」
妹は私の姿を見ると安心して私を強く抱き締めていく。もし、これが恋人同士の抱擁であったのならば、勢いのままにキスをしたのかと疑う程の熱い抱擁であった。だが、扉の前で大きな爆発音が起きた事により姉妹のスキンシップは遮られてしまう。
ふと、私が扉の方向を眺めると、そこには爆発により周囲のものが吹き飛んだためか、体のあちこちに汚れを付けたクリストファーが現れた。
すると、彼は無言で私たち二人に拳銃を向ける。
私は咄嗟に妹を抱き抱えて地面へと伏せる。彼の放った弾丸は背後の石壁にめり込んだだけで済んだ。
だが、弾が直撃しなかったクリストファーは不満であったに違いない。
なので、彼は今度は銃ではなく、魔法で私たち二人を始末しようと自身の周囲に妖しげな蛇のような生き物を作り出す。
蛇のような生き物と、私が表現したのは彼が作り出したのは単なる蛇ではなく、全身を堅そうな鱗に覆われ、化け物のような顔と角を生やした生物であったからだ。
警戒心に煽られた私は慌てて男の繰り出した生物に向かって銃弾を放ったのだが、それがいけなかったらしい。
私の弾が直撃したのは怪物の一番端。すなわち尾の部分であったのだが、弾の当たった箇所は大きな爆発音を起こす。
振動のために妹は地面に崩れそうになったのだが、私は妹の腕を掴んで一緒に逃げ出す。
男の繰り出す怪物は私が銃で反撃する度に、小規模の爆発を繰り返していたのだが、幸いな事に、ここが一年に一度の巨大なレースの閉幕を飾る表彰式が開かれる会場だけあって広かった事とあくまでも小規模の爆弾であった事から、爆発音を聞きながら逃亡するだけでの済んだらしい。
やがて、私の前に武装した四カ国の警察隊が現れたのだが、男は手を繋いで逃げる私たちの前に怪物を伸ばして、彼らが何かする前に、指を鳴らして、警察隊たちを全滅させていく。
驚いた。あの男はどうやら、逃げる私たちの反応を敢えて楽しむために、ワザと爆発させずに逃げていたのだろう。
陰湿な人間だ。私と妹が懸命に廊下を走って逃げていると、行き止まりに辿り着いた事に気が付く。
行き止まりと言っても背後に壁しかない訳がではなく、扉あるのだが、固く錠が下されて入る事が出来ないだけだ。
目の前には得体の知れない怪物を繰り出すクリストファー。
絶体絶命という奴だろうか。私の頬には冷や汗が、妹の頬からは涙が滲み出ている事に気が付く。
クリストファーは私と妹の二人に追い付くと、嫌らしい顔を浮かべて言った。
「鬼ごっこはもう終わりかい?なら、そろそろ始末させてもらおうか」
男の背後で怪物が鳴き声を上げる。
「待って、殺されるのはやっぱり、私だけでいいでしょう?一応は記録上は王女なんだし」
「いいや、エリアーナの仇である賞金稼ぎのウェンディ・スペンサーは後でおれの手で嬲り殺しにしてやる。恥辱の限りを与え、屈辱と痛みと苦しみに塗れた後に殺してやる。その前に我々の目標である国王制打倒を達成するために、お前の妹を殺すだけ……それだけさッ!」
クリストファーは拳銃を突き付けながら忌々しそうに口から吐き出す。
余程、彼の恋人であるエリアーナを殺した私が憎いのだろう。
この男は怒りで頭が一杯になった時に、どんな反応を取っただろう。激情的になり、広い視点でものを見る事が不可能になった筈だ。
私はそれに賭けてみる事にした。その時の私はどんな顔をしていたのだろう。
きっと、醜い顔をしていたに違いない。
だが、それでもこの場を生き残るために、醜い顔と台詞を選んで、
「そう言えば、あなたの恋人を殺した時にあなたの恋人はどんな反応をしたんだっけ、すっごく苦しそうにしていたわね」
男の顔色が変わる。読みは当たったらしい。私はエリアーナに謝罪の弁を述べながら、挑発を続けていく。
途中、妹が私の変貌ぶりに驚愕したらしく、両目を丸くしていたのだが、私は敢えて無視をして話を続けていく。
「そうそう、恋人を待ち望んでいたような目だったわ。信じられないと言わんばかりのね……もし、あの時、あそこにあなたもいたんだったら、あなたも助けに行けたのに、残念ね」
クリストファーはそれを聞いて、蛇状の怪物を私に向かわせた。問答無用で何もいう事なく、ただ私を殺すために。
だが、それこそが私の狙いだ。私は左手の掌を広げて、蛇状の怪物を吸収し、吸収した怪物をクリストファーに向けていく。
それ見たクリストファーは慌てて同じ怪物を繰り出す。蛇状の怪物は互いに歯を顔やら体やらに突き立て合って、戦いを始めていく。
だが、クリストファーはそれに対抗し、もう一度例の怪物を作り出し、私の奪い取った怪物に加勢させていく。
続いて、三匹、四匹と差し向け、五匹目を差し向けた瞬間に、もう一度私は魔法を使用して、例の怪物を繰り出す。
私の奪い取った二匹の怪物と男の繰り出した三匹の怪物は空中上で噛み合いを続けて、とうとう互いに空気中で爆発を出してしまう。
私は妹と共に伏せる事により、爆発の衝撃を防ぐ事が出来たが、クリストファーはもろに爆風に吹き飛ばされてしまったらしい。
行き止まり地点の遥か先に見える場所で必死に体を起こそうとしていた。
それを見た瞬間に、私は妹の手を引っ張って行き止まりを抜け出し、行き止まりの前に三方向になっていた地点の右方向へと向かう。
先程まで、三方向の真ん中にクリストファーが立っていたと思うと感慨深いものがあった。
だが、今はそんな事ばかり言ってもいられないだろう。
今の私にできる事はクリストファーが来る前に、入り口へと逃げる事だけだ。
「恨むんだったら、テメェを売った妹を恨むんだな」
彼が引き金を引こうとした時だ。私はありったけの力をブーツの爪先に込めて、男性にとっての急所を蹴り飛ばす。
その隙に私は先ほど捨てたはずの拳銃を拾い上げて、扉の前へと駆けていく。
そして、扉を強引に蹴飛ばし、集まっていた警察隊に向かって叫ぶ。
「いいッ!この部屋に革命派の貴公子が立て籠っているわ!早く、確保して!」
私の言葉を聞いて、紋章を肩に刺繍された各国の警察隊は一斉に部屋の中へと雪崩れ込む。
私がその様子を眺めていると、不意に背後から声が聞こえた。
「お姉様!お待ちしておりましたわ!」
「シンディ、大丈夫だった?」
私の問い掛けにシンディは涙を流しながら、
「ええ、お姉様こそご無事で何よりでしたッ!」
妹は私の姿を見ると安心して私を強く抱き締めていく。もし、これが恋人同士の抱擁であったのならば、勢いのままにキスをしたのかと疑う程の熱い抱擁であった。だが、扉の前で大きな爆発音が起きた事により姉妹のスキンシップは遮られてしまう。
ふと、私が扉の方向を眺めると、そこには爆発により周囲のものが吹き飛んだためか、体のあちこちに汚れを付けたクリストファーが現れた。
すると、彼は無言で私たち二人に拳銃を向ける。
私は咄嗟に妹を抱き抱えて地面へと伏せる。彼の放った弾丸は背後の石壁にめり込んだだけで済んだ。
だが、弾が直撃しなかったクリストファーは不満であったに違いない。
なので、彼は今度は銃ではなく、魔法で私たち二人を始末しようと自身の周囲に妖しげな蛇のような生き物を作り出す。
蛇のような生き物と、私が表現したのは彼が作り出したのは単なる蛇ではなく、全身を堅そうな鱗に覆われ、化け物のような顔と角を生やした生物であったからだ。
警戒心に煽られた私は慌てて男の繰り出した生物に向かって銃弾を放ったのだが、それがいけなかったらしい。
私の弾が直撃したのは怪物の一番端。すなわち尾の部分であったのだが、弾の当たった箇所は大きな爆発音を起こす。
振動のために妹は地面に崩れそうになったのだが、私は妹の腕を掴んで一緒に逃げ出す。
男の繰り出す怪物は私が銃で反撃する度に、小規模の爆発を繰り返していたのだが、幸いな事に、ここが一年に一度の巨大なレースの閉幕を飾る表彰式が開かれる会場だけあって広かった事とあくまでも小規模の爆弾であった事から、爆発音を聞きながら逃亡するだけでの済んだらしい。
やがて、私の前に武装した四カ国の警察隊が現れたのだが、男は手を繋いで逃げる私たちの前に怪物を伸ばして、彼らが何かする前に、指を鳴らして、警察隊たちを全滅させていく。
驚いた。あの男はどうやら、逃げる私たちの反応を敢えて楽しむために、ワザと爆発させずに逃げていたのだろう。
陰湿な人間だ。私と妹が懸命に廊下を走って逃げていると、行き止まりに辿り着いた事に気が付く。
行き止まりと言っても背後に壁しかない訳がではなく、扉あるのだが、固く錠が下されて入る事が出来ないだけだ。
目の前には得体の知れない怪物を繰り出すクリストファー。
絶体絶命という奴だろうか。私の頬には冷や汗が、妹の頬からは涙が滲み出ている事に気が付く。
クリストファーは私と妹の二人に追い付くと、嫌らしい顔を浮かべて言った。
「鬼ごっこはもう終わりかい?なら、そろそろ始末させてもらおうか」
男の背後で怪物が鳴き声を上げる。
「待って、殺されるのはやっぱり、私だけでいいでしょう?一応は記録上は王女なんだし」
「いいや、エリアーナの仇である賞金稼ぎのウェンディ・スペンサーは後でおれの手で嬲り殺しにしてやる。恥辱の限りを与え、屈辱と痛みと苦しみに塗れた後に殺してやる。その前に我々の目標である国王制打倒を達成するために、お前の妹を殺すだけ……それだけさッ!」
クリストファーは拳銃を突き付けながら忌々しそうに口から吐き出す。
余程、彼の恋人であるエリアーナを殺した私が憎いのだろう。
この男は怒りで頭が一杯になった時に、どんな反応を取っただろう。激情的になり、広い視点でものを見る事が不可能になった筈だ。
私はそれに賭けてみる事にした。その時の私はどんな顔をしていたのだろう。
きっと、醜い顔をしていたに違いない。
だが、それでもこの場を生き残るために、醜い顔と台詞を選んで、
「そう言えば、あなたの恋人を殺した時にあなたの恋人はどんな反応をしたんだっけ、すっごく苦しそうにしていたわね」
男の顔色が変わる。読みは当たったらしい。私はエリアーナに謝罪の弁を述べながら、挑発を続けていく。
途中、妹が私の変貌ぶりに驚愕したらしく、両目を丸くしていたのだが、私は敢えて無視をして話を続けていく。
「そうそう、恋人を待ち望んでいたような目だったわ。信じられないと言わんばかりのね……もし、あの時、あそこにあなたもいたんだったら、あなたも助けに行けたのに、残念ね」
クリストファーはそれを聞いて、蛇状の怪物を私に向かわせた。問答無用で何もいう事なく、ただ私を殺すために。
だが、それこそが私の狙いだ。私は左手の掌を広げて、蛇状の怪物を吸収し、吸収した怪物をクリストファーに向けていく。
それ見たクリストファーは慌てて同じ怪物を繰り出す。蛇状の怪物は互いに歯を顔やら体やらに突き立て合って、戦いを始めていく。
だが、クリストファーはそれに対抗し、もう一度例の怪物を作り出し、私の奪い取った怪物に加勢させていく。
続いて、三匹、四匹と差し向け、五匹目を差し向けた瞬間に、もう一度私は魔法を使用して、例の怪物を繰り出す。
私の奪い取った二匹の怪物と男の繰り出した三匹の怪物は空中上で噛み合いを続けて、とうとう互いに空気中で爆発を出してしまう。
私は妹と共に伏せる事により、爆発の衝撃を防ぐ事が出来たが、クリストファーはもろに爆風に吹き飛ばされてしまったらしい。
行き止まり地点の遥か先に見える場所で必死に体を起こそうとしていた。
それを見た瞬間に、私は妹の手を引っ張って行き止まりを抜け出し、行き止まりの前に三方向になっていた地点の右方向へと向かう。
先程まで、三方向の真ん中にクリストファーが立っていたと思うと感慨深いものがあった。
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