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サラマンダー・パシュート編
部活連と生徒会
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犯罪組織『サラマンダー』それは敵から逃げる際に尻尾を切って逃げるトカゲに由来するらしい。
王国政府が長年追っている犯罪組織と言われており、その追跡の歴史は六十年にも及ぶという。
サラマンダーの組織を操る黒幕というのは半世紀の間、論じられてきた議論であったのだが、未だにその論争の決着は付いていない。何せ、重要幹部は皆岩のように硬い口を持ち、逮捕されたとしても絞首刑に処されるまでその口を紡ぎ続けているという。
加えて、口を割ろうとするのならば、何処にいても追い掛けて殺す組織力。
例え、保安委員に守られていても、護衛の保安委員の前で相手を撃ち殺すという執念。
これらの事実が合わさり、未だに王国の組織はそのサラマンダーの組織力さえ掴めていない。
「これが、この事件の黒幕の正体って訳ですか?」
私はエマ部長から渡された組織についての報告書を読み終えると、彼女の机の上に放り投げて、用紙を滑らせていく。
部長は用紙を手に取ると、ハァと小さな溜息を吐いて、
「キミはどうやらまだこの事件の闇に気付かないらしいな。あの賞金首はサラマンダーのメンバーであり、キミはそいつをたまたま賞金首として捕まえて警察署から懸賞金を貰った。それでいいだろう?」
私は不満そうな顔を向けたが、彼女は反応するどころか、右手を振って私を追い払ってしまう。
「事件の黒幕を追うのでは、一学校のの賞金稼ぎ部なんてスケールじゃ割りに合わないんだよ。分かったんだったら、直ぐに帰ってくれ」
私はいつもとは違うエマ部長の態度に憤りを感じながら、廊下を歩いていると背後から声を掛けられる。
私は不機嫌そうな顔で振り向いて、
「何なの?ケネス。私は今、ちょっぴり不機嫌なんだけれども……」
「そう言うなよ。二ヶ月ぶりに仕事をした相棒の心境を聞いておくのは重要な事だぞ」
ケネスはそれから、私に付き添いながら話を続けていく。
夏休みの間に故郷に帰った時にレースに参加した時に故郷で見た仮面の騎手が素晴らしかった事、レースが終わり、歓待の準備を終えた後に、家族で旅行に行った事。
火山近くにある温泉を楽しんだ事を告げた。
「温泉ねぇ~同性とは言え、他人に裸を見られながら入るなんて何がいいのかしら?」
「分からないかな?家では味わない充実感、広々とした温泉に入るという解放感、そんなものが味わえるんだぜ」
ケネスは人差し指を立てて風呂の事を自慢していく。
だが、私は、
「やっぱり、分からないわ。悪いけれども、他人に裸を見られるなんて、嫌だわ。例え、同性でもね」
「ハッハッ、まぁ、そういう意見もあるって事だな」
ケネスとそんな下らない会話を交わしながら、廊下を歩いていると、目の前のマーティが右手を挙げて、
「よぉ、お二人さん。本当に熱々だな」
「な、べ、別に熱々だとか恋人だとかそんなものではない!ただ、オレはだな、賞金稼ぎ部の相棒と夏休みの間の世間話をしていてだなーー」
「はいはい、そういう言い訳はいいから。それよりも、少し前に起きた殺人事件の報告をエマ部長に言わなけりゃあな」
「殺人事件?」
私の問い掛けに、自分が追い掛けている事件の詳細を語ってくれる。
何でも、街のギャングの男、運送馬車の運転手、シティーの中等学校の年老いた校長。
その全てが銃で頭を撃ち抜かれて殺されていたのだという。
酷いものでは罪人を吊るす十字架に括り付けられて殺されていたのだという。
「どうして、十字架に死体を吊すのかしら?」
「さぁな、異常者の考える事なんて分からねぇよ。少なくとも、オレは暫く放課後はこの事件を追う事になるだろうから、お前らともあんまり顔を合わせられんかもな」
「大丈夫よ。あなたも、しっかりと捜査を頑張ってね」
私が手を振ると、彼も「おう」とキラキラとした笑顔を浮かべて手を振り返す。
マーティン・“マーティ”・チェリローズ。一見すると、おちゃらけた単なる一学生。
だが、実態は地方の有力貴族であり、本当のファミリーネームは地名に因んでローズナイトなのだろうが、みんなには気を遣われたくないのだろうか、チェリローズという偽名を名乗っているのだろう。
貴族だとは言うが、堂々と執事が貴族の坊やである彼を目の前で叱られるくらいの家に育ったのだ。
恐らく、マーティに貴族らしく気取った様子が無いのはローズナイト家の家風が影響しているような気がした。
通常の貴族ならば、嫌がりそうな地道な捜査にも積極的に協力する事から、彼は本当にいい人間なのだろう。
私がマーティの分析を行いながら、廊下の奥へと消えていく彼の姿を見ながら、そんな事を考えていると、急にケネスが低くドスの効いた声で、
「おい、聞いているのか?ウェンディ」
「あぁ、ごめん何だったかしら?」
それを聞くと、ケネスは自分の顔を右手で覆って、
「何って夏休みの話だよ。お前はこの長期の休みの間に何処に行ってんだ?」
「え、あぁ……」
言えない。言える訳がない。仮面を被ってフォー・カントリー・クロスレースに参加していたなんて。
私はやむを得ずに、こう答える事にした。
「大陸一周旅行に行ってたのよ。お父様とお母様と一緒にね」
「大陸旅行かぁ~どんな感じだった?」
「中々楽しかったわよ!特に移動の間の大草原の香りは格別ね!」
「移動の間……?っていう事は馬車で行ったのか!?」
「ええ、そうよ!馬車はとっても気持ち良かったわ……」
私は笑っていたが、その笑いは相当引きつっていたに違いない。
だが、幸いな事にケネスは満足そうな表情で私の話を聞いていたために、私の表情が目に入っていなかったのだろう。
彼はもうとっくに妄想の中での旅行をしているに違いない。
私が苦笑しながら、彼を見つめていると、私とケネスの前に例の長いオレンジ髪の生徒会長と、それからもう一人、緑縁の四角い眼鏡を掛けた長い紫色の髪の男が現れた。
「久し振りぃ~ミス・スペンサーにミスター・ローエングリン」
「会長、何の用ですか?」
ケネスは私を守るように私と会長の間に割って入り、会長を睨む。
すると、会長は苦笑して、
「違うわよ。今日あなた達に用事があるのはこの人よ」
会長の隣に立っていた紫色の髪緑縁の四角い眼鏡をかけた男が丁寧に頭を下げて、
「初めまして、王立魔法学院部活連盟代表、ルパート・グリフィスと申します。以後、お見知り置きを」
と、自己紹介をした。だが、私として気になるのは彼の名前ではない。彼の名乗った肩書きだ。そう、王立魔法学院部活連盟。通称、部活連という通称だ。
王国政府が長年追っている犯罪組織と言われており、その追跡の歴史は六十年にも及ぶという。
サラマンダーの組織を操る黒幕というのは半世紀の間、論じられてきた議論であったのだが、未だにその論争の決着は付いていない。何せ、重要幹部は皆岩のように硬い口を持ち、逮捕されたとしても絞首刑に処されるまでその口を紡ぎ続けているという。
加えて、口を割ろうとするのならば、何処にいても追い掛けて殺す組織力。
例え、保安委員に守られていても、護衛の保安委員の前で相手を撃ち殺すという執念。
これらの事実が合わさり、未だに王国の組織はそのサラマンダーの組織力さえ掴めていない。
「これが、この事件の黒幕の正体って訳ですか?」
私はエマ部長から渡された組織についての報告書を読み終えると、彼女の机の上に放り投げて、用紙を滑らせていく。
部長は用紙を手に取ると、ハァと小さな溜息を吐いて、
「キミはどうやらまだこの事件の闇に気付かないらしいな。あの賞金首はサラマンダーのメンバーであり、キミはそいつをたまたま賞金首として捕まえて警察署から懸賞金を貰った。それでいいだろう?」
私は不満そうな顔を向けたが、彼女は反応するどころか、右手を振って私を追い払ってしまう。
「事件の黒幕を追うのでは、一学校のの賞金稼ぎ部なんてスケールじゃ割りに合わないんだよ。分かったんだったら、直ぐに帰ってくれ」
私はいつもとは違うエマ部長の態度に憤りを感じながら、廊下を歩いていると背後から声を掛けられる。
私は不機嫌そうな顔で振り向いて、
「何なの?ケネス。私は今、ちょっぴり不機嫌なんだけれども……」
「そう言うなよ。二ヶ月ぶりに仕事をした相棒の心境を聞いておくのは重要な事だぞ」
ケネスはそれから、私に付き添いながら話を続けていく。
夏休みの間に故郷に帰った時にレースに参加した時に故郷で見た仮面の騎手が素晴らしかった事、レースが終わり、歓待の準備を終えた後に、家族で旅行に行った事。
火山近くにある温泉を楽しんだ事を告げた。
「温泉ねぇ~同性とは言え、他人に裸を見られながら入るなんて何がいいのかしら?」
「分からないかな?家では味わない充実感、広々とした温泉に入るという解放感、そんなものが味わえるんだぜ」
ケネスは人差し指を立てて風呂の事を自慢していく。
だが、私は、
「やっぱり、分からないわ。悪いけれども、他人に裸を見られるなんて、嫌だわ。例え、同性でもね」
「ハッハッ、まぁ、そういう意見もあるって事だな」
ケネスとそんな下らない会話を交わしながら、廊下を歩いていると、目の前のマーティが右手を挙げて、
「よぉ、お二人さん。本当に熱々だな」
「な、べ、別に熱々だとか恋人だとかそんなものではない!ただ、オレはだな、賞金稼ぎ部の相棒と夏休みの間の世間話をしていてだなーー」
「はいはい、そういう言い訳はいいから。それよりも、少し前に起きた殺人事件の報告をエマ部長に言わなけりゃあな」
「殺人事件?」
私の問い掛けに、自分が追い掛けている事件の詳細を語ってくれる。
何でも、街のギャングの男、運送馬車の運転手、シティーの中等学校の年老いた校長。
その全てが銃で頭を撃ち抜かれて殺されていたのだという。
酷いものでは罪人を吊るす十字架に括り付けられて殺されていたのだという。
「どうして、十字架に死体を吊すのかしら?」
「さぁな、異常者の考える事なんて分からねぇよ。少なくとも、オレは暫く放課後はこの事件を追う事になるだろうから、お前らともあんまり顔を合わせられんかもな」
「大丈夫よ。あなたも、しっかりと捜査を頑張ってね」
私が手を振ると、彼も「おう」とキラキラとした笑顔を浮かべて手を振り返す。
マーティン・“マーティ”・チェリローズ。一見すると、おちゃらけた単なる一学生。
だが、実態は地方の有力貴族であり、本当のファミリーネームは地名に因んでローズナイトなのだろうが、みんなには気を遣われたくないのだろうか、チェリローズという偽名を名乗っているのだろう。
貴族だとは言うが、堂々と執事が貴族の坊やである彼を目の前で叱られるくらいの家に育ったのだ。
恐らく、マーティに貴族らしく気取った様子が無いのはローズナイト家の家風が影響しているような気がした。
通常の貴族ならば、嫌がりそうな地道な捜査にも積極的に協力する事から、彼は本当にいい人間なのだろう。
私がマーティの分析を行いながら、廊下の奥へと消えていく彼の姿を見ながら、そんな事を考えていると、急にケネスが低くドスの効いた声で、
「おい、聞いているのか?ウェンディ」
「あぁ、ごめん何だったかしら?」
それを聞くと、ケネスは自分の顔を右手で覆って、
「何って夏休みの話だよ。お前はこの長期の休みの間に何処に行ってんだ?」
「え、あぁ……」
言えない。言える訳がない。仮面を被ってフォー・カントリー・クロスレースに参加していたなんて。
私はやむを得ずに、こう答える事にした。
「大陸一周旅行に行ってたのよ。お父様とお母様と一緒にね」
「大陸旅行かぁ~どんな感じだった?」
「中々楽しかったわよ!特に移動の間の大草原の香りは格別ね!」
「移動の間……?っていう事は馬車で行ったのか!?」
「ええ、そうよ!馬車はとっても気持ち良かったわ……」
私は笑っていたが、その笑いは相当引きつっていたに違いない。
だが、幸いな事にケネスは満足そうな表情で私の話を聞いていたために、私の表情が目に入っていなかったのだろう。
彼はもうとっくに妄想の中での旅行をしているに違いない。
私が苦笑しながら、彼を見つめていると、私とケネスの前に例の長いオレンジ髪の生徒会長と、それからもう一人、緑縁の四角い眼鏡を掛けた長い紫色の髪の男が現れた。
「久し振りぃ~ミス・スペンサーにミスター・ローエングリン」
「会長、何の用ですか?」
ケネスは私を守るように私と会長の間に割って入り、会長を睨む。
すると、会長は苦笑して、
「違うわよ。今日あなた達に用事があるのはこの人よ」
会長の隣に立っていた紫色の髪緑縁の四角い眼鏡をかけた男が丁寧に頭を下げて、
「初めまして、王立魔法学院部活連盟代表、ルパート・グリフィスと申します。以後、お見知り置きを」
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