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サラマンダー・パシュート編
部活連の目論見
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ルパート・グリフィスは下がっていた眼鏡を人差し指で押し上げてから、もう一度冷たい視線で私とケネスの二人を睨む。
「……さてと、単刀直入にお伺いします。あなたはあの一連の連続殺人事件に何か思いあたる事はありませんか?」
目の前の男は何を言っているのだろうか。第一、私はあの殺人事件の件は今日、マーティから聞いて始めて聞いたのだ。
思い当たるも何もあるものか。私もケネスも知らないと同時に声を響かせて、ルパートに向かって叫ぶ。
「……そうですか、では、念のために我々部活連が容疑者だと目論んでいる相手を教えてあげましょうか?」
「へぇ~それは誰なんですか?」
「キミですよ。ウェンディ」
予想外の言葉に私はその場で止まってしまう。雷を打たれた衝撃というのは今の様な状況の事を言うのだろう。
私が反論できずに、言葉を口篭らせていると、私の前に立っていたケネスがルパートに突っ掛かり、
「ふざけるなッ!ウェンディが犯人だという証拠が何処にある!?ウェンディは一日中、オレと賞金稼ぎ部で賞金首を追ってるんだぞ!ギャングのメンバーや駅馬車の運転手を撃ち殺す暇なんてあるもんかッ!」
「ですが、その後に彼女が事件を起こしていたとすれば?」
その言葉を聞いて、ケネスは更に勢い付いたのか、歯を食い縛りながら、更に食って掛かろうとしたが、ルパートはケネスを突き飛ばし、安全を得ると、掴まれていた胸の裾を叩いて皺を直し、ケネスを睨んで、
「全く〈杖無し〉というのは暴力的ですね。魔法が使えないからと暴力や銃に訴える。全く、こんな奴らを国民の税金で養う国王陛下の気持ちが分かりませんよ」
ルパートの台詞に流石の私もカチンときてしまう。
私がどう言われようとも構わない。
だが、ケネスにまで何か言われるのは我慢できない。
彼の前に突っ掛かっていく。
「ちょっとッ!私にはいいけど、ケネスには謝りなさいよ!第一、あなたは私たちを〈杖無し〉だなんて偉そうに言うけれども、あなたはウィリアム・ウィルソン事件の時は何をしていたの?」
「ウィリアム・ウィルソン」という単語を聞いて、彼は視線を逸らしてしまう。
人の傷を散々抉っておいて、いざ、自分の傷を抉られたのならばその態度なのだろうか。
私はもっと、王立魔法学院部活連盟とやらの怠慢を指摘していく。
「そもそも、あなた達は私設警察の事件の時に何をしていたの?生徒会や賞金稼ぎ部に全部、任せて自分は机の下に震えていたんじゃあないの?」
その言葉を聞いて、ルパートはずり落ちた眼鏡を上に戻していく、眼鏡のレンズがキラリと光っているためか、この男の真意を図れないのだが、相当、苦しい顔をしている事は明らかだろう。
ルパートが両手を震えさせていると、生徒会長が彼の肩に手を優しく置いて、
「あんな娘の言う事なんて聞く必要なんてないよぉ~あなたはちゃんと仕事をしていたんだよね?よね?」
会長の援護射撃に彼は助けられたらしい。彼は情けない声で同意の声を口から吐いていく。
「それでいいんだよぉ~あなたは立派な部活連の頭目。それで、あなたは一連の事件をウェンディ・スペンサーの仕業だと断定した。そうなんだよね?」
「勿論さ、あの陰湿なやり口は女性特有のものさッ!それに、わざわざ個室で一対一になってから、撃ち殺す!これは弱い女性だからできる事だしーー」
「ハッ、そんな理由でウェンディを犯人扱いか?女性じゃあなく、気弱な男や少年や少女にも可能な犯行だよな?」
「ま、まだあるぞ!犯人は現場に『死神令嬢』と書いた紙を書き置きして、わざわざ薬莢を残したのだからなッ!」
ルパートは得意そうに私に向かって人差し指を突き刺したのだが、私はあまりの稚拙な態度に溜息を吐いてしまう。
「それが私を犯人だとする動機なんですか?お言葉ですが、私と同じ武器を使う人間は何人居ると思うんですか?それに、令嬢が何人居るのかお調べになりましたか?」
言葉に詰まるルパートであったが、そこに腕を組みながらオレンジ色の髪の諧調が口を挟む。
「犯人は正確に頭を射抜いていたわ。確かに、あなたと同じ銃を使う令嬢は多いでしょうけれど、そんなにも正確に銃を使える人間ともなれば、犯人は限られたくなるでしょうね」
「なるほど、それが私を犯人と断定する一番の証拠という事ですか?」
「そう、数字……この学院における射撃の授業の成績が一番、あなたの犯行を物語っているわ」
会長は予め、ルパートのポンコツぶりやそれに対する私の反論を予想していたに違いない。
そうでなければ、これ程、全校生徒の射撃成績を表した紙は素早く出なかったに違いない。
会長は紙をヒラヒラと動かしながら、
「この成績表が全てよ。最も、あなたがあの射撃教師に媚び諂って成績を貰っていなければ……の話だけれど」
「分かりました。私はこの事件の犯人を突き止めてみせましょう。あなた方に犯人だと思われているのは癪に触りますから」
私はケネスを連れて、二人の元から離れようとしたが、その場から去ろうとした私に会長はもう一度、言葉を投げ掛けて、
「それからね、今日、私があなたに会いに来たのはルパートの件だけじゃあないんだよぉ~」
それを聞いて、私は素早く振り返って、
「何ですか?あなた方にあられぬ嫌疑を掛けられたので、直ぐにでもそれを晴らしに向かいたいんですが……」
「まぁ、待ってよ。私が聞きたいのはあなた達が仕留めた賞金首の件よ」
その言葉を聞いて、私の顔色が変わったのを会長は確認したのだろう。彼女は口元を抑えながらもクスクスと大きな声で笑って、
「そう、例の『サラマンダー』との関わりを持つ賞金首よ。実はね、保安委員の男から仕入れた情報なんだけれど……その男のね、相棒がこの街に潜伏してるって噂よ」
困惑する私とケネスを他所に、会長は顔にいたずらっぽい笑顔を浮かべて、
「分かるかなぁ~?つまり、その男は組織の力を借りて、あなたとケネスに復讐をしようって訳。お分かり?」
会長は固まった様子の私とケネスを見て、もう一度クスクスと笑って、
「じゃあね、そろそろ行くわ。嫌疑を晴らす件と復讐者の件は頑張ってね」
会長はルパート部活連頭目を連れて、その場を離れていく。
その様子を私とケネスはジッと睨む。
それから、二人で見つめ合いながら、
「やるわよ!嫌疑を晴らし、復讐者も返り討ちにしてやろうじゃあない!」
「勿論だッ!オレとお前とがコンビを組むんだぞ!なら、この世に怖いものなんてあるもんかッ!」
私とケネスは二人でそう叫ぶと大きな声でハイタッチを交わし合う。
「……さてと、単刀直入にお伺いします。あなたはあの一連の連続殺人事件に何か思いあたる事はありませんか?」
目の前の男は何を言っているのだろうか。第一、私はあの殺人事件の件は今日、マーティから聞いて始めて聞いたのだ。
思い当たるも何もあるものか。私もケネスも知らないと同時に声を響かせて、ルパートに向かって叫ぶ。
「……そうですか、では、念のために我々部活連が容疑者だと目論んでいる相手を教えてあげましょうか?」
「へぇ~それは誰なんですか?」
「キミですよ。ウェンディ」
予想外の言葉に私はその場で止まってしまう。雷を打たれた衝撃というのは今の様な状況の事を言うのだろう。
私が反論できずに、言葉を口篭らせていると、私の前に立っていたケネスがルパートに突っ掛かり、
「ふざけるなッ!ウェンディが犯人だという証拠が何処にある!?ウェンディは一日中、オレと賞金稼ぎ部で賞金首を追ってるんだぞ!ギャングのメンバーや駅馬車の運転手を撃ち殺す暇なんてあるもんかッ!」
「ですが、その後に彼女が事件を起こしていたとすれば?」
その言葉を聞いて、ケネスは更に勢い付いたのか、歯を食い縛りながら、更に食って掛かろうとしたが、ルパートはケネスを突き飛ばし、安全を得ると、掴まれていた胸の裾を叩いて皺を直し、ケネスを睨んで、
「全く〈杖無し〉というのは暴力的ですね。魔法が使えないからと暴力や銃に訴える。全く、こんな奴らを国民の税金で養う国王陛下の気持ちが分かりませんよ」
ルパートの台詞に流石の私もカチンときてしまう。
私がどう言われようとも構わない。
だが、ケネスにまで何か言われるのは我慢できない。
彼の前に突っ掛かっていく。
「ちょっとッ!私にはいいけど、ケネスには謝りなさいよ!第一、あなたは私たちを〈杖無し〉だなんて偉そうに言うけれども、あなたはウィリアム・ウィルソン事件の時は何をしていたの?」
「ウィリアム・ウィルソン」という単語を聞いて、彼は視線を逸らしてしまう。
人の傷を散々抉っておいて、いざ、自分の傷を抉られたのならばその態度なのだろうか。
私はもっと、王立魔法学院部活連盟とやらの怠慢を指摘していく。
「そもそも、あなた達は私設警察の事件の時に何をしていたの?生徒会や賞金稼ぎ部に全部、任せて自分は机の下に震えていたんじゃあないの?」
その言葉を聞いて、ルパートはずり落ちた眼鏡を上に戻していく、眼鏡のレンズがキラリと光っているためか、この男の真意を図れないのだが、相当、苦しい顔をしている事は明らかだろう。
ルパートが両手を震えさせていると、生徒会長が彼の肩に手を優しく置いて、
「あんな娘の言う事なんて聞く必要なんてないよぉ~あなたはちゃんと仕事をしていたんだよね?よね?」
会長の援護射撃に彼は助けられたらしい。彼は情けない声で同意の声を口から吐いていく。
「それでいいんだよぉ~あなたは立派な部活連の頭目。それで、あなたは一連の事件をウェンディ・スペンサーの仕業だと断定した。そうなんだよね?」
「勿論さ、あの陰湿なやり口は女性特有のものさッ!それに、わざわざ個室で一対一になってから、撃ち殺す!これは弱い女性だからできる事だしーー」
「ハッ、そんな理由でウェンディを犯人扱いか?女性じゃあなく、気弱な男や少年や少女にも可能な犯行だよな?」
「ま、まだあるぞ!犯人は現場に『死神令嬢』と書いた紙を書き置きして、わざわざ薬莢を残したのだからなッ!」
ルパートは得意そうに私に向かって人差し指を突き刺したのだが、私はあまりの稚拙な態度に溜息を吐いてしまう。
「それが私を犯人だとする動機なんですか?お言葉ですが、私と同じ武器を使う人間は何人居ると思うんですか?それに、令嬢が何人居るのかお調べになりましたか?」
言葉に詰まるルパートであったが、そこに腕を組みながらオレンジ色の髪の諧調が口を挟む。
「犯人は正確に頭を射抜いていたわ。確かに、あなたと同じ銃を使う令嬢は多いでしょうけれど、そんなにも正確に銃を使える人間ともなれば、犯人は限られたくなるでしょうね」
「なるほど、それが私を犯人と断定する一番の証拠という事ですか?」
「そう、数字……この学院における射撃の授業の成績が一番、あなたの犯行を物語っているわ」
会長は予め、ルパートのポンコツぶりやそれに対する私の反論を予想していたに違いない。
そうでなければ、これ程、全校生徒の射撃成績を表した紙は素早く出なかったに違いない。
会長は紙をヒラヒラと動かしながら、
「この成績表が全てよ。最も、あなたがあの射撃教師に媚び諂って成績を貰っていなければ……の話だけれど」
「分かりました。私はこの事件の犯人を突き止めてみせましょう。あなた方に犯人だと思われているのは癪に触りますから」
私はケネスを連れて、二人の元から離れようとしたが、その場から去ろうとした私に会長はもう一度、言葉を投げ掛けて、
「それからね、今日、私があなたに会いに来たのはルパートの件だけじゃあないんだよぉ~」
それを聞いて、私は素早く振り返って、
「何ですか?あなた方にあられぬ嫌疑を掛けられたので、直ぐにでもそれを晴らしに向かいたいんですが……」
「まぁ、待ってよ。私が聞きたいのはあなた達が仕留めた賞金首の件よ」
その言葉を聞いて、私の顔色が変わったのを会長は確認したのだろう。彼女は口元を抑えながらもクスクスと大きな声で笑って、
「そう、例の『サラマンダー』との関わりを持つ賞金首よ。実はね、保安委員の男から仕入れた情報なんだけれど……その男のね、相棒がこの街に潜伏してるって噂よ」
困惑する私とケネスを他所に、会長は顔にいたずらっぽい笑顔を浮かべて、
「分かるかなぁ~?つまり、その男は組織の力を借りて、あなたとケネスに復讐をしようって訳。お分かり?」
会長は固まった様子の私とケネスを見て、もう一度クスクスと笑って、
「じゃあね、そろそろ行くわ。嫌疑を晴らす件と復讐者の件は頑張ってね」
会長はルパート部活連頭目を連れて、その場を離れていく。
その様子を私とケネスはジッと睨む。
それから、二人で見つめ合いながら、
「やるわよ!嫌疑を晴らし、復讐者も返り討ちにしてやろうじゃあない!」
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