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サラマンダー・パシュート編
エリート副部長は落ちこぼれの女ガンマンとの恋愛を夢見るか
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その女と初めて出会ったのは新学期の始めの頃、ウィリアム・ウィルソン事件が発生し、その事件の証拠を部長に渡すために自分の魔法を使って部室に自分の映像を送り、部長と連絡を取り合うとした時に出会ったのが彼女だった。
長い銀色の髪の少女は俺から見れば、劇場の主演の女優がそのまま舞台から飛び降りてきたかのように美しい女だった。
もし、その時にあの女が付けているバッジの存在に気が付かなければ、俺はきっともっと自分の気持ちに素直になれていただろう。
だが、一度杖の描かれていない星型のバッジを見つけた瞬間に、俺の中の嫌悪の感情が深まり、ついあの女に対して素っ気ない態度、冷たいと思われる態度を取ってしまう。
だから、俺はあんな事を言ってしまったのだ。彼女が一番気にしている筈の言葉。王立魔法学院において魔法の使えない人間が一番コンプレックスとして刺激される〈杖無し〉という言葉を発してしまったのだ。
ここまで言ってしまえばもう後には戻れない。ひたすら俺は素っ気なく接し、エリートのみが入部できる賞金稼ぎ部に〈杖無し〉がいるのかというエリート独特の態度を貫いていく。
石からもう映像が消えてしまうと、俺は大きく溜息を吐いてあんな事を言ってしまった事を後悔してしまう。
そんなモヤモヤとした感情を抱えたまま新学期を過ごしてきたのだが、今回に来て大きくチャンスがやって来たのだ。
あの時はウェンディがウジウジとした態度を取るものだから、あんな口調で叫んだのだが、本当はもっと言いたい事があるのだ。
好きな俳優の名前や好きな劇のタイトル、好きな酒場の食べ物の事。
俺が思い付く限りの話をしてあげよう。でも、本当に一番口にしたいのは謝罪だ。あの時の事を謝りたい。どうすれば、謝れるのだろうか。
が、どうやら、俺がそんな事を考えているうちにウェンディの操っていた馬が止まっていた事に気が付く。
馬を止める中でふと空を眺める。空は既に青く澄み渡っており、もうすっかり夜も明けて朝になっていたという事だ。
太陽というのは平等に光を与える存在なのだ。田舎だろうが、都会だろうが平等に陽の光は注がれる。
現に、この街は俺らが普段過ごす街とは異なり、多くの高層の建物が並び、馬車の通る道には敷き詰められた煉瓦が敷き詰められており、それらが欠けた様子は万に一もない。
加えて、その道路を挟んで並ぶ住宅街にオフィス街。
まさに、都会の象徴と言っても過言ではない場所ではないだろうか。
すると、明るい太陽の光が目の前のこの国、最大の闇の組織のアジトを照らしている事に気が付く。
それを見た、俺は思わず頭の中に思い付いた詩を口ずさんでしまう。
「これが王国の夜が明ける瞬間なんだろうな。明けない夜っていうのは無いんだ。決して、光は闇を照らし、人々に希望を与える。うーん、いいねぇ~」
俺は両目を閉じ、ご満悦な表情で語っていたのだと思うのだが、部活メンバーの視線は冷ややかだ。剣のように鋭く突き刺さる視線が一斉に俺に向かっていく。
そりゃあそうだろう。頼りになる副部長が唐突にポエムのような事を言い出しのだから。全員が緊張している中で、こんな事を言うなど俺もどうかしている。
俺はゴホンと空咳をしてから、困惑する生徒たちに中に突入するように指示を出したのだが、全員の顔がニヤニヤと笑っている事に気が付く。
わ、悪いか。俺だってたまにはポエムくらい言うわい。
恐らくこの時の俺の顔は冷や汗塗れだったに違いない。物凄く恥ずかしい思いを抱えながら入り口に突入しようとすると、そこには優しい微笑を浮かべたウェンディの姿。俺を嘲笑しているのだろうか。はたまたこれまで散々〈杖無し〉と馬鹿にされてきた腹いせに冷笑しているのだろうか。
どちらでも良いのだが、あの笑顔は何なのだろう。
見ているだけで思わず彼女の笑顔に飲み込まれそうになってしまう。
すると、俺がマジマジと顔を見ている事に気が付いたのだろう。
彼女は慌てて小さく手を横に振って、
「ち、違います!ただ、私は先輩の、副部長の発した詩があまりにも素敵だから、つい聞き惚れちゃって……」
「下手な気遣いはよせ、大体、オレに媚びたっていい事なんて一つもーー」
「媚びてなんかいませんッ!私は本当に副部長の詩が素敵だと思ったから、素直に感想を伝えただけなんです!それだけなんですから……」
最後だけは弱々しかったが、あの表情から察するに本気だったらしい。
俺は苦笑して頬を膨らませる銀髪の少女の頭を優しく撫でていく。
「え、あの、ふ、副部長!?」
顔を真っ赤にして困惑の声を出す彼女の声に俺までもがつられて顔が赤くなってしまう。
俺はさっと手を引っ込めて後は何も言わずに拳銃の銃口で目の前に聳え立つ三階建ての建物を指す。
「ここで問題ないんだな?」
「ええ、間違いありません。組織のNo.2の男が自分の命を賭けて言ってましたから」
真剣なウェンディの顔。恐らく、言っている事は本当だろう。
彼女の言葉を信じて、俺や何人かの男部員は閉ざされている建物の扉を蹴り破り、中へと乱入していく。
その後に続く女子部員や後輩の部員たち。
馬に下げていた武器やホルスターに下げていた武器を持って、彼ら彼女らは共にこの建物へと突入していく。
表向きは証券会社なのだから、入り口には朝の準備をしている社員の姿が見える。困惑し、抗議の言葉を飛ばす社員たちを一喝したのは我らが部長だった。
彼女は大きな声を上げて、
「動くなッ!我々は王立魔法学院の賞金稼ぎ部だッ!この建物に我々が長年追っている賞金首がいるとの報告を受けたッ!それを調査してもらう!」
「無茶苦茶だッ!国家権力の横暴だッ!」
などと一人の男性社員が野次を飛ばしたので、俺が大きな声で一喝してやるとその男は途端に縮こまってしまう。
けつの穴の小さな男だ。俺は痰を地面に吐き捨てて奴らが妙な動きをしないように睨みを利かしていく。
すると、オフィスの一番奥に存在する階段から柄の悪い男たちが現れて、俺たちに向かって銃を突き付けながら、
「おいおい、テメェら勝手に入って来てもらうと困るじゃあねぇか、おい」
「どうするんだよ?ここはゲオルグ・ロメインさんの証券会社だぞ、テメェらの様なこれから先、つまらない人生を送って、つまらなく金を稼いで一生を終える予定のテメェら学生と一緒にするなよ。あん?」
「あら、そのつまらない人生を送っているのはあなた方じゃあなくて?」
ウェンディの挑発に男たちは乗ってしまったらしい。
奴らはホルスターに下げていた拳銃を取り出し、彼女に向かって銃口を突き付ける。
もう片方に至っては怒りのあまり天井を撃ち抜くのだが、不思議な事にウェンディは怯えるどころか、ニヤニヤと笑ってさえいた。
彼女は満面の笑みを浮かべると、銃を突き付け返し、
「先に撃ったのはあなた達の方だから」
と、言って男の右肩を撃ち抜く。悲鳴が部屋全体に響き渡り、ウェンディが銃を発砲した瞬間に、もう一人の男が彼女の頭に狙いを定めるが、彼女は男が銃を発砲するよりも先に男の頭を撃ち抜く。
すると、その銃声を皮切りに、大勢の用心棒と思われる人間が現れて、オフィスの中へと流れ込む。
普通、ただの証券会社でここまでギャングが居るのは珍しい。
どうやら、ウェンディの回答は正解だったらしい。
オレ達、賞金稼ぎ部の面々は目の前の男たちに向かって銃を突き付けて撃ち合いを始めていく。
物陰に分散し、相手の銃を避け、反対に相手を撃ち殺す瞬間が俺はスリルがあって好きだ。
俺は盾代わりの机の裏側に隠れながらニャッと笑った。
長い銀色の髪の少女は俺から見れば、劇場の主演の女優がそのまま舞台から飛び降りてきたかのように美しい女だった。
もし、その時にあの女が付けているバッジの存在に気が付かなければ、俺はきっともっと自分の気持ちに素直になれていただろう。
だが、一度杖の描かれていない星型のバッジを見つけた瞬間に、俺の中の嫌悪の感情が深まり、ついあの女に対して素っ気ない態度、冷たいと思われる態度を取ってしまう。
だから、俺はあんな事を言ってしまったのだ。彼女が一番気にしている筈の言葉。王立魔法学院において魔法の使えない人間が一番コンプレックスとして刺激される〈杖無し〉という言葉を発してしまったのだ。
ここまで言ってしまえばもう後には戻れない。ひたすら俺は素っ気なく接し、エリートのみが入部できる賞金稼ぎ部に〈杖無し〉がいるのかというエリート独特の態度を貫いていく。
石からもう映像が消えてしまうと、俺は大きく溜息を吐いてあんな事を言ってしまった事を後悔してしまう。
そんなモヤモヤとした感情を抱えたまま新学期を過ごしてきたのだが、今回に来て大きくチャンスがやって来たのだ。
あの時はウェンディがウジウジとした態度を取るものだから、あんな口調で叫んだのだが、本当はもっと言いたい事があるのだ。
好きな俳優の名前や好きな劇のタイトル、好きな酒場の食べ物の事。
俺が思い付く限りの話をしてあげよう。でも、本当に一番口にしたいのは謝罪だ。あの時の事を謝りたい。どうすれば、謝れるのだろうか。
が、どうやら、俺がそんな事を考えているうちにウェンディの操っていた馬が止まっていた事に気が付く。
馬を止める中でふと空を眺める。空は既に青く澄み渡っており、もうすっかり夜も明けて朝になっていたという事だ。
太陽というのは平等に光を与える存在なのだ。田舎だろうが、都会だろうが平等に陽の光は注がれる。
現に、この街は俺らが普段過ごす街とは異なり、多くの高層の建物が並び、馬車の通る道には敷き詰められた煉瓦が敷き詰められており、それらが欠けた様子は万に一もない。
加えて、その道路を挟んで並ぶ住宅街にオフィス街。
まさに、都会の象徴と言っても過言ではない場所ではないだろうか。
すると、明るい太陽の光が目の前のこの国、最大の闇の組織のアジトを照らしている事に気が付く。
それを見た、俺は思わず頭の中に思い付いた詩を口ずさんでしまう。
「これが王国の夜が明ける瞬間なんだろうな。明けない夜っていうのは無いんだ。決して、光は闇を照らし、人々に希望を与える。うーん、いいねぇ~」
俺は両目を閉じ、ご満悦な表情で語っていたのだと思うのだが、部活メンバーの視線は冷ややかだ。剣のように鋭く突き刺さる視線が一斉に俺に向かっていく。
そりゃあそうだろう。頼りになる副部長が唐突にポエムのような事を言い出しのだから。全員が緊張している中で、こんな事を言うなど俺もどうかしている。
俺はゴホンと空咳をしてから、困惑する生徒たちに中に突入するように指示を出したのだが、全員の顔がニヤニヤと笑っている事に気が付く。
わ、悪いか。俺だってたまにはポエムくらい言うわい。
恐らくこの時の俺の顔は冷や汗塗れだったに違いない。物凄く恥ずかしい思いを抱えながら入り口に突入しようとすると、そこには優しい微笑を浮かべたウェンディの姿。俺を嘲笑しているのだろうか。はたまたこれまで散々〈杖無し〉と馬鹿にされてきた腹いせに冷笑しているのだろうか。
どちらでも良いのだが、あの笑顔は何なのだろう。
見ているだけで思わず彼女の笑顔に飲み込まれそうになってしまう。
すると、俺がマジマジと顔を見ている事に気が付いたのだろう。
彼女は慌てて小さく手を横に振って、
「ち、違います!ただ、私は先輩の、副部長の発した詩があまりにも素敵だから、つい聞き惚れちゃって……」
「下手な気遣いはよせ、大体、オレに媚びたっていい事なんて一つもーー」
「媚びてなんかいませんッ!私は本当に副部長の詩が素敵だと思ったから、素直に感想を伝えただけなんです!それだけなんですから……」
最後だけは弱々しかったが、あの表情から察するに本気だったらしい。
俺は苦笑して頬を膨らませる銀髪の少女の頭を優しく撫でていく。
「え、あの、ふ、副部長!?」
顔を真っ赤にして困惑の声を出す彼女の声に俺までもがつられて顔が赤くなってしまう。
俺はさっと手を引っ込めて後は何も言わずに拳銃の銃口で目の前に聳え立つ三階建ての建物を指す。
「ここで問題ないんだな?」
「ええ、間違いありません。組織のNo.2の男が自分の命を賭けて言ってましたから」
真剣なウェンディの顔。恐らく、言っている事は本当だろう。
彼女の言葉を信じて、俺や何人かの男部員は閉ざされている建物の扉を蹴り破り、中へと乱入していく。
その後に続く女子部員や後輩の部員たち。
馬に下げていた武器やホルスターに下げていた武器を持って、彼ら彼女らは共にこの建物へと突入していく。
表向きは証券会社なのだから、入り口には朝の準備をしている社員の姿が見える。困惑し、抗議の言葉を飛ばす社員たちを一喝したのは我らが部長だった。
彼女は大きな声を上げて、
「動くなッ!我々は王立魔法学院の賞金稼ぎ部だッ!この建物に我々が長年追っている賞金首がいるとの報告を受けたッ!それを調査してもらう!」
「無茶苦茶だッ!国家権力の横暴だッ!」
などと一人の男性社員が野次を飛ばしたので、俺が大きな声で一喝してやるとその男は途端に縮こまってしまう。
けつの穴の小さな男だ。俺は痰を地面に吐き捨てて奴らが妙な動きをしないように睨みを利かしていく。
すると、オフィスの一番奥に存在する階段から柄の悪い男たちが現れて、俺たちに向かって銃を突き付けながら、
「おいおい、テメェら勝手に入って来てもらうと困るじゃあねぇか、おい」
「どうするんだよ?ここはゲオルグ・ロメインさんの証券会社だぞ、テメェらの様なこれから先、つまらない人生を送って、つまらなく金を稼いで一生を終える予定のテメェら学生と一緒にするなよ。あん?」
「あら、そのつまらない人生を送っているのはあなた方じゃあなくて?」
ウェンディの挑発に男たちは乗ってしまったらしい。
奴らはホルスターに下げていた拳銃を取り出し、彼女に向かって銃口を突き付ける。
もう片方に至っては怒りのあまり天井を撃ち抜くのだが、不思議な事にウェンディは怯えるどころか、ニヤニヤと笑ってさえいた。
彼女は満面の笑みを浮かべると、銃を突き付け返し、
「先に撃ったのはあなた達の方だから」
と、言って男の右肩を撃ち抜く。悲鳴が部屋全体に響き渡り、ウェンディが銃を発砲した瞬間に、もう一人の男が彼女の頭に狙いを定めるが、彼女は男が銃を発砲するよりも先に男の頭を撃ち抜く。
すると、その銃声を皮切りに、大勢の用心棒と思われる人間が現れて、オフィスの中へと流れ込む。
普通、ただの証券会社でここまでギャングが居るのは珍しい。
どうやら、ウェンディの回答は正解だったらしい。
オレ達、賞金稼ぎ部の面々は目の前の男たちに向かって銃を突き付けて撃ち合いを始めていく。
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