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ウィンストン・セイライム・セレモニー編
アンダードーム・ナイトメア
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扉の向こうからアンデッドの呻き声、それにアンデットの持っている回転式の拳銃の銃弾の音が響く。
彼らは当然ながら、死人である。背後から飛び交う銃弾など気にも留めずに扉に向かって体当たりを喰らわせていく。
58名という数ではやはり、部が悪いのだろう。私が歯を食い縛りながら、アンデッドの群れを抑えていた時だ。
あのアンデッドたちが劇場の入り口にまで迫り、今にも『日常』へと連なる扉を開けようとしている。
だが、そうはさせない。私は下唇を抑えながら扉を開けてこの場を突破しようとするアンデッド達を抑えていく。
どうすれば良いのだろう。正直に言えばお手上げに近いかもしれない。
私が半ば諦めの窮地に陥っていた時だ。暗闇から私の仲間たちが現れて、目の前のゾンビたちと対峙していく。
仲間たちは劇場の背後に現れると私に下がるように大声で指示を出す。
私は首を横に振って断ろうとしたのだが、彼らは火炎瓶を握って叫んでいたのだ。
私は慌てて劇場の扉の前から飛び退く。
すると、私という重しが取れたためか、既に人間としての意思を失ったアンデッド達が入り口を開けて『日常』へと流れ込む。
だが、火炎瓶を持ったマーティが劇場の前に火炎瓶を放り投げたために、目の前に現れた何体かのアンデッドは火に包まれていく。
思わず体を震わせてしまうが、扉を開けたアンデッド達は目の前に流れる火など気にする事なく行進を続けていく。
あれこそが世界を破滅に導く行進。古の伝説に記された人類への破滅。
私の頭の中に一度は不穏な単語が並んだのだが、私は直ぐに首を横に振ってその単語を打ち消そうとしたのだが、目の前に現れた触手のある頭足類の顔を見るとそのポジティブな考えも吹き飛んでしまう。
私は悲鳴を上げそうにはなったものの、その感情を押し殺し、階段から逃げる最中にホルスターに仕舞い直した拳銃を抜こうとしたのだが、その前にその怪物によってその手を止められてしまう。
怪物は頭の下に生えている触手をプルプルと震わせながら、
「ハッハッ、所詮はお前は悪人だッ!ここでお前のようなクソ女は神のお導きによって惨めに殺されるのが運命なんだよッ!死にやがれ!極悪人のバカ女ッ!」
怪物がその触手を鋭く尖らせ、頸動脈に突き刺そうとした時だ。
「黙れゲスッ!」
と、深夜の街に大きな声で怪物を叱り付けるケネスの声が響き渡っていく。
その言葉を聞いて周りの人物も、私も、何より、怪物本体がその言葉の反響のために口を動かせなかったらしい。
だが、ケネスはそんな事に構う事なく人差し指を突き付け、声を大きく震わせて、
「貴様は自らの力を誇示するために、神の名を語るのかッ!恐れ知らずの大馬鹿者めがッ!そもそも、ウェンディに対する貴様の評は何もかも出鱈目ではないかッ!恥を知れッ!愚か者がァ!」
ケネスの剣幕に目の前の怪物はそっと触手を引っ込めたかと思うと目の前に対峙した彼と向き合っていく。
これであの怪物の相手を私とケネス、マーティの三人が、アンデッドの相手をクラリスとケイレブの二人が担当する事になった。
大量のゾンビを紋章から作り出した砲口でゾンビを再生できなくなるまでに蜂の巣にしていくケイレブ。アンデッドの足を糸でくっ付けて動きを止めるクラリス。
この二人が居たのならば、アンデッド対決も安全だろう。
問題はこちらだ。あの怪物は独特の恐ろしさと雰囲気を醸し出しており、倒すのは中々に厄介だと言えるかもしれない。
三人で銃を構えて取り囲む。だが、怪物は怯む事なく、私たちの前に例の見えない壁を作り出し、私たちを弾いていく。
どうやら、彼の作り出す足場というのは盾の役目も果たすらしい。
私は吹き飛ばされた先で頭をぶつけたために、頭を一人で撫でながら物事を思案していく。目の前の怪物はどうすれば倒せるのだろうか、と。
当てはない。だが、あの怪物を倒さなくてはこの先の人類に未来は無いだろう。
私は頭足から触手を生やした怪物を鋭い目で睨む。
すると、怪物は私の念に気付いたのか、足をこちらに向けていく。
ケネスもマーティも自身の魔法で雲を作り出し、怪物に向かわせようとしていたのだが、私はそれを手を向けて静止させた。
私はあの怪物の冷静さを奪うために、何か良い言葉が無いのかを思案していく。
その時だった。私の中に本来ならば、存在しない記憶が浮かんでいく。
涙を流すクラリスと思われる少女を見下ろし、虐める私、ケイレブそっくりの見慣れない衣装を着た青年を陥れ、装備や街の人間の信頼を奪った後に父を誘惑し、王都から彼を追放する私。
双子の妹の優秀さに嫉妬し、その妹を謀殺しようと目論み、勇者に阻まれる私。
そして、魔王を討伐し、逆襲に現れたケイレブに負けて王宮を追放され王位を剥奪された後に逆恨みの感情をヒートアップさせてケイレブに決闘を挑み、彼の連れである尖った耳の少女に斬り殺されてしまう私。
記憶には無いし、実際に体験をした事も無い事実だ。
だが、その記憶に無い記憶に映る姿は間違いなく私だった。
城も挙げ句の果てには文明レベルさえにも相違点があったのだが、あの自慢の銀髪と何より私自身の顔を見忘れるものか。恐らく、この記憶はあの精神世界にいる子供が送ってくれたものだろう。
私は少年(実際には違う神なのだから少年ではないだろうが)に感謝して、彼らから送られたであろう違う世界の私の記憶にある言葉を引用し、目の前の怪物をいや、全然違う世界の私とこの世界の私とを混在している男に向かって言ってやる。
恐らく、あの男が一番嫌がる台詞を。
触手から鼻息?を荒げる男に向かって私は一番嫌がるであろう台詞を呟いていく。
「全く、庶民というのは本当に浅ましい存在ですわ。そもそもこの国の王女である私に逆らうなんて……やはり、あそこで殺しておくべきでしたわね」
これは別の世界のクラリスに向けた言葉であったが、何故だか、あの怪物の状況にもピタリと当て嵌まるのが不思議だ。
だが、怪物は大きな声を上げて槍を振るって私の元に向かう。
この瞬間を待っていたのだ。私は目の前に振り下ろされようとした槍を飛び上がる事により回避し、彼の触手に向かって銃を放つ。
死にはしなかったものの、彼が地面に大きく倒れた事から、これまでよりは効く攻撃であったらしい。
地面に倒れている頭足類の触手を生やした緑色の怪物はその細い目を精一杯に横に広げて私を睨む。
「やっぱりだ。オレの睨んだ通り、お前は悪女だ。ケイレブを陥れたなッ!」
「別の世界の私は、でしょ?」
私は再度男の触手に向かって銃口を向ける。その時に私はハッキリと見たのだ。
あの緑色の怪物の額からハッキリと冷や汗が垂れている事に。
この機会を逃す手は無いだろう。私は絶好の機会に右端を大きく吊り上げて笑う。
彼らは当然ながら、死人である。背後から飛び交う銃弾など気にも留めずに扉に向かって体当たりを喰らわせていく。
58名という数ではやはり、部が悪いのだろう。私が歯を食い縛りながら、アンデッドの群れを抑えていた時だ。
あのアンデッドたちが劇場の入り口にまで迫り、今にも『日常』へと連なる扉を開けようとしている。
だが、そうはさせない。私は下唇を抑えながら扉を開けてこの場を突破しようとするアンデッド達を抑えていく。
どうすれば良いのだろう。正直に言えばお手上げに近いかもしれない。
私が半ば諦めの窮地に陥っていた時だ。暗闇から私の仲間たちが現れて、目の前のゾンビたちと対峙していく。
仲間たちは劇場の背後に現れると私に下がるように大声で指示を出す。
私は首を横に振って断ろうとしたのだが、彼らは火炎瓶を握って叫んでいたのだ。
私は慌てて劇場の扉の前から飛び退く。
すると、私という重しが取れたためか、既に人間としての意思を失ったアンデッド達が入り口を開けて『日常』へと流れ込む。
だが、火炎瓶を持ったマーティが劇場の前に火炎瓶を放り投げたために、目の前に現れた何体かのアンデッドは火に包まれていく。
思わず体を震わせてしまうが、扉を開けたアンデッド達は目の前に流れる火など気にする事なく行進を続けていく。
あれこそが世界を破滅に導く行進。古の伝説に記された人類への破滅。
私の頭の中に一度は不穏な単語が並んだのだが、私は直ぐに首を横に振ってその単語を打ち消そうとしたのだが、目の前に現れた触手のある頭足類の顔を見るとそのポジティブな考えも吹き飛んでしまう。
私は悲鳴を上げそうにはなったものの、その感情を押し殺し、階段から逃げる最中にホルスターに仕舞い直した拳銃を抜こうとしたのだが、その前にその怪物によってその手を止められてしまう。
怪物は頭の下に生えている触手をプルプルと震わせながら、
「ハッハッ、所詮はお前は悪人だッ!ここでお前のようなクソ女は神のお導きによって惨めに殺されるのが運命なんだよッ!死にやがれ!極悪人のバカ女ッ!」
怪物がその触手を鋭く尖らせ、頸動脈に突き刺そうとした時だ。
「黙れゲスッ!」
と、深夜の街に大きな声で怪物を叱り付けるケネスの声が響き渡っていく。
その言葉を聞いて周りの人物も、私も、何より、怪物本体がその言葉の反響のために口を動かせなかったらしい。
だが、ケネスはそんな事に構う事なく人差し指を突き付け、声を大きく震わせて、
「貴様は自らの力を誇示するために、神の名を語るのかッ!恐れ知らずの大馬鹿者めがッ!そもそも、ウェンディに対する貴様の評は何もかも出鱈目ではないかッ!恥を知れッ!愚か者がァ!」
ケネスの剣幕に目の前の怪物はそっと触手を引っ込めたかと思うと目の前に対峙した彼と向き合っていく。
これであの怪物の相手を私とケネス、マーティの三人が、アンデッドの相手をクラリスとケイレブの二人が担当する事になった。
大量のゾンビを紋章から作り出した砲口でゾンビを再生できなくなるまでに蜂の巣にしていくケイレブ。アンデッドの足を糸でくっ付けて動きを止めるクラリス。
この二人が居たのならば、アンデッド対決も安全だろう。
問題はこちらだ。あの怪物は独特の恐ろしさと雰囲気を醸し出しており、倒すのは中々に厄介だと言えるかもしれない。
三人で銃を構えて取り囲む。だが、怪物は怯む事なく、私たちの前に例の見えない壁を作り出し、私たちを弾いていく。
どうやら、彼の作り出す足場というのは盾の役目も果たすらしい。
私は吹き飛ばされた先で頭をぶつけたために、頭を一人で撫でながら物事を思案していく。目の前の怪物はどうすれば倒せるのだろうか、と。
当てはない。だが、あの怪物を倒さなくてはこの先の人類に未来は無いだろう。
私は頭足から触手を生やした怪物を鋭い目で睨む。
すると、怪物は私の念に気付いたのか、足をこちらに向けていく。
ケネスもマーティも自身の魔法で雲を作り出し、怪物に向かわせようとしていたのだが、私はそれを手を向けて静止させた。
私はあの怪物の冷静さを奪うために、何か良い言葉が無いのかを思案していく。
その時だった。私の中に本来ならば、存在しない記憶が浮かんでいく。
涙を流すクラリスと思われる少女を見下ろし、虐める私、ケイレブそっくりの見慣れない衣装を着た青年を陥れ、装備や街の人間の信頼を奪った後に父を誘惑し、王都から彼を追放する私。
双子の妹の優秀さに嫉妬し、その妹を謀殺しようと目論み、勇者に阻まれる私。
そして、魔王を討伐し、逆襲に現れたケイレブに負けて王宮を追放され王位を剥奪された後に逆恨みの感情をヒートアップさせてケイレブに決闘を挑み、彼の連れである尖った耳の少女に斬り殺されてしまう私。
記憶には無いし、実際に体験をした事も無い事実だ。
だが、その記憶に無い記憶に映る姿は間違いなく私だった。
城も挙げ句の果てには文明レベルさえにも相違点があったのだが、あの自慢の銀髪と何より私自身の顔を見忘れるものか。恐らく、この記憶はあの精神世界にいる子供が送ってくれたものだろう。
私は少年(実際には違う神なのだから少年ではないだろうが)に感謝して、彼らから送られたであろう違う世界の私の記憶にある言葉を引用し、目の前の怪物をいや、全然違う世界の私とこの世界の私とを混在している男に向かって言ってやる。
恐らく、あの男が一番嫌がる台詞を。
触手から鼻息?を荒げる男に向かって私は一番嫌がるであろう台詞を呟いていく。
「全く、庶民というのは本当に浅ましい存在ですわ。そもそもこの国の王女である私に逆らうなんて……やはり、あそこで殺しておくべきでしたわね」
これは別の世界のクラリスに向けた言葉であったが、何故だか、あの怪物の状況にもピタリと当て嵌まるのが不思議だ。
だが、怪物は大きな声を上げて槍を振るって私の元に向かう。
この瞬間を待っていたのだ。私は目の前に振り下ろされようとした槍を飛び上がる事により回避し、彼の触手に向かって銃を放つ。
死にはしなかったものの、彼が地面に大きく倒れた事から、これまでよりは効く攻撃であったらしい。
地面に倒れている頭足類の触手を生やした緑色の怪物はその細い目を精一杯に横に広げて私を睨む。
「やっぱりだ。オレの睨んだ通り、お前は悪女だ。ケイレブを陥れたなッ!」
「別の世界の私は、でしょ?」
私は再度男の触手に向かって銃口を向ける。その時に私はハッキリと見たのだ。
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