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二年生の部
卒業式の夜にダンスパーティーを
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聖夜も終わり、新年を迎えて冬休みを終えた私たちに最後の学期が待ち構えていた。この学期では卒業や進級に向けての準備期間ともいわれ、この間に生徒達は必死に勉学に取り組む。
無論、部活や生徒会の活動なども執り行われるのだが、実質的には休業期間であると言っても良いだろう。
苦しいとも言われるこの期間に三年生は就職や進学を済ませ、学院を巣立つ準備を固めていく。
そして来るべき日に王立魔法学院の講堂を貸し切っての卒業式が執り行われる。この式に全校生徒並びに来賓の人間が出席し、三年生の巣立ちをお祝いするのだ。卒業式に存在する独特の黒い形の帽子を被りながら証書を受け取っていく先輩達。
私は賞金稼ぎ部の先輩達を見送り、エマさんや元副部長の二人に卒業の祝いを述べる。
挨拶を交わした後に私たちは一旦、自宅へと帰還する事になる。
「一旦」と表現したのはこの後、夜にまた学校に来る事になるからだ。
三年生の卒業を記念してのプラム。いわゆる卒業記念のダンスパーティーが執り行われるのだ。通常ならば、このプラム学校を巣立つ三年生のためだけに行われるのだが、我が校だけは魔法の成績優秀が優秀な上位十名の先輩が選んだ在校生を一人だけ招き入れる事を許可されているのだ。つまり、優秀な先輩方は自分が選んだ幸運な生徒をお見送りという名目で会場に連れて行く事ができるのだ。
これも魔法における優劣を付けるため、エリートと他を区別するための処置だという。私はその上位の一人、エマ・ダーリング元賞金稼ぎ部部長に招かれ、このプラムに参加する事になっているのだ。
そんな、他校よりも十名ほど、寛大な数を迎え入れるダンスパーティーは街のホテルの市民ホールを貸し切って行われる事となる。
既に校長が毎年、市民ホールに貸し切り代金兼飲食代を払っているらしく、最後の学期の全校集会ではこの事を念頭に入れ、ダンスを楽しむ様に生徒たちに呼び掛けていた。
が、毎年大金を払っている見返りからか設営は市の役人や市の周りの郡にある貴族の使用人が行うらしい。
私はボニーに見出されたダンスパーティー用のドレスを身に付け、屋敷から歩いて市民ホールを目指す。
市民ホールに於いては大掛かりなダンスパーティーが開かれており、私は既に開かれている会場へと足を踏み入れる。
大勢の生徒たちがダンスや飲食を楽しんでいたのだが、その中でも目立っていたのが長いオレンジ色の髪の生徒会長。
いや、元生徒会長と表現するべきだろう。
ともかく、あのミステリアスなよく分からない女は制服に近い黒色のドレスを身に付けながら、次々と相手を変えながら、大勢の人とワルツを踏んでいた。
会長は五人目と踊り終わると相手に断り、ホールの両端に置かれていた飲み物を取りに向かう。
会長が美味そうにワインを飲んでいる所に元部活連の頭目、ルパートが声を掛ける。
「や、やぁ、ミス・クラウン。よければ、私と踊ってくれないか?以前に賞金稼ぎ部と共に口論をした仲じゃあないか」
ルパートはしどろもどろとした調子で彼女をダンスに誘ったのだが、彼女はいつもの様な可愛らしい顔を浮かべて、
「ダメだよぉ~私はねぇ~このプラムでは普段、あんまり喋らなかった人と記念に踊るんだぁ~キミとはいつも喋っていたよねぇ~だから、ダメかな、かな」
と、彼女はあっさりと生徒会長時代の相棒を振り、飲み物を終えて休息を終えると別の相手を探しに向かう。
項垂れる元部活連頭目。哀れな筈なのだが、あまり同情心が湧かないのはあの男が部活連時代にひっちゃかめっちゃかな手法で賞金稼ぎ部や他の部活を引っ掻き回していたためだろうか。
私が壁の端でジッとしている壁の花と化しているルパートを眺めていた時だ。
私の背後から元部長と元副部長とが現れて私に声を掛けた。
正装姿の私たちは中央のダンスホールを離れて、壁の端、食べ物や飲み物が並べられた机の前で三人でこれまでの事を話し合う。
一年間に起きた様々な事件の事、初めて私と部長が会った日の事、私や他の落ちこぼれいわゆる〈杖無し〉の生徒が部活に馴染み始めるきっかけとなったウィリアム・ウィルソン事件並びに私設警察の学院占領事件の事などを。
一番、話が盛り上がったのは地下組織、サラマンダーの拠点に部員の殆どで乗り込んだ日の事だろう。
私はその際に思わずに、
「あの時の副部長、とっても格好良かったです。私と共に戦ってくれてありがとうございました!」
と、口走り、私が頭を下げると彼はプラムの日だからなのか普段は行なっている帽子を深く被るという行為をする事なく、ただ何も言わずにこっ恥ずかしそうに視線を逸らす。
すると、元部長が口元に微笑を浮かべて、
「キミは相変わらずだな。最も、私はそんなキミが好きだけどな。知らず知らずのうちに男を惹きつけるキミがな……」
エマ元部長はそう言って側の机にあったワインを飲み干す。
その際の元部長の顔が何となく寂しそうに見えたのは気のせいではないだろう。
もう彼女は王立魔法学院を卒業してしまうのだから。
彼女は大きな溜息を吐く姿に私は思わず心を打たれてしまう。
彼女はまだ未練が残っているのだろう。恐らく、もっと賞金稼ぎ部に居たかったという未練が……。
なので、私は思い切って元部長に提案してみた。
「何だったら、今度は卒業生のOBとして部活に参加しませんか?私もみんなもきっと歓迎すると思います」
その言葉に陰のあった先輩の顔が晴れて和かな顔へと変わっていく。
「そうだな。それも悪くはないかもしれない」
元部長の笑顔が素敵だ。私は白馬の王子様というのはこんな風な顔をしているのだろうなと思案していると、突如、元副部長が私の右腕を握ってホールへと連れて行く。
彼は私に向かって満面の笑顔でダンスを提案した。
私を連れ去る間際、彼は元部長を睨んでいたのだが、理由は分からない。
大方、元部長と私が話してばかりだったので置いてけぼりにされたのが辛かったのかもしれない。
私は苦笑しながら相手をする事にした。彼とのワルツを夜のホールの中で踊っていく。
大勢の生徒に紛れながら互いにダンスを踊る私を元副部長はニコニコと笑いながら同じステップを踏んでいた。
私もそれにつられて笑う。夜はまだまだこれからだ。私は苦笑しながら、元副部長とダンスを踊っていく。
無論、部活や生徒会の活動なども執り行われるのだが、実質的には休業期間であると言っても良いだろう。
苦しいとも言われるこの期間に三年生は就職や進学を済ませ、学院を巣立つ準備を固めていく。
そして来るべき日に王立魔法学院の講堂を貸し切っての卒業式が執り行われる。この式に全校生徒並びに来賓の人間が出席し、三年生の巣立ちをお祝いするのだ。卒業式に存在する独特の黒い形の帽子を被りながら証書を受け取っていく先輩達。
私は賞金稼ぎ部の先輩達を見送り、エマさんや元副部長の二人に卒業の祝いを述べる。
挨拶を交わした後に私たちは一旦、自宅へと帰還する事になる。
「一旦」と表現したのはこの後、夜にまた学校に来る事になるからだ。
三年生の卒業を記念してのプラム。いわゆる卒業記念のダンスパーティーが執り行われるのだ。通常ならば、このプラム学校を巣立つ三年生のためだけに行われるのだが、我が校だけは魔法の成績優秀が優秀な上位十名の先輩が選んだ在校生を一人だけ招き入れる事を許可されているのだ。つまり、優秀な先輩方は自分が選んだ幸運な生徒をお見送りという名目で会場に連れて行く事ができるのだ。
これも魔法における優劣を付けるため、エリートと他を区別するための処置だという。私はその上位の一人、エマ・ダーリング元賞金稼ぎ部部長に招かれ、このプラムに参加する事になっているのだ。
そんな、他校よりも十名ほど、寛大な数を迎え入れるダンスパーティーは街のホテルの市民ホールを貸し切って行われる事となる。
既に校長が毎年、市民ホールに貸し切り代金兼飲食代を払っているらしく、最後の学期の全校集会ではこの事を念頭に入れ、ダンスを楽しむ様に生徒たちに呼び掛けていた。
が、毎年大金を払っている見返りからか設営は市の役人や市の周りの郡にある貴族の使用人が行うらしい。
私はボニーに見出されたダンスパーティー用のドレスを身に付け、屋敷から歩いて市民ホールを目指す。
市民ホールに於いては大掛かりなダンスパーティーが開かれており、私は既に開かれている会場へと足を踏み入れる。
大勢の生徒たちがダンスや飲食を楽しんでいたのだが、その中でも目立っていたのが長いオレンジ色の髪の生徒会長。
いや、元生徒会長と表現するべきだろう。
ともかく、あのミステリアスなよく分からない女は制服に近い黒色のドレスを身に付けながら、次々と相手を変えながら、大勢の人とワルツを踏んでいた。
会長は五人目と踊り終わると相手に断り、ホールの両端に置かれていた飲み物を取りに向かう。
会長が美味そうにワインを飲んでいる所に元部活連の頭目、ルパートが声を掛ける。
「や、やぁ、ミス・クラウン。よければ、私と踊ってくれないか?以前に賞金稼ぎ部と共に口論をした仲じゃあないか」
ルパートはしどろもどろとした調子で彼女をダンスに誘ったのだが、彼女はいつもの様な可愛らしい顔を浮かべて、
「ダメだよぉ~私はねぇ~このプラムでは普段、あんまり喋らなかった人と記念に踊るんだぁ~キミとはいつも喋っていたよねぇ~だから、ダメかな、かな」
と、彼女はあっさりと生徒会長時代の相棒を振り、飲み物を終えて休息を終えると別の相手を探しに向かう。
項垂れる元部活連頭目。哀れな筈なのだが、あまり同情心が湧かないのはあの男が部活連時代にひっちゃかめっちゃかな手法で賞金稼ぎ部や他の部活を引っ掻き回していたためだろうか。
私が壁の端でジッとしている壁の花と化しているルパートを眺めていた時だ。
私の背後から元部長と元副部長とが現れて私に声を掛けた。
正装姿の私たちは中央のダンスホールを離れて、壁の端、食べ物や飲み物が並べられた机の前で三人でこれまでの事を話し合う。
一年間に起きた様々な事件の事、初めて私と部長が会った日の事、私や他の落ちこぼれいわゆる〈杖無し〉の生徒が部活に馴染み始めるきっかけとなったウィリアム・ウィルソン事件並びに私設警察の学院占領事件の事などを。
一番、話が盛り上がったのは地下組織、サラマンダーの拠点に部員の殆どで乗り込んだ日の事だろう。
私はその際に思わずに、
「あの時の副部長、とっても格好良かったです。私と共に戦ってくれてありがとうございました!」
と、口走り、私が頭を下げると彼はプラムの日だからなのか普段は行なっている帽子を深く被るという行為をする事なく、ただ何も言わずにこっ恥ずかしそうに視線を逸らす。
すると、元部長が口元に微笑を浮かべて、
「キミは相変わらずだな。最も、私はそんなキミが好きだけどな。知らず知らずのうちに男を惹きつけるキミがな……」
エマ元部長はそう言って側の机にあったワインを飲み干す。
その際の元部長の顔が何となく寂しそうに見えたのは気のせいではないだろう。
もう彼女は王立魔法学院を卒業してしまうのだから。
彼女は大きな溜息を吐く姿に私は思わず心を打たれてしまう。
彼女はまだ未練が残っているのだろう。恐らく、もっと賞金稼ぎ部に居たかったという未練が……。
なので、私は思い切って元部長に提案してみた。
「何だったら、今度は卒業生のOBとして部活に参加しませんか?私もみんなもきっと歓迎すると思います」
その言葉に陰のあった先輩の顔が晴れて和かな顔へと変わっていく。
「そうだな。それも悪くはないかもしれない」
元部長の笑顔が素敵だ。私は白馬の王子様というのはこんな風な顔をしているのだろうなと思案していると、突如、元副部長が私の右腕を握ってホールへと連れて行く。
彼は私に向かって満面の笑顔でダンスを提案した。
私を連れ去る間際、彼は元部長を睨んでいたのだが、理由は分からない。
大方、元部長と私が話してばかりだったので置いてけぼりにされたのが辛かったのかもしれない。
私は苦笑しながら相手をする事にした。彼とのワルツを夜のホールの中で踊っていく。
大勢の生徒に紛れながら互いにダンスを踊る私を元副部長はニコニコと笑いながら同じステップを踏んでいた。
私もそれにつられて笑う。夜はまだまだこれからだ。私は苦笑しながら、元副部長とダンスを踊っていく。
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