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エージェント・ブリタニアン編
レッド(血塗れ)グラント
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私はピーターにその留学生の話を話し、お茶会の事を話すのだが、彼も前のケネスと同様に目を細めて私を睨むだけだった。
それどころか、彼は重く閉じていた筈の口を開いて、
「お嬢様、恐れながら申し上げます。そのお茶会は行かない方がよろしいかと……」
彼の目は真剣そのものだ。やはり、ここは行かない方が良いのだろうか。
だが、それではせっかく招待をしてくれた彼女に対して失礼というものだろう。
私は首を横に振って行く事を決めた。だが、その日に限ってピーターは妙に引き止める。
何なのだろう。私は別に彼女の家に泊まるつもりもそこで夕食をご馳走になる予定もないのだが、ピーターは余程、心配症らしい。
私は顔を真っ青にしながら私を止めるピーターの言う事に逆らってお茶会を行く事を決めた。
やはり、礼儀を重んじるのが人というものだろう。私は休日に屋敷前の柵を開けるように指示を出し、二階へと上がっていく。
翌日にケネスやマーティ、クラリスも心配そうに私に茶会に行くのを止めたのだが、私は手を横に振って彼らの止める声を無視する。
一体、彼女の何が駄目だというのだろう。確かに、彼女には危ない所もあるのだが、それはあくまでも誤射に過ぎない。
あの夜の日に私を襲撃したのも何処かの強盗団の残党に決まっている。
私は頭に血を登らせていたのだが、休日の日、彼女の下宿に茶会で招かれる日になるとそれらの事も忘れ、馬を走らせて学院前の彼女の下宿に向かった。
下宿は五つの部屋がある上にトイレに風呂に大きな台所さえも付いた豪華な部屋であった。
この豪華な下宿は彼女の家が金持ちである事を示すものであるに違いない。
玄関をくぐった横には台所が置かれており、銀色に若干紫の混じった若くて美しいメイド服を着た若い女性が紅茶と茶菓子を準備していた。
どうやら、彼女の従者というメイドに違いない。
玄関の上に敷かれたマットの上で表の泥を拭いてから、辺りを見渡すと目の前はこの豪華な下宿の中央の部屋となっている大きな部屋の壁にはスパイスシーの向こう側の大陸に存在する古来からの剣や盾、それに旧式の長銃などが架けられていた。
武器の飾りの下には四段程度の本棚が中央を囲む形で置かれており、その中には
ハードカバーやらソフトカバーの様々なタイトルの本が置かれていた。それも全て高校生が読むのには少しばかり難解なものばかりが……。
私は何か柔らかい小説があるものかと本棚を見つめていたが、その中には一冊も無い。難しい本ばかりでは頭が痛くなるだろうから、気分転換の小説なども大事だろうにと私が腕を組んでそんな事を考えていると、彼女は部屋の中央に存在する緑入りの扉を開けて出てきた後に和かな笑顔を浮かべて、客である私を部屋の中央に置かれていた黒色の長椅子に座らせて彼女は目の前の長椅子に座る。
長椅子の上に腰を掛けた私は初めて招き入れられた部屋に目を輝かせて辺りを眺めていると、私の目の前に彼女の美しい従者が台所から現れ、私と彼女の前に紅茶と茶請けを置く。
彼女はお淑やかに退出するかと思われたのだが、その前に私に一礼をして、
「初めまして、私、お嬢様付きのメイドであるジェーン・グラントと申します。普段はお嬢様があなた様のお世話になっているとお伺いしましたわ。さぞかし、立派なガンマンなのですね?羨ましいわ」
その言葉を聞かれて私は耳まで赤くなってしまう。まさか、彼女のメイドにそこまで褒められているとは思いもしなかった。私が頰を赤く染めていると彼女は慌てた様子で台所へと戻ったのかと思うと、彼女は両手に白い液体が入った瓶を持ってきた。
あまりにも不自然な液体に私は思わず、目の前に座る留学生のティファニーについて尋ねると、彼女は苦笑しながら、
「あぁ、これは牛乳よ。牛乳を紅茶の中に入れる事でまろやかになるのよ」
「牛乳を?」
「ええ、こっちの方ではあまりこの飲み方はしないの?」
「いいえ、あの中に入っていたのが牛乳だと信じられなくて……」
私の言い方に冷や汗を垂らすティファニー。彼女はしみどもろな様子で、
「そ、そうよね!紛らわしくごめんなさい!こ、こらッ!ジェーン!」
八つ当たりに近い行動であったが、彼女の忠実なメイドは丁寧に頭を下げて彼女の至らぬ点を詫びていく。
その後に彼女はもう一度、私に向き直り、共に紅茶を飲もうと勧める。
私がそろそろ紅茶に口を付けようとした時だ。下宿の扉を叩く音が聞こえた。
ジェーンが扉を開けに向かったのだが、暫く帰って来ない。
気になった私は悪いと思いながらも、立ち上がり、玄関へと様子を見に行くとそこにはケネスとピーターの二人が立っていた。
「あ、あなた達どうして!?」
私の問い掛けに対し、ケネスは強い声で、
「悪いが、入らせてもらうぞ……少しお前に報告させてもらう事があってな……」
ケネスはそう言うと私に一枚の紙を押し付けた。私が胸元に押し付けられた紙に目を通すと、思わず言葉を失ってしまう。
こんな事がある筈が無い。無いと信じたい。私は考えた。ケネスの押し付けた一枚の書類は彼らの作成した偽物だという可能性と王国が私に嘘の情報を教えて混乱させようとしているという情報の二つを。
いいや、そんな事はあり得ない。第一、王国の方で私を混乱させても与えられるメリットなどないと知っているに違いない。
と、なると、この二人にはスパイの疑いが掛かっている事になる。それも、単なるスパイでは無い。スパイスシーの向こう側の大陸の皇帝のお抱えの諜報機関の一員に、帝国の首席死刑執行官という超大物だ。
この二人がスパイなのだろうか。私が振り向こうとした時だ。ジェーンが転んで私の体に白色の液体を掛けてしまう。
私は落胆の声を上げそうになったのだが、彼女が台所から取ってきた布で私の服を叩いていくので染みになる心配は無いらしい。
彼女は的確な処置を終えて布を洗うためにその場から下がろうとすると、それをケネスが呼び止める。
「待てよ。血塗れグラントさん……あんただろ?帝国外の邪魔者を片付ける超一流の殺し屋というのは?」
ジェーンの動きが一瞬止まったように見えたが、直ぐに何も無かったかのように台所へと戻っていく。
いまいち確信は得られない。だが、『血塗れグラント』の単語を聞いた瞬間に彼女が動きを止めたように見えたのも事実だ。私は大人しくケネスとピーターの忠告を聞いて引き下がる事にした。
それどころか、彼は重く閉じていた筈の口を開いて、
「お嬢様、恐れながら申し上げます。そのお茶会は行かない方がよろしいかと……」
彼の目は真剣そのものだ。やはり、ここは行かない方が良いのだろうか。
だが、それではせっかく招待をしてくれた彼女に対して失礼というものだろう。
私は首を横に振って行く事を決めた。だが、その日に限ってピーターは妙に引き止める。
何なのだろう。私は別に彼女の家に泊まるつもりもそこで夕食をご馳走になる予定もないのだが、ピーターは余程、心配症らしい。
私は顔を真っ青にしながら私を止めるピーターの言う事に逆らってお茶会を行く事を決めた。
やはり、礼儀を重んじるのが人というものだろう。私は休日に屋敷前の柵を開けるように指示を出し、二階へと上がっていく。
翌日にケネスやマーティ、クラリスも心配そうに私に茶会に行くのを止めたのだが、私は手を横に振って彼らの止める声を無視する。
一体、彼女の何が駄目だというのだろう。確かに、彼女には危ない所もあるのだが、それはあくまでも誤射に過ぎない。
あの夜の日に私を襲撃したのも何処かの強盗団の残党に決まっている。
私は頭に血を登らせていたのだが、休日の日、彼女の下宿に茶会で招かれる日になるとそれらの事も忘れ、馬を走らせて学院前の彼女の下宿に向かった。
下宿は五つの部屋がある上にトイレに風呂に大きな台所さえも付いた豪華な部屋であった。
この豪華な下宿は彼女の家が金持ちである事を示すものであるに違いない。
玄関をくぐった横には台所が置かれており、銀色に若干紫の混じった若くて美しいメイド服を着た若い女性が紅茶と茶菓子を準備していた。
どうやら、彼女の従者というメイドに違いない。
玄関の上に敷かれたマットの上で表の泥を拭いてから、辺りを見渡すと目の前はこの豪華な下宿の中央の部屋となっている大きな部屋の壁にはスパイスシーの向こう側の大陸に存在する古来からの剣や盾、それに旧式の長銃などが架けられていた。
武器の飾りの下には四段程度の本棚が中央を囲む形で置かれており、その中には
ハードカバーやらソフトカバーの様々なタイトルの本が置かれていた。それも全て高校生が読むのには少しばかり難解なものばかりが……。
私は何か柔らかい小説があるものかと本棚を見つめていたが、その中には一冊も無い。難しい本ばかりでは頭が痛くなるだろうから、気分転換の小説なども大事だろうにと私が腕を組んでそんな事を考えていると、彼女は部屋の中央に存在する緑入りの扉を開けて出てきた後に和かな笑顔を浮かべて、客である私を部屋の中央に置かれていた黒色の長椅子に座らせて彼女は目の前の長椅子に座る。
長椅子の上に腰を掛けた私は初めて招き入れられた部屋に目を輝かせて辺りを眺めていると、私の目の前に彼女の美しい従者が台所から現れ、私と彼女の前に紅茶と茶請けを置く。
彼女はお淑やかに退出するかと思われたのだが、その前に私に一礼をして、
「初めまして、私、お嬢様付きのメイドであるジェーン・グラントと申します。普段はお嬢様があなた様のお世話になっているとお伺いしましたわ。さぞかし、立派なガンマンなのですね?羨ましいわ」
その言葉を聞かれて私は耳まで赤くなってしまう。まさか、彼女のメイドにそこまで褒められているとは思いもしなかった。私が頰を赤く染めていると彼女は慌てた様子で台所へと戻ったのかと思うと、彼女は両手に白い液体が入った瓶を持ってきた。
あまりにも不自然な液体に私は思わず、目の前に座る留学生のティファニーについて尋ねると、彼女は苦笑しながら、
「あぁ、これは牛乳よ。牛乳を紅茶の中に入れる事でまろやかになるのよ」
「牛乳を?」
「ええ、こっちの方ではあまりこの飲み方はしないの?」
「いいえ、あの中に入っていたのが牛乳だと信じられなくて……」
私の言い方に冷や汗を垂らすティファニー。彼女はしみどもろな様子で、
「そ、そうよね!紛らわしくごめんなさい!こ、こらッ!ジェーン!」
八つ当たりに近い行動であったが、彼女の忠実なメイドは丁寧に頭を下げて彼女の至らぬ点を詫びていく。
その後に彼女はもう一度、私に向き直り、共に紅茶を飲もうと勧める。
私がそろそろ紅茶に口を付けようとした時だ。下宿の扉を叩く音が聞こえた。
ジェーンが扉を開けに向かったのだが、暫く帰って来ない。
気になった私は悪いと思いながらも、立ち上がり、玄関へと様子を見に行くとそこにはケネスとピーターの二人が立っていた。
「あ、あなた達どうして!?」
私の問い掛けに対し、ケネスは強い声で、
「悪いが、入らせてもらうぞ……少しお前に報告させてもらう事があってな……」
ケネスはそう言うと私に一枚の紙を押し付けた。私が胸元に押し付けられた紙に目を通すと、思わず言葉を失ってしまう。
こんな事がある筈が無い。無いと信じたい。私は考えた。ケネスの押し付けた一枚の書類は彼らの作成した偽物だという可能性と王国が私に嘘の情報を教えて混乱させようとしているという情報の二つを。
いいや、そんな事はあり得ない。第一、王国の方で私を混乱させても与えられるメリットなどないと知っているに違いない。
と、なると、この二人にはスパイの疑いが掛かっている事になる。それも、単なるスパイでは無い。スパイスシーの向こう側の大陸の皇帝のお抱えの諜報機関の一員に、帝国の首席死刑執行官という超大物だ。
この二人がスパイなのだろうか。私が振り向こうとした時だ。ジェーンが転んで私の体に白色の液体を掛けてしまう。
私は落胆の声を上げそうになったのだが、彼女が台所から取ってきた布で私の服を叩いていくので染みになる心配は無いらしい。
彼女は的確な処置を終えて布を洗うためにその場から下がろうとすると、それをケネスが呼び止める。
「待てよ。血塗れグラントさん……あんただろ?帝国外の邪魔者を片付ける超一流の殺し屋というのは?」
ジェーンの動きが一瞬止まったように見えたが、直ぐに何も無かったかのように台所へと戻っていく。
いまいち確信は得られない。だが、『血塗れグラント』の単語を聞いた瞬間に彼女が動きを止めたように見えたのも事実だ。私は大人しくケネスとピーターの忠告を聞いて引き下がる事にした。
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