親父の再婚相手が俺の元カノだった件について

アンジェロ岩井

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それからの後の流れ

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海沿いの街から家に帰ってきたその日の夕食。
私は家族に思い切って打ち明けた。私の婚約者の事を。そして、プロポーズの事を。

家族一同は黙って、私の婚約の事を聞いていたが、その中でも、母と弟は特に神妙な顔をしていた。
特に、母は眉間に皺が寄るなんてレベルの怒りでは収まっていないらしい。
頬を紅潮させ、この場には居ないその相手に怒りの念を送っている。

元樹の怒り具合も中々のようで、歯をギリギリと鳴らしながら、天井を眺めていた。
気まずい空気が流れるものの、私は今更、自分の意思を曲げるつもりはない。
だから、あの後に彼と交わした内容を掻い摘んで話していく。

高校はちゃんと卒業する事、その後の進路は私自身が決める事、そして、一応、学校の仲間には内緒にする事、最後に来週の週末に彼が挨拶に来る事を告げた。
勿論、披露宴や新婚旅行などは全て、卒業後に行う事も。

それだけ聞くと、母と元樹は黙って立ち上がる。

「ふーん、そいつ、ウチに来るんだ。いいよ、顔面をズタズタにしてやるよ。そうしたら、命だけは助けてあげようかな」

「元樹、それだけじゃあ、手ぬるいわ。目玉をくり抜き、お腹を切って、臓物を抉り出し、その痛み、苦しみを耐え抜いた時に、ようやく、そいつの罪は許されるんだから」

それを聞いて、私は自分が『箱入り娘』だという事を実感させられた。
そして、母と弟の愛が思ったよりも重い事に。
と、いうか、母の台詞って、あの少年漫画のヒロインの台詞じゃあないだろうか。
元樹の漫画を母も読んでいたのだろうか。

そんな事を考えていると、父が手を挙げて、発言を求める。
母も弟もそれを聞くと、好き勝手に喋るのをやめ、私に向き合う。

「涼子、その子は……いや、その人が来る時間はいつなんだ?」

「……お昼過ぎだよ。そう約束したんだ……」

「そうか、なら連れてきなさい」

思わぬ一言。それを聞いた、私は片眉を上げる。

「そ、それって本当なの?」

「会いもしないで、判断するなど、愚の骨頂というものだ。お前の婿に相応しい人物なのか、オレが見極めるよ」

「あなた、正気!?」

「父さん、本気なの!?」

母と弟の抗議を一蹴し、父は私の愛する人と会う事を取り決めた。

一番の長兄である幸樹もその日は事情に関係なく、呼ぶらしい。

かくして、私は自分よりも三十以上歳の離れた愛する人を家族に紹介し、その許可を得なければならないという大役に携わる事になったのだった。

だが、それでもやらねばなるまい。私は気を引き締め、私と彼の出会った時の経緯をスマートフォンのメモ欄に纏めていく。
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