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第二部『共存と憎悪の狭間で』
身勝手な攻撃
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「ここにいる卑怯者こそが人間でありながら魔族を擁護する人類にとっての社会悪だッ!」
ジョンはルイスの服の裾を掴んで地面の上に放り投げながら集まった人界防衛騎士団の面々に向かって叫んでいった。
人界防衛騎士団の面々は剣を宙の上へと突き上げ、同調の意思を示していった。
所属団体は違えども目標は同じだということなのだろう。
ルイスは集まっていた民間人たちに軽蔑の意思を隠せずにいた。
このような愚かな集団がいたとは考えたくもなかった。
「ぼくを攻撃するのは自由ですが、みなさんたちにこれ以上面倒をかけてどうするんですか?」
ルイスは呆れたような口調でジョンに向かって問い掛けた。
「うるさいぞ。お前のような人間のくせに魔族を庇う裏切り者にはなにも言われたくないなぁ!」
ジョンはルイスの髪を引っ張り上げながら吐き捨てた。
「……なにが裏切り者ですか。でもおれは言わせてもらいますよ」
「なにがだよ」
「あなたたちは頼まれてもいないのに勝手に来て迷惑を掛けきて、恥ずかしくないんですか?」
ルイスは目を尖らせながら問い掛けた。
ルイスの態度と問い掛けを聞いてジョンの神経が逆撫でされたらしい。もう一度強くルイスの髪の毛を掴み上げて地面の上に放り投げていく。
その後でジョンは周囲のローズ騎士団の団員たちに向かって訴え掛けていく。
「みんな聞いたかッ! こいつは俺たちの崇高な理念を踏み躙った奴だッ! 遠慮などするなッ! 叩きのめしてやれッ!」
ジョンの言葉は騎士団の団員たちを扇動するのに十分であったといえる。
事実彼らはルイスを袋叩きにしようとしたいし、数発の拳を頬に食らっていた。
こうしたローズ騎士団の暴行を止めたのは正規の騎士たちだった。
興奮する自称騎士たちの前に馬を踏み鳴らしながら現れ、ローズ騎士団を追い散らしていったのである。
「あ、ありがとうございます」
ルイスは声を震わせながら感謝の言葉を伝えていった。
「勘違いするな。奴らにお前に暴力を加えている場合ではないと教えるためだ。別にお前を助けてでのことではない」
男の尊大な口調からは照れ隠しで言っているということではないことだけが伝わってくる。今の言葉は十中八九本音から出たものだろう。
普段のルイスならば噛み付いていたかもしれない。だが、危ういところを助けられたのも事実だ。
ルイスが騎士の男に向かって礼を言い、再び興奮している人々の前に出ようとした時だ。
背後から馬が駆け寄ってくる気配を感じた。慌てて振り返ると、馬を駆りながら城へ向かうジョン・ローズの姿が見えた。
「な、なにを考えてるんだ!? あいつらは!?」
ルイスは大きく口を開けて叫んだ。
「……あのバカどもめ」
ルイスの背後にいた騎士は思わず毒を吐いていた。
しかしその言葉は正論そのものである。ルイスは心の中で密かに首を縦に動かしていた。
いくら悔いたところで突撃してしまったものは仕方があるまい。今更追い掛けていったとしても襲撃を止めることは不可能だろう。
だが、何もしないよりはいい方だ。ルイスが慌てて追い掛けようとした時だ。
「オレたちも団長に続けッ!」
その言葉を聞いた団員たちが馬を駆い、慌ててた様子で追い掛けていく。
疾風の速さで馬に乗った集団が過ぎていくのを目で追い掛けるばかりだった。
「どうすればいいんだよ。あんな奴ら」
ルイスは堪らなくなって毒を吐いた。背後にいた騎士も同意の言葉を口にしたりはしなかったが、呆れたような態度であったことから、内心ルイスに同調の意を示しているのは明かだった。
しばらくの間はローズ騎士団が駆けていった後を黙って睨んでいた。
が、黙って睨んでいるわけにもいかないと判断し、ルイスや正規の騎士団の面々はローズ騎士団の後を追い掛けていった。
「あいつら出掛けていったぜ」
「オレたちも追い掛けていくか」
人界防衛騎士団の面々はお互いに首を縦に動かし、ローズ騎士団、そしてルイスや正規の騎士団たちを追い掛けていく。
「あれを見たか?シモーヌ?」
「えぇ、団長」
シモーヌとネイサンは共に馬の手綱を引いて門の前へと向かっていった。
こうしてバルボディ宮殿の前を取り囲んでいた全ての兵士たちが宮殿に対して襲撃を実施してしまう羽目になったのだ。
結果として人間側が総攻撃を仕掛ける形になってしまったのである。
最初に門を襲撃したのはやはりジョン・ローズだった。ジョンは扉の前で大きな声で叫んでいく。
「お前たち薄汚い化け物どもに教えてやるぞッ! 我々人間どもは怒っているッ! お前たちに必ず報いを受けさせてやるからなッ!」
返事は返ってこなかった。そのことに怒ったジョンは背後から現れた自分の仲間たちと共に門に向かって突撃を進めていった。
当初はジョンのみが突撃していた。そのうちに騎士団の面々が門にぶつかるようになっていった他に人界防衛騎士団までもが加わっていったのだ。
やがて体を使ってぶつかるのをやめ、魔法を使って門を破壊しようとしていた。
「よせッ! そんなことをすれば魔族どもを怒らせてしまうぞッ!」
正規の騎士の一人が警告の言葉を叫んだが、門の前にいた面々は騎士たちの言葉を無視して魔法を用いて門を破壊しようとしていた。
しかし魔法を止めるのにはあと一歩遅かった。多くの魔法が発射され、凄まじい音を立てて門は粉々に砕け散ってしまう。
門が砕け散ったことによって魔族たちも異常事態に気が付いたらしい。城から多くの魔族たちが湧いて出てきた。
どうやら攻めてきた人間たちを迎え撃つために城から出てきたらしい。
「よしッ門が開いたぞォォォ~!!! 全員進めッ! オレたちでこの城を奪い返すんだッ!」
ジョンの煽動によってローズ騎士団、そして人界防衛騎士団の面々がバルボディ宮殿の中へと流れ込む。
勢いのまま流れ込む姿からは大きな川のうねりに飲まれていく流木のようだった
「クソッ! 仕方がないッ! オレたちも行くぞッ!」
正規の騎士たちもローズ騎士団や人界防衛騎士団といった民間団体の勢いを借りて宮殿の中に向かっていく。
彼らはもはや宮殿の中に入り、戦うことしか考えていなかった。王族や皇帝たちの存在は頭の中から吹き飛んでしまったらしい。
「ま、待ってくださいッ! 城の中にはまだ各国の皇帝や王族が……」
ルイスは警告の言葉を発したものの、聞いたものは居なかった。いや、中には聞こえている者も居ただろう。
だが、その言葉は無視された。みなが正面を目指していたのだ。正規の騎士たちも交えた一種のフィーバーはまともな人間の意識を掻き消してしまうのだ。
ルイスは呆れたような目を向けながらも彼らに付いていくことしかできなかった。
ルイスはこの時どうして自分が騎士団たちに付いていってしまったのかが理解できずにいた。
もしかすれば自身も悪い熱にうかされてしまったのかもしれない。
ルイスは苦笑しながら騎士団たちの後を追い掛けていった。
とはいっても戦うわけではない。ルイスは戦いの中に紛れ込み、自分一人のみで囚われていた皇帝や王族を救い出す算段だった。
外の騒動を聞いて慌てたのは中に閉じ込められていた各国の皇帝や王族たちだった。
彼らの部屋には窓が用意されており、外の様子が分かるのだ。
魔族たちの采配で窓を見せないようすることもできたが、特別な温情によって窓の外に広がる景色を楽しむことはできていた。
その一方で外には窓を通しての連絡を行うことはできないので何の意味も持たなかったのも事実である。
そして窓から景色を楽しむという考え方は今回の場合のような弊害をもたらしてしまうこともある。
そのことを捕虜となったハーリヒ二世は気付かされた。
共に部屋の中にいたハーリヒ二世の娘は涙を流しながら感情的になり、部屋のあちこちを彷徨いていた。
「もうダメよッ! 私たちみんな殺されちゃうのよ!」
「落ち着け、ネリー」
だが、父親から窘められてもなおネリーは部屋の中をいたずらに歩き回り、感情的になって床を叩いていた。
「落ち着けと言っておるだろう!? バカモノめッ!」
娘に甘いハーリヒ二世にしては珍しく声を荒げて娘の愚行を止めようとした。
しかし娘にはハーリヒ二世の声は聞こえていなかったらしい。取り乱して泣き喚きながら叫んでいる様子を見せた。
「いやよ! 私たちもうお終いよ! あの化け物どもに皆殺しにされちゃうんだわ!」
説教をしても効果がなく、見苦しい姿を見せ続ける娘を前にしてハーリヒ二世は頭痛が痛いとばかりに顔を歪めて頭を抱えていく。
王族というのはこういう時にこそ落ち着いて振る舞わなければならない。ハーリヒ二世は自身の父親からそう習っていたので、取り乱すことはなかった。
だが、娘に父親と同じことを教えてこなかったことを失策だと痛感したのは初めてのことだった。
見苦しい姿を見てハーリヒ二世は思わず溜息を吐いてしまった。
ハーリヒ二世が取り乱す娘を放って、この事態を打開するべく椅子の上で考えを練っていた時のことだ。
突然扉が開き、興奮した状態のオークの姿が見えた。
「な、なんだ!? 貴様は!?」
「リーデルバウム王国国王、ハーリヒ二世並びに王女ネリー、貴様らの死刑を今この場で宣告するものとするッ!」
この言葉にはハーリヒ二世も少なからなからぬ衝撃を受けてしまうことになった。
どうやら救援は間に合わなかったらしい。ハーリヒ二世は悔しげに唇を噛み締めた。
ジョンはルイスの服の裾を掴んで地面の上に放り投げながら集まった人界防衛騎士団の面々に向かって叫んでいった。
人界防衛騎士団の面々は剣を宙の上へと突き上げ、同調の意思を示していった。
所属団体は違えども目標は同じだということなのだろう。
ルイスは集まっていた民間人たちに軽蔑の意思を隠せずにいた。
このような愚かな集団がいたとは考えたくもなかった。
「ぼくを攻撃するのは自由ですが、みなさんたちにこれ以上面倒をかけてどうするんですか?」
ルイスは呆れたような口調でジョンに向かって問い掛けた。
「うるさいぞ。お前のような人間のくせに魔族を庇う裏切り者にはなにも言われたくないなぁ!」
ジョンはルイスの髪を引っ張り上げながら吐き捨てた。
「……なにが裏切り者ですか。でもおれは言わせてもらいますよ」
「なにがだよ」
「あなたたちは頼まれてもいないのに勝手に来て迷惑を掛けきて、恥ずかしくないんですか?」
ルイスは目を尖らせながら問い掛けた。
ルイスの態度と問い掛けを聞いてジョンの神経が逆撫でされたらしい。もう一度強くルイスの髪の毛を掴み上げて地面の上に放り投げていく。
その後でジョンは周囲のローズ騎士団の団員たちに向かって訴え掛けていく。
「みんな聞いたかッ! こいつは俺たちの崇高な理念を踏み躙った奴だッ! 遠慮などするなッ! 叩きのめしてやれッ!」
ジョンの言葉は騎士団の団員たちを扇動するのに十分であったといえる。
事実彼らはルイスを袋叩きにしようとしたいし、数発の拳を頬に食らっていた。
こうしたローズ騎士団の暴行を止めたのは正規の騎士たちだった。
興奮する自称騎士たちの前に馬を踏み鳴らしながら現れ、ローズ騎士団を追い散らしていったのである。
「あ、ありがとうございます」
ルイスは声を震わせながら感謝の言葉を伝えていった。
「勘違いするな。奴らにお前に暴力を加えている場合ではないと教えるためだ。別にお前を助けてでのことではない」
男の尊大な口調からは照れ隠しで言っているということではないことだけが伝わってくる。今の言葉は十中八九本音から出たものだろう。
普段のルイスならば噛み付いていたかもしれない。だが、危ういところを助けられたのも事実だ。
ルイスが騎士の男に向かって礼を言い、再び興奮している人々の前に出ようとした時だ。
背後から馬が駆け寄ってくる気配を感じた。慌てて振り返ると、馬を駆りながら城へ向かうジョン・ローズの姿が見えた。
「な、なにを考えてるんだ!? あいつらは!?」
ルイスは大きく口を開けて叫んだ。
「……あのバカどもめ」
ルイスの背後にいた騎士は思わず毒を吐いていた。
しかしその言葉は正論そのものである。ルイスは心の中で密かに首を縦に動かしていた。
いくら悔いたところで突撃してしまったものは仕方があるまい。今更追い掛けていったとしても襲撃を止めることは不可能だろう。
だが、何もしないよりはいい方だ。ルイスが慌てて追い掛けようとした時だ。
「オレたちも団長に続けッ!」
その言葉を聞いた団員たちが馬を駆い、慌ててた様子で追い掛けていく。
疾風の速さで馬に乗った集団が過ぎていくのを目で追い掛けるばかりだった。
「どうすればいいんだよ。あんな奴ら」
ルイスは堪らなくなって毒を吐いた。背後にいた騎士も同意の言葉を口にしたりはしなかったが、呆れたような態度であったことから、内心ルイスに同調の意を示しているのは明かだった。
しばらくの間はローズ騎士団が駆けていった後を黙って睨んでいた。
が、黙って睨んでいるわけにもいかないと判断し、ルイスや正規の騎士団の面々はローズ騎士団の後を追い掛けていった。
「あいつら出掛けていったぜ」
「オレたちも追い掛けていくか」
人界防衛騎士団の面々はお互いに首を縦に動かし、ローズ騎士団、そしてルイスや正規の騎士団たちを追い掛けていく。
「あれを見たか?シモーヌ?」
「えぇ、団長」
シモーヌとネイサンは共に馬の手綱を引いて門の前へと向かっていった。
こうしてバルボディ宮殿の前を取り囲んでいた全ての兵士たちが宮殿に対して襲撃を実施してしまう羽目になったのだ。
結果として人間側が総攻撃を仕掛ける形になってしまったのである。
最初に門を襲撃したのはやはりジョン・ローズだった。ジョンは扉の前で大きな声で叫んでいく。
「お前たち薄汚い化け物どもに教えてやるぞッ! 我々人間どもは怒っているッ! お前たちに必ず報いを受けさせてやるからなッ!」
返事は返ってこなかった。そのことに怒ったジョンは背後から現れた自分の仲間たちと共に門に向かって突撃を進めていった。
当初はジョンのみが突撃していた。そのうちに騎士団の面々が門にぶつかるようになっていった他に人界防衛騎士団までもが加わっていったのだ。
やがて体を使ってぶつかるのをやめ、魔法を使って門を破壊しようとしていた。
「よせッ! そんなことをすれば魔族どもを怒らせてしまうぞッ!」
正規の騎士の一人が警告の言葉を叫んだが、門の前にいた面々は騎士たちの言葉を無視して魔法を用いて門を破壊しようとしていた。
しかし魔法を止めるのにはあと一歩遅かった。多くの魔法が発射され、凄まじい音を立てて門は粉々に砕け散ってしまう。
門が砕け散ったことによって魔族たちも異常事態に気が付いたらしい。城から多くの魔族たちが湧いて出てきた。
どうやら攻めてきた人間たちを迎え撃つために城から出てきたらしい。
「よしッ門が開いたぞォォォ~!!! 全員進めッ! オレたちでこの城を奪い返すんだッ!」
ジョンの煽動によってローズ騎士団、そして人界防衛騎士団の面々がバルボディ宮殿の中へと流れ込む。
勢いのまま流れ込む姿からは大きな川のうねりに飲まれていく流木のようだった
「クソッ! 仕方がないッ! オレたちも行くぞッ!」
正規の騎士たちもローズ騎士団や人界防衛騎士団といった民間団体の勢いを借りて宮殿の中に向かっていく。
彼らはもはや宮殿の中に入り、戦うことしか考えていなかった。王族や皇帝たちの存在は頭の中から吹き飛んでしまったらしい。
「ま、待ってくださいッ! 城の中にはまだ各国の皇帝や王族が……」
ルイスは警告の言葉を発したものの、聞いたものは居なかった。いや、中には聞こえている者も居ただろう。
だが、その言葉は無視された。みなが正面を目指していたのだ。正規の騎士たちも交えた一種のフィーバーはまともな人間の意識を掻き消してしまうのだ。
ルイスは呆れたような目を向けながらも彼らに付いていくことしかできなかった。
ルイスはこの時どうして自分が騎士団たちに付いていってしまったのかが理解できずにいた。
もしかすれば自身も悪い熱にうかされてしまったのかもしれない。
ルイスは苦笑しながら騎士団たちの後を追い掛けていった。
とはいっても戦うわけではない。ルイスは戦いの中に紛れ込み、自分一人のみで囚われていた皇帝や王族を救い出す算段だった。
外の騒動を聞いて慌てたのは中に閉じ込められていた各国の皇帝や王族たちだった。
彼らの部屋には窓が用意されており、外の様子が分かるのだ。
魔族たちの采配で窓を見せないようすることもできたが、特別な温情によって窓の外に広がる景色を楽しむことはできていた。
その一方で外には窓を通しての連絡を行うことはできないので何の意味も持たなかったのも事実である。
そして窓から景色を楽しむという考え方は今回の場合のような弊害をもたらしてしまうこともある。
そのことを捕虜となったハーリヒ二世は気付かされた。
共に部屋の中にいたハーリヒ二世の娘は涙を流しながら感情的になり、部屋のあちこちを彷徨いていた。
「もうダメよッ! 私たちみんな殺されちゃうのよ!」
「落ち着け、ネリー」
だが、父親から窘められてもなおネリーは部屋の中をいたずらに歩き回り、感情的になって床を叩いていた。
「落ち着けと言っておるだろう!? バカモノめッ!」
娘に甘いハーリヒ二世にしては珍しく声を荒げて娘の愚行を止めようとした。
しかし娘にはハーリヒ二世の声は聞こえていなかったらしい。取り乱して泣き喚きながら叫んでいる様子を見せた。
「いやよ! 私たちもうお終いよ! あの化け物どもに皆殺しにされちゃうんだわ!」
説教をしても効果がなく、見苦しい姿を見せ続ける娘を前にしてハーリヒ二世は頭痛が痛いとばかりに顔を歪めて頭を抱えていく。
王族というのはこういう時にこそ落ち着いて振る舞わなければならない。ハーリヒ二世は自身の父親からそう習っていたので、取り乱すことはなかった。
だが、娘に父親と同じことを教えてこなかったことを失策だと痛感したのは初めてのことだった。
見苦しい姿を見てハーリヒ二世は思わず溜息を吐いてしまった。
ハーリヒ二世が取り乱す娘を放って、この事態を打開するべく椅子の上で考えを練っていた時のことだ。
突然扉が開き、興奮した状態のオークの姿が見えた。
「な、なんだ!? 貴様は!?」
「リーデルバウム王国国王、ハーリヒ二世並びに王女ネリー、貴様らの死刑を今この場で宣告するものとするッ!」
この言葉にはハーリヒ二世も少なからなからぬ衝撃を受けてしまうことになった。
どうやら救援は間に合わなかったらしい。ハーリヒ二世は悔しげに唇を噛み締めた。
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