女王陛下と護衛兵たちの日々〜ワガママ女王陛下の騎士たちは王国の独立を夢見る

アンジェロ岩井

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第二部 王国奪還

サウス・スターアイランド事変ーその⑨

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エリザベス・ド・フランソワは爆発音に心地の良い眠りから解き放たれた。
「一体何が起きたのよ!?」
エリザベスの疑問に慌てふためいた顔のルイが部屋に入ってくる。
「大変です !陛下 !マリア・ド・フランソワ旧王国国王陛下とその騎士団どもが、我々の城へと攻め入って参りましたッ!」
エリザベスは慌てて、杖を取り、女王用の高価なドレスに身を包む。
「アイツ……」
エリザベスはメアリーへの怒りを露わにする。彼女は夜襲の可能性はないと言っていた。それなのに攻められている。これは極刑ものだった。エリザベスはメアリーに抗議するためにメアリーの部屋へと向かう。
彼女の部屋は彼女の部屋の隣なのだ。
「メアリー !!あんた !この状況をどう説明するのッ!?」
メアリーはドアが勢いよく開かれた事に驚いたが、すぐに冷静な顔つきに戻る。
「どうしたもこうしたもないわ……アイツらが夜襲をかけてきたのよ、いやでも少しだけ、日は登っているから、正確には夜襲とは言えないけど……」
メアリーの冷静な分析に苛立ったのか、エリザベスはメアリーの襟を勢いよく掴む。
「全部……全部……あんたのせいよ !あんたが警備を疎かしたからッ!」
メアリーはそれに動じる事なく、エリザベスを勢いよくその場から突き放した。
「何すんのよ !あんた仮にも女王陛下に向かって……」
鼻の穴を膨らませているエリザベスに動じる事なくメアリーは彼女に拳銃を突き付ける。
「いい、あんたが国でどんなに偉いのかは知らないけれど、ここはアメリカなの……自由の国よ、だから、あんたが女王だの何だの言っても、ここでは何の意味もないわ」
メアリーの表情は冷徹そのものであった。彼女は自分の遥か下にエリザベスが居ると思って居る。
少なくとも彼女が始皇帝やナポレオンのように優れた君主ではあり得ない。彼女は拳銃の引き金に手を当てながら考える。
「この無礼者がッ!フランソワ王国女王の名において、処刑す……」
丁度エリザベスがメアリーに杖を振りかざそうとした時である。階段の下から複数人の声が聞こえてきた。
「どうやら、カヴァリエーレの連中がもうここまで来たみたいね、あんたも、もうおしまいじゃあないの?」
メアリーは拳銃を引っ込め、鋭い視線を向けたが、エリザベスは手をプルプルと震えさせるばかりだった。
「本当に役に立たないわね……」
メアリーは地面で何やら、ブツブツと呟いている女に哀れみの目を向けた。もう、彼女を馬鹿にする気にもなれない。怒りを通り越して……。という奴だ。
「あんたはそこで、大人しくしてなさい、それから……これからは夢を見て過ごすのね、自分は女王陛下なんだというね……」
メアリーは部屋を跡にした。部屋に一人妄想に取り憑かれている女を残して。

ヴィトは剣と銃を交互に使い、上へ上へと登っていく。その途中に立ちはだかる敵は敵のギャングだろうが、兵士だろうが、或いはガーゴイルだろうが、全て倒してきた。
「みんな、無事かッ!」
ヴィトは一階から付いてきてくれた全員に顔を向ける。
「大丈夫よ !あんたは目の前の事だけに集中しなさい !!」
マリアは魔法の杖を宙に掲げながら言った。
「そうよ、あなたが後ろを振り向いていては、わたし達は目の前の敵に集中できないわ !」
ルーシーはトンプソンの銃口を下に降ろし、大きな声で答えた。
「いよいよじゃ、あと一歩で陛下を国を取り戻せるッ!エリザベスを倒せばなッ!」
プイスは自慢のあご髭を撫でながら言った。
「オレ達も付いているぜッ!」
マルロは拳銃を見せながら言った。
「よし、オレらでこの国を救い、この街を手に入れ、カヴァリエーレ・ファミリーもとい、マリア・ド・フランソワ王国騎士団の名声を轟かせてやろう !」
ヴィトはその声とともに近くの手下に目配せし、手榴弾を受け取る。ヴィトは安全ピンを外し、最上階の豪華な黒の扉の前に投げる。手榴弾が爆発し、ホテルの最上級の部屋を象徴する扉は吹き飛ばされた。
その部屋の目の前に一人の女が姿を現していた。
「うふふ、いらっしゃい……ヴィト・プロテッツオーネとカリーナ・ルーシー・カヴァリエーレに……」
それからと、彼女はマリアに目をやる。
「あなたがマリア・ド・フランソワね、旧フランソワ王国の女王陛下……」
マリアはその言葉に異議を唱えた。
「違うわ !わたしこそが正統なるフランソワ王国の女王なの !アイツエリザベスは偽物の女王よ !!」
マリアの言葉は空中に響くほど、大きなものだった。それにメアリーも目を丸くしている。
「驚いたわ、あなたがそこまでやる気に燃えていたなんてね……でも、関係ないわ !」
メアリーは懐から拳銃を取り出す。
「それは?」
マリアの疑問にメアリーは大きな笑い声で答える。
「拳銃よ、ここから撃てば、あんたの頭を撃ち抜くくらい余裕だわ、あたしだってギャングの端くれよ、いざって時の覚悟くらいできてるわ」
ここに来て、ヴィトは大きく身を乗り出す。
「やめときな、あんたはギャングには向いていない人間さ、それにマリアはファミリーの一員じゃあない、そんな奴を撃ってもしょうがないだろ?」
ヴィトは自分を指差す。
「オレを撃ちな……今ここでオレを殺せば、カヴァリエーレ・ファミリーに損害を与えられるだろうな、仮にあんたがこの場でルーシーに殺されたとしても、ファミリーはかなりの損害を被ることは容易に予想がつくよ、いずれはコミッションの一ファミリーとして吸収されるか、或いはコミッションに全面戦争を仕掛けて、カヴァリエーレ・ファミリーは壊滅だ。あんたにとっては願ったり、叶ったりだろ?」
ヴィトの言葉にメアリーは引き金を引くのを一瞬迷った。
だが、それは戦場では命取りになる行為だ。ましてや、ギャング同士の抗争。情け容赦などあるわけがない。
彼女の体をショットガンが貫く。マイケルのショットガンだった。彼の銃口から白い煙が出ている。
「助かったよ、お前に借りができたな」
ヴィトはマイケルに微笑みかける。
「ふん、本当に借りだからな、それよりももっと進まなくてもいいのか?」
マイケルの言葉にヴィトは全員に進むように号令をかける。
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