感情の無い少年死ねない少女

岬真琴【過去のヒーロー】

「その日の話をしよう。
あれはクリスマスの日だった。
ーー「あーもうなんでうちの学校はクリスマスにもあるんだぁ。」
私は親友の岬真琴と岬玲奈（みさきれな）の双子と一緒に投稿していると真琴がさけぶ。
「いきなりどうしたの、真琴？」
玲奈も不思議そうだ。
「いやだってさ普通なら休みなのにさぁなんで私達の学校は明日からなの、おかしいじゃん。」
「そう言われても？」
私も玲奈も反応に困る。
「だってさあ姉さんも休みなんだよ。」
岬家は長女の亜希（あき）さん、次女の真琴、三女の玲奈である。
「あぁそういえば姉さん今日デートだっけ。」
「「何ぃ！！」」
「いやなんで真琴も知らないの？」
「それより亜希さんがデートって本当？」
「いや、嘘をついても意味ないでしょ。」
「「妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい」」
「いや、怖いからやめてくれる二人とも。」
そんな他愛ない会話をしながら私達は登校していた。
そして学校に到着して真琴が閃いたように言う。
「そうだ、夢、玲奈今日クリパしよう。」
「あっいいね。」
「真琴、お酒飲まないでね。」
「飲んだことないよ！！」
そして流れるように時は過ごして放課後。
私と真琴は商店街でパーティーの食材集め、玲奈は家でパーティーの準備をしている。
12月の夕方は結構冷え込む。
しかし街には人が多い。
「寒い、でも周りはアツアツだ。」
「ホント、嫌になるわぁ。」
そんな事を話す。
そして私は聞く
「ねぇ真琴？」
「何だ？」
「貴方って今でも目指してるのヒーロー？」
そう真琴は女の子でも男の子みたいな性格でヒーローを目指していた。
「あぁ目指してよ。私はどんな人でも助けられるようなそんなヒーローになりたいんだ。」
「フフ、そう、貴方らしいね。」
「あっ…でも守ってほしいかなぁヒーローだって人間だし、ときには挫けそうなときもあるからねぇ。」
「そうだね。」
「夢の方は将来何目指してるの？」
「私はね…教師を目指してるんだ。」
「うん、夢らしいしなれるよ絶対。」
「フフ、ありがとう、なら貴方の生き方を学ばないとね。」
「私の生き方？」
「そう、貴方の生き方は人間の模範みたいだしね。」
すると真琴は真面目な顔になってこう言った。
「それは、辞めておいたほうがいい。」
「え？」
予想外の答えが出てきた。
「私の生き方ははっきりいって危険すぎる。命も何度か失いかけた、それに…守れなかったときの絶望が凄い。私が救えなかった人は沢山いる、それがあくまで他人だったから悲しみを堪えれるけど…親友だったり家族が救えなかったとすれば心を失う。だから私はこの生き方をするような事があれば無理矢理でも止めさせる。」
「心を…」
私はここまで不安そうな真琴を初めて見た。
そして私まで不安そうな顔をしていたら真琴はそれに気がついたのか、
「はいはい、話はこれでおしまい。さてとパーティーの食材買いに行こあんまり遅いと玲奈に怒られちゃう。」
そして道を進んでいると、こちらに自動車が突っ込んでくる。
それを見たとき私の身体は恐怖に支配され動かなくなった。
「夢、逃げるよ。」
真琴にそう言われるが動けない。
「夢？」
やだやだ、死にたくないよ。怖いよ。怖いよ。助けて。
すると真琴は私を突き飛ばす。
「！？」
いきなりの行動に驚いて私は数メートル先に飛ばされる。
そして真琴はこちらに向けて笑顔を浮かべる。
その瞬間真琴は自動車に轢かれる。
「真琴！！！！！！！！」
私は叫んですぐさま彼女のもとに向かう。
すると彼女は大量の血の上に倒れている。
「うっ……」
辛うじてまだ息をしている。
「真琴どうして私を…」
私は涙が溢れていた。
「泣…くな。」
「真琴！？今すぐ救急車を…」
「よせ…もうわかる…自分の限界は自分でわかる。」
そう真琴には大量の血が流れている、もう助からない程に今喋っている事すらおかしいほどに。
「ところで夢、そこにいるのか？」
「！？貴方目が…」
「そうだ、それで手を握ってくれないか？」
そして私は真琴の手を強く握る。
それを真琴が握り返す。
「いるよ、真琴、私はここに。」
「あぁわかる、温かいなぁ。夢、無事で良かった。」
「でも…貴方が…」
「いいさ、いずれこうなる事は覚悟していた。私も人間だ死という「運命」からは避けられない。」
「ならどうして？私を…」
「お前が死んだら悲しむ人がいる。」
「それは貴方にだって。」
「お前を…守れずに死んだら私は私という存在で無くなる。」
「私だって…貴方が死んだら…」
「だから私はお前に頼むんだ！！」
「！？」
「未来に私のような生き方をするものが現れるだろう、だから私はお前に託すんだ。そいつをその生き方を止めてくれと…私にはできないお前にしかできない。頼んだぞ…岡崎夢。」
そう笑顔で言い残し彼女の手は力が無くなり。
彼女…岬真琴は息を引き取った。
そこで私は深い悲しみと絶望に襲われた。