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第3章「英雄を探して」
15,出会いと驚き
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シアを連れてペイトンに戻ると、宿屋の前にラドルが立っていた。
変装してはいるけれど、明らかに一般人とは言い難い気配といい、その堂々とした立ち姿といい、ちょっと観察眼がある人が見れば一発でバレそうな雰囲気だ。
現にシアが姿勢を正して、緊張しつつも優雅に礼をした。
ラドルがにやりと笑いつつ、返礼する。
本人も分かって楽しんでいる節があるので、始末に終えない。
曰く。
「清廉潔白の身なれば、正々堂々、陽の当たる道を歩むべし」
……必要なら冷徹な戦略も狡猾な謀も、自由自在の策士がよく言うよな。
さすが正義の腹黒親父。本当、敵に回したら厄介どころじゃすまない男だよ。
俺の呆れた様子にも気がついているのだろう。ますます男くさい笑顔を浮かべながら、話しかけてきた。
「派手にやらかしたようじゃな」
「いや、派手ってほどじゃないぞ。大した相手ではなかったし」
「ふむ。……警戒するのは裏にいる者か」
「だなぁ。ただ今回の件でどう出るか様子見かな。ただの盲信者なら多分これで終わりだと思うけど」
「カズマ殿はそう思っていないのじゃろう?」
「っていうか、ラドルがそう言う時点で、終わらない気がしてきた」
「うむ。いい読みじゃな」
「……うはぁ」
知将ラドルの無視できない予知めいた言葉に、盛大にため息が漏れた。
この腹黒親父がこういうことを言う場合、確実にやっかいなことになる。
ラドルは根拠のない予想はしないからだ。
たぶん、教団内部に探りを入れた結果から話しているのだろう。
面倒臭さに脱力する俺の肩を威勢よく叩くラドルを見て、シアが耳打ちしてきた。
「……ねぇ、ちょっと。もしかしてカズってラドル翁と親しいの?」
あ、そういえば、まだシアには何も話してなかったな。
「親しいっていうか……」
「まぁ、弟子みたいなものじゃな」
打ち合わせておいた設定を俺の代わりに口にするラドル。
シアはやっぱり驚いて、目を瞬かせた。
「ええ! そ、そうなの? カズ!」
「往来で話せるようなことでもなし。お嬢ちゃんも我が家に来るといい。話はそちらでゆっくりとしようではないか。自己紹介もまだだしのぅ」
「は、はい。お招きありがとうございます」
さすがに緊張の表情で応えるシアは、チラリと俺を見た。
うわぁ。「どういうこと? あとできっちり説明してもらうからね!」って、顔に書いてあるよ。
ラドルはますます面白そうに片眉上げて、俺たちを眺めているし。
今晩は、えらい目に合いそうな気がするなぁ。
「それより、後始末の件だけど」
俺は話をそらせ、緊急避難することにした。
「すでにギルドと連絡をつけて手配済みじゃ。だが、今回は泳がせるつもりなのじゃろう?」
「ああ。手紙に書いた通り」
「うむ。まぁ、この件もここで話すようなこともであるまい。さっさと準備してこい」
ラドルに背中を押されて、シアと一緒に部屋に向かう。
視線と立ち上る霊力が怖いです。
法術阻害霊具をつけられていたのに、回復早いな! さすがシア!
……って言えない。茶化せない。
「説明、待ってるわね。納得できるものを」
「……はい」
ヘビに睨まれたカエルよろしく、身動き取れなくなる俺。
今にも一口で飲み込まれそうな、哀れに震えたアマガエルを幻視する。
「それはそれとして……」
「えっと。ま、まだ何かあるのかな?」
「ッ! な、なんでもないわよ!」
なんだろう。急に顔を真赤にして。
怒りか? 激怒なのか? 俺、さらになにかやっちまったのか!?
なぜかチラチラとこちらを伺うシアを感じながら、なるべく刺激しないようにそそくさと荷物をまとめる俺だった。
そして。
「ねぇ。カズ」
「……は、はい。何でしょうか、シアさん」
「やっぱり今すぐに説明してもらえるかしら」
「いや、それが俺にも何が何やらでして」
シアの低く唸るような問いに答える術がない。
ともにいるラドルもただ頷くだけだ。
「お久しぶりです、カズマ様。シンシア様もどうぞよろしくお願いいたします」
ラドルの屋敷についた俺たちを迎えたのは、申し訳なさそうに頭を下げたコリーヌだった。
変装してはいるけれど、明らかに一般人とは言い難い気配といい、その堂々とした立ち姿といい、ちょっと観察眼がある人が見れば一発でバレそうな雰囲気だ。
現にシアが姿勢を正して、緊張しつつも優雅に礼をした。
ラドルがにやりと笑いつつ、返礼する。
本人も分かって楽しんでいる節があるので、始末に終えない。
曰く。
「清廉潔白の身なれば、正々堂々、陽の当たる道を歩むべし」
……必要なら冷徹な戦略も狡猾な謀も、自由自在の策士がよく言うよな。
さすが正義の腹黒親父。本当、敵に回したら厄介どころじゃすまない男だよ。
俺の呆れた様子にも気がついているのだろう。ますます男くさい笑顔を浮かべながら、話しかけてきた。
「派手にやらかしたようじゃな」
「いや、派手ってほどじゃないぞ。大した相手ではなかったし」
「ふむ。……警戒するのは裏にいる者か」
「だなぁ。ただ今回の件でどう出るか様子見かな。ただの盲信者なら多分これで終わりだと思うけど」
「カズマ殿はそう思っていないのじゃろう?」
「っていうか、ラドルがそう言う時点で、終わらない気がしてきた」
「うむ。いい読みじゃな」
「……うはぁ」
知将ラドルの無視できない予知めいた言葉に、盛大にため息が漏れた。
この腹黒親父がこういうことを言う場合、確実にやっかいなことになる。
ラドルは根拠のない予想はしないからだ。
たぶん、教団内部に探りを入れた結果から話しているのだろう。
面倒臭さに脱力する俺の肩を威勢よく叩くラドルを見て、シアが耳打ちしてきた。
「……ねぇ、ちょっと。もしかしてカズってラドル翁と親しいの?」
あ、そういえば、まだシアには何も話してなかったな。
「親しいっていうか……」
「まぁ、弟子みたいなものじゃな」
打ち合わせておいた設定を俺の代わりに口にするラドル。
シアはやっぱり驚いて、目を瞬かせた。
「ええ! そ、そうなの? カズ!」
「往来で話せるようなことでもなし。お嬢ちゃんも我が家に来るといい。話はそちらでゆっくりとしようではないか。自己紹介もまだだしのぅ」
「は、はい。お招きありがとうございます」
さすがに緊張の表情で応えるシアは、チラリと俺を見た。
うわぁ。「どういうこと? あとできっちり説明してもらうからね!」って、顔に書いてあるよ。
ラドルはますます面白そうに片眉上げて、俺たちを眺めているし。
今晩は、えらい目に合いそうな気がするなぁ。
「それより、後始末の件だけど」
俺は話をそらせ、緊急避難することにした。
「すでにギルドと連絡をつけて手配済みじゃ。だが、今回は泳がせるつもりなのじゃろう?」
「ああ。手紙に書いた通り」
「うむ。まぁ、この件もここで話すようなこともであるまい。さっさと準備してこい」
ラドルに背中を押されて、シアと一緒に部屋に向かう。
視線と立ち上る霊力が怖いです。
法術阻害霊具をつけられていたのに、回復早いな! さすがシア!
……って言えない。茶化せない。
「説明、待ってるわね。納得できるものを」
「……はい」
ヘビに睨まれたカエルよろしく、身動き取れなくなる俺。
今にも一口で飲み込まれそうな、哀れに震えたアマガエルを幻視する。
「それはそれとして……」
「えっと。ま、まだ何かあるのかな?」
「ッ! な、なんでもないわよ!」
なんだろう。急に顔を真赤にして。
怒りか? 激怒なのか? 俺、さらになにかやっちまったのか!?
なぜかチラチラとこちらを伺うシアを感じながら、なるべく刺激しないようにそそくさと荷物をまとめる俺だった。
そして。
「ねぇ。カズ」
「……は、はい。何でしょうか、シアさん」
「やっぱり今すぐに説明してもらえるかしら」
「いや、それが俺にも何が何やらでして」
シアの低く唸るような問いに答える術がない。
ともにいるラドルもただ頷くだけだ。
「お久しぶりです、カズマ様。シンシア様もどうぞよろしくお願いいたします」
ラドルの屋敷についた俺たちを迎えたのは、申し訳なさそうに頭を下げたコリーヌだった。
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