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3 11月25日
なんで!?
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放課後になって、ようやく理人先輩からメッセージの返信が来ていることに気がつく。
『今日椿から話しかけられたの?』
あたしが質問したことには答えがなく、理人先輩の方も質問を返してきている。
これはなぜ?
話しかけられたけど、あたしは何も返せていない。椿くんと目が合うとか、その時点で今日はもう大事件だし、きっとあれは間違いだ。椿くんがあたしに声をかけるなんて、きっともう2度とない。
「如月さん」
スマホの画面を暗くして、立ちあがろうとした瞬間、またあの声があたしの名前を呼ぶ。
「ちょっと今いい?」
机の脇に立っている人物。うつむくあたしの目には、制服のズボンしか写っていないけれど、紛れもなく椿くんだ。顔を見なくても、声だけで分かる。だって、今日はもうすでに1度あたしのことを呼んでいるんだもん。さっきとまったく同じ声。2度と聞くことはないと思ったのに、1秒後にまた聞いてしまうなんて、やっぱり今日はなにかがおかしい。
戸惑うままゆっくり、顔を上げた。
申し訳なさそうに微笑む椿くんの表情に、完全ノックアウト!
意識が一瞬飛びそうになりながら、あたしは目を逸らして必死に平常心を保つ。
「あのさ、如月さんって俺に全く興味ないよな?」
「…………え?」
こそっと、小声で聞いてくるけど、質問の意味がよく、分からない。あっけに取られるように喉の奥から出てきた疑問の1文字。
「あ、ごめん。なんか変な聞き方だよな。なんて言えばいいんだろ。えっと、つまり、今月の25日って予定空いてる?」
「…………は?」
椿くんが一生懸命に話してくれているのに、さっきからあたしは湧き上がってくる疑問にのせて、1文字しか発せられていない。
たぶん、と言うか、絶対に周りから見たら間抜けな図だ。
そして、やっぱり椿くんの言いたいことがよく分からなすぎる。
つまりってなんだ?
25日って、あたしにとって一番大切な日なのですが。
ピンポイントにその日にちを指定するってどう言うこと?
しかも、予定空いてる?
え?
それ、あたしに聞いてる?
おそるおそる、視線を椿くんに戻していく。
じっとこちらを見ていたのだろう。合った目線が、パチっと音がしそうなくらいにショートを起こして、目が眩む。
なんで椿くん! あたしのこと見てるの!?
すぐに視線を外して、机の下で握った両手を意味もなく擦り合わせる。
一体、何が起きているのだろう。と、不安になってきたところで、椿くんが何かに気がついてポケットに手を突っ込んだ。
あたしの狭い視界には、もう椿くんの足しか見えない。
「……え、あ、はい。今すぐ行きます」
誰かと話しているのか、椿くんが少し焦るようなそぶりをして、またあたしの名前を呼んだ。
「如月さん、とりあえずまたね」
頭上に降り注いでくる、椿くんの優しい言葉。
そして、さっきまで見えていた足が去って行って、視界が一気に広くなった。
決して追い詰められていたわけじゃないのに、突然のことにわけがわからなくなってしまった。
ようやくホッとして顔を上げれば、残っていたクラスメイトが数名、こちらを見ている。
そりゃそうだよ。普段はいるかいないかも分からないクラスメイトに、あの椿くんが話しかけていたんだから。その反応は正しい。みんな「なんで?」って言葉を顔に貼り付けているみたいにして立っている。
でもね、今一番その顔をしたいのは、はっきり言ってあたしの方だ。
なんで、椿くんはあたしに話しかけてきたの?
心臓に悪すぎるから、「またね」なんて冗談でも言わないでほしい。また、なんてあるわけがないんだから。期待なんてしないから心配しないでね、椿くん。
『今日椿から話しかけられたの?』
あたしが質問したことには答えがなく、理人先輩の方も質問を返してきている。
これはなぜ?
話しかけられたけど、あたしは何も返せていない。椿くんと目が合うとか、その時点で今日はもう大事件だし、きっとあれは間違いだ。椿くんがあたしに声をかけるなんて、きっともう2度とない。
「如月さん」
スマホの画面を暗くして、立ちあがろうとした瞬間、またあの声があたしの名前を呼ぶ。
「ちょっと今いい?」
机の脇に立っている人物。うつむくあたしの目には、制服のズボンしか写っていないけれど、紛れもなく椿くんだ。顔を見なくても、声だけで分かる。だって、今日はもうすでに1度あたしのことを呼んでいるんだもん。さっきとまったく同じ声。2度と聞くことはないと思ったのに、1秒後にまた聞いてしまうなんて、やっぱり今日はなにかがおかしい。
戸惑うままゆっくり、顔を上げた。
申し訳なさそうに微笑む椿くんの表情に、完全ノックアウト!
意識が一瞬飛びそうになりながら、あたしは目を逸らして必死に平常心を保つ。
「あのさ、如月さんって俺に全く興味ないよな?」
「…………え?」
こそっと、小声で聞いてくるけど、質問の意味がよく、分からない。あっけに取られるように喉の奥から出てきた疑問の1文字。
「あ、ごめん。なんか変な聞き方だよな。なんて言えばいいんだろ。えっと、つまり、今月の25日って予定空いてる?」
「…………は?」
椿くんが一生懸命に話してくれているのに、さっきからあたしは湧き上がってくる疑問にのせて、1文字しか発せられていない。
たぶん、と言うか、絶対に周りから見たら間抜けな図だ。
そして、やっぱり椿くんの言いたいことがよく分からなすぎる。
つまりってなんだ?
25日って、あたしにとって一番大切な日なのですが。
ピンポイントにその日にちを指定するってどう言うこと?
しかも、予定空いてる?
え?
それ、あたしに聞いてる?
おそるおそる、視線を椿くんに戻していく。
じっとこちらを見ていたのだろう。合った目線が、パチっと音がしそうなくらいにショートを起こして、目が眩む。
なんで椿くん! あたしのこと見てるの!?
すぐに視線を外して、机の下で握った両手を意味もなく擦り合わせる。
一体、何が起きているのだろう。と、不安になってきたところで、椿くんが何かに気がついてポケットに手を突っ込んだ。
あたしの狭い視界には、もう椿くんの足しか見えない。
「……え、あ、はい。今すぐ行きます」
誰かと話しているのか、椿くんが少し焦るようなそぶりをして、またあたしの名前を呼んだ。
「如月さん、とりあえずまたね」
頭上に降り注いでくる、椿くんの優しい言葉。
そして、さっきまで見えていた足が去って行って、視界が一気に広くなった。
決して追い詰められていたわけじゃないのに、突然のことにわけがわからなくなってしまった。
ようやくホッとして顔を上げれば、残っていたクラスメイトが数名、こちらを見ている。
そりゃそうだよ。普段はいるかいないかも分からないクラスメイトに、あの椿くんが話しかけていたんだから。その反応は正しい。みんな「なんで?」って言葉を顔に貼り付けているみたいにして立っている。
でもね、今一番その顔をしたいのは、はっきり言ってあたしの方だ。
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心臓に悪すぎるから、「またね」なんて冗談でも言わないでほしい。また、なんてあるわけがないんだから。期待なんてしないから心配しないでね、椿くん。
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