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3 11月25日
わがままですか?
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「じゃあ、そういうことで」
気が付けば話はまとまったようで、マグカップを持ち上げる3人があたしの視界に写る。何のことやらさっぱり分かっていないあたしは、流されるようにもうとっくに中身が空っぽになっていたマグカップを傾けて、飲むふりをした。
「え、待って」
思い出すように、一条さんが声を上げる。
「ニコリん、そもそもスマホ出してなくない?」
みんながスマホを見ながら話し合っていた時も、あたしは手持ち無沙汰にマグカップをもっていただけ。だって、スマホの用途は家族と連絡を取るか、調べ物をするか、ツバくんの写真を眺めるかのいずれかだ。あたしはSNSも一度はやろうかとも思ったけれど、それすら勇気がなくてまだ手を出していない。
「椿くん、ニコリんと繋がってる? ちゃんとそっちはそっちで連絡取り合ってね」
「あ、そっか。だよな。如月さん、俺にも教えて……」
二人のやり取りを見ていたあたしは、スマホを差し出してくる椿くんに『無理』とめいっぱい首を振った。
「えー、いいじゃんそれくらい。まじで椿くんのこと興味なさすぎでしょ。あたしなら飛びつくのに」
「だからね、一条さーん?」
ゆらりと理人先輩の怒りが燃え上がるのを感じ取った椿くんが、引きつり笑いで一言多い一条さんを睨む。
「仕事だと思って、割り切ってもらえればいいんで。俺は」
だから頼むと頭を下げられて、あたしは困ってしまう。だって、あたしだって勇気があれば飛びつく勢いで嬉しいことだ。
椿くんの連絡先が自分のスマホにあるなんて、今までのあたしには考えられない。
SNSで検索して名前が出てきたとしても、フォローしていることがばれたり、あたしの存在が彼の目にとまってしまうこと自体大変なことだと思っているから、そんな勇気など出てこなかった。
このまま、興味がないふりをし続けてもいいのだろうか。
なんだか悪いことをしている気分になってきて、一度心の中をクリアにしてみることにした。大きく深呼吸をして、吐き出す。
そして、酸素の入れ替えをしてスッキリした頭で、あたしがたどり着いた最大の疑問。
「え、そもそも、これってダブルデートである必要あります?」
あたしの質問に、3人が一斉にこちらを向いた。
別に、椿くんが理人先輩と遊びたいのなら、2人で遊んだらいいのではないか?
一条さんがいるのが嫌なら、彼女に少し我慢して貰えばいい話じゃないのか?
理人先輩とは、学校でも学年が違えば会う時間も限られてしまうのはわかる。だけど、それは恋人だろうが友達だろうが、同じことだ。だから、これって最終的には一条さんがいない時に2人で遊べばいいだけの話なのではないだろうか?
「な、何を言ってるんだよニコちゃん! それじゃあ楽しくないでしょー? ダブルデートだよ? ダブルでデートするんだよ? ただのデートよりも2倍になるんだよ?」
だからなんだっていうのだ。
「やだなぁ、そんな白々しい目で見ないでよ。あ! ほら、それに、25日はお祝いだからさ! ねっ、ユーリカっ」
あたしの心でも読んでいるのだろうか?
何も口には出していないはずなのに、先輩はあたしの表情からあたしがものすごく不信感を抱き始めたことを悟ったのかもしれない。
だから、慌てて一条さんに同意を求め出したんだ、きっと。
「え、25日は確かにあたしたちのお祝いだけど。2人もなんか特別なの?」
「いや、そこはあえて突っ込んで聞かなくてもいいんだってば」
「え? なにそれ。なんで?」
「いや、別に」
ってか、理人先輩、一条さんに弱すぎる。さっきから主導権が一条さんにしかない気がする。これは絶対に先輩の方が先に一条さんのこと好きになったんだなと思ってしまう。
「25日って、11月25日? お祝いって、ダブルデートする他になんかあるんですか?」
椿くんまで興味を示し始めちゃうから、あたしはもう黙るしかない。
これ以上何かを言って、あたしが毎月25日に椿くん感謝デーをしているなんてことがバレでもしたら、本当にこの世の終わりだ。本人目の前にしてそんなことになったら、もう自ら消えるしかなくなる。
気が付けば話はまとまったようで、マグカップを持ち上げる3人があたしの視界に写る。何のことやらさっぱり分かっていないあたしは、流されるようにもうとっくに中身が空っぽになっていたマグカップを傾けて、飲むふりをした。
「え、待って」
思い出すように、一条さんが声を上げる。
「ニコリん、そもそもスマホ出してなくない?」
みんながスマホを見ながら話し合っていた時も、あたしは手持ち無沙汰にマグカップをもっていただけ。だって、スマホの用途は家族と連絡を取るか、調べ物をするか、ツバくんの写真を眺めるかのいずれかだ。あたしはSNSも一度はやろうかとも思ったけれど、それすら勇気がなくてまだ手を出していない。
「椿くん、ニコリんと繋がってる? ちゃんとそっちはそっちで連絡取り合ってね」
「あ、そっか。だよな。如月さん、俺にも教えて……」
二人のやり取りを見ていたあたしは、スマホを差し出してくる椿くんに『無理』とめいっぱい首を振った。
「えー、いいじゃんそれくらい。まじで椿くんのこと興味なさすぎでしょ。あたしなら飛びつくのに」
「だからね、一条さーん?」
ゆらりと理人先輩の怒りが燃え上がるのを感じ取った椿くんが、引きつり笑いで一言多い一条さんを睨む。
「仕事だと思って、割り切ってもらえればいいんで。俺は」
だから頼むと頭を下げられて、あたしは困ってしまう。だって、あたしだって勇気があれば飛びつく勢いで嬉しいことだ。
椿くんの連絡先が自分のスマホにあるなんて、今までのあたしには考えられない。
SNSで検索して名前が出てきたとしても、フォローしていることがばれたり、あたしの存在が彼の目にとまってしまうこと自体大変なことだと思っているから、そんな勇気など出てこなかった。
このまま、興味がないふりをし続けてもいいのだろうか。
なんだか悪いことをしている気分になってきて、一度心の中をクリアにしてみることにした。大きく深呼吸をして、吐き出す。
そして、酸素の入れ替えをしてスッキリした頭で、あたしがたどり着いた最大の疑問。
「え、そもそも、これってダブルデートである必要あります?」
あたしの質問に、3人が一斉にこちらを向いた。
別に、椿くんが理人先輩と遊びたいのなら、2人で遊んだらいいのではないか?
一条さんがいるのが嫌なら、彼女に少し我慢して貰えばいい話じゃないのか?
理人先輩とは、学校でも学年が違えば会う時間も限られてしまうのはわかる。だけど、それは恋人だろうが友達だろうが、同じことだ。だから、これって最終的には一条さんがいない時に2人で遊べばいいだけの話なのではないだろうか?
「な、何を言ってるんだよニコちゃん! それじゃあ楽しくないでしょー? ダブルデートだよ? ダブルでデートするんだよ? ただのデートよりも2倍になるんだよ?」
だからなんだっていうのだ。
「やだなぁ、そんな白々しい目で見ないでよ。あ! ほら、それに、25日はお祝いだからさ! ねっ、ユーリカっ」
あたしの心でも読んでいるのだろうか?
何も口には出していないはずなのに、先輩はあたしの表情からあたしがものすごく不信感を抱き始めたことを悟ったのかもしれない。
だから、慌てて一条さんに同意を求め出したんだ、きっと。
「え、25日は確かにあたしたちのお祝いだけど。2人もなんか特別なの?」
「いや、そこはあえて突っ込んで聞かなくてもいいんだってば」
「え? なにそれ。なんで?」
「いや、別に」
ってか、理人先輩、一条さんに弱すぎる。さっきから主導権が一条さんにしかない気がする。これは絶対に先輩の方が先に一条さんのこと好きになったんだなと思ってしまう。
「25日って、11月25日? お祝いって、ダブルデートする他になんかあるんですか?」
椿くんまで興味を示し始めちゃうから、あたしはもう黙るしかない。
これ以上何かを言って、あたしが毎月25日に椿くん感謝デーをしているなんてことがバレでもしたら、本当にこの世の終わりだ。本人目の前にしてそんなことになったら、もう自ら消えるしかなくなる。
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