今、この瞬間を走りゆく

佐々森りろ

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第十章 飛ぶ決意

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「大丈夫か? ミナ、顔色わりーぞ」

 頭の中でパニックになっているあたしの肩に触れた手が、震えているのを感じた。

「……キ、キカくんこそ」

 今まで冷静に物事をはっきりさせてきていたキカくんさえもこの顔だ。
 だったら、きっとアオイくんはもっと怯えているんじゃ。
 そう思って振り返ると、アオイくんはハヅキくんとなにやら話していて、横顔が生き生きとしているように見える。

「キッカ!!」

 こちらに振り返って近づいてくるアオイくんに、圧倒される。

「いつ行く!? なんなら今からか? 僕はいつでも行けるぞ!!」

 鼻息までかかりそうなくらいに意気込む姿に、あたしは驚いて思わずハヅキくんの方を見てしまう。
 お腹を抱えて笑っているハヅキくんのことを不思議に思いつつ、キカくんの返答を待ってみる。

「いや、だから、時間は明け方。アオイ、よっぽど自分の未来が気になるんだな」
「だって、もう一人、未来で仲良くしていて欲しい人が増えたんだもんね」

 ニヤニヤと、滅多に気持ちを表に出さないハヅキくんが、面白おかしいと言った表情で近づいてきて、「なっ」と、アオイくんの肩を叩く。
 またしても、アオイくんは顔を一瞬にして赤くしたかと思えば、あたしを見てすぐに目を逸らした。
 あ、そっか、アオイくんの中でも、あたしは仲間になれているのかな。もしかしたら、あたしをこの二人と同じように友達だって、認めてくれたのかもしれない。もしもそうだとしたら、あたし、みんなのこと友達だって、自信を持って言っても、いいのかな。

「あ、あたしも、この先ずっとみんなと……友達でいたい」

 震える両手を握りしめて、ギュッと目をつむった。
 周りにみんなが近づく気配がして、そっと薄く目を開く。俯いた視界に入ってきたのは、三人の重なった手。

「そんなん、俺からしたら当たり前のことだけど、見れるなら見てみたいよな、大人になった俺たち」

 ニッとキカくんが歯を見せて笑う。

「俺は過去に行くから、未来のことはしっかり見てきて報告よろしく!」

 口角を上げてハヅキくんが笑う。

「転校しても、みんなずっと仲間だよね」

 照れながら、えへへと笑うアオイくん。

「うん!みんなと出会えて良かった」 

 一番上に、あたしも手を乗せると、みんなで笑い合った。

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