元王女、革命を起こし戦場を駆ける〜弟と婚約者に嵌められた次期女王の革命〜

永遠ノ宮

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一章〜黒魔術と山賊頭領〜

三話『山賊少女』

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 女の子は素早く後ろに下がると、ダガーナイフを再度構える。
 勝ち目がないことに、気づいていないようだ。

「ナイフを仕舞なさい。勝ち目はないわよ」

「数攻撃すればーー」

「不可能」

 私がそう言うと、女の子は狂犬が如く私を睨みつける。
 会うのは初めてのはずなのに、どうして瞳に恨みが込められているのか理解できない。

 ネロが手を突き出し、魔術を発動しようと構える。
 だが、私はその手をゆっくりと下ろさせる。

「あなた、一人?」

「だったらーー何だ」

「狼を手名付けられているところからして、あなたは山の住人なのは分かる。そしてあなたは金が欲しい……つまり、山を出たい」

「あんたには関係ないだろ! そもそも私達山の民が貧しい生活を送り山賊でもやっていないと生きていくことが厳しいのは、王族なら分かっているだろ!?」

 女の子は声を張り上げる。
 私とネロは顔を見合わせ、首を傾げる。
 ネロは多分何も知らないのだろう。

 そして、王族であり次期女王になるはずだった私も、山の民の現状を今初めて知った。
 父から何も聞かされていなかった私には、胸がとても痛い話だ。

「そんな……山の民が?」

「全体的に貧しいさ。あんたらがそうした」

「ちょっと……ちょっと待て。俺は千年以上生きているが……山の民はこの広い森の中に一国を持っているはずだ。全く読めねえ」

「そんなものーー」

 女の子はそこまで言って唇を噛みしめると、突如涙を流し始める。
 ペットの狼が体を起こし寄ると、体を擦り付けて慰めているようだ。

「ね、ねえ……?」

 私は女の子に近寄り、肩に触れようとした。
 だが、反応の良い女の子はすぐに私の手を叩く。

「そんなもの……とおに二百年前に壊滅した。それもこれもあんた達王族のせいで!」

「嘘……だろ? マジで?」

「そんな……」

 次に、衝撃の事実を聞いてしまった。
 ネロは目を見開き、私は一本後退する。

「だから私はーーあんたを殺して王族を脅す! そして金を手に入れて山の民みんなでまた国を再建するんだ!」

 私よりも遥かに背の小さな、十三歳くらいの見た目をしているのに、強い意志を感じた。
 私の知らない、王族が犯した過去への強い『復讐』だ。

 女の子は涙を拭うと、

「殺せないなら、頼むから人質くらいなってよ!! あんたーー次期女王だろ!?」

 胸倉を掴まれ、揺すられる。
 動揺してしまい、私は何も返す言葉が思い浮かばず口を震わせるしかできない。

 すると、驚きから冷めたネロが女の子の右手を掴んだ。
 女の子はネロに振り向くと、「離せ!」と牙を剥く。
 しかし、ネロの目は据わっていた。

「もうこの人は、次期女王じゃない。弟の奴が王座欲しさに昨日偽りの罪で火刑に処されている。生きてはいるが、次期女王としてのジャンヌ・アルヴァージュはもう死んでいる」

「そんな話を信じろって……」

「それが事実だ。それに、復讐をしたいなら乗り込め。君のしようとしていることは……ただの自己満足だ」

「う、五月蝿い!」

 女の子はネロの手を振り払おうとする。
 しかし、強い力で腕を掴むネロを振り払うことができない。


「ーー目の前の女は! 王族でも何でもないんだよ!! ジャンヌ・アルヴァージュと言う名の一人の女に過ぎないっ!!」


 ネロの声は木々を震わせた。
 女の子は目を万丸に見開き、左手でとても美しく長い金髪が生えた頭を抱える。

「本当……なの?」

 ーーそして私を見る。

「ええ、本当よ」

 私は優しく、少し低い声で答えた。





 それから女の子は、木影の下で私とネロの間に挟まって色々と話をしてくれた。
 狼は大人しくお座りしたまま全く動かず、主の命令を待っていた。

「つまり、二百年前に私の先祖が山の民と結んでいた同盟を破棄して攻めてきて。国は滅んだのね?」

「うん……」

「なるほどなぁ。その時、誰が王だったけ」

「確か祖父の父、ブンデス様だったわね。でも、二百年前ならブンデス様は若かったし、それに持病で屋敷から出れなかったはず」

「教えられた名前はそんなのじゃなかった……」

「え?」 

 女の子は私と目を合わせると、


「攻めてきた王はーーグレアモードと名乗ったって、聞いているの」


 グレアモード……そう言うことなのね。


 ネロはなるほどと頷いて、女の子の頭を撫でる。
 語り合わずして、互いに同じ結論に至ったらしい。

「良く教えてくれたなお嬢ちゃん!」

「がぶっ!!」

「ーーうおおおお!! イッテエエエエ!!」

 女の子はネロが苦手なのか、手に齧り付いた。
 それを横目にため息を吐いてしまう。

「もう……少しは仲良くしなさいよ」

「子供の扱い難しすぎだろ!?」

「これでも十五だ!」

「十五歳が親切なお兄さんの手噛むか!」

 ネロと女の子は睨み合い、「クソガキがあ!」や「真っ黒ロリコン!」などと言い合いを始めてしまう。

 私は二人の間に入り、距離をとらせてからネロを頭にチョップを入れる。
 
「お前もかジャンヌ!」

「あんなお兄ちゃんは放っておいて大丈夫だから。ねえ、名前を教えてくれる?」

「うん! 私はテシェ! テシェ・バッカス!」

 テシェ・バッカスーーちゃんか。

 私はよしよしと頭を撫でる。
 すると、ネロとは大違いで嬉しそうに頬を赤く染める。

「私は知っての通りジャンヌ。このロリコンはネロ。ねえ、山の民の頭領に会うことできる?」

「できるよ! ……ただ、それまでに過激派と出会わなければーーだけど」

 テシェちゃんは森の奥深くを見つめながら、不安そうな顔をする。

「でも会ってどうするの?」

「それは秘密。後々分かるから」

「……俺を放置して話すすめるなよ。全く、やりたいことは理解するがなジャンヌ」

「リーダーは私。私は革命を起こすの! だったらのこのことこのまま帰れるものですか」

 ぷいっと頬を膨らませてネロから顔を逸らす。
 
「好きにしろ……付き合ってやるよ」

 ネロは頭を掻きながら、とても嫌そうにため息を吐いて立ち上がる。
 私はテシェちゃんの手を取り、一緒に立ち上がる。

 狼も立ち上がり、四人で深く暗い森の奥深くを見つめる。
 
「行きましょう」

「う、うん」

「面倒くさいなあ。何かあったら俺が仕事するんだろ……」

「つべこべ言わず働くロリコン」

「ロリコンやめい」

 私達はゆっくりと、足音を殺しながら森の中へと入っていく。
 テシェちゃんすら不安になる、山の民の過激派。

 山賊の中でも特段危険な連中であることはテシェちゃんの表情だけで十分分かる。
 
 しかし、運も味方につけられなければ革命など果たせない。
 そして、私は一人の革命家として元王族として山の民と向き合う必要がある。

 ーー偽善と思われても構わない。

 できる限りを尽くし助け、そして同盟をアルヴァージュ帝国ではなく革命軍【光の騎士団】が結ぶ。

 山の民は古の時代から戦闘民族として有名だ。
 仲間として同盟を結び、そこから初めて私の革命が一歩前進する。



『後書き』

ここまでお読みいただきありがとう御座います。
恋愛要素があるなでジャンルを恋愛にしていますが、ファンタジーの方が正しいでしょうか。
よろしければ、コメントでファンタジーか恋愛かアンケート感覚で答えていただけると嬉しいです。
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