元姫だった私、魔法適正値10000オーバーの冒険者〜勘当された姫は、冒険者の夢を叶え旅をする〜

永遠ノ宮

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一章〜ギルド設立を目指して〜

十八話 バトルロワイヤルの激闘③

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 隅に連れて行かれ、まあ、何もするでなく、私達は観戦している状態となった。
 残った敵を倒すして、体力を温存したまま決勝戦に行くのが狙いな訳でーー。
 しかし、それでももし来る敵が居るのなら、倒さなければならない。

 体力、魔力、それらが有り余って漲っている私とシュートには過酷な観戦だった。
 ちなみに発案者は私だ。発案者が暴れ出したら当然、仲間は止めるに決まっている。
 リーダーが案(作戦)を出しておいて、一番に暴れたら仲間への示しがつかない。
 高ぶる胸の鼓動を抑えながら、私は我慢に徹する。

「頬を膨らませないのリリー」

「そうですよ、リーダーが暴れたら目をつけられるですよ」

「分かってるけど……ああ、暴れたい暴れたい!」

「子供みたいにぐずるなよリリー」

 と、アリアータとネネに便乗したシュート。
 しかし、シュートが一番暴れたがっているのは火を見るより確かだ。
 右足が小刻みに震えている。

「あんたが一番暴れたそうじゃない」

「そう見えるか?」

「そうにしか見えないわよ」

「まあ、暴れることはーーできそうだぜ? ほら、見てみろよ前」

 シュートが笑うので、私は前を見た。
 するとそこでは、人がゴミ袋の如く次々に吹き飛ばされていた。
 三箇所で大変なことになっている。

 ーー虎をメンバー全員が従えるチーム。
 ーー弓使いばかりのチーム。
 ーーガリレオ率いるチーム。

 この三チームが、悪目立ちしている。いや、目立ち過ぎている。
 結果、始まってほとんど時間が経っていないのに私達含め四チームがフィールドで元気に立って残るだけとなった。
 『クイーン』が一度出場した以来の出来事だ。それも最近のことだけど、しかし、強いチームが四つも残ることは本当に珍しいはずだ。
 
 『クイーン』が出場した際は、そこ一チームが残るだけで他は全て場外へ放り出された。
 だから、ここで四チーム残ることは偶然か? または、必然なのか。
 どちらかしかない、奇跡とも言える。

「さてーー四チームで争いましょかあ」

「うるせえわ! 男女が何をえらっそうに」

「拳で喧嘩しろってんだよ、『タイガース』、『アーミリオン』。そうだよね、リリー」

 ガリレオは私達以外に残った二つのチームの名前を知っていた。
 リーダー間の会話に入ってこない私に、ガリレオは話を振ってきて、それに応えるべきか迷ったが結果は応えることにした。

「ええ、そうね。まあ、もっともーー四チームで殴り合いするより観客へのサービスを優先してここは、二対二でやり合いましょう。私達はちなみに、この中で一番頭のキレるだろうガリレオと手を組むけど」

「異議なし」

 ガリレオが頷き、メンバー全員が全身をカラクリで武装した異様な四人と共に私達の横へと一飛びで移動した。
 『タイガース』と『アーミリオン』は、両チームのリーダーが男だから、この組み合わせは性別的問題から誰一人異議申し立てなかった。

 『タイガース』のリーダーは、虎を従えるだけの見た目でゴツくないが全身に虎柄のタトゥーが入っており嫌な感じ。虎にずっと睨まれている感覚だ。
 『アーミリオン』のリーダーは、くすんだ緑色を髪を後ろ一本で結い、顔立ちが女より女らしい美人。だが、『タイガース』のリーダーが男女と言っていたことから、性別は男性だ。これもまた、気持ちが悪い。女の見た目なのがではない、オーラが。

「まあ、今日だけの付き合いだろうな。なあ、シャーナメー」

「少し口閉じれはしませんのお? 大きい声が頭に残ってえ、嫌ですわあ」

「うるせぇーよ!」

 ーーお前が一番うるせーよ!

 と、ガリレオ。

「……はあ。じゃあ早速始めましょう? 殴り合い」

「そうだね。リリーとその一行? これ終わったら前半戦の一対一勝負ーーしっかりやろうね」

「はなからそのつもりよバーカ。生きてなさいよ」

 ガリレオはコートを広げ、中に仕込んだ大量のカラクリを見せつける。
 私もそれに続いて、全身強化を行う。
 カラクリ武装のガリレオの仲間達も戦闘態勢に入り、アリアータは剣を構えネネは目を赤くした。

「猫族……」

「珍しいなあ。猫族がまだ残ってたなんて、良いもん見れたわあ」

「ニャッハハハハッ!! 私の実力見てあげるですよ」

「なら、猫相手には虎を、だな。やってこいスルルト」

「了解」

 スルルトと呼ばれた男が、虎の背に乗った。
 ネネは四つん這いになると、一気に地面を蹴って飛び出す。
 流石わたしの仲間だ。フィールドに大きな凹みを生み出した。筋力が桁違いに上がっている。

「じゃあ私は誰かな?」

「アリアータはあの女の虎使いをやってきたら? 女同士だし」
 
「それもそうねーーいざっ!!」

「ーーあんたが来るんだ? 受けてたってあげる」

 アリアータと女の虎使いは閃光の如く消えたと思えば、もう既に衝突していた。
 闘技場が、女の太刀とアリアータの剣の衝撃波で揺れる。

「な、なんだあれ!?」

「今年は凄いぞーー強いのばっかだああ!!」

 観客は自分達に危害が飛び掛るかもと、心配する様子はなく、むしろ興奮して立ち上がり歓声を上げるほどである。

 そこに、場のヒートアップを狙ったかのようにシュートと残るメンバーの男が衝突した。
 一般人の目では追えない速さで、大剣と大剣がぶつかり合う。

「ガリレオのチームはーー」

「もう皆出撃しているけど」

「らしいわね。カラクリで戦うなんて、やるわね」

「これが発明に携わっていた私達の戦い方なだけ」
 
 ガリレオのチームは既に弓使い達と戦っている。
 カラクリは見たことない物ばかりで、銃弾を仕込んでいるのか肩に付けられた正方形のから連発されたり、弓が当たって空中爆発を起こす鉛筆風のデカイ物などなど、表現が難しいーーそんなカラクリばかりだ。

 それらが戦闘用に作られた戦闘兵器であることは間違いないーーが、戦争にこれらが用いられたら、死者は増える一方だ。
 恐ろしいカラクリを作る。道を本当に外れている。

「ほな、リーダー対決に私達は参りましょかあ」

「だなっ! おい、金髪のTシャツ野郎。来いよ」

「私はガリレオはん、あんた相手にしましょうかあ」

「やれるものならやってみなさい? 私のカラクリは弓如きで止められない」

「虎使いのおっさん? 虎は群れても所詮虎よ、私相手にするなら魔王でも群れさせてくることね」

 今日会ったばかりのガリレオと私は、小さく太腿辺りで手を一回合わた。


「「ーー止められる者なら、止めてみなさいっ!!」」


 私とガリレオは一気に飛び出した。
 闘技場の真ん中で、空に向けて逆さ雷が上がり会場は更にヒートアップした。





 闘技場に、バトルロワイヤルを暇潰しに観戦しにきただけだった私は、冒険者の未来が変わろうとしていることに、思わずニヤけていた。
 ギルド『ローズ』を率いり、世界でも名の知られた英雄とも呼ばれる私ーー。
 そんな私に、一体新参者達に何の用があるだろうか。
 それは、何も無い。何も無いが故に、それを見つけに来たと言っていい。

 そう、カルシャーナ・リリー。
 あの時、数日前に会って目を合わせて感じたこれほどまでにない恐怖。
 恐怖と言っても、負ける負けないの力量差ではなく彼女の人としての魅力そのものに。
 だからカルシャーナ・リリーがバトルロワイヤルに出てくれて、嬉しくて堪らない。彼女から与えられた恐怖をとくとこの目に焼き付ける良い機会である。

 いずれぶつかることになる彼女ーー。

 彼女は世界という大舞台に立つだけの素質を持っている。
 バトルロワイヤルの結果は、その素質から見てまず彼女の率いるチームが優勝で終わるだろう。
 ーーいや? しかし、それはどうか。
 彼女達が勝つにはーーあの白髪の娘。
 あれが牙を見せるか、見せないかで、展開は逆転する。

 素質、スキル、性格、目を合わせた人間の全てを見通す私は、彼女の裏に住む弱い心を見通せた。
 アリアーターーねえ。
 月……ねえ。
 太陽は果たして、昇るのかしら? カルシャーナ・リリー。

「ーーああ? 何ニヤけてんだローズ、キメエ! キメエぜえ!」

「おだまり。あの赤髪の男とやり合って、実は肩に傷を負った間抜けが」

「……ああ、アイツやべえ。てか、あの金髪娘が率いているチームは全員やべえ。俺達には手が届かないレベルだけど……修羅場を幾つか潜れば、あれは化物に変わるぜ」

「化物になる気持ちは、嬉しさ半分苦痛が半分。私達は、一生覆ることのない化物であらなければならない。ベルク、あなたーーこの試合はどうなると予想するのかしら?」

「……知らねえ。ただ、いや、多分。馬鹿な俺でも分かるぜえ? あいつらーー『クイーン』と良い勝負するってな。ただーー勝つかは、知らねえ」

 ベルクは気だるそうにして、足を前の観客席の背凭れに乗せて体を伸ばす。
 禿頭に足が当たり、振り向いたそいつはベルクを睨む。

「おいガキ! テメェーー」

「ああ? 失せろクソが」

 睨み返され、禿頭は汗を吹き出させ頭のテカリを更に激しくする。
 
「ウッフフ。失礼……しかし、これくらい気配で避けられると思いますが? 失礼、下等で愚かな一般人でしたか」

「お、おい姉ちゃん!」

「ーーローズに手上げんのか? ああ? そうしたら、俺はテメェの首を斬リ落として闘技場のど真ん中に置いて晒すぞ?」

 ベルクが本気で怒りを見せる。自分でしたことなのだから、逆ギレではあるのだけれども。
 しかし、ベルクの怒りは私に矛先を向けた男へでしかない。

「ベルク、おだまり? さあさあ、観戦を続けましょう? こちらも失礼無きよう、マナーを教えておきますので」

 私が微笑むと、男は更に汗を吹き出す。
 ーー私の笑みは、冷徹で冷酷である。
 それでも私を最後まで睨みきったあの謎の女ーーカルシャーナ・リリーの第一戦目を、見せてもいましょう。
 
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