元姫だった私、魔法適正値10000オーバーの冒険者〜勘当された姫は、冒険者の夢を叶え旅をする〜

永遠ノ宮

文字の大きさ
18 / 42
一章〜ギルド設立を目指して〜

十七話 バトルロワイヤルの激闘②

しおりを挟む
 時間は少し経過して、闘技場内にある控室で私達四人は支度していた。

「ーー全く。睡蓮は何を知っているのよ、肝心の内容が無かったわけだし」

「にして、あの人何でも知り過ぎじゃない? 知らないことは無いとか言ってたじゃない」

「そうね、確かに知らないことは彼女しは無いけど。でも、それなら教えてくれないと。案外話の筋通すために、知らないフリとかするタイプだけど……」

 シュートとネネを外に出し、私とアリアータは着替えている。
 アリアータは武装を解き、とても短いショートパンツを履いてベルトを締めた。ベルトには取り外しが簡単な簡易リングを取り付けた投げナイフを十本ほど、装備してからインナーウェアを着てその上にコートを羽織る。

 殺し屋ですかと、突っ込みたくなる衣装だ。
 しかし、それが動き易いと言うのなら、それで良いのかもしれない。
 私はダボダボの白シャツを一枚にして、膝上まである丈の両サイドを腰辺りまで裂いて機動性を確保しておく。
 
「でもリリー? 闘技場に何かあるの?」

「……? 私は無いわよ。言ったじゃない、月と太陽。同じ空間にありながら、対照的な対なる二つ。私達は太陽であるため、それと太陽とあんたを照らすためーー馬鹿な月に付き合いに来たのよそれだけよ」

「……リリーは、リーダーだね! もう、良いこと言うから泣けてくるじゃない!」

 泣き真似をしながら、チラチラと私の反応を伺うアリアータは、やっぱり可愛い。憎いと思う程、可愛い。
 いや、もう憎いだけの可愛さだ。
 アリアータは反応しない私を見て、泣き真似をやめた。

「しっかりと泣けた?」

「心が洪水を起こすほどにね」

「泣き真似なんてするからよ? さーて、そろそろバトルロワイヤル開催だから行くわよ~。シュート、ネネ、開けるからドア前から離れなさーい!」

 私はアリアータの手を取り、ドアを足で蹴って開けた。
 ドアが吹き飛び、シュートが下敷きになってしまったがあえて上から踏みつけた。

「離れなかったあんたが悪いわよ」

「お前……少しは言ってから時間を置けよ……誰があんな数秒で避けられるかっ!」

「ほら、行くわよ」

 足を上げると、シュートは鉄製のドアを全身の力を使って背中で持ち上げ脱出した。
 私は三人の前に立ち、数メートル先にある入退場口から射し込む闘技場に集まった光。
 そこを指差して、


「ーーさあ、出陣するわよっ! 死ぬんじゃないわよ、従僕共おおおお!!」


「おい、いつお前に従うペットに俺達は成り下がったよ……」

 シュートに突っ込まれ、自分がムスッとしたことに気づきながらもそのままの顔で後ろに振り向いた。
 三人が、ニヤニヤと笑っている。

「……何よ」

「リーダー? 私達は仲間だけど、全員が全て同じ目的は持ってないんだから、従僕はゴメンよ」

「……冗談じゃない。あなた達は従僕でも何でもないわよ……最強で、最高の、仲間よ」   

「ーーエントリーナンバー3○。お前達が最後だ、入場しなさい」

 入退場口から歩いてきた一人の騎士が、浮かれた私達の空気をいとも簡単に壊した。
 騎士はそれだけ伝えると、入退場口へ続く通路への道を開け、そこを私達は気分一転させて進みだす。

 前半戦30チーム、後半戦30チームで、ただひたすら、前後半共に最後の1チームとなるまで戦うだけのシンプルな戦い。
 前後で合計二つのチームが残るので、休憩を挟んで夜になると同時に決勝戦が開始される。

 休憩の間には、影縫が出場する個人戦があるのでそれは見ないといけない。
 休憩を取りながら個人戦を見て、決勝戦ーー。
 と、計画していた私だった。

 しかし、上手く計画通りに事が進むとは限らないのが人生だったり時間経過だったりするらしい。
 入退場すると、手強そうなチームが二、三程すぐに目に入った。
 私達がどう見られているのかは分からないが、逆にこちらから見ると、虎をメンバー全員が従えたチーム、リーダーが片目を瞑ったままの幼女のチーム。それと、危険視はしなくても良さそうだけど、一様は意識して置くことにしようかメンバー全員弓使いのチーム。
 この三つのチームが、異様な空気を放って目立っている。

「お手柔らかに」

「……は、はあ」

 と、早速リーダーの幼女が声を掛けてきた。
 入退場口の真ん前に居たからか、私達と幼女率いるチームの距離はほとんどない。
 リーダー同士の挨拶を交わしたところで、もう一つある事に私は気づいた。

 新設闘技場は、客席が以前の倍に設けられており約五千人程度なら立ってみる者も合わせて観戦できる。
 今現在でもう既に満席のそこに、ローズは居ないが『忍』と、マスターが仲良く座っている。
 その後ろを見ると、ジーゼルとグレモリーも居る。
 私は驚いたが、反対に私に気づいたグレモリーが手を振ってくれたので集中をフィールドにのみ戻すことができた。

「へえ。S級魔道士の付き人、グレモリーと仲が良いなんて、珍しい人間も居るんだね、あなた、名前は?」 

 幼女がまた声を掛けてきた。

「私はリリーよ。あなたは?」
 
「ガリレオ。発明家をしていたけど、冒険者に転職した人生の外れ者だよ」

「人生外れてんのは、私もよ。望んだことだけど」

「それで、私達は敵同士と言うことになるから、戦うしかないんだけど」

「それもそうね? 金髪が二人もこのフィールドで仲良しこよししてたら、それはそれはギャラリーから批判だもの」

 私はそう言い残して、彼女の横を抜けて反対側へと向かった。
 闘技場は円形で、観客席に覆われた中に広く開けた土の場がある。
 そこで入退場口は門で閉ざされ、戦いが行われる。

 もう既に三人は反対側に居たので、合流する形となった。
 やる気満々のシュートとアリアータだが、その横では人の多さに怯え気味のネネ。
 しかし、心配することはない。彼女は、ネネは、戦となれば化け猫なのだから。

 なんて呑気に仲間の顔を見ているうちに、二つしかない入退場口が音を立てて閉ざされた。
 試合が始まる合図ーー。
 私は構えを取る。それに倣ってか釣られてか、はたまたリーダーが戦闘態勢に入ったからか、三人もしっかりと構えをとった。

「ーーこれより、試合を、始める。これより、試合を、始める。参加チーム、構え」

 フィールドの上を円を描きながら飛び始めた烏。
 一々句読点を多めに挟む話方に、イラッとして撃ち落としてやりたくなる。

「ーーそれでは、試合、開始。試合、開始」

 烏が開始を告げると、各チーム一斉に飛び出して早くも切り合い殴り合い撃ち合いとなった。
 私達は決勝戦に残れれば良いだけであり、別に喧嘩をしたい訳ではない。
 だから動かないーー。来る敵を待つ。

「ーーなんて、じっとしられっか!」

「ーー本当ねシュート!! やるからには立てなくなるまでやるわよー!!」

 暴れ馬と噂が国中に回り始めているらしい私とシュートは、来る敵を待つ前に、来る敵となる。
 じっと待っているのが、シュートも嫌いなのだ。私と似ている暴れ馬で無計画な性格である。

「ーーおいおいおっさん! 気絶のフリしてもやられる一方だぜ!」

 シュートはすぐに自分より巨体の男を、馬乗りになって峰で叩きまくっていた。
 気絶したフリじゃない、もう気絶している。
 それに気づかないシュートの脳は、前から気絶して起きていない。

 と、そこに仲間だろうか短剣を二本に増やしながらシュートに向かって駆けてくる女がいる。
 私はターゲットをその女にして、すかさず走り出す。
 女がシュートに斬りかかる寸前で、膝蹴りを顔に入れた。

「アチョオオォォウッ! おい、勝手に相棒に近づいてんじゃないわよ、女の醜い戦いじゃないのよこれはっ!」

 金髪の女が、馬乗りになって往復ビンタを高速で繰り出したら止まらず、それこそ醜かった。
 ーー認めたくないが、私だ。

「おーい、マジで起きろおっさん」

「おかしいわね……白目向いてるわ?」

「やり過ぎよ二人共。暴れ馬って噂が回る意味を、自覚しなさい」

 シュートと私は、アリアータとネネに襟首を掴まれ借りてきた猫の如く軽々と持ち上げられた。
 そのままターゲットから離され、フィールドの隅にできた空間へと運ばれてしまった。
 暴れ足りないと、二人の手の中で暴れるが脳天に拳骨が落ちてきて静かにするしかなくなってしまった。
しおりを挟む
感想 19

あなたにおすすめの小説

追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発

ハーフのクロエ
ファンタジー
 アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

『王都の神童』と呼ばれた俺、職業選定でまさかの【遊び人】三連発で追放される。……が、実は「全職業のスキル」を合算して重ねがけできる唯一のバグ

よっしぃ
ファンタジー
王都で「神童」の名をほしいままにしていた少年、ディラン・アークライト(17歳)。   剣を握れば騎士団長を唸らせ、魔法を学べば賢者を凌駕する。誰もが彼を「次代の勇者」と信じて疑わなかった。  しかし、運命の職業選定で彼が得たのは――【遊び人】。   それも、三つの職業スロットすべてが【遊び人】で埋まるという、前代未聞の怪現象だった。 「期待外れだ」 「国の恥晒しめ」   掌を返した周囲によって、ディランは着の身着のままで街を追放される。  だが、かつて神童と呼ばれた彼の「分析力」は死んでいなかった。 『……Lv1なのに、ステータスが異常に高い? それに経験値が分散せず、すべて加算されている……?』  彼だけが気づいた真実。  それは【遊び人】という名に偽装された、この世界の管理者権限(Free-Hander)であり、全職業のスキルを制限なく使用・強化できるバグ技(デバッグモード)への入り口だったのだ。  これは、理不尽に捨てられた元・神童が、その頭脳とバグ能力で世界を「攻略」し、同じく不遇な扱いを受けていた美少女騎士(中身は脳筋)と共に、誰よりも自由に成り上がる物語。 【著者プロフィール】アルファポリスより『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』を出版、オリコンライトノベル部門18位を記録。本作は2月に2巻刊行予定。

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

処理中です...