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岩ドンされてナンパされている!?
「君、どこの海からきたの?もしかして、人魚帝国のプリンセス?こんなにかわちぃ人魚を見たのは初めてだよ!うわぁ!君の瞳ってプルくない?マリンブルーの海を詰め込んだみたいだ!」
前世でも経験したことがない、熱烈なサメさんのギャル語風口説きに、私は硬直したまま身動きが取れないでいた。
鹿が車のライトを見ると動かなくなるみたいに、私もサメの早口言葉にも感じるギャル語風口説き言葉に動けない。岩ドンされているので、逃げるに逃げられないのもあるんだけどね。
食欲的な意味で食われてしまうと思っていたけど、まさかサメの獣人で異性としてナンパされるなんて予想外だったわ。
(それよりも、私が泡になるタイムリミットはどれくらいなのかな?口説かれている途中で、泡になってしまわないだろうか……)
それに、このサメ獣人。現世から見てもイケメン軸に入る容姿をしていて、女に困ってないと思うの。鋭い瞳に口がギザギザで、ワイルド系危険な男好きの女性なら即お持ち帰りされちゃうくらいのイケメンだ。
でも、私は忠実で博識なインテリ系ケイ兄様がストライクゾーンど真ん中なので、ご遠慮願いたい。
(と言いますか、このサメさん。岩ドンした時からずっと、私じゃなくて私の胸を見て口説いているんだけど。どういうことなの?)
「君、今いくつなの?成人してる?成人しているよね。胸もとってもふくよかだし、美しい尾びれも最高だよ!よかったら、僕の住処に遊びに来ない?」
「来ない!変態サメさん、私は既に海神様の番なの!だから、早々にお引き取りください‼」
この海を統べる海神様の番と知れば、このサメさんも一目散に逃げ出すに違いない。と、思っていた私の予想とは違い、ケラケラとお腹を抱えて笑いはじめた。
「あの物騒な海神様の番だって⁉あははっ! ないない。顔で海の女達を失神させてしまう、あの海神様だろ? 何者にも心を許さず自分の宮殿に引きこもっているから君に出会ってすらいないだろう。そんな海神様を番って……ケラケラ‼」
このサメさんが言っている海神様は、私の知っている海神様のケイ兄様じゃないわね。この海に、もう一人の海神様がいるのかもしれない。そうだとしても、海神様に失礼な言動だ。
そう思っていた時にだ。私の太腿辺りにある一枚の鱗が、小さな泡となって浮かび上がっていくのが私の視界に映った。
「きゃああああ‼泡になって消えちゃうーー‼」
「うわああああ⁉急にどうしたんだ⁉僕はまだ、胸を触ってないぞ‼」
こんなところで泡になって消えちゃうなんていやだ。
どうせなら、ケイ兄様と海のファンタスティックで甘い恋愛をして泡になって消えたかった。
「うぅ……ケイ兄様……ケイ兄様ーーー‼」
私は海の中心でギャン泣きしながら、ありったけの声でケイ兄様を呼んだ。
すると、突如として海中に強い波が押し寄せてきた。かと思うと、変態サメさんの背後にギラギラと琥珀色の光を放つ黒い影が激突した。
変態サメも理解できない突然の衝撃に対応できず、そのまま海の彼方へと吹き飛んでいく。その光景を泣きながら見つめる。
「ラナ‼大丈夫ですか⁉何故、こんな……しかも、よりによって浮気性で有名なサメにナンパされているんですか!私がどれだけ、探したと……」
「ケイ兄様……?ケイ兄様‼」
「ラナ……っ⁉」
私は目の前に現れたケイ兄様に縋るように抱きついた。
そして、泡になって消えるタイムリミット間近を察した私は、ケイ兄様の唇に唇をくっ付ける。勢いがあり過ぎて激突したようになってしまい、ケイ兄様の歯と私の歯がカチッと音を立ててぶつかってしまった。
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