泡になって消えようとしたら麗しの海神様が溺愛してきて溺れそうです
私は誰もいない船の甲板をふらついた足取りで歩いていた。
真っ暗な夜の海は、船が大きく揺れる度に冷たい水しぶきが私の体にあたって体温が奪われていくのがわかる。
でも、その凍えるような冷たさも感じないほどに、私は深い悲しみに囚われていた。
「ラナ、すまない。言い忘れていたが、俺には婚約者がいるんだ」
そう私に謝ったのは、人魚としての自分を捨ててまで愛した人間の王子様だった。
その彼の前に現れた隣国のお姫様が現れた日から、私はまるで船に最初からいなかったような存在として扱われている。
「でも、心配することはない。お前は俺の側室として迎えてやるよ」
その言葉を聞いたのは朝の出来事で、雲一つない青空を飛ぶたくさんのカモメを茫然と眺めていた。彼の言葉が信じられなくて、信じたくなくて現実逃避していたのかもしれない。
そして、私は知ってしまった。
今宵、彼が隣国の姫様と初夜を迎えているということを……
絶望の中、人魚姫ラナは最悪のタイミングで前世を思い出し、自分が知らない『人魚姫』の泡になって消えてしまう人魚姫に転生したことに気づいてしまう。あまりにも治安が悪い人魚姫の世界に、このまま泡になってしまおうとしていた。
そこへ、海を守る麗しい海神様が現れてーーー
「可哀想に……悪い人間に、誑かされてしまったのですね……」
眩しさすら感じる海神様の顔が近づいてきて、強引に口づけされてしまい………
麗しい海神様とキスしないと泡になって消えちゃう転生人魚の恋の行方は――⁉
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