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人魚帝国の舞踏会
そうしてやってきました人魚帝国の舞踏会当日。
贅をこれでもかと尽くした豪華絢爛な舞踏会会場であるお城の大ホールには、現代ではありえないファンタジーな光景が広がっていた。
お隣のサメ国から黄金の鎧に身を包むワイルドなサメ獣人達が隊列を組んで入場し、友好国であるネーレーイス族が海獣に乗って現れ優雅に舞い降りる。
まるでファンタジー映画の一幕みたいな会場に目を輝かせて王族ブースから身を乗り出していると、物凄い数の視線が私に向けられて体が硬直する。
「あの恐ろしい陸から舞い戻ってきた勇敢なラナ姫様よ!」
「なんて可愛らしい人魚姫様なんだ‼我が息子を婿に迎えてくれないだろうか」
「女帝様の愛娘の婿となれば、それ相応の地位と名誉が必要だろう。我が宰相家の息子達のようにな」
「いやいや!ここは国を支えるだけの財力と帝国一の大商人を父に持つ、我が息子が適任かと」
帝国の貴族達からの我が息子を婿にという強い圧力を感じる声援やコールに、私は瞬時に王座に座るお母様の背後に隠れた。しかし、姉達に声援に応えるように促され渋々、手を振ることに。
既にケイ兄様と番契約を結んでる身としては、推し息子を婿にというコールに応えるようなことはしたくないんだけど……
私が戻ってきた歓迎会も兼ねている舞踏会で、私は主役だと言わんばかりの純白のマーメイドドレスと一粒値段不可の国宝級アクセサリーで着飾っていた。そこに私の意志はなく、姉達の完全プロデュースだ。朝から着せ替え人形状態でHPもMPも真っ赤な状態である。
(早くケイ兄様の宮殿に帰りたいよ……)
煌びやかなホールを見回し、迎えにくると言っていたケイ兄様を探していると。
舞踏会に招待していたサメ国の要人達が勇ましい騎士達と引き連れ、魔獣に乗って舞い降りてきたネーレーイス族の要人達が私達の前で礼をとった。
「無事に帰ってきたラナ姫様に、サメ国のコロシアムで勝ち向いた戦士を護衛騎士として贈ろう」
「我もネーレーイスの守護聖獣である海獣をラナ姫に贈ろうぞ」
それに続くように他国の王族、貴族達が挨拶とセットで貴重な守護神器や護衛騎士、護衛獣を献上されてしまう。物ならともかく、騎士や海獣まで捧げられるとは思っていなかった私は驚きを隠せない。
(しかも、サメ国の護衛騎士がワイルドマッチョイケメン達だし、守護聖獣もアイドル系美男子の人型になってラブウインクしてきてるんですけど‼)
このままじゃ、乙女ゲームのハーレムルートに進行しそうな予感がして真っ青になる。私はケイ兄様と契約だとしても番になった以上、他の男とどうこうなりたいとは思わない。
(それに、ケイ兄様の方が数百倍麗しくてかっこよくて色気ムンムンで……‼)
そこで思い出してしまった昨夜の大人向けなキスに、顔に熱が集中していく。
頬を赤く染めて私を愛しそうに見つめる昨日のケイ兄様は、本当に艶めかしかった。私は稚魚な子供の時から、ケイ兄様の神がかった麗しさに耐性を持っていたから耐えられたけど。普通の人魚があの魅惑的で色気駄々洩れなケイ兄様を見たら、一瞬で胸キュンノックダウンしたと思うわ。
そうしてケイ兄様のことばかり考えているうちに、華やかな音楽がホールに鳴り響きはじめた。私は姉達にホール中央まで連れられやってくると、待ってましたとばかりに殿方達に囲まれてしまう。私とのファーストダンスを望む殿方達に同時に手を差し伸べられ困惑する。
(もう、いっそのこと、ケイ兄様と番だって言った方がいいかもしれない)
ケイ兄様に敵意マックスのお母様やお父様が事実を知って、海が大荒れになってしまうかもしれないけどやむを得ない。それに、ケイ兄様が迎えに来ていないうちに私から知らせておけばある程度、受け入れてくれるかもしれないよね。
(とりあえずファーストダンスは、ケイ兄様がくるまで保留……?)
突如、人魚帝国の正門に巨大な魔方陣が出現した。
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