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第二部
※夜の事件※(静留side)
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「いい子。すこし我慢しようね。」
甘く優しい声で言われて静留は小さく頷く。
静留はこんなにも心臓が激しく動いて身体が熱くてどうにかなってしまいそうなのに、東弥は平然と静留のシャツの裾を捲った。
東弥はとても格好いい。
彼の仕草はしばしばとても色っぽくて静留を緊張させるし、目を伏せた時にかかる長い睫毛や美しく通った鼻筋を見ていると、こんなに格好よくて完璧な人が自分を好きでいてくれることが不思議に思えてくる。
そんな彼に、自分ですらしっかりと見たことのない部分を晒しているだなんて。
“触るよ”、と彼が耳元で囁いて、彼の指がその部分に触れたから、静留は見ていられなくなって東弥の肩に顔を埋めた。
__僕、どうなるんだろう…。
こんなに熱かったらまたしてしまう。しかも、先ほどすこしだけ見えた自分のあの部分は、見たことのない形をしていて、怖かった。
不安を抱えながら、しかし彼に頼る以外の術を持たない静留は、何も言わずに東弥に身を任せる。
これからどうするのだろうと思っていると、東弥の大きな手が静留のその部分を包み込み、緩く上下に擦った。
「ぁっ… 」
東弥が触れている部分からくすぐったくて焦ったいような今まで体験したことのない感覚がひろがって、下腹部から熱の塊のようなものが込み上げる。
__…こわい。
知らないことへの恐怖で、静留は身体を強張らせた。
「静留、力抜いて。」
東弥の甘やかな声が鼓膜を震わせる。けれど力を抜くなんてできない。この感覚に身を委ねてしまったら、自分が自分でなくなりそうな気がする。
「…やぁ、こわい…。」
「怖くないよ。気持ちいいだけでしょう?
ほら、俺の顔を見て。」
東弥は一旦静留のその部分から手を離し、あやすように背中をぽんぽんと叩き始めた。
身体に溜まった熱はそのままだが気分が落ち着いてきて、そうすると今度は東弥の顔を見たくなり、静留は彼の首筋から顔を離す。
見上げた東弥はいつもどおり、優しい笑みを浮かべていた。
「もう一回俺の顔を見ながらしてみて、それでも怖かったらやめようか。」
少量のglareを放ちながら問いかけられ、静留は反射的に頷く。
“こんなにも恥ずかしいことを彼の顔を見ながらされるなんて…。”という認識が遅れてやってきたが、後の祭りである。
命令されたから、静留はそれに従い、ダークブラウンの瞳をじっとのぞいた。
茎への愛撫が再開される。
「ほら、気持ちいいね。」
またあの焦れったいような感覚が出始めた時、甘い声が降ってきた。
先ほどは怖いと感じていた感覚が、東弥に目を見てそう言われると、確かに気持ちいいという認識に変わっていく。
そして一度そうと認めてしまえば、あとはその快楽に沈められた。
「きもちっ、ぃっ…、ぁっ… 」
喘ぎながら途切れ途切れに紡ぐと、静留の熱に触れていない方の手で東弥が髪を撫でてくれる。
「あと少しでもっと気持ちよくなれるからね。」
快楽漬けで意識が朦朧とする中で、東弥の言葉に疑問符が浮かんだ。
__これ以上きもちいいって、なに?
摩擦のスピードが速くなり、さらに敏感になっている先端を指でを弾かれる。
__熱い…。
押し寄せる快楽の波が下腹部にどんどん集中していく。先ほど感じた熱の塊が、もっと大きくなった感じ。
静留が目を逸らそうとすると、それを許さないとでもいうように東弥が唇を奪ってきた。
不意打ちだったので、しっかりと視線が交錯する。
東弥の視線があまりにも色っぽくて、鼓動がまた加速した。これ以上速くなんて、ならないと思っていたのに。
それと同時に、溜まっていた熱が一気に弾ける。
熱が弾ける瞬間は、身体を襲った快楽のあまりの大きさに、視界がちかちかと瞬いた。
はじめての感覚になにが起こったのかわからず、静留はしばらく息を切らせながら視線を泳がせていた。しかし露わになった局部を見たとたんにさっと血の気が引いていく。
__またよごしちゃった…。
「ごめんなさい… 」
今度は下着だけでなく、彼の手やシーツまで汚してしまったとわかり、また涙が出てくる。
「悪いことしていないでしょう?
いい子。頑張ったね。怖くなかった?」
「…うん、きもちかった…。」
「よかった。またしたくなったらいつでも言ってね。」
ぎゅっと抱きしめられれば、大きな安心感に包まれた。
とくとくと聞こえてきてくる東弥の心音はきらきら星変奏曲みたいに優しい音で、静留はその心地よさに意識を手放したのだった。
甘く優しい声で言われて静留は小さく頷く。
静留はこんなにも心臓が激しく動いて身体が熱くてどうにかなってしまいそうなのに、東弥は平然と静留のシャツの裾を捲った。
東弥はとても格好いい。
彼の仕草はしばしばとても色っぽくて静留を緊張させるし、目を伏せた時にかかる長い睫毛や美しく通った鼻筋を見ていると、こんなに格好よくて完璧な人が自分を好きでいてくれることが不思議に思えてくる。
そんな彼に、自分ですらしっかりと見たことのない部分を晒しているだなんて。
“触るよ”、と彼が耳元で囁いて、彼の指がその部分に触れたから、静留は見ていられなくなって東弥の肩に顔を埋めた。
__僕、どうなるんだろう…。
こんなに熱かったらまたしてしまう。しかも、先ほどすこしだけ見えた自分のあの部分は、見たことのない形をしていて、怖かった。
不安を抱えながら、しかし彼に頼る以外の術を持たない静留は、何も言わずに東弥に身を任せる。
これからどうするのだろうと思っていると、東弥の大きな手が静留のその部分を包み込み、緩く上下に擦った。
「ぁっ… 」
東弥が触れている部分からくすぐったくて焦ったいような今まで体験したことのない感覚がひろがって、下腹部から熱の塊のようなものが込み上げる。
__…こわい。
知らないことへの恐怖で、静留は身体を強張らせた。
「静留、力抜いて。」
東弥の甘やかな声が鼓膜を震わせる。けれど力を抜くなんてできない。この感覚に身を委ねてしまったら、自分が自分でなくなりそうな気がする。
「…やぁ、こわい…。」
「怖くないよ。気持ちいいだけでしょう?
ほら、俺の顔を見て。」
東弥は一旦静留のその部分から手を離し、あやすように背中をぽんぽんと叩き始めた。
身体に溜まった熱はそのままだが気分が落ち着いてきて、そうすると今度は東弥の顔を見たくなり、静留は彼の首筋から顔を離す。
見上げた東弥はいつもどおり、優しい笑みを浮かべていた。
「もう一回俺の顔を見ながらしてみて、それでも怖かったらやめようか。」
少量のglareを放ちながら問いかけられ、静留は反射的に頷く。
“こんなにも恥ずかしいことを彼の顔を見ながらされるなんて…。”という認識が遅れてやってきたが、後の祭りである。
命令されたから、静留はそれに従い、ダークブラウンの瞳をじっとのぞいた。
茎への愛撫が再開される。
「ほら、気持ちいいね。」
またあの焦れったいような感覚が出始めた時、甘い声が降ってきた。
先ほどは怖いと感じていた感覚が、東弥に目を見てそう言われると、確かに気持ちいいという認識に変わっていく。
そして一度そうと認めてしまえば、あとはその快楽に沈められた。
「きもちっ、ぃっ…、ぁっ… 」
喘ぎながら途切れ途切れに紡ぐと、静留の熱に触れていない方の手で東弥が髪を撫でてくれる。
「あと少しでもっと気持ちよくなれるからね。」
快楽漬けで意識が朦朧とする中で、東弥の言葉に疑問符が浮かんだ。
__これ以上きもちいいって、なに?
摩擦のスピードが速くなり、さらに敏感になっている先端を指でを弾かれる。
__熱い…。
押し寄せる快楽の波が下腹部にどんどん集中していく。先ほど感じた熱の塊が、もっと大きくなった感じ。
静留が目を逸らそうとすると、それを許さないとでもいうように東弥が唇を奪ってきた。
不意打ちだったので、しっかりと視線が交錯する。
東弥の視線があまりにも色っぽくて、鼓動がまた加速した。これ以上速くなんて、ならないと思っていたのに。
それと同時に、溜まっていた熱が一気に弾ける。
熱が弾ける瞬間は、身体を襲った快楽のあまりの大きさに、視界がちかちかと瞬いた。
はじめての感覚になにが起こったのかわからず、静留はしばらく息を切らせながら視線を泳がせていた。しかし露わになった局部を見たとたんにさっと血の気が引いていく。
__またよごしちゃった…。
「ごめんなさい… 」
今度は下着だけでなく、彼の手やシーツまで汚してしまったとわかり、また涙が出てくる。
「悪いことしていないでしょう?
いい子。頑張ったね。怖くなかった?」
「…うん、きもちかった…。」
「よかった。またしたくなったらいつでも言ってね。」
ぎゅっと抱きしめられれば、大きな安心感に包まれた。
とくとくと聞こえてきてくる東弥の心音はきらきら星変奏曲みたいに優しい音で、静留はその心地よさに意識を手放したのだった。
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