朝日に捧ぐセレナーデ 〜天使なSubの育て方〜

沈丁花

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第二部

※お泊まりと2度目の事件※④(東弥side)

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帰宅後。

「静留、どうしたの。ほっぺたぱんぱんだよ?」

静留が夜寝る前に膝に乗ってくるのはいつものことだが、今日は何か様子が違った。

と言うのも、明らかにむくれているのである。

「…気持ち良くして欲しい?」

一応可能性として聞いてみると、静留はさらにほっぺたを大きく膨らませた。

その様子が愛らしすぎて一瞬笑みがこぼれそうになったが、いけない。余計に怒らせてしまう。

「どうしたの?言わないとわからないでしょう?」

じっと静留の目を見て問いかけると、彼は少し目を泳がせた後、大きく深呼吸をして口を開いた。

「…東弥さんのこと、きもちよくしたい。」

その言葉を聞いて東弥は唖然としたが、少し考えてああそういうことかと納得した。静留が性的な意味で言うはずがなく、だからただ幸せにしたいだとかそういう意味であろう。

「俺は静留がいればそれで幸せだよ?」

少しの間で邪念を鎮めて、静留に優しい口調で伝える。

しかし次の瞬間静留がとった行動に、東弥は言葉を失った。

「…ちがう、東弥さんのここ、きもちくしたいの…。どうしたらできる…?」

いつも鍵盤の上できらきらとした音を奏でる白い手が、ズボンの上から東弥の中心にそっと触れる。

上目遣いでそんなことを言われれば、東弥も男なのでさすがに勃ってしまう。

「俺はいいよ。静留が気持ち良ければそれで嬉しいから。」

静留の手首を優しく掴み、その部分から避けようとしたが、静留は一向に手を離してくれない。

それどころかまた頬を膨らませて、潤んだ瞳で言ったのだ。

「…きもちよくできないと、東弥さんが死んじゃうって、谷津さんが…。東弥さんは僕じゃ、きもちよくなれない…?僕のみりょくがないから…?東弥さんみたいにかっこよくないから…?」

__…谷津か。後で絶対締める。

心の中で決心しながら、東弥は断ることができずに思い悩む。

何せ聞き方がずるいのだ。

静留で気持ち良くなれないだなんて、魅力がないだなんて、そんなことはない。むしろ最近東弥が仕方なく自分のものを処理するときは、静留のことを思い浮かべてしまっている。

そのうえ今ここで断ってしまえば彼は泣いてしまうだろう。彼の涙に東弥はめっぽう弱い。

「まず、俺は死なないよ。それに静留が大切だから、無理させたくないんだ。だからいつも俺は静留にしてもらわない。

でも、静留が無理しないって約束するなら、お願いしてもいいかな?」

少し回りくどい言い方になってしまったが、伝わっているだろうか?

静留の方を見ると、彼は無邪気に笑って頷いた。

頬はもう膨らんでいないし、目も潤んでいない。

__…よかった、機嫌直してくれて…。

ほっとしたのも束の間、彼の手が東弥の下を脱がせようとしてうまく行かずに、また泣きそうな顔をしたので、東弥は自ら熱を取り出した。

__…俺はなんてことを…。

罪悪感に苛まれながら、しかし熱が収まることはない。東弥の屹立に手を触れ、静留が大きく目を見開く。

「あつい…。」

彼の手に触れられていると考えただけで、今にも達してしまいそうだ。

そのうえ、あろうことか愛おしげに先端に口付けるものだから、たまったものではない。

「静留が魅力的で、大好きだからだよ。」

“魅力が無い”、という誤解をさせないために髪を撫でながら言ってやると、静留は安心したようにふわりと笑んで。

いつも東弥が彼にしているように、指を動かし始めた。






「…静留っ…。そろそろやばいからっ…、離してっ…。」

静留に触れる際自分がするのと同じように静留が指を動かすから、東弥にとってそれは当然気持ち良くて、かなり早くに達してしまいそうになる。

静留がしている、ということを考えると尚更だ。

その白くて綺麗な手指とじっと東弥の熱を見つめる大きな瞳は、視覚的にたまらない。

止めてと言ったにもかかわらず、静留はきょとんと首を傾げて、“白いのだせる?”と聞いてきた。

「…出そうだから離してっ…。」

静留の顔を汚してしまいそうで必死に耐えるけれど、正直そろそろ限界だ。本当は静留の顔を今すぐにでも押し除けたいが、そうしたら多分彼は傷ついてしまう。

「汚れるからっ…。」

依然として手を止めない静留に、優しく言い聞かせる。

すると静留は少し考えるようにした後、驚きの行動に出た。

ぬるりとした柔らかな感触に雄を包まれ、東弥はあっけなく達してしまう。

いきなり先端を口に含むだなんて、不意打ちだ。そのうえ、口に含むために長い髪をかき分ける仕草はやけに色っぽかった。

__…どこでこんなことを覚えたんだ…。

後悔に浸ろうとしたが、東弥はすぐに自分の過ちに気が付き、慌ててティッシュを取り、静留の口を開ける。

「ほら、苦いから口開けて。そう、べってして。…待って静留、まさか飲んじゃった…?」

あーん、と開いた小さい口の中にすでに白濁がないことに気が付き、絶句した。コーヒーの苦味はおろか、青魚の生臭さすら受け付けないこの子が、なにをやっているのか。

なにも言えず口の端からわずかに垂れた白い液体を拭ってやると、静留はきもちよさそうに目を細めて、柔らかに笑んだ。

「これならよごれない。」

さらに彼は得意げにそんなことを言って。

大変可愛らしいがそれとこれとは別である。

「静留。」

少し強めにglareを放ちながら低い声で言うと、彼はびくりと肩を跳ねさせた。

「きもちよかったよ。でも、苦かったでしょう。もう口ではしないって約束できる?」

「いやっ!」

怯えた目をしているのに、静留は頑なに首を横に振り、ほっぺたを再び膨らませる。

「嫌じゃない。静留が辛いのは嫌だって言ったでしょう?」

「にがいけど、東弥さんのならきもちいい。東弥さんもきもちいのに、しちゃいけないの…?」

言い聞かせても、今度は涙目で反論された。

東弥さんのなら気持ちいい、と言う殺し文句に素直に喜んでしまうし、静留の涙には敵わないし、自分が憎らしい。

「だめじゃないから、泣かないで。」

さらりとした黒髪を撫でてやると、大きな瞳に浮かぶ滴が一筋落ちて、それ以上は流れてこなかった。

東弥はほっとして、立ち上がり机の引き出しを探る。

そしてバイトで生徒にもらったキャンディーを取り出し、口に含んだ。

「静留、口開けて。」

不思議そうに開いた小さな口に、マスカット味のキャンディーを口移しで押し込む。

「気持ちよかったよ。ありがとう。よくがんばったね。偉かった。」

甘いglareを放ちながら頭を撫でてやれば、静留は嬉しそうにカラコロと飴玉を転がして。

「あまい…。」

両手でほっぺたをおさえて、無邪気に笑うのだった。

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