朝日に捧ぐセレナーデ 〜天使なSubの育て方〜

沈丁花

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第二部

2人の生活④(東弥side)

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(東弥side)
「…ん…静留、おはよ。」

「おはよう、東弥さん。」

目を開けると静留がこちらをじっと見つめていて、その手には黒いリボンが握られていた。

どうやら東弥に結んでもらうのを待っていたらしい。

可愛くてたまらずつい彼の後頭部に手を当て顔を引き寄せ唇を奪ってしまう。

朝起きてすぐに彼に触れられるのも10日ぶりだ。

互いの存在を確認するようにゆっくりと舌を絡めていき、静留が苦しそうに眉を潜めたところで唇を離す。

彼は頬を真っ赤に染めながら“ぷはっ”、と音を立てて息を吸い、何度か肩を上下させ落ち着いてからすがるように東弥の目を見て唇を開いた。

「あの、ね、リボン結んで欲しいの。」

「うん。貸してごらん。」

微笑んで頷くと静留がぱっと顔を輝かせてリボンを東弥に渡してくれる。

捻れないように注意しながら細く白い首にリボンを通し、丁寧に蝶の形に結んでいく。

静留はきらきらと目を輝かせながら東弥がリボンを結ぶ様子を見つめ、結び終えて東弥の手が離れると今度は鏡の前に駆けて行き嬉しそうにくるりと回った。

「ありがとう。」

振り返りこちらを向いた静留はまるで妖精のようで、東弥は今すぐに立ち上がり彼を抱きしめに行きたいという衝動をなんとか堪え静留に対し微笑み返す。

「ねえ静留、起きるのを手伝ってくれる?」

「うん!」

ぱたぱたと急いでこちらへ戻ってくる静留の姿が愛らしい。

一旦抱きしめてから彼の助けを借りて車椅子に乗り、リビングへと移動する。

ちなみに東弥の傷が治るまでは二階の東弥の部屋ではなく一階の静留の部屋で寝ることにしたので階段を降りる必要はなくて済んだ。

「…あれ、静留ピアノは?」

静留がピアノではなくキッチンの方へ行ったので驚いて問いかける。

「ごはんをたべてからにする!梨花がね、あとはトーストを焼いておさらに置いて、紅茶を入れたらかんせいだよって言ってくれたから!」

彼はたどたどしい手つきでパンをトースターに入れ、それからティーバックで紅茶を淹れてくれた。

そういえば、昨日から食事の用意は東弥ではなく(ほぼ幹斗や梨花がしてくれているが)静留がしてくれている。

__このまま俺なしでもご飯もお風呂もできるようになって、命令する必要がなくなるのかな…。

心が狭いのは重々承知で東弥は少し寂しさを覚えた。

「東弥さん、できたよ…?」

とんとんと肩を叩かれてはっとすると静留がこちらを心配そうに覗き込んでいる。

__いけない。しっかりしなきゃ…。

「ありがとう、静留。美味しそうだね。いただきますしよう?」

「うん!」

朝食を食べながら静留とこれからの話をした。

大学にメールを出したところ治るまでのあと2週間は課題対応してくれると返ってきたので、もうしばらくは静留と2人きりでいられる。

それを伝えると静留はとても嬉しそうだった。

「そういえば梨花さん、何か言ってなかった?」

「えっとね、東弥さんががっこうにいけるまでは昔みたいに朝に来てくれるって、言ってた!」

__梨花さんにもお礼をしておかないと…。

今回の件では礼をしなければならない人が多そうで、内容は何がいいかと考え始めた東弥であった。
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