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第二部
2回の来客①(東弥side)
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退院してから1週間。
相変わらず家事は梨花に助けてもらいながら、大学には行かずにレポートやトレーニングをして家で過ごす日々が続いている。
ほとんど静留と2人きりで構成される穏やかな日々は幸せで、食事をしながら笑い合ったりベッドの中で互いの温もりを確かめ合ったり、特に何もなくそうして過ごす日々の大切さを改めて知った。
静留は今も鍵盤に指を滑らせながら激しいものや美しいもの、優しいものなど実に様々な音色を奏でている。
そして弾く曲によって彼の表情や雰囲気まで変わるところが彼の才能を強調していた。
彼が努力をしていないわけでは決してない。いつだってピアノに向き合う姿を東弥は誰よりも知っている。
しかし努力だけではたどり着けないその先に彼が到達していることもまた、明らかなのだ。
ソファーに座り彼の音を聞きながらレポートを片付けていると、ふと玄関のチャイムが鳴った。
誰だろうか。通販で何か頼んだ覚えもなければ梨花が来る時間でもない。
応答する前にがたがたとドアをノックする音が聞こえてきた。随分とせっかちな人である。
「東弥ー!!とりあえず静留君に鍵だけ開けてもらってー!!!」
インターホンを確認しようとして車椅子に手をかけたが、それを確認する必要もなく訪問者が誰か分かってしまった。
声も口調も行動もどう考えても谷津だし、それ以外にあり得ない。
静留に頼んで鍵を開けてもらうと、勢いよくドアが開き谷津が顔を出した。
勢いが良すぎて静留が目を見開きびっくりとしている。
「あのね、ちょっと用事があってこっちまで来てー、暇だと思ってこれ持ってきたんだー!真希ちゃんと観てめっちゃ感動した映画!!静留君と一緒に観てみて!!」
静留が家に入り東弥の後ろに隠れてしまったため、谷津は玄関まで入り東弥にDVDを渡した。
白いDVDには題名などが何も書いていない。
「…まさかとは思うけど、大人向けのいかがわしいやつとかじゃないよね…?」
念のため聞いてみると、谷津は拗ねたように唇を尖らせた。
「いかがわしくないし!それは保証するし!!だってそんなの見たら我慢できなくなって傷開くでしょ!?」
嘘はついていなさそうだ。何を我慢できなくなって傷口が開くのか、という質問は敢えてしない。
「ありがと。どこにも行けないし、静留と一緒に見るね。」
「そうだよもっと感謝して!!天才って言って!!」
「ありがとう谷津、天才。すごい。」
「…心こもってねー…。…っと、じゃ、真希ちゃんが待ってるから俺はこの辺で!楽しんでねー!!」
ばたん、とドアを閉めそのまま谷津は去っていった。
毎度の如く嵐のような奴である。
「びっくりしたね。」
谷津はもう行ってしまったというのにまだ背中にぴったりと張り付いて大きく目を開けている静留に、東弥は思わず頬を綻ばせながら頭を撫でる。
「…えいが、みる…?」
「うん。でも静留、練習は大丈夫?」
「みたらまたする!東弥さんとえいが、たのしみ。」
花開くように笑んで、静留は鼻歌を歌い始めた。
まるでスキップでもしそうな勢いである。とても可愛らしい。
ひとまず厚手のカーテンを閉め、電気を消してDVDをセットした。
その隙に静留が一生懸命テレビが見えるようソファーの向きを変えてくれる。
危なっかしいが今東弥が手伝ったら却って危ないのでそわそわとそれを見守り、静留がなんとかソファーの移動を終えると隣り合わせに座って再生ボタンを押した。
相変わらず家事は梨花に助けてもらいながら、大学には行かずにレポートやトレーニングをして家で過ごす日々が続いている。
ほとんど静留と2人きりで構成される穏やかな日々は幸せで、食事をしながら笑い合ったりベッドの中で互いの温もりを確かめ合ったり、特に何もなくそうして過ごす日々の大切さを改めて知った。
静留は今も鍵盤に指を滑らせながら激しいものや美しいもの、優しいものなど実に様々な音色を奏でている。
そして弾く曲によって彼の表情や雰囲気まで変わるところが彼の才能を強調していた。
彼が努力をしていないわけでは決してない。いつだってピアノに向き合う姿を東弥は誰よりも知っている。
しかし努力だけではたどり着けないその先に彼が到達していることもまた、明らかなのだ。
ソファーに座り彼の音を聞きながらレポートを片付けていると、ふと玄関のチャイムが鳴った。
誰だろうか。通販で何か頼んだ覚えもなければ梨花が来る時間でもない。
応答する前にがたがたとドアをノックする音が聞こえてきた。随分とせっかちな人である。
「東弥ー!!とりあえず静留君に鍵だけ開けてもらってー!!!」
インターホンを確認しようとして車椅子に手をかけたが、それを確認する必要もなく訪問者が誰か分かってしまった。
声も口調も行動もどう考えても谷津だし、それ以外にあり得ない。
静留に頼んで鍵を開けてもらうと、勢いよくドアが開き谷津が顔を出した。
勢いが良すぎて静留が目を見開きびっくりとしている。
「あのね、ちょっと用事があってこっちまで来てー、暇だと思ってこれ持ってきたんだー!真希ちゃんと観てめっちゃ感動した映画!!静留君と一緒に観てみて!!」
静留が家に入り東弥の後ろに隠れてしまったため、谷津は玄関まで入り東弥にDVDを渡した。
白いDVDには題名などが何も書いていない。
「…まさかとは思うけど、大人向けのいかがわしいやつとかじゃないよね…?」
念のため聞いてみると、谷津は拗ねたように唇を尖らせた。
「いかがわしくないし!それは保証するし!!だってそんなの見たら我慢できなくなって傷開くでしょ!?」
嘘はついていなさそうだ。何を我慢できなくなって傷口が開くのか、という質問は敢えてしない。
「ありがと。どこにも行けないし、静留と一緒に見るね。」
「そうだよもっと感謝して!!天才って言って!!」
「ありがとう谷津、天才。すごい。」
「…心こもってねー…。…っと、じゃ、真希ちゃんが待ってるから俺はこの辺で!楽しんでねー!!」
ばたん、とドアを閉めそのまま谷津は去っていった。
毎度の如く嵐のような奴である。
「びっくりしたね。」
谷津はもう行ってしまったというのにまだ背中にぴったりと張り付いて大きく目を開けている静留に、東弥は思わず頬を綻ばせながら頭を撫でる。
「…えいが、みる…?」
「うん。でも静留、練習は大丈夫?」
「みたらまたする!東弥さんとえいが、たのしみ。」
花開くように笑んで、静留は鼻歌を歌い始めた。
まるでスキップでもしそうな勢いである。とても可愛らしい。
ひとまず厚手のカーテンを閉め、電気を消してDVDをセットした。
その隙に静留が一生懸命テレビが見えるようソファーの向きを変えてくれる。
危なっかしいが今東弥が手伝ったら却って危ないのでそわそわとそれを見守り、静留がなんとかソファーの移動を終えると隣り合わせに座って再生ボタンを押した。
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