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決戦の日
みじめな思いと大切な人
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「…そんなに怯えるな、そそるじゃないか。」
気色の悪いニヤついた顔が、すぐ近くまで来ていた。アルは恐怖に震えるあまり、大きく見開いた目を、閉じることさえできないでいた。
「宝石みたいだ。」
ぬらり、とじっとり湿った舌がアルの目を這った。
生きてきて一度として感じたことのない不快感に、背筋が凍る。
初めての嫌悪感に涙があふれ、もとよりあった身体の震えはさらに酷くなった。
正気じゃない。完全にいかれた目をしている。それでも振り払うことができないのは、彼に勝つことなど不可能だと、本能が示しているから。
するりとズボンが抜き取られ、鍛えているようには映らない、白い滑らかな足が顔を出す。
「あの時と変わらないな。身体が大きくなったから、きっと俺のも受け入れやすくなっただろう?
…綺麗だ。」
あの時…
彼は娼館の客だったのだろうか?相手した客の顔など覚えていないが、口ぶりからしてそう取れる。
先ほどアルの目をぬらりと這ったその舌は、今度は足の指先からふくらはぎ、膝、腿へとゆっくり腰に近づいていった。
「ひっ… 」
彼の冷たい手が腹部を押さえ、アルの下着をいともたやすく剥ぎ取った。
結果上はズタズタに引き裂かれ、下は一糸まとわぬ姿となる。
惨めさと恐怖に、冷たい涙がほおを伝った。この顔だけは整った恐ろしい男に、自分は一生飼い慣らされるのだろうかと。
四年前まで、自分はこんな風ではなかったと思う。命を絶つことに抵抗を覚えないほど、価値のない人生を送ってきて。
けれど、今の仕事には誇りを持っていて、アランに会うことも、彼の目的を達成する手伝いもできた。
弱くなったな…
これまでがこんなに幸せだったのに、そしてこれからは絶望が待っているのに、今の自分は死ぬ勇気すらない。
ぐちゅり、と音を立て、無様に晒された後孔にふしばった太めの指が入ってくる。昔は慣れていた感覚だが、不快感にぞわりとした。
「…ああ、きつい。今は誰のものも受け入れていないんだな?
綺麗な君が、もう俺しか受け入れないなんて。痛くないようにゆっくりほぐそう。」
背中がコンクリートの床に押し付けられ、気づけば彼の左肩に右足を、右肩に左足を固定されていた。
後孔と性器があられもなく彼の目の前にさらされる。
中を犯す指はどんどん本数が増え、防衛本能からかわずかに溢れた蜜と合わせて卑猥な音を立てた。
過去には当たり前のことだったのに、今は恥ずかしくてたまらない。心も身体も酷く痛む。
「そろそろいいかな。」
指が3本に増えしばらくすると、彼の指がちゅぷんと抜かれた。代わりに痛々しいほどそそり勃った、グロテスクな雄棒が顔を出して…
「い、いやっ… 」
それを蜜口押し付けられた途端、恐怖も羞恥も構わずに、アルの口から拒絶の言葉が飛び出した。
…お願いやめて。もうこれ以上傷つけないで。
娼館に入りたての頃、防音室で、泣きわめきながら無理に身体を開かれたことを思い出す。
ばちん、といい音を立てて、ほおが叩かれた。
「拒絶できる立場じゃないだろう?」
どんなに拒んでもだめなんだと、どうして気づかなかったのだろう。諦めて目を瞑った。
そのとき。
「何をしてる!?」
あれ、どうして。そろそろ幻聴を覚えるまでになってしまったのだろうか。
アランの声が聞こえた気がした。香りだって、ふわりとあの甘やかな香りが、辺りに広がっている。
…きっと、錯覚だ。でもその錯覚でさえ嬉しくて。
アルは花開くように柔らかに笑った。
彼自身気づいていないようだが、彼がこれほど自然に笑ったことは、人生初めてであった。どんな穢れも知らないような、無垢な笑顔。
なぜかユリアンの雄が身体から離れていくのを、アルは不思議に感じていた。
気色の悪いニヤついた顔が、すぐ近くまで来ていた。アルは恐怖に震えるあまり、大きく見開いた目を、閉じることさえできないでいた。
「宝石みたいだ。」
ぬらり、とじっとり湿った舌がアルの目を這った。
生きてきて一度として感じたことのない不快感に、背筋が凍る。
初めての嫌悪感に涙があふれ、もとよりあった身体の震えはさらに酷くなった。
正気じゃない。完全にいかれた目をしている。それでも振り払うことができないのは、彼に勝つことなど不可能だと、本能が示しているから。
するりとズボンが抜き取られ、鍛えているようには映らない、白い滑らかな足が顔を出す。
「あの時と変わらないな。身体が大きくなったから、きっと俺のも受け入れやすくなっただろう?
…綺麗だ。」
あの時…
彼は娼館の客だったのだろうか?相手した客の顔など覚えていないが、口ぶりからしてそう取れる。
先ほどアルの目をぬらりと這ったその舌は、今度は足の指先からふくらはぎ、膝、腿へとゆっくり腰に近づいていった。
「ひっ… 」
彼の冷たい手が腹部を押さえ、アルの下着をいともたやすく剥ぎ取った。
結果上はズタズタに引き裂かれ、下は一糸まとわぬ姿となる。
惨めさと恐怖に、冷たい涙がほおを伝った。この顔だけは整った恐ろしい男に、自分は一生飼い慣らされるのだろうかと。
四年前まで、自分はこんな風ではなかったと思う。命を絶つことに抵抗を覚えないほど、価値のない人生を送ってきて。
けれど、今の仕事には誇りを持っていて、アランに会うことも、彼の目的を達成する手伝いもできた。
弱くなったな…
これまでがこんなに幸せだったのに、そしてこれからは絶望が待っているのに、今の自分は死ぬ勇気すらない。
ぐちゅり、と音を立て、無様に晒された後孔にふしばった太めの指が入ってくる。昔は慣れていた感覚だが、不快感にぞわりとした。
「…ああ、きつい。今は誰のものも受け入れていないんだな?
綺麗な君が、もう俺しか受け入れないなんて。痛くないようにゆっくりほぐそう。」
背中がコンクリートの床に押し付けられ、気づけば彼の左肩に右足を、右肩に左足を固定されていた。
後孔と性器があられもなく彼の目の前にさらされる。
中を犯す指はどんどん本数が増え、防衛本能からかわずかに溢れた蜜と合わせて卑猥な音を立てた。
過去には当たり前のことだったのに、今は恥ずかしくてたまらない。心も身体も酷く痛む。
「そろそろいいかな。」
指が3本に増えしばらくすると、彼の指がちゅぷんと抜かれた。代わりに痛々しいほどそそり勃った、グロテスクな雄棒が顔を出して…
「い、いやっ… 」
それを蜜口押し付けられた途端、恐怖も羞恥も構わずに、アルの口から拒絶の言葉が飛び出した。
…お願いやめて。もうこれ以上傷つけないで。
娼館に入りたての頃、防音室で、泣きわめきながら無理に身体を開かれたことを思い出す。
ばちん、といい音を立てて、ほおが叩かれた。
「拒絶できる立場じゃないだろう?」
どんなに拒んでもだめなんだと、どうして気づかなかったのだろう。諦めて目を瞑った。
そのとき。
「何をしてる!?」
あれ、どうして。そろそろ幻聴を覚えるまでになってしまったのだろうか。
アランの声が聞こえた気がした。香りだって、ふわりとあの甘やかな香りが、辺りに広がっている。
…きっと、錯覚だ。でもその錯覚でさえ嬉しくて。
アルは花開くように柔らかに笑った。
彼自身気づいていないようだが、彼がこれほど自然に笑ったことは、人生初めてであった。どんな穢れも知らないような、無垢な笑顔。
なぜかユリアンの雄が身体から離れていくのを、アルは不思議に感じていた。
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BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!!
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旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」
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