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過去といま④
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「お星様、全然流れないね。」
どんなに探してもひとつも見つけることができず、礼人は疲れた首を回しながらつぶやいた。
もうずいぶん長い間見上げている気がするのに、まだ一つも流れ星を見つけられていない。
「うん、俺もまだ2つしか見られてない。」
“もうずいぶん見ているのにね”、と北瀬が苦笑いする。
しかし一つも見つけられていない礼人にとって、二つというのは大きな数字で。
「ふたつも!?どこ!?」
礼人はつい身を乗り出し真剣に北瀬の瞳を覗きこんだ。
「もう流れてしまったみたい。でも、またきっと見られるよ。二つともあちら側で見たから、その方向を見てみようか。」
「うん!」
北瀬が空の一方向を指差し、礼人もそちらに目を向ける。
やっぱり北瀬はすごい、と彼の提案を聞いた礼人は思った。
2つ流れたのならその方向が流れやすいのかもしれないし、そうでなくても同じ方向を見ていれば流れ星が流れた時北瀬と同時に見ることができるから、どちらにせよ礼人は嬉しい。
嬉しくてふふっと笑うと空に向けて吐いた息がほわりと白く光った。
白く光るのが楽しくてつい何度も繰り返し息を吐いてみる。
「…くしゅっ…!」
繰り返すうちに喉が冷えたのか唐突にくしゃみが出てしまった。
同時に鼻水も出てしまい、慌ててティッシュで拭う。
「寒い?」
心配そうな北瀬の声に尋ねられ、そういえばコートを羽織り忘れていたことに気が付き礼人が頷くと、北瀬は自らの上着を脱いで礼人に差し出した。
「気づかなくてごめんね。トレーナーでは寒いよね。これを着て。」
__…あれ、でも…。
一瞬受け取ろうとして、礼人は躊躇う。
学ランの下、北瀬が纏っているのはシャツ一枚のみだった。
シャツの上にトレーナーを着ていても寒いのだから、シャツ一枚ではどれだけ寒いか想像がつく。
「リトさんが風邪をひいちゃうよ。絶対だめ!」
「えっ…?」
彼の瞳が困惑するように揺らぎ、しばらく何か考えるような間があった。
早くしないと彼が風邪をひいてしまうと焦った礼人は、固まっている北瀬に懸命に洋服を着せる。
「わっ!!」
その時突然、くるりと身体が反転し、背中から温もりに包まれた。
そのまま北瀬が着ているはずの学ランのボタンが礼人の前まで回ってくる。
「せめてこうしていよう。」
背中から抱きしめられているのだと、囁く声の近さから悟った。
そっと鼓膜を揺すられ、少しくすぐったい。
背中越しに感じる北瀬の身体は心配になる程細く、それでも温かくて安心した。
どきどきと、また胸が疼く感覚がするのはきっと急に温かくなったからだろう。
ふと見上げた空を、微かな光の筋が走った。
どんなに探してもひとつも見つけることができず、礼人は疲れた首を回しながらつぶやいた。
もうずいぶん長い間見上げている気がするのに、まだ一つも流れ星を見つけられていない。
「うん、俺もまだ2つしか見られてない。」
“もうずいぶん見ているのにね”、と北瀬が苦笑いする。
しかし一つも見つけられていない礼人にとって、二つというのは大きな数字で。
「ふたつも!?どこ!?」
礼人はつい身を乗り出し真剣に北瀬の瞳を覗きこんだ。
「もう流れてしまったみたい。でも、またきっと見られるよ。二つともあちら側で見たから、その方向を見てみようか。」
「うん!」
北瀬が空の一方向を指差し、礼人もそちらに目を向ける。
やっぱり北瀬はすごい、と彼の提案を聞いた礼人は思った。
2つ流れたのならその方向が流れやすいのかもしれないし、そうでなくても同じ方向を見ていれば流れ星が流れた時北瀬と同時に見ることができるから、どちらにせよ礼人は嬉しい。
嬉しくてふふっと笑うと空に向けて吐いた息がほわりと白く光った。
白く光るのが楽しくてつい何度も繰り返し息を吐いてみる。
「…くしゅっ…!」
繰り返すうちに喉が冷えたのか唐突にくしゃみが出てしまった。
同時に鼻水も出てしまい、慌ててティッシュで拭う。
「寒い?」
心配そうな北瀬の声に尋ねられ、そういえばコートを羽織り忘れていたことに気が付き礼人が頷くと、北瀬は自らの上着を脱いで礼人に差し出した。
「気づかなくてごめんね。トレーナーでは寒いよね。これを着て。」
__…あれ、でも…。
一瞬受け取ろうとして、礼人は躊躇う。
学ランの下、北瀬が纏っているのはシャツ一枚のみだった。
シャツの上にトレーナーを着ていても寒いのだから、シャツ一枚ではどれだけ寒いか想像がつく。
「リトさんが風邪をひいちゃうよ。絶対だめ!」
「えっ…?」
彼の瞳が困惑するように揺らぎ、しばらく何か考えるような間があった。
早くしないと彼が風邪をひいてしまうと焦った礼人は、固まっている北瀬に懸命に洋服を着せる。
「わっ!!」
その時突然、くるりと身体が反転し、背中から温もりに包まれた。
そのまま北瀬が着ているはずの学ランのボタンが礼人の前まで回ってくる。
「せめてこうしていよう。」
背中から抱きしめられているのだと、囁く声の近さから悟った。
そっと鼓膜を揺すられ、少しくすぐったい。
背中越しに感じる北瀬の身体は心配になる程細く、それでも温かくて安心した。
どきどきと、また胸が疼く感覚がするのはきっと急に温かくなったからだろう。
ふと見上げた空を、微かな光の筋が走った。
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