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過去といま⑤
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「あっ、流れ星!!やっと見られた!!…あの猫さんかな…?」
「きっとそうだよ。あやに、ありがとうとさようならを伝えに来たんだよ。そういえば願い事はした?流れ星に願うとお願いが叶うんだって。」
「えっ!?してない!!猫さんが天国で幸せになれるようにって、お願いしたかったのに…。」
「きっと叶うよ。」
「そうかな?」
「うん。…優しいお願いだから。」
礼人は頬を綻ばせ、北瀬の方を向き前からぎゅっと抱きついた。
「リトさん、連れてきてくれてありがとう!」
北瀬は白く美しい手で礼人の頭を撫で、礼人と同じように口元に柔らかな笑みを浮かべる。
「俺こそ、一緒に見てくれてありがとう。さ、帰ろうか。」
「うん!」
気持ちがとても軽い。
いきなり出ていってごめんなさいと、帰って両親に伝えようと思った。
北瀬が礼人を温もりから解放し、代わりに手を繋いでくれる。
「また、見に来られるかな?」
「うん。来月も流れ星がたくさん見れる日があるんだよ。」
北瀬と明るい方へ歩みを進めながら、また一緒に流れ星を見られたらいいなと思った。
今礼人はとても幸せで、この時間が終わってしまうのが少しもったいないとも思うけれど、また今度来ればいい。
「リトさん、僕と来月の流れ星も一緒に見に行…!?」
言っている途中で突然、北瀬のいる方とは反対側から無理やり手を引かれた。
礼人の痛みに構いなく強い力で引っ張るこれは、絶対に北瀬の手ではない。
礼人は恐怖に身を震わせる。
咄嗟に危険を察し、北瀬の方へ逃げてと叫ぼうとしたが、怖くて声が出ない。
固まっている間に背中から抱かれ、骨張った大きな手に口を塞がれる。
「おい、そこの中学生。逃げたらこいつを殺す。ついてこい。」
威圧感のある怒声が北瀬に向かって響き、北瀬は静かに頷いた。
どうやら今礼人の口を押さえているのは大人の男らしい。
逃げて、という願いは言葉にならず、男の手の中でくぐもって消えた。
「きっとそうだよ。あやに、ありがとうとさようならを伝えに来たんだよ。そういえば願い事はした?流れ星に願うとお願いが叶うんだって。」
「えっ!?してない!!猫さんが天国で幸せになれるようにって、お願いしたかったのに…。」
「きっと叶うよ。」
「そうかな?」
「うん。…優しいお願いだから。」
礼人は頬を綻ばせ、北瀬の方を向き前からぎゅっと抱きついた。
「リトさん、連れてきてくれてありがとう!」
北瀬は白く美しい手で礼人の頭を撫で、礼人と同じように口元に柔らかな笑みを浮かべる。
「俺こそ、一緒に見てくれてありがとう。さ、帰ろうか。」
「うん!」
気持ちがとても軽い。
いきなり出ていってごめんなさいと、帰って両親に伝えようと思った。
北瀬が礼人を温もりから解放し、代わりに手を繋いでくれる。
「また、見に来られるかな?」
「うん。来月も流れ星がたくさん見れる日があるんだよ。」
北瀬と明るい方へ歩みを進めながら、また一緒に流れ星を見られたらいいなと思った。
今礼人はとても幸せで、この時間が終わってしまうのが少しもったいないとも思うけれど、また今度来ればいい。
「リトさん、僕と来月の流れ星も一緒に見に行…!?」
言っている途中で突然、北瀬のいる方とは反対側から無理やり手を引かれた。
礼人の痛みに構いなく強い力で引っ張るこれは、絶対に北瀬の手ではない。
礼人は恐怖に身を震わせる。
咄嗟に危険を察し、北瀬の方へ逃げてと叫ぼうとしたが、怖くて声が出ない。
固まっている間に背中から抱かれ、骨張った大きな手に口を塞がれる。
「おい、そこの中学生。逃げたらこいつを殺す。ついてこい。」
威圧感のある怒声が北瀬に向かって響き、北瀬は静かに頷いた。
どうやら今礼人の口を押さえているのは大人の男らしい。
逃げて、という願いは言葉にならず、男の手の中でくぐもって消えた。
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