強く握って、離さないで 〜この愛はいけないと分かっていても、俺はあなたに出会えてよかった〜 

沈丁花

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ただでさえ命令を守れなかったのに、お仕置き中に粗相をしてしまうなんて…。

…しかもこんなに恥ずかしい姿で。

背筋が凍りつく。

「ごめっ…、なさっ… 」

堪えようとしても涙が溢れてくる。由良さんは今どんな顔をしているのだろう。まだ怒って呆れているのだろうか。

もしかしたらパートナー契約を結んでもらえないかもしれない。

泣きながら、そういえば涙でも由良さんの膝を濡らしていることに気付いて、さらに泣いてしまう。

「羞恥プレイ、初めてなのによく耐えられたね。幹斗君。」

しかし、少しして上から降ってきた由良さんの声はとろけるように優しくて、驚いて彼を見上げると、由良さんはいつものように穏やかに、優しく笑っていた。

幹斗君、と言う呼び方に戻ったことが、プレイの終了を匂わせる。

由良さんは、怒るどころか俺の頭を撫でながら、ティッシュで吐いた精を丁寧に拭いとってくれた。

そしてちょっと待っててね、と言ってからバスルームの方へ消え、スウェットを着替えて戻ってきて。

そのままソファーに腰掛け、隣に座っていた俺を軽々と持ち上げ、膝の上に乗せ、

「よく頑張ってくれたね。」

背中から抱きしめそう言ってくれた。

「えっ、…でも俺、全然上手にできなくて…。」

「そんなことないよ。命令はちゃんと聞いてくれたし、なにより恥ずかしいのも頑張って耐えていたから、偉かった。」

プレイ中の彼との温度差に混乱してしまう。

先ほどまでの彼はまるで明けない夜のような冷たさを持っていた。

それに対して今の彼はまるで砂糖菓子。頑張った、偉い、とたくさん褒められて、堪らなく幸せな気分になる。

優しく頭を撫でられ、その温もりが心地いい。昇天してしまいそうなくらい。

「辛くはなかった?」

「…はい。」

それどころかとても気持ちよかった。

「じゃあ、次はもう少し恥ずかしいこともしようね。ご褒美は何がいい?」

もう少し恥ずかしいこと、と耳元で熱っぽくささやかれ、鼓膜が甘く震える。もし次があったとしたなら、俺はどうなってしまうのだろう。

そして…

「ご褒美…?」

ごほうびって、ご褒美…?それとも変換ミスだろうか。ともかくご褒美をもらう理由などない。

「そう。頑張ったご褒美。アフターケア。」

どう返していいか戸惑っていると、由良さんがそう付け加えた。
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