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誕生日ss4
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駅からホテルまでの道のりは海が見えたり遊園地があったりで、ホテルはドラマの中でしか見たことがないような豪華な内装で、物語の中に迷い込んでしまったみたいな心地になる。
受付はフロントではなくラウンジで行うらしく、行くと2人がけのふわふわのソファに通された。
「お待ちしておりました。それではこちらに記入をお願いいたします。」
ソファーの前には広い木机があって、ホテルマンがお茶を淹れてくれて、少し説明を受けてから差し出された紙に、由良さんが必要事項を記入していく。
「ご記入ありがとうございます。ティータイムではあちらのお菓子やドリンクがどれもご自由にお楽しみいただけますが、チェックインはどうされますか?」
手続きを終えた後は丁寧な口調でそう尋ねられ、俺は彼が示した先に視線をやった。
マカロン、ギモーブ、ケーキ、クッキーなど、さまざまなお菓子が並べられている。
しかもそれぞれいくつか種類があり、どれもとても美味しそうなのだ。
そして向こう側にはドリンクバーが置いてある。
「少しお茶を楽しんでから部屋に行こうか。どれも美味しそうだね。」
由良さんは俺に視線をやって笑みをこぼし、ホテルマンにそう言った。もしかしたら俺が子供みたいにお菓子を見て興奮したことに気づいてしまったのかもしれない。
…恥ずかしい…。
「かしこまりました。では、チェックインの際にお声掛けください。」
「取りに行かないの?」
ホテルマンが去っていった後で、ソファーでじっとしていると由良さんにそう尋ねられた。
「えっと… 」
喉から手が出るほど取りに行きたいけれど、恥ずかしくて躊躇ってしまう。
視線を泳がせていると、由良さんに優しく頭を撫でられた。
「取っておいで。好きでしょう?これもここを選んだ理由の一つなんだから。」
好きすぎる…。
僕の分もとってきてね、と付け加えて俺の後ろめたさを無くしてくれるところまで含め、本当に好きだ。
色とりどりのマカロンはどれも美しくて美味しくて、クッキーも、スノーボール、チョコチップクッキー、アーモンドクッキーと全て美味しかった。ケーキはガトーショコラと抹茶シフォン。それから…
ほっぺたが落ちそうなくらいのおいしさに、お昼も食べたのに思わずたくさん食べてしまう。
いくら甘いものを食べてもアールグレイを口に含めばそれだけで口の中の甘さがリセットされてしまうから、不思議だ。
「美味しかった?」
「はい、とても。」
「それはよかった。じゃあ部屋に行こうか。」
「はい。」
チェックインをしたいと告げると、ホテルマンが部屋まで案内してくれる。
「今日お泊まりになるお部屋がこちらになります。こちらは… 」
そして丁寧に部屋を説明すると、彼は頭を下げてから部屋の外へ行った。
部屋はテラス付きのオーシャンビューで、海と反対の方面には有名な観覧車が見える。
バスルームは広々としていて、浴槽のすぐそばの大きな窓からもまた、観覧車が綺麗に見えた。
ベッドはふかふか、アメニティーも見るからに高そうで、2人がけのふわふわのソファーが大窓に面して置いてあって、しかも夕食はルームサービスだと言う。
…一体いくら使ったんだ…
「由良さん、あの、いく… 」
いくら使ったのか、と聞こうとしたら、言い切る前に顎を指で挟まれ、ぐっと上を向かされた。
そのまま熱くglareを注がれ、綺麗な唇は意地悪く笑んで。
「お仕置きされたい?」
悪戯っぽく言われてしまい、もうこれで十分お仕置きだと思った。
…心臓への拷問だ。ぜったい。
「…おっ、俺トイレ行ってきます!」
「幹斗君、そっちお風呂。」
「… 」
ひとまず真っ赤になりながら、俺は慌ててトイレへと駆け込んだ。
…こんな完璧な人がパートナーなんて、前世で国でも救ったのかな、俺…。
受付はフロントではなくラウンジで行うらしく、行くと2人がけのふわふわのソファに通された。
「お待ちしておりました。それではこちらに記入をお願いいたします。」
ソファーの前には広い木机があって、ホテルマンがお茶を淹れてくれて、少し説明を受けてから差し出された紙に、由良さんが必要事項を記入していく。
「ご記入ありがとうございます。ティータイムではあちらのお菓子やドリンクがどれもご自由にお楽しみいただけますが、チェックインはどうされますか?」
手続きを終えた後は丁寧な口調でそう尋ねられ、俺は彼が示した先に視線をやった。
マカロン、ギモーブ、ケーキ、クッキーなど、さまざまなお菓子が並べられている。
しかもそれぞれいくつか種類があり、どれもとても美味しそうなのだ。
そして向こう側にはドリンクバーが置いてある。
「少しお茶を楽しんでから部屋に行こうか。どれも美味しそうだね。」
由良さんは俺に視線をやって笑みをこぼし、ホテルマンにそう言った。もしかしたら俺が子供みたいにお菓子を見て興奮したことに気づいてしまったのかもしれない。
…恥ずかしい…。
「かしこまりました。では、チェックインの際にお声掛けください。」
「取りに行かないの?」
ホテルマンが去っていった後で、ソファーでじっとしていると由良さんにそう尋ねられた。
「えっと… 」
喉から手が出るほど取りに行きたいけれど、恥ずかしくて躊躇ってしまう。
視線を泳がせていると、由良さんに優しく頭を撫でられた。
「取っておいで。好きでしょう?これもここを選んだ理由の一つなんだから。」
好きすぎる…。
僕の分もとってきてね、と付け加えて俺の後ろめたさを無くしてくれるところまで含め、本当に好きだ。
色とりどりのマカロンはどれも美しくて美味しくて、クッキーも、スノーボール、チョコチップクッキー、アーモンドクッキーと全て美味しかった。ケーキはガトーショコラと抹茶シフォン。それから…
ほっぺたが落ちそうなくらいのおいしさに、お昼も食べたのに思わずたくさん食べてしまう。
いくら甘いものを食べてもアールグレイを口に含めばそれだけで口の中の甘さがリセットされてしまうから、不思議だ。
「美味しかった?」
「はい、とても。」
「それはよかった。じゃあ部屋に行こうか。」
「はい。」
チェックインをしたいと告げると、ホテルマンが部屋まで案内してくれる。
「今日お泊まりになるお部屋がこちらになります。こちらは… 」
そして丁寧に部屋を説明すると、彼は頭を下げてから部屋の外へ行った。
部屋はテラス付きのオーシャンビューで、海と反対の方面には有名な観覧車が見える。
バスルームは広々としていて、浴槽のすぐそばの大きな窓からもまた、観覧車が綺麗に見えた。
ベッドはふかふか、アメニティーも見るからに高そうで、2人がけのふわふわのソファーが大窓に面して置いてあって、しかも夕食はルームサービスだと言う。
…一体いくら使ったんだ…
「由良さん、あの、いく… 」
いくら使ったのか、と聞こうとしたら、言い切る前に顎を指で挟まれ、ぐっと上を向かされた。
そのまま熱くglareを注がれ、綺麗な唇は意地悪く笑んで。
「お仕置きされたい?」
悪戯っぽく言われてしまい、もうこれで十分お仕置きだと思った。
…心臓への拷問だ。ぜったい。
「…おっ、俺トイレ行ってきます!」
「幹斗君、そっちお風呂。」
「… 」
ひとまず真っ赤になりながら、俺は慌ててトイレへと駆け込んだ。
…こんな完璧な人がパートナーなんて、前世で国でも救ったのかな、俺…。
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