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本編
⑥
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怒られないし、殴られない。こんなに穏やかなのはいつぶりだろう
けれど、どの世界でも怖いことは変わらなくて──
「そろそろ朝食に致しましょうか」
体がこわばった。
──食べたら、怒られるかもしれない。
──吐いたら、また叩かれるかもしれない。
頭の中で、お母さんの怒鳴り声が響いた。
怖くて、怖くて、思わずルーの服をぎゅっと掴む。
「モモ……こっち見て?」
顔を上げると綺麗な青の瞳
「ルー……」
「大丈夫、モモが怖い思いをすることは、もう何もないからね。」
「やくそく……?」
「うん。モモは少し栄養が足りてないみたいなんだ。だから、毎食“ひと口だけ”何かを食べてみよう。それができたら……ううん、できなくてもたくさん褒めてあげる。」
ひと口だけ……?
それなら……できるかも。
「……うん、頑張る。」
小さくうなずくと、ルーが嬉しそうに頭を撫でてくれた。
その後、メリッサが部屋に朝食を持ってきた。
ダイニングテーブルに行き、椅子に座らされると思いきやルーの膝の上に乗せられた。
目の前には朝食がならべられている
「はい、モモ。あーん。」
「え……ルーが、たべさせてくれるの?」
「もちろん。モモの可愛い口がもぐもぐするの見せて?」
「なにそれ、へんなの……」と照れながらも、言われるままに口を開ける。
スープがひとくち、口に入ってきた。
温かくて、やさしい味が広がる。
ゆっくりと飲み込んでみると、怖かった“痛み”が来ない。
「……食べれた。」
「うんうん、すごいねモモ。」
その後、パンを少しちぎってもうひとくち。
結局三口で限界が来てしまったけれど、
ルーはそれだけでとても嬉しそうだった。
***
朝食のあと、お風呂に入れてもらった。
メリッサが髪を洗ってくれたんだけど――入る前、ルーが少しだけむすっとしていた。
僕と一緒にお風呂に入りたかったみたい
でもメリッサがだめだって
「ルー、顔こわいよ?」
「……そんなことないよ?」
なんだかちょっと可愛かった。
お風呂から上がると、白い生地に金の刺繍が施されたドレスみたいな服を着せてもらった。
袖がふわっと広がっていて、光を受けるたびにきらきらしている。
髪も綺麗に編み込まれ、花の飾りを付けてくれた。
「っ……可愛い! モモ様可愛すぎます!」
メリッサが顔を真っ赤にして叫んでいる。
よく分からなかったのでソファーに座っているルーの隣に、僕もちょこんと座った。
「モモ、可愛い。今日は庭を散歩してみようか。城の中も案内したいけど、体調のこともあるから、それはまた今度ね。」
「おさんぽ……?したい!」
この部屋の外に出るのは初めて。胸がわくわくして、思わず立ち上がった。
「じゃあ行こうか。抱っこして行く?」
「んー……眠くなっちゃうからやめとく。手、つないでもいい?」
「もちろん。疲れたら言ってね?」
「ふふっ、はぁい。」
まだ出会って間もないけど、ルーって本当に心配性。
外に出ると、目の前に広がるのは見たこともないほど綺麗な光景だった。
青い空。透き通る風。花の香り。
白い石畳の上に、いろんな色の花が咲いていて、光がキラキラしてる。
「わぁ……! きれい……!」
思わず息をのむ。
まるで絵本の中にいるみたいだ。
「モモ、気に入った?」
「うんっ! すっごくすき!」
嬉しくて、胸がドキドキする。
あまりに嬉しくて、体が勝手に動いてしまった。
「ねぇ、あっちにもお花いっぱいあるよ!」
そう言って、思わずルーの手を離して駆け出した。
でも、走り慣れていない僕の足はすぐにもつれて、
「あ──!」
次の瞬間、体がふわっと浮いた。
ルーが素早く駆け寄って、僕の体をしっかり抱きとめてくれていた。
「……モモ。」
低い声に、少しだけびくっとする。
怒ってる……?と不安になってルーの顔を見ると、
眉を下げて、ほんの少し困ったように笑っていた。
「ダメだよ、走ったら。危ないでしょ?」
「ご、ごめんなさい……。でも、お花が……」
「お花は逃げないよ。」
ルーはそう言って、僕の額に軽くキスを落とした。
「危ないから急に走らない、分かった?」
「……うん。もう走らない。」
「よし、いい子。」
ルーの胸の中はあったかくて、ドキドキしてる音が聞こえる。
抱き上げられたまま見上げると、空の青がどこまでも広がっていた。
「ルー、世界ってこんなにきれいなんだね。」
「そうだね。でも、俺にとってはモモのほうがずっと綺麗だよ。」
「ふふ、なにそれ」
少し歩いたあと、「今日はこのくらいにしよう」とルーが言った。
もうちょっと見たかったのに…むぅ
けれど、どの世界でも怖いことは変わらなくて──
「そろそろ朝食に致しましょうか」
体がこわばった。
──食べたら、怒られるかもしれない。
──吐いたら、また叩かれるかもしれない。
頭の中で、お母さんの怒鳴り声が響いた。
怖くて、怖くて、思わずルーの服をぎゅっと掴む。
「モモ……こっち見て?」
顔を上げると綺麗な青の瞳
「ルー……」
「大丈夫、モモが怖い思いをすることは、もう何もないからね。」
「やくそく……?」
「うん。モモは少し栄養が足りてないみたいなんだ。だから、毎食“ひと口だけ”何かを食べてみよう。それができたら……ううん、できなくてもたくさん褒めてあげる。」
ひと口だけ……?
それなら……できるかも。
「……うん、頑張る。」
小さくうなずくと、ルーが嬉しそうに頭を撫でてくれた。
その後、メリッサが部屋に朝食を持ってきた。
ダイニングテーブルに行き、椅子に座らされると思いきやルーの膝の上に乗せられた。
目の前には朝食がならべられている
「はい、モモ。あーん。」
「え……ルーが、たべさせてくれるの?」
「もちろん。モモの可愛い口がもぐもぐするの見せて?」
「なにそれ、へんなの……」と照れながらも、言われるままに口を開ける。
スープがひとくち、口に入ってきた。
温かくて、やさしい味が広がる。
ゆっくりと飲み込んでみると、怖かった“痛み”が来ない。
「……食べれた。」
「うんうん、すごいねモモ。」
その後、パンを少しちぎってもうひとくち。
結局三口で限界が来てしまったけれど、
ルーはそれだけでとても嬉しそうだった。
***
朝食のあと、お風呂に入れてもらった。
メリッサが髪を洗ってくれたんだけど――入る前、ルーが少しだけむすっとしていた。
僕と一緒にお風呂に入りたかったみたい
でもメリッサがだめだって
「ルー、顔こわいよ?」
「……そんなことないよ?」
なんだかちょっと可愛かった。
お風呂から上がると、白い生地に金の刺繍が施されたドレスみたいな服を着せてもらった。
袖がふわっと広がっていて、光を受けるたびにきらきらしている。
髪も綺麗に編み込まれ、花の飾りを付けてくれた。
「っ……可愛い! モモ様可愛すぎます!」
メリッサが顔を真っ赤にして叫んでいる。
よく分からなかったのでソファーに座っているルーの隣に、僕もちょこんと座った。
「モモ、可愛い。今日は庭を散歩してみようか。城の中も案内したいけど、体調のこともあるから、それはまた今度ね。」
「おさんぽ……?したい!」
この部屋の外に出るのは初めて。胸がわくわくして、思わず立ち上がった。
「じゃあ行こうか。抱っこして行く?」
「んー……眠くなっちゃうからやめとく。手、つないでもいい?」
「もちろん。疲れたら言ってね?」
「ふふっ、はぁい。」
まだ出会って間もないけど、ルーって本当に心配性。
外に出ると、目の前に広がるのは見たこともないほど綺麗な光景だった。
青い空。透き通る風。花の香り。
白い石畳の上に、いろんな色の花が咲いていて、光がキラキラしてる。
「わぁ……! きれい……!」
思わず息をのむ。
まるで絵本の中にいるみたいだ。
「モモ、気に入った?」
「うんっ! すっごくすき!」
嬉しくて、胸がドキドキする。
あまりに嬉しくて、体が勝手に動いてしまった。
「ねぇ、あっちにもお花いっぱいあるよ!」
そう言って、思わずルーの手を離して駆け出した。
でも、走り慣れていない僕の足はすぐにもつれて、
「あ──!」
次の瞬間、体がふわっと浮いた。
ルーが素早く駆け寄って、僕の体をしっかり抱きとめてくれていた。
「……モモ。」
低い声に、少しだけびくっとする。
怒ってる……?と不安になってルーの顔を見ると、
眉を下げて、ほんの少し困ったように笑っていた。
「ダメだよ、走ったら。危ないでしょ?」
「ご、ごめんなさい……。でも、お花が……」
「お花は逃げないよ。」
ルーはそう言って、僕の額に軽くキスを落とした。
「危ないから急に走らない、分かった?」
「……うん。もう走らない。」
「よし、いい子。」
ルーの胸の中はあったかくて、ドキドキしてる音が聞こえる。
抱き上げられたまま見上げると、空の青がどこまでも広がっていた。
「ルー、世界ってこんなにきれいなんだね。」
「そうだね。でも、俺にとってはモモのほうがずっと綺麗だよ。」
「ふふ、なにそれ」
少し歩いたあと、「今日はこのくらいにしよう」とルーが言った。
もうちょっと見たかったのに…むぅ
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ももちゃん、やっぱり可愛すぎる。。
私も母親になったらももちゃんのような子にママと呼ばれたい。!!!